公務破壊・公共サービス商品化反対街頭宣伝用各単組スポット原稿
2008年2月作成


▼宣伝スポット原稿<全法務>
委託や非常勤職員も適正な賃金、安定して働ける雇用の継続を


 ご通行中のみなさん。私たちは、法務局、職業安定所、裁判所、税務署、国立病院など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。

 いま法務局で行っている登記の業務は、「国が保証する信用制度であり、登記は国が責任を持ってこそ信頼性・安全性が図られる」と、多くの国民のみなさまから理解をいただいています。
 しかし、登記事務のうち、登記事項証明書作製・交付業務などのいわゆる窓口事務については、市場化テストによる乙号事務の包括的民間委託が2007年度から本格実施とされ、2008年度においては全国22庁において官民競争入札が行われています。
 この市場化テストによる包括的民間委託によって、委託事業者従事職員の労働条件が悪化することが明白な事実となっています。競争入札により価格が下がった分は従事職員にしわよせされ、賃金は大幅に引き下げられ、雇用についても来年度の市場化テストの結果によるという著しく不安定な状況にさらされています。

 労働者の権利を守る労働者保護法制が極めて不十分なこの国において、労働者保護法制の充実を求める取り組みは極めて重要であり、政府が狙う労働諸法制の改悪に対しては、改悪を許さない大きな取り組みをしていかなければなりません。
 政府の進める「公共サービス商品化」によって、本来、私たちが行わなければならない公務に従事する委託事業者職員や非常勤職員の労働環境について、適正な賃金、安定して働ける雇用の継続などを実現し、安定した労働環境のもとで公務の「質」を維持させる責務があると考えています。

 そのためには、政府に対し、「公的な機関が発注する事業について、適正・公正な賃金・労働条件の確保を契約に明記し、その水準についても、同一の産業・同一の業種で確立している労働協約や最低賃金などの法令よりも有利な水準にすること」を義務付けた条約である「ILO〈国際労働機関〉94号条約」を批准させ、条約に基づく公契約法や条例を制定させる大きな運動(公契約運動)が必要であり、その実現が唯一の方策であると考えます。

 国公労連は「公務の公共性破壊」「公務リストラ」に反対し、登記をはじめとする「公共サービスの商品化」を許さないたたかいに組織の総力をあげて取り組むとともに、この攻撃によって生じる委託事業者従事職員や非常勤職員の労働環境改善と公務の「質」を維持する「公契約運動」を推し進め、公平・民主的な行財政・司法の確立をめざし全力で奮闘します。



▼宣伝スポット原稿<全建労>
暮らしや防災を最優先にした公共事業が進められることをめざし


 私たちは、法務局、職業安定所、裁判所、国立病院、河川国道事務所など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。
 ご存じのようにわが国では、地震、風水害など毎年のように多くの災害が発生しています。そして災害が起こるたびに尊い命や貴重な財産が失われています。国民のみなさんが災害に遭うことがないようにする、遭ってしまったときには一刻も早く復旧する。そのために私たちのなかまが全国各地で奮闘しています。

 災害から国民のみなさんを守ることは国の基本的な役割であると私たちは考えています。しかし今、行政改革の一環などとして国家公務員が相次いで減らされ、市場化テストなどによって仕事が民間に投げられ、また地方分権を進めるとして仕事が地方へ移譲されようとしています。本当にそれでいいのでしょうか。
 職場で働く人が減らされているのは、例えば防災などを最前線で担っている地方整備局の職場も例外ではありません。災害復旧のために忙しい職場ですら職員は全く足りていません。そのために国民のみなさんの期待に十分に応えられる体制になっていないのが実態です。連日のように徹夜や休日出勤を強いられている職場も珍しくありません。

 私たちが手がけている業務を民間へ仕事を丸投げするとどうなるでしょうか。今非常に問題になっている建物の耐震強度偽装問題を挙げるまでもなく、まず、責任の所在があいまいになります。このことにより道路の管理がおろそかになったり、いつ壊れるかわからない、欠陥が生じている構造物を使わされるということになるかもしれません。また収益が厳しく問われることにもなります。儲からないと判断されれば、国民のみなさんにとってどんなに必要なものであっても事業は手がけられないことになるかもしれません。

 また地方分権により防災事業が地方へ移譲されるとどうなるでしょうか。分権後の財源がどうなるかはっきり示されていないこと、自治体によって財政状況などが大きく異なることを考えると、自治体の財政水準の差がそのまま防災水準の差につながることになるかもしれません。国民のみなさんを災害から守ることに、地域によって格差が生じることはあってはならないと考えています。

 今、私たちも含めた国公のなかまは国民本位の行政を目指す運動に取り組んでいます。公共事業をめぐっても全く同じであり、国民のみなさんの暮らしや防災を最優先にした公共事業が進められることを目指して運動に取り組んでいます。どうかみなさんのご理解・ご協力をよろしくお願いします。



▼宣伝スポット原稿〈全厚生〉
国民誰もが安心して暮らせる社会保障制度を


 みなさん。私たちは、法務局、職業安定所、裁判所、社会保険事務所、国立病院など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。
 大企業のリストラ「合理化」、派遣・請負などの非正規雇用の拡大が続く中で、国民生活の格差と貧困が拡大し、医療や年金などの社会保障制度の改善を求める国民の声が強まっています。特に、老後の命綱である、公的年金の改善は切実な課題となっています。しかし、自民・公明の与党は、2004年に"100年安心"といって、年金制度の大改悪を強行しました。今でも重くのしかかっている年金保険料は、2017年まで毎年ひきあげられ、もらえる年金額は、2023年まで引き下げる、踏んだりけったりの大改悪ではないでしょうか。おまけに、出生率の低下で、更なる保険料アップや、支給開始年齢の引き上げなどが早くも取りざたされています。

 一方、こうした公的年金を運営する社会保険庁において、「宙に浮いた年金」や「消えた年金」などの記録問題が明らかになり、国民の怒りが集中しました。本当にあってはならないことであり、社会保険庁の責任は極めて大きいものがあります。社会保険庁は、組織も規律も厳しく見直さなければなりません。しかし、こうした記録問題は、50年前からそのズサンな管理状態が指摘され改善が求められていたものです。そういう意味では、それを放置してきた歴代政府の責任も極めて重いものがあると考えます。
 こうした記録問題を契機に、政府は、社会保険庁を「廃止・解体」し、「日本年金機構」という公務員が業務を担わない公の法人を設立することを決めました。しかし、老後の命綱である公的年金の運営を、バラバラに解体し、民間に委託することで、国民の年金権が確保されるでしょうか。公的年金は、50年から60年に及び長期の管理が求められます。また、約1億人の年金個人情報が管理されています。こうした貴重な個人情報が、きちんと管理され、安定的な運営が確保されるのでしょうか。今、社会保険庁における年金データの補正作業において、派遣会社による極めてデタラメな運営が行われていたことが明らかになっています。こうした危険性がますます拡大されるのではないでしょうか。

 私たちは、憲法25条にもとづく社会保障としての年金制度は、国の責任で国の機関が運営することが安全・安心のためにも何より求められていると考えます。そのために国民が等しく安心して老後生活を送れる最低保障年金制度が必要です。しかし、そのための財源に、低所得者に大きな負担となる消費税を増税して充てることには、私たちは反対です。財源は、これまでの大企業や大金持ちを優先した税金の使い方を変えて確保すべきです。

 また、社会保険庁改革では、職員の雇用問題が深刻になっています。自民党は、「新組織へ今の職員がそのまま移行することは許されない」「分限解雇条項を発動すべきだ」などと主張しています。新組織への採用では、「国鉄分割・民営化」の時と同様の仕組みがつくられようとしています。JRへの採用では、国鉄職員の「差別・選別採用」が行われ、国際的にも批判されました。そんな事態を再び、起こしてはなりません。政治的な思惑で、解雇処分を行うことは、到底、許されません。
 働くものの権利と生活を守り、誰もが安心して暮らせる年金制度、社会保障制度をつくるためにみなさんのご支援とご協力をお願いいたします。



▼宣伝スポット原稿〈全労働〉
人間らしく働くルールを壊す雇用・労働分野の規制緩和反対


 ご通行中のみなさん。私たちは、労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、法務局、裁判所、税務署、国立病院など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。
 みなさん、いま、日本の労働者に深刻な事態が発生しています。
 日本の労働者の3割は、パートや派遣・請負などの、不安定・非正規雇用となっています。こうした不安定・非正規労働者は、出勤時間や勤務日だけでなく、勤務先までも携帯メール一本で都合良く変更されたり、いつ契約を打ち切られるのかわからないという不安を抱えつつ、社会保険などの保障も無いケースが多く低い時給で年収300万、200万を切る収入で酷使されています。さらにひどい状況になると、本人が知らない間に雇用契約から個人事業主として請負契約にされ、法的に労働者保護の枠外に押しやられ、より過酷な収入や労働条件を押しつけられている実態も聞こえてきています。

 また、正規労働者はどうかと言えば、非正規よりも著しい長時間過密労働の渦に埋没させられています。長時間過密労働が原因と考えられるメンタル疾患発症数や過労死・過労自殺の件数は年々増加の傾向です。
 ワーキングプアの増大、格差社会の到来などと、盛んにマスコミで取り上げられていますが、こういった問題が取り上げられること自体は必要なことですが、報道は氷山の一角でしかありませんし、大企業を中心とする財界は、「自己責任」のかけ声とともに「安心して働く職場作り」という当たり前の使用者責任を放棄しています。
 昨年、安倍政権のもとに発足した経済財政諮問会議で、労働・雇用問題が取り上げられ、日本版ワイトカラーエグゼンプションと呼ばれる労働時間規制の適用除外や労働基準法の適用除外につながる労働契約法導入、労働者派遣事業の完全自由化、労働行政、特にハローワークの民間開放の促進が財界などから求められ、積極的に検討していくことになりました。こうした財界要望に屈した形で、厚生労働省の労働政策審議会では、労働者側代表の反対意見を並記しつつも、日本版ホワイトカラーエグゼンプションの導入を答申し、厚生労働省も法案化を諮問しています。(法案を国会に提出しました。)報道では、参議院選挙をにらんで、残業代ゼロ法案とも言われる日本版ホワイトカラーエグゼンプションについては、成立が(国会提出が)見送られたと言われていますが、選挙後には議論が再浮上することは必須です。

 大企業・財界のねらいは、こういった労働者の働く権利の「規制緩和」だけでなく、ハローワークや監督署の業務を民営化や民間開放して、財界の息のかかった人材ビジネスを通さないと、この日本では働くことができない、システムを作ろうとしていることは明らかです。これは労働者だけの問題ではありません。大企業の意に沿わないと中小零細企業では、社員やアルバイトを採用することすらできなくなるのです。
 このようなねらいを許さず、安心して働くことができる日本を取り戻しましょう。



▼宣伝スポット原稿〈全運輸〉
自動車登録の民間化反対


 自動車登録に関する最近の動きでは、政府の規制改革・民間開放推進会議が2006年12月にまとめた「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」のなかで、法律上、民間に権限を与え、法令や契約で措置すれば「民間開放することに何ら支障は認められない」と決めつけています。
 このことは、公務職場の総人件費抑制の施策に基づくものであり、公務員の数を減らすことはもとより、「安全」「安心」をも切り捨てる施策であることは明白であります。
 このような一方的な「決めつけ」に対し、わたくしたちの意見も聞いていただきたいと思います。

 自動車登録の職場では、今、自動車を保有するために必要な多くの手続(検査・登録、保管場所証明、自動車諸税の納税等)を、インターネットを活用しオンラインで、しかも一括して行うことができるようにしようとしています。こうした登録のワンストップサービス化によって利用者は窓口に出向かなくても手続きができるという利便性の向上が図られます。このことで仕事の効率化をはかり職員の削減をすすめるという計画です。
 しかし現実は、オンラインでの申請が急激に普及する状況にはありません。なぜなならば誰もがインターネットを活用できる環境ではないからです。また、オンライン申請に必要な個人認証のための住基ネットの普及率はわずか1.1%と、全くと言っていいほど進んではおらず、仕事の合理化はすすんでいません。
 その一方では、後を絶たない自動車の不法投棄の防止とリサイクル促進のため、自動車重量税の還付制度への対応など新たな仕事が増えていますが、これに見合った職員は配置されず、現在の要員数で精一杯のなか頑張っているのです。
 このように仕事は減らずに職員の削減だけがすすめられていますが、現実は職員を減らす余裕などどこにもないのです。

 また、わたしたちは車検証に記載されている「個人情報」を有しております。車をお持ちのみなさん、一度は車の車検証をご覧になったことがあると思いますが、車検証には「所有者」「使用者」といった個人情報が記載されています。その車が全国に7,900万台あります。ということは、7,900万の「個人情報」を預かっていることになります。
 さらには、車の名義変更で500円、廃車で350円の手数料を国としていただいていますが、民営化されれば、独立採算で運営する以上、この手数料が値上げされることは容易に想像ができると思います。
 こういった個人情報を含めた公共的な行政サービスを、営利を目的とした民間企業が公平・公正・中立の立場で運営していくことはできないと考えます。
 国が、公務員が、この役割を担っているからこそ「安全」で「安心」なのではないでしょうか。



▼宣伝スポット原稿<総理府労連>
統計調査は公共サービスとして実施されて国民の信頼は得られる


 みなさん。私たちは、法務局、職業安定所、裁判所、税務署、国立病院など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。
 総務省統計局は「国勢調査」をはじめとして、毎月の結果が注目を集めている失業率や消費者物価指数のもとになる「労働力調査」や「家計調査」、「小売物価調査」などの統計調査を行っています。また、独立行政法人統計センターは統計局や他の省庁から受託した統計調査の集計を行っています。この間、公共サービスの民間開放が叫ばれ、統計調査の実施や集計についても競争入札が導入されています。

 統計局の調査は、国民のみなさんの調査協力があって始めて結果数値が出せるものです。ご家庭に、企業に伺う調査員が民間の調査員になっても今まで通りのご協力がいただけるでしょうか。集計に携わる機関に民間会社が導入されてしまっても、家計簿の記入を事細かにお願いできるでしょうか。さまざまな危惧が生じます。
 また、競争入札となれば、結果精度よりも安上がりであることが優先され、回答率を上げるために調査票の偽造など「安かろう、悪かろう」となりかねません。実際、そうした例もあります。歴史的事実を統計数値の形で把握し、長期間の変化を重要視する統計調査は、その時点に戻ってのやり直しはできません。そして、時系列比較ができない結果数値は使い物になりません。

 政府は民間に国の業務を開放すれば景気が良くなると言いますが、実際には事業を受注した企業が利潤を得ても、安上がりに仕上げるために不安定雇用が増えることや結果の利用が有料になることも心配され、国民にとっては何の利益にもなりません。一旦、民間に委ねられた業務は、再度、官が行うことは難しくなります。ここから、今まで広く国民に享受された公共サービスが崩れだしていきます。

 わが国は、経済情勢の急激な変化、少子高齢化の進行のなかで、変化への適切な対応と、安心できる暮らしの実現が何よりも求められています。そのため、経済活動や国民生活の実態を明らかにし、行政施策の企画・立案・評価に使われる統計の重要性は高まっています。地味ながら国の基本をささえているのが統計の数値です。
 私たちは正確で信頼できる統計データを迅速に作成し、適時、的確に提供しています。広くみなさんに使っていただくというこの仕事に誇りを持って取り組んでいます。公共サービスを商品化してはならないという私たちの運動にご協力をよろしくお願い致します。



▼宣伝スポット原稿〈全気象〉
自然の脅威から国民の生命と財産を守るために気象事業の充実を


 近年、地球規模の異常気象が大きな関心を集めています。わが国でも、集中豪雨や津波をともなう地震などが頻発しています。最近では「平成18年豪雪」、梅雨前線による「平成18年7月豪雨」に続き、昨年7月にもまた梅雨前線と台風による大きな災害が生じました。こうしたなかで、きめの細かい防災情報の提供をはじめとする、いっそうの気象事業の充実が求められています。
 しかし、気象事業全般を支えるべき気象庁の実態はどうでしょうか。精度の高いきめ細かな防災情報を望む声は年々高まっていますが、気象庁の年間予算は約700億円(国家予算全体の0.1%)と10年間ほとんど変化していません。確かに国家財政が逼迫する中、効率的な予算の執行に努めなければならないのは当然ですが、気象庁は、国民一人あたり年間約450円、月に直せば38円に満たないという限られた予算で業務を運営しています。

 監視観測体制の最前線である全国の測候所がこれまで68か所廃止されてきました。行政の効率化の名のもとで、いますべての測候所を廃止しようとする動きが加速しています。科学技術の発展と機械化がすすみ、瞬時に大量の情報を取得・処理できるようになりましたが、それを活かす技術者が年々減っています。気象庁の実態は、国民の期待や要望に相反している状況にあります。
 2006年に行われた、行政減量効率化の議論では、気象庁全体を国の機関から切り離して、天気予報や注意報・警報などの気象情報をすべて有料で国民へ提供することが検討されました。これは、国民の「生存権の保障」という憲法で規定された国としての責務を投げ捨てようとする重大な行為です。また、スマトラ沖地震と津波の被害を受けて、2005年1月に神戸で国連の防災会議が行われ、最終報告の中に、「国の直接の責任で防災体制の強化を」おこなうことが盛り込まれましたが、行政減量効率化の議論は、国際的な共通認識としても相いれないものとなっています。

 私たちは、気象庁が国の機関として、引き続きその役割を発揮することが気象事業の発展に欠かせないことだと考えています。自然の脅威から国民の生命と財産を守り、国民の期待とニーズに応える気象事業の充実に、ご協力をお願いします。



▼宣伝スポット原稿〈全港建〉
民間委託・民営化が本当に国民のためになるでしょうか?


 ご通行中のみなさん。私たちは、法務局、職業安定所、裁判所、税務署、国立病院など、国の機関や独立行政法人で働く職員でつくる労働組合、国公労連です。
 今、私たちの職場では、「小さな政府」づくりの構造改革によって、どんどん人が減らされ、国民の共有財産である社会資本の整備に支障をきたしています。また、業務をこなすために、公務の職場にも非常勤職員や委託労働者が急増しているのが実態です。
 港湾や空港など良質な社会資本を整備するためには、国や自治体自らが計画・設計・積算・監督・検査などの業務を行うことが必要です。特に、公平・公正・中立が求められる監督・検査業務は公共事業にとって、もっとも重要な業務です。社会問題となった「耐震強度偽装問題」も、「規制緩和」「官から民へ」の方針のもと、建築確認・完了検査を民間でも実施できるようにしたのが根本原因です。国民の命と財産を守るための業務を営利目的の民間に委ねた弊害が形となって現れたものです。また、手抜き工事による品質低下も大きな問題となりましたが、これは監督・検査体制が不十分なために起こった事件です。社会資本の整備は、国や自治体が十分な体制のもとで責任を持って行うことが何より重要です。

 私たちの仲間は海洋環境整備事業も行っており、海面を掃除するためにゴミ・油回収船を所有していますが、ここでも十分な要員の確保ができずに民間委託をしている例もあります。これらは、@人件費そのものを削減しても、業務の遂行のため別予算から委託等の支出をしており、政府の進める行政の効率化・財政再建にも明らかに矛盾していること、A安全の確保に支障が生じていること、B技術力が著しく低下していること、C緊急事態への対応力が低下していること、など様々な問題が生じており、国民の期待に十分応えられる体制とはなっていません。
 本来、国民が求めているものは、国民の「生命と財産」を守ることであり、「安心・安全の公共サービス」です。それは、市場経済が求める効率化には馴染まない性格のものであり、「官から民ありき」ではなくて、「官でしかできないこと」、「官だからできること」を考えていくことが大切なのではないでしょうか。その上で、必要要員を確保し、国民の期待に応えうる体制づくりが国や自治体の責任です。

 私たちは、効率的な行政の実現に反対するものではありません。しかし、政府が押し進める画一的な定員削減と、民間にはなじまない公務の民間委託・民営化に断固反対するものです。国民の権利保障を後退させる公務・公共サービスの民営化や「市場化テスト」の安易な導入を行わせないためにも、みなさんのご理解とご支援をよろしくお願いします。

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