◆国民生活の基盤を解体する「行革」
9月29日に、政府の中央省庁等改革推進本部(本部長・小渕首相)は、中央省庁再編等の「立案方針」を決定しました。そして、10月6日には、独立行政法人化の対象機関として、国立病院や国立学校、登記・供託、職業紹介、車検、気象庁(観測業務)、感染症研究所などの試験研究機関等、97機関について、各省に個別検討することを求めてきています。
◆国家公務員の20%削減
8月7日に、小渕首相が「国家公務員の20%削減」を表明した以降、行政減量化の観点での「合理化」攻撃が一段と強まっています。同時に、税金を無定量に銀行に投入する「金融システム再生」策などへの国民批判をそらす目的で、「行政改革」推進姿勢を強めている側面もあります。
8時間労働制をなし崩しにする労働基準法改悪法案が9月25日に成立し、年金掛け金の大幅引き上げと給付の2割以上の削減を内容とする年金改悪の答申が10月中旬にも想定されるなど、今、国民生活の基盤を支えてきた「福祉国家」の制度が、相次いで改悪されようとしています。
その一方で、大銀行救済には惜しげもなく税金を投入するしくみの整備や、ゼネコン救済の公共事業のばらまき、大企業・大金持ちのための減税、アメリカの戦争に国民をかりたてる「新ガイドライン法」などが着々と準備されています。
◆国民いじめの悪政と「行革」は一体のもの
治安や防衛、それに大企業の国際競争勝ち抜きの支援などに国の役割を「純化」する一方で、国民には自己責任をせまる「小さな政府」づくりが、制度と行政組織の両面から一気に具体化されようとしています。
それだけに、今回の「行政改革」は、極めて乱暴かつ性急です。推進本部は各省に対して「行政減量化(=事務実施部門の民間化)が至上命題」として有無を言わさぬ押しつけをおこなっています。推進本部は、11月中にも省庁再編等の事務局原案を固めようとしており、予断を許さない状況が生まれています。
「消費税廃止・率引き下げ」を8割の国民が求め、小渕内閣の支持率が20%に低迷しているように、政府が進めようとしている国民いじめの「構造改革」には批判が集中していますが、そのことと行政改革、とりわけ国民生活関連部門の行政機関の切り捨てとが一体であることへの国民的な理解の広がりは、未だ不十分です。
◆総対話と共同を
それだけに、98年秋闘で提起しているキャラバン行動などでの宣伝行動、「11・6総行動」での行政相談活動やシンポジウムを通じた「総対話と共同」に全力をあげることが、今何よりも求められています。
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