国公労新聞 第1008号
「行革」攻撃をはねかえすため全力あげよう
  --推進本部「行革大綱」決定にあたっての国公労連中央執行委員会声明--

 ◆本日(1月26日)、中央省庁等改革推進本部は、「中央省庁等改革に係る大綱」(行革大綱)を決定した。政府は、この行革大綱にもとづく内閣法や行政組織法、各省設置法、「独立行政法人通則法」などを今通常国会で成立させるために、4月中にも法案決定をおこない、国会に提出するとしている。
 決定された「行革大綱」は、5機関(約4700名)の民営化・廃止、84機関・事務(約6万7000名)の独立行政法人化、民間委託や規制緩和等による行政責任の切りすてなどにより「10年間で25%」の国家公務員「純減」目標を盛り込むなど、行革基本法さえ上回る「大リストラ計画」がその中心となっている。国民生活にとってはいうまでもなく国公労働者にも多大の犠牲を強いる「行革大綱」の決定は、断じて容認できるものではなく、怒りをこめて抗議する。
 ◆政府は、1月19日に召集された第145回通常国会に、「新ガイドライン法」、大企業・大金持ち減税、年金・医療改悪など、平和と民主主義を脅かし「福祉国家」を形骸化する悪法と、ゼネコン救済の破滅型予算を提出している。
 そればかりか、厚生年金の民営化、消費税率の大幅引き上げなどの検討さえはじめている。
首相の発議権や、財界による「行政乗っ取り」を意図した内閣府の設置や国立病院・療養所や国立試験研究機関など実施部門の「減量化」に力点をおいた「行革大綱」の決定は、それらの悪法推進と一体のものである。アメリカいいなり、財界いいなりの行政に「改革」するための首相権限強化であり、国民の税金を今まで以上に大企業のために使うための実施部門切り捨てであることがさらに明白になってきている。
 ◆「行革大綱」が、自自連立という政治的取り引きによって、いっそう国民生活に背を向けた内容に変質させられたことも見逃せない。副大臣制導入や、政治的任用の拡大は、法による憲法理念の実現という行政責任の後退を危惧させるものである。
 「総定員法に規定する対象定員の上限を10年で25%(14万人)削減」とする「覚書」にそった公務員削減が、独立行政法人化や民間委託のさらなる拡大などの強制につながることは必至である。
 このような「行革大綱」の枠組みや歳入の4割弱を借金に頼る財政状況などからしても、独立行政法人化が、行政切り捨て、公務員べらしのために創設されようとしていることは確実である。政権維持のための党利党略で、国民生活に不可欠な行政事務を切り捨ての対象とし行政切り捨ての突破口とすることは許されるものではない。
 ◆国公労連のたたかいは、いよいよ正念場を迎えることになる。
 「両輪の署名」と宣伝を中心に、悪政に苦しみ、不安を募らせている国民との対話と共同を広げ、国民世論で政府・国会を包囲し、当局に対する行政と使用者責任の追及を引き続き強化しよう。国会に行革法案が提出される4月までの期間を最大限重視し、悪政推進の「行革」反対のうねりを作り出すために、すべての組合員がもてる力を出し切ろう。
 「行革大綱」では、「政・官・財」のゆ着は解消しないし行政は良くならない、平和と民主主義を危険にさらす内閣機能強化はやめろ、不況のいまこそムダづかいをやめて国民生活重視の行財政にの国民世論を高めて政府を追いつめよう。
 「一つの民営化・独立行政法人も許さない」、「一人の雇用不安も起こさない」ためにも、全組織が一丸となって奮闘しよう。

(2面に関連記事)


(1面からのつづき)
不況打開、新ガイドライン関連法阻止、国民犠牲の「行革」を許すな
 2・7(国民総決起集会)2・8(霞が関総行動)へ結集を

 1月19日から始まった通常国会では、国民負担強化の99年度予算案の審議をはじめ、労働者派遣法の改悪、新ガイドライン関連法などがねらわれています。とりわけ、新ガイドライン法案は、アメリカの圧力が強まるなかで、2月にも審議入りがねらわれ、事態はきわめて緊迫しています。
 そして、推進本部の「行革大綱」をうけて、政府は、4月に行革関連法案の国会提出をねらっています。 このような国民犠牲の悪政が「自自連立」のもとで、さらに加速されようとしています。しかし、一方で、消費税引き下げの世論と運動が高揚し、労働法制改悪反対のたたかいにみられるように、ナショナルセンターのちがいをこえた共同が各地で進んでいます。たたかえば要求は前進する条件がある。これが99年春闘をめぐる情勢の最大の特徴です。
 こうした情勢のもとでおこなわれる2月7日の総決起集会(代々木公園)と、2月8日の中央行動(霞が関総行動)は、たいへん重要な取り組みとなっています。全国から、ひとりでも多くの仲間が参加し、99年春闘の勝利をめざして奮闘しましょう。
99年春闘スタート
 1月12日、全労連などでつくる99国民春闘共闘委員会は、99年春闘スタートのとりくみとして、煌Eの春闘方針「労働問題研究委員会報告」(労問研報告)を打ち出した日経連臨時総会への抗議行動にとりくみました。「労問研報告」では、7年連続しての「ベアゼロ」宣言で、「雇用・賃金をセットで総人件費管理を徹底」「能力や成果に応じた賃金配分の徹底」などを強調し、賃金闘争を企業別・個人別に分断し、賃金闘争の解体を進めようとしています。「大幅賃上げによる個人消費の拡大で不況打開を」の立場で、全国の仲間が国民共同を広げる総対話のとりくみを進め、99年国民春闘を前進させましょう
独立行政法人化は理念なき組織いじり  --国公労連が「行革」シンポジウムひらく--
 国公労連は、98年12月17日午後6時から、「いま公共性を問い直すシンポジウム」を東京・弁護士会館で開催しました。このシンポジウムは、「行政改革」が、「公務員20%削減」などの行政減量化を中心課題におき、その「目玉」としての独立行政法人化の対象機関・事務の選定と制度設計を強引にすすめているもとで、あらためてその問題点を明らかにしていくことを目的に開催したものです。
 シンポジウムには、国公労働者以外からの参加者10名を含め、168名が参加しました。

目標管理の導入が独立行政法人の目的
 シンポジストの八木俊道日本大学教授(前行革会議事務局次長)は、行政改革会議で独立行政法人制度の創設を決定した経過と制度の概要を述べました。その中で、「独立行政法人は、目標管理の導入を前提に、行政運営を進める目的で検討した」、「独立行政法人は、行政の新しい時代への実験」と説明しました。
 竹下譲神奈川大学教授は、専門であるイギリス行政学の立場から、エージェンシーと独立行政法人を対比した見解を述べました。その中で、「イギリスのエージェンシーは、行政の効率性や簡素性を追求するのではなく、国民のニーズにどうこたえるかが前面に出ている」、「エージェンシーは、契約にもとづいて運営されているが、公共性は重視されている」として、独立行政法人とは「根本的に違う」と述べました。
 桜井徹日本大学教授は、公共企業体論の立場から、「検討されている独立行政法人制度での政府規制は特殊法人とほとんど変わらない」、「独立行政法人が企業的な運営で上手くいけば、その先には民営化が考えられている」などと述べました。
 これらのシンポジストの発言を受けて、浜川清法政大学教授(行財政総合研究所専務理事)の進行で、ディスカッションがおこなわれました。

共通法は独法化の受け皿
 その中で、八木教授は「独立行政法人という国とは別の法人をつくり共通の仕組みを作ることで、そのような行政実施のあり方の国民合意が成立する」として、共通法が実施事務を幅広く視野にいれた独立行政法人の「受け皿」作りであることを明らかにしました。
 また、「行革会議最終報告の段階では、非公務員型の独立行政法人を典型例として考えた。また、財務や運営をどの程度まで弾力化するかは、最終報告ではつめ切れてはいない。現在の検討内容から考えれば、包括的な予算要求段階では今までとあまり変わらない枠組みになってきている」とし、制度の具体化の中で、行革会議最終報告とは違っていることを否定しませんでした。

理念なき組織いじりの「改革」を暴露
 浜川教授が、「国民のニーズにこたえるために、現在の行政をいかに活性化し公正なものにしていくのかの視点が、独立行政法人問題では見受けられない」と批判したように、独立行政法人化で行政サービスがどう変わるのか、いまの行政の何が問題なのか、といった「そもそも論」を抜きに、組織いじり、形作りの論議だけで独立行政法人化の検討が進められていることを明らかにしたシンポジウムとなりました。


中央省庁等改革推進本部「行革大綱」の独立行政法人化対象事務・事業
 2.次の事務及び事業は、種々の準備作業を行い、独立行政法人化を図る。 (試験研究)開発土木研究所、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所、防災科学技術研究所、無機材質研究所、国立環境研究所、醸造研究所、国立特殊教育総合研究所、国立科学博物館、国立国語研究所、国立文化財研究所、国立健康・栄養研究所、農業研究センター、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、畜産試験場、草地試験場、果樹試験場、野菜・茶業試験場、農業工学研究所、農業試験場、蚕糸・昆虫農業技術研究所、家畜衛生試験場、食品総合研究所、国際農林水産業研究センター、森林総合研究所、水産研究所、養殖研究所、水産工学研究所、産業技術融合領域研究所、計量研究所及び計量教習所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所、九州工業技術研究所、四国工業技術研究所、東北工業技術研究所、中国工業技術研究所、船舶技術研究所、電子航法研究所、港湾技術研究所、交通安全公害研究所、通信総合研究所、産業安全研究所、産業医学総合研究所、土木研究所、建築研究所、消防研究所  (文教研修・医療厚生)国立公文書館、印刷局病院、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家、国立少年自然の家、国立婦人教育会館、国立博物館、国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立病院・療養所、農業者大学校、水産大学校、工業所有権総合情報館、海技大学校、航海訓練所、海員学校、航空大学校(検査検定)肥飼料検査所、農薬検査所、農林水産消費技術センター、製品評価技術センター、自動車検査(検査場における検査)  (作業施設)統計センター(統計研修所を除く)、種苗管理センター、家畜改良センター、林木育種センター、さけ・ます資源管理センター
 2.(1)貿易保険及び通商産業研究所に ついては、内部部局及び政策研究機関であるという特殊性等に十分配慮することを前提に、独立行政法人化を図るべく早急に結論を得る
 (2)国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成15年までに結論を得る。大学共同利用機関等の独立行政法人化については、他の独立行政 法人化機関との整合性の観点も踏まえて検討し、早急に結論を得る。
 (3)食糧事務(食糧検査は民営化)については、食糧検査の民営化の状況を見つつ、引き続き検討を進める。動物医薬品検査所については、薬事法体系の中での在り方等を考慮しつつ、引き続き検討を進める。船舶検査、航空機検査及び無線等検査については、民間能力の活用の状況を見つつ、引き続き検討を進める。
 (4)上記以外のその他の事務及び事業についても、引き続き検討を進める。
革新候補を推せん
 青森県知事選挙 国公労連中央執行委員会は、青森県国公の要請をうけ、青森県知事選挙(1月31日投票)に「憲法をくらしのなかに、みんながつくる民主県政の会」が擁立している飯田洋一さんの推せんを決定しました。青森県国公は、1月6日の常任幹事会で、県国公として初めて「民主県政の会」に加盟し、ゼネコン奉仕の県政から、県民生活優先の県政へ転換するため奮闘しています。みなさんの支援をお願いします。

 北九州市長選挙 国公労連中央執行委員会は、福岡県国公と北九州地区国公の要請をうけ、北九州市長選挙(1月31日投票)に「平和と暮らし、権利を大切にする北九州市民の会」が擁立しているよしの高幸さんの推せんを決定しました。北九州地区国公は、大型開発中心の市政を変えて、市民が主人公になれる市政の実現に向け奮闘しています。

 愛知県知事選挙 国公労連中央執行委員会は、愛知県国公の要請をうけ、愛知県知事選挙(2月7日投票)に「くらし・教育・平和を守る清潔な革新県政をつくる会」が擁立している影山健さんの推せんを決定しました。愛知県国公は、県民生活犠牲・大企業優先の開発型行政を転換し、県民のくらしを守る県政の実現に向け奮闘しています。みなさんの支援をお願いします


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