国公FAX速報 2006年5月23日《No.1725》 | |
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国公労連は昨日、「総人件費改革」の5%純減に関わって、6月にも「国の行政機関の定員の純減方策について」の最終報告がとりまとめられようとする状況を踏まえ、行政改革推進事務局と交渉を行いました。 この交渉は、改めて「純減方策」の策定に反対し、職員の雇用や労働基本権問題について、現時点での考えを質すために行ったもので、公務員制度等改革推進室の上田室長ほか6名が対応し、国公労連は堀口委員長ら7名が参加しました。 冒頭、堀口委員長は「行政減量・効率化有識者会議の論議も経て、『行政改革の重要方針』にもとづく『国の行政機関の定員の純減方策について』の最終報告が取りまとめられる段階に至っていると認識している。国公労連は、昨年12月6日に『総人件費改革基本指針にもとづく実行計画策定にかかわる要求書』を提出以来、『行革推進法案』の検討、閣議決定の動きとも絡みながら、節目毎に問題点を指摘し、『5%純減』ありきの計画策定に反対してきた」。また、「『純減方策』策定ともかかわって、『配置転換、採用抑制の枠組み』検討に対しても意見を表明してきたが、『骨太方針2006』への反映も想定される『最終報告』の取りまとめ段階で、改めて勤務条件の悪化や労働者の生活と権利を侵害することのないように、基本的な意見を表明する」と述べました。 続いて小田川書記長から、以下の4点について問題指摘を行いました。 (1)「重点15事項」での純減・削減の「回答総数」は、2万人とも言われ、数字的には5%・約1万7千人を超過している。国家公務員全体としては増員要請もある中での「回答数」であり、国公労連が当初から指摘していたように、一部に純減を押しつける数あわせの結果になっている。問題意識を強く持たざるを得ず、このまま「純減方策」が取りまとめられることには賛成できない。 (2)同時に、短期間の内に数字が積み上げられたこともあって、行政ニーズの将来見込みや、職員の労働条件への影響等についての論議の不十分さがある。したがって、「純減方策」決定以降の進め方は、当該省庁や労働組合の意見も十分聞きながら、年度毎の論議も含め慎重に進めるべきだ。「確定した数字」として、その履行を関係機関に迫るとか、該当事務での増員は断じて認めないなどの強引なやり方は容認できない。 (3)「配置転換、採用抑制の仕組み」に関わっては、何よりも「実質的な整理解雇」となるような強制的な配置転換を避けることに眼目をおくべきであり、その点で配置転換希望者の把握や、受け入れ機関とのマッチングをはかるため、「雇用調整本部」が実質的な機能を果たすこと、苦情処理など職員の利益保護の仕組みを検討すること、研修の充実を図ること、配置転換後のトラブルへの対応や元職場への復帰も含めた事後措置についても検討を行うこと、などを当面の措置として求める。 (4)市場化テストとも関わって、府省を越えた「配置転換」が恒常化することも懸念されるが、それを前提とすれば、現行の公務員制度では職員の権利擁護は不十分だ。したがって、労働基本権回復も含め、課題となっている公務員制度の検討を早期に進めるべき。そのための対応機関は、該当の職員団体を排除した政労協議の場だけでは納得できない。国公労連の意見反映もできる交渉・協議の場の検討も改めて要求する。 行政改革推進事務局の上田室長は、「3.5%と1.5%の仕分けは定員管理の枠組みでカウントされるものと、そうでないものもあり、単純に2万人ではない。スリム化を図る際、仕事の見直し、効率化を定性的にやるだけではできないことから、5%という目標を掲げた。中身のある改革を行うためにも必要だと考える。従来からもっていた問題意識をこの機会にきちんと洗い直す。6月になれば一定の数字を明らかにしなければならないが、一方的にならないよう各省庁に自主的な案を出してもらっている。増員も、どうしても必要な所にはあり得る。政府全体として、雇用確保を第一義的に考え作業をしている。市場化テストにより、不要となった要員も今回の雇用調整本部のもとで、配置換えで対応可能と考えている。労働基本権については、今後もいろんな場で議論していきたい」などと回答。 川淵参事官からは、「配転、採用抑制の取り組みを進めるため、調整本部を設け、マッチングに当たっても職員の職種や地域性など、親和性をもったものとするようしていきたい。平成22年度までの取り組みとしているが、年度毎に計画を策定するなど状況を見ながら進めていきたい」などと述べました。 これに対して小田川書記長は、「純減数はどうなるのか」「法案との関わりで総人件費管理(GDP比半減)はどこが対応するのか」「総人件費の対象範囲はどこまでか」「配置転換を6月に決める方向と関わって引き続き議論を求める」「公務員は任用であるが雇用契約関係に相当する確認が必要だ」と、重ねて問題点を指摘するとともに、引き続き議論の場を設けるよう追及しました。 上田室長は、「5年間で5%以上というのが我々のミッションであり、それ以下はない。どれだけ上乗せするかは、今はまだ判らない」「総人件費の単価については、第三者機関を尊重すべき。GDP比半減の議論も、その方向ということは法案にも書いてあるが、5%のように計画を立ててということにはならない」「非常勤職員の賃金などについては今回の枠組みの中では考えていない。可変の事業費との関係でもう少しクリアにという議論はあるかもしれないが、同列ではない」「引き続き議論していくことは了解する」などと、述べました。 さらに小田川書記長から、「労働基本権問題は、改めて議論のスタートとなると考えており、どの時期にどのような場でやっていくのか、整理の仕方も含めて協議を求める」。堀口委員長も、「純減数は政治目標ありきで、ギリギリ詰められて各省が出した数だ。行政ニーズの変化に応じて見直すのは当たり前だが、政治主導でそれ以上の純減となっているのが問題だ」「労働基本権問題は、任用関係のもとで担保がないことをふまえて、今後十分な議論をさせてもらう」と重ねて強調しました。 上田室長が、「承った」と引き続き議論していくことを確認したことから、交渉を終了しました。
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