失われた公務の信頼回復をめざして(談話)
2月8日、国家公務員倫理審査会は内閣に対し、国家公務員倫理規程の一部改正に関する意見の申出をおこなった。そこでは、書籍の監修等の場合に報酬を受けてはならないことなど、「国民の疑惑や不信を招くような行為の禁止」規程が新設されている。これは、昨年だけでも、社会保険庁、労働局や警察などで相次いで露呈した、組織ぐるみと批判される「ウラ金づくり」や「税金の私物化」の違法行為が直接の契機となっている。 監修料等の名目で「還元された税金」を山分し、事実の隠ぺいに手をかし、あるい組織的な「ウラ金づくり」を黙認することが違法行為であることは社会の常識である。にもかかわらず、自らが所属する組織(府省庁)を擁護する論理の前にその常識が無力化し、公務には自浄能力が欠落していると国民に受けとめられている。国公労連は、このことに強い危機意識を持つ。失われた公務の信頼回復をめざす組みが緊急の運動課題と考えるゆえんである。 国公労連は、職場の労働条件改善と同時に、国民のための行財政・司法の確立をめざすことを運動の中心課題に位置づけてきた。そして、内部告発権の確立をはじめ、行政の腐敗や歪みを監視し、これを是正させるとり組みを重視してきた。 しかし、今回の倫理規程改定の契機となった事件は、国公労連傘下の組合のある行政機関においても起きている。「方針倒れ」と批判されても致し方なく、運動の不十分さを猛省しなければならない。 不祥事が相次いで発覚した公共放送機関・NHKに対する国民の批判が広がり、受信料不払いが激増している。このことは、NHKが不祥事にかかわって、事実の隠ぺいやねつ造の姿勢を示したことが、自浄作用が働かない硬直した組織と受けとめられた結果である。 この例を持ち出すまでもなく、自ら利益擁護を優先し、順法義務を果たさない組織は、その存在さえ否定されるほどの糾弾を受ける時代となっている。 税金によって運営される公務での不祥事に対して、民間法人以上に厳しく指弾されるのは当然のことであり、公務全体の存在意義さえ問われることになりかねない。そのような認識をもとにして、運動の脱皮を図ることは、この時代に生きる公務労働者の責務である。 以上のような問題意識から、国公労連は、すべての公務労働者に次のことを強く訴える。
2005年2月18日
日本国家公務員労働組合連合会 書記長 小田川義和 |