郵政民営化反対、「市場化テスト」など公務の民間開放に反対する決議

 政府は、05年度、06年度を「構造改革」の重点強化期間とし、「官から民へ」の行政サービス商品化の動きを強めている。その目的が、07年度からの消費税率引き上げを含めた国民負担増の「言い訳づくり」にあることは明らかである。行政が直接実施している公共サービスを民間に開放し、営利目的のサービスに変質させることの問題点や、税負担が高まる一方で社会保障給付などのサービスの質と量を切り下げ続けていることへの国民的な批判や、そのことの影響で広がっている格差や国民の不安、不満を顧みない「構造改革」路線に強く反対し、その撤回と国民生活本位の行財政司法の確立を強く求める。

 「官から民へ」の当面の焦点が、郵政事業の民営化であり、それを「構造改革」の本丸とする小泉内閣は、昨年9月の閣議決定(郵政民営化の基本方針)にそって、窓口ネットワーク、郵便事業、郵便貯金、郵便保険の4機能に分社化する法案の通常国会提出と成立に躍起になっている。
 郵政事業は、郵便事業にとどまらず、郵便貯金や簡易保険も含め、一体でユニバーサルサービスとして地域住民の生活と切り離せないものである。だからこそ、国民の反対意見や懸念が広がり、与党内での対立も顕在化しているのである。
 郵政民営化の理由として小泉首相は、国民の財産管理を銀行や保険業界の利益確保に供することと、労働者の「リストラ」が民営化の二大目的であることを隠していない。

 政府は、公共サービス民間開放の「究極の手段」と位置づける「市場化テスト」の導入にむけた検討を加速している。「ハローワーク」、「社会保険庁」業務などでの市場化テストの「モデル事業」が4月以降に実施されようとしているが、これを突破口に、「給付・徴収業務」など4類型・31業務の市場化テストの実施、独立行政法人等を含む国や地方自治体の全ての業務の市場化テストに繋げていこうとしている。そのための「市場化テスト法」を成立させないたたかいが、個別業務での具体化検討を許さないたたかいと同時に重要になっている。

 「構造改革」の進展が、「二極化」と指摘される所得の格差や地域間格差の拡大、雇用破壊の進行、社会保障制度の縮小と負担の増大、地方自治体の切り捨てなど、国民生活との避けがたい矛盾を広げている。この矛盾を解消するためには、格差の是正を求め、公正な社会のための公務・公共サービスの確立を求める運動を国民的に広げていくことが不可欠である。
 国公労連が「競争より公正な社会を」をスローガンに開始した公共サービスの商品化反対のとりくみは、その点での運動そのものである。
 国公労連は、05年春闘でも、憲法が保障する基本的人権を具体化するための公務・公共サービスの提供を営利目的とさせず、公務労働者の暮らしと労働条件を守るため、混合診療など公共分野での規制改革反対のたたかいとも結び、郵政民営化反対を当面のたたかいの軸に据えつつ、市場化テスト反対などの産別闘争を強化する。
 以上決議する。
2005年1月26日
日本国家公務員労働組合連合会第122回中央委員会

 以上、決議する。