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政府は本日、「被用者年金制度の一元化等に関する基本方針」を閣議決定した。政府が、この方針を異例の速さで取りまとめた背景には、社会保障改悪や総人件費削減など行政改革を推進する小泉構造改革の「小さな政府」攻撃がある。「基本方針」は、制度の安定性や公平性を確保することにより、公的年金全体に対する国民の信頼を高めることとしている。しかし、現状の問題(年金空洞化、無年金者・低年金者、女性の年金問題等)の解決は先送りにしており、むしろ、「小さな政府」攻撃とも一体の公務員攻撃を最大限利用した公的年金制度の低位平準化による国の社会保障費抑制策の色合いが強い。年金一元化を 中心とする2007年の年金制度「改定」では、短時間労働者への適用拡大などの新たな国民負担も俎上にあがっていることが、その点を実証するものである。 今回の一元化について、当該関係者の合意形成を図ることもなく、政府が一方的に閣議決定したことは問題である。 また、決定された「基本方針」には各項目において以下のような具体的問題がある。 1)保険料率は、国共済・地共済の保険料率が統一される翌年の2010年から1・2階部分の統一を開始し、厚生年金保険料率が上限に達した翌年の2018年に統一するスケジュールとなっている。共済組合員にとっては、保険料率の引き上げ幅が大きく負担が大きい。急激な負担増とならないよう、保険料の一部は積立金を活用して負担するとしているが、負担軽減の度合いや積立金の機能バランス(1.年金給付のための責任準備金的機能、2.負担均衡機能、3.労働者福祉還元融資機能等)の問題が残されている。 2)追加費用を減額するため、公務員共済の恩給期間に係る給付について、恩給期間と共済年金制度発足との負担の差に着目し、負担に見合った水準に減額するとしている。恩給納金相当とする給付水準や減額に一定の下限が設定されてはいるが、確定済み給付の減額が、憲法第29条で保障する財産権の侵害に当たるとの懸念は残っている。 3)現行の公的年金としての職域部分(3階部分)は2010年に廃止することとし、それに替わる新たな公務員制度としての仕組みを設けることにしている。国家公務員の退職年金制度が、国公法第107条を根拠に公務員制度の一環として位置付けられていることを踏まえたとしている。具体的な制度設計は、人事院の調査を踏まえて行うとしているが、民間企業における企業年金制度の精確な実態調査はもとより、先進諸外国の公務員年金制度では、公務の特殊性を考慮して一般国民に対する年金とは別建ての有利な制度となっていることなどの事情を総合的に考慮勘案した検討が行われるべきである。 政府は、この閣議決定を踏まえ、来年度の通常国会に関連法案の提出を狙っている。その際には、企業年金の多くが退職金の一部を運用している実態があることから、これに関連して退職手当「見直し」も同時に進行することが考えられる。国公労連は、公務員退職年金、退職手当の一方的な不利益変更に反対するとともに、民主的な公務運営を支えるための制度確立を求め、要求を対峙した取り組みをすすめる決意である。
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