国公FAX速報 2006年6月26日《No.1733》
〈行政改革推進室交渉〉
「配転、採用抑制等の全体計画」閣議決定迫る
 配置転換規模は2,900人(H19年度は730人)
 国公労連は23日、行政改革推進法に基づく「行政改革推進本部」が発足し、「5%純減計画」、「配置転換等の全体計画」などについての閣議決定が来週にも行われる見通しとなっていることから、行政改革推進室と交渉を行いました。
 この交渉は、「全体計画」に関わる基本的な要求(別添、申し入れ)を提出し、専門調査会も含めて国公労連の意見反映を求めたもので、推進室は上田次長以下4名が対応し、国公労連は堀口委員長をはじめ5名が参加しました。

 冒頭、堀口委員長は「昨年12月24日の『行革の重要方針』決定以降、くり返し主張してきたが、重点15項目に焦点化した純減や、地方支分部局の統廃合などの行政サービス切り捨てを伴う『5%純減』は納得できない。5月末の有識者会議の取りまとめも踏まえ、政府として純減計画策定の段階にきていると考えるが、国公労連としては行政現場の実態、労働条件の実態から、あくまでも反対である。職員は労働環境の悪化はもとより、行政サービスの低下は免れないと不安が高まっていることを受け止めるべき」と述べ、説明を求めました。

 上田次長は、「政府として5年間5%以上の純減計画と、配置転換、採用抑制等に関する全体計画を30日に閣議決定し、同日に雇用調整本部会議を開き19年度の実施計画や運用方針を決定したい。純減数は18,936人」と回答。
 川淵参事官は、「国の行政機関の定員の純減及び配置転換、採用抑制等に係る閣議決定等の構想」を示しながら、「配置転換規模は約2,900人、受入れ部門で一定の採用抑制(職務内容との親和性にも配慮して対応)を行い、配置転換に当たっては必要な研修を実施。基本的には行政機関が対象だが、それ以外への移籍にも取り組む。これらの取り組みを雇用調整本部を設置して行う。(職員の)多くは地方支分部局に在籍しているので、地方でのマッチングを考慮し、地方推進協議会を設置する。各年度の計画を雇用調整本部で調整するが、平成19年度は約4分の1の730人程度を目標に、配転先を含め実施計画を策定する」などと説明しました。

 これを受け、小田川書記長が申し入れにもとづき、「純減計画の強行には反対だが、それ以上に純減計画実施に伴う雇用破壊が生ずることは断じて認められない。その点で、職員のキャリアの配慮、家庭生活との調和、本人希望の尊重など、任用だからということでの裁量の逸脱や、配置転換受け入れ先も含めて、純減計画達成を最優先するがための強制を行わないよう、各府省への指導を強めるべき」と強調し、配転にあたってのマッチングや事前の研修など、現時点で想定される問題について質しました。
 合わせて「6月16日の政令では、労働基本権問題などを専門的に論議する専門調査会の設置が決定されているが、2001年の公務員制度改革大綱決定以来の経過のある話であり、委員選任や論議の進め方については、経過を踏まえた適切な対応を求めたい。少なくとも、労働基本権問題とも関わって、ILOとの関係は無視しがたいはずであり、結社の自由委員会での論議の発端には、日本の二つのナショナルセンターの提訴があること、ILOは総ての関係者との協議を求めていることから、我々の意見反映の方策を検討すること」を求めました。

 これに対して上田次長は、(1)配転を組み合わせていくうえで家庭事情等を考慮することは当然だが、双方の枠もあって必ずしもすべて満足するかはあるが、できる限り努力する。(2)事前研修については、ある程度の自由度がある。柔軟に検討したい。(3)(受け入れ)除外職種は、やむを得ないものはあるが、できる限りしたくない。(4)玉突きは今の段階では判らないが、絶対ないとは言えない。結果としてあり得る。(5)人事院への協力要請は行っており、当然の課題だと認識している。(6)コミュニケーションの場は折に触れて設けるつもり。問題が生じたら、その都度工夫する。(7)労働基本権については、全労連の話も聞いている。礼を失することのないようにしたい。などと回答しました。
 また、川淵参事官は「どんな人が来るのかは受け入れ側の重大な関心事。公務能力の維持向上の観点から、時間も有効に活用しなければならない。ミスマッチを避けるため、最大限努力する」との考えを示しました。
 国公労連は、最後に堀口委員長から、引き続き誠意ある対応を申し入れ、交渉を終了しました。                          
     以上

                         2006年6月23日
行政改革推進本部
 本部長 小泉純一郎 殿
                    
 日本国家公務員労働組合連合会
                       中央執行委員長 堀口士郎

 「国家公務員の配置転換、採用抑制等に関する全体計画」に係る申し入れ


(1)「行政改革推進法」の成立もうけて、「国の行政機関の定員の純減」計画と同時に、標記全体計画が決定されようとしています。
 国公労連は、「5年間5%以上」の目標数字ありきで進められる「純減」計画について、それが行政サービスの質・量ともの後退に繋がるとの懸念が払拭できないこと、いっそうの過密・過重労働や、配置転換も含めた雇用・労働条件の悪化を国家公務員労働者に強いることになること、などの点から、反対の立場で意見を表明してきました。「純減」計画の全体像が明らかになってきている現段階で、そのような点は、単なる懸念にとどまらない計画であると改めて感じています。したがって、「純減」計画の具体化にあたっては、行政サービスと職員の雇用・労働条件への影響を検証しつつ、慎重に進められるよう求めます。
(2)同時に、その「純減」計画をもとに、3000人程度の職員について、府省をこえる配置転換に応じなければ退職等に追い込まれることが危惧され、それを回避するために標記「全体計画」の策定が進められています。
民間労使関係であれば、職種、職域、勤務地、勤務条件などはすべて労働契約とされ、労働組合が存在すれば、それらは労使交渉の対象になるものと考えます。しかし、労働基本権が制約されるとともに、雇用関係についても任命権者の裁量権が広範に認められる公務員労働者は、配置換等の任用行為にあたってそのような権利を主張することが極めて困難です。その困難性は、総定員法の下で、年々の行政需要を斟酌した定員管理が行われ、同一省庁、同一職域での長期勤務を維持することで、行政の専門家を育成し、公務の民主的・効率的な運営を担保するという公務員制度の現状と無関係ではありません。

(3)今回の「純減」計画では、そのような点で、従来の定員管理の枠組みをこえていることから、「全体計画」の検討にあたっては、公務員制度全体の論議が本来的には必要だと考えます。しかし、残念ながら、そのような検討はないまま今日を迎えています。したがって、配置転換者の選定や配置転換先の確定、配置転換に当たっての職業訓練、配置転換先の職への不適合が生じた場合の対応、賃金決定と関わる級別定数の取り扱い、紛争的な問題が生じた場合の処理システムなど、職員の不安につながる問題点は少なくありません。
そのことから、労働者の権利擁護を求める立場から下記事項を申し入れ、基本部のもとにおかれる予定の「国家公務員雇用調整本部」での論議に反映されるよう申し入れます。
 貴職の誠意ある対応を求めます。 

(1)配置転換の対象となる職員の選定にあたっては、家族的責任の有無やキャリア形成の経緯、勤務地に対する希望など、個別事情を十分に配慮することなどの「基本ルール」を策定すること。
(2)配置転換にあたっては、事前の研修に万全を尽くすとともに、配置転換受け入れ先の機関の業務実態なども考慮し、適切な時期での配置転換が可能となるよう調整をおこなうこと。
(3)配置転換の受け入れが適当ではないとする職域・職種の選定に当たっては、配置転換の対象となる職員のキャリア形成の状況や本人希望もふまえた検討をおこなうこと。過度に制約的な職域・職種の選定はおこなわないこと。
(4)配置転換を受け入れるために広域配置転換などが拡大することがないよう、受け入れ先における前記(1)の「基本ルール」の遵守についても確認すること。
(5)配置転換者にかかわる級別定数の確保や、苦情処理システムなどの整備について、人事院への協力要請をおこなうこと。
(6)「全体計画」の進捗状況もふまえた「国家公務員雇用調整本部」と国公労連との交渉協議をおこなうこと。

  以上

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