〈99秋季年末闘争〉
行政スリム化計画に反対し国民的課題(年金・介護保険など)とともに全力を
8月13日、57日間の大幅会期延長の末に閉会した第145通常国会は、「自自公暴走国会」といえるものでした。戦争法(ガイドライン法)、中央省庁再編17法、地方分権一括法、盗聴法、「日の丸・君が代」法、憲法調査会設置法など、平和、民主主義、基本的人権などの「価値観」さえ突き崩す悪法が、一気に強行された国会でした。 それだけに、今、国民諸階層には「このままでは」の危機感と、怒りが広がっています。「『自自公』連立否定派が53%」(99年8月時事世論調査)、各種の世論調査で「自自公連立」反対が5割をこえる結果が相次いでいることは、そのあらわれです。 8月25日に戦争法が施行され、2001年1月の省庁再編にむけた「25%削減」などの具体化が進む99年秋のたたかいは、悪法の相次ぐ成立に怒りを高める国民との共闘をひろげる好機です。
●行革闘争は新たな段階
7月8日に、中央省庁等再編17法が成立し、行革闘争は新たな段階にはいりました。 首相権限強化が、「戦争をする国」、「大企業の行政乗っ取り」であること、「25%削減」などの行政減量化が国民サービスの切り捨てであることを、これまで以上に具体的に告発する取り組みをすすめます。
●国会闘争と署名を軸に 99年秋闘段階では、独立行政法人個別法の成立に反対し、対象となっている事務事業を独立行政法人化することの問題点を追及し、国会闘争を展開します。 また、「25%削減」計画が、予算編成と並行して具体化されることから、政府あての「25%定員削減に反対する署名」を軸に、行政サービスの後退に反対する行革闘争を展開し、政府・当局追及を強めます。
●「憲法遵守宣言」を職場で取り組もう 憲法が定める基本的人権の実現をめざす行政か、戦争をするための行政かは、すべての職場、国公労働者に突きつけられた課題です。各級機関・職場での憲法学習を強め、「憲法遵守職場宣言」の起草・採択に取り組みます。
●今勧告の問題点を職場討議で深める はじめて年収ベースの賃金水準が切り下げられるという99年勧告に、職場の怒りが高まっています。 8月13日に開催された給与関係閣僚会議では、そのような勧告さえ、「国政全般との関わりを考慮」するとして、取り扱いを先送りしています。 民間準拠を口実に、公務員の賃下げを強行し、それをテコに民間企業が一時金や月例賃金の切り下げを強化する「賃下げのサイクル」の柱として、人事院勧告制度を「利用」しようとしています。 それだけに、わずかなベア勧告であっても「一時金切り下げ反対、改善部分の早期実施」を政府に迫るたたかいは重要です。□ □ 同時に、「はじめてづくし」の勧告の問題点を職場討議で掘り下げ、官民一体のたたかいの重要性や、労働基本権のもつ意義などについて意思統一を深める必要があります。 賃金確定や調整手当改悪反対のたたかいと一体で、来春闘にむけた職場論議をすすめます。
●社会保障の充実求める運動を重視 秋闘段階では、社会保障闘争が、大きく展開されます。 それは、@2000年4月からの介護保険の実施にくわえ、A秋の臨時国会での年金改悪法案審議、B来年の通常国会にむけた医療保険法改悪、などが想定されているからです。 国公労連は、国民生活重視の行財政・司法をめざす取り組みとも一体で、社会保障の充実をもとめる国民運動を重視します。
●全労連キャラバンを大きく成功させよう 悪政推進勢力と、生活の充実・安定をもとめる国民との争点は鮮明です。悪政に反対する国民的な運動を一層ひろげることが、厳しい局面を変えるカギです。 この秋、全労連は「緊急3課題(雇用・反失業、介護保険制度の充実、戦争法の発動反対)」をかかげて、「全国網の目キャラバン行動」を展開します。 国公労連は、行革闘争や賃金確定闘争の課題も積極的に持ち込み、全国網の目キャラバン行動を大きく成功させ、要求前進をめざします。
一時金0.3月カット、初の年収マイナス勧告
--賃下げ99人勧を斬る
8月11日に人事院は、一般職国家公務員の給与を平均0・28%、1054円引き上げることや、一時金の年間支給月数の0・3月引き下げることなどを内容とする99年勧告をおこないました。 史上最低の賃金改定に加えて、一時金も史上最大の引き下げとなったことから、年収ベースの賃金水準がはじめて切り下げられる勧告内容となりました。官民比較方法の改善を含めて、国公労連が求めた「平均1万3300円、3・6%の賃金引き上げ」などの勧告期要求に応えておらず、極めて不満の強い内容です。
●主要企業の一時金とは大きなちがいが 最悪ともいえる99年勧告は、これまでにない特徴と問題点をもっています。 その一つは、一時金の切り下げにかかわっての問題です。民間一時金が、景気や企業業績を敏感に反映する「手当」として、あるいは業績反映の「手当」として位置づけられ、年々の変化が激しく、特に昨年来、大幅な切り下げがおこなわれていることは事実です。 民間一時金の公務への反映は、調査の関係から「1年遅れ」となっており、98年度の民間実績が勧告にあらわれることになります。調査方法の違いはありますが、労働省の98年夏期・年末一時金の調査結果と勧告を比べてみると、特に主要企業の調査結果とは大きな違いが生じています。月例賃金以上に企業間格差が大きいといわれる一時金では、中小企業の動向に勧告が左右されることがあらためて確認される結果です。
●高齢者・高位号俸者抑制、俸給表体系の見直し 二つには、配分にかかわってです。ベア0・28%(1054円)は、本俸配分のみに回されています。手当改善をおこなわなかったのは、85年以降でははじめてです。本俸配分でも、「とぼしきを分かち合う」のではなく、これまで以上に高齢者・高位号俸者の改善を抑制しています。 早期立ち上がり型の賃金体系への切り替えを狙っている人事院の「姿勢」を示す意味はあっても、超低ベアのもとで実質的な切り替え効果はうまれません。にもかかわらず、このような配分をおこなったのは、人事院が勧告でふれている「俸給表体系の基本的見直し」をすすめるための布石と言えなくもありません。
●一部にベアゼロ勧告 三つには、10級以上とはいえ、はじめて俸給表の一部についてベアゼロ勧告をおこなったことです。 @民間では6割の事業所が低率でもベアを実施していること、A4現業では、0・25%のベアが完全実施されていること、B定員削減など公務の「合理化」がおこなわれていること、をベア勧告実施の「理由」として人事院はあげています。 同時に、@民間では4割が管理職給与を抑制している、A行政の責任者として経済・財政状況を厳しく受けとめる必要がある、として管理職のベアを「凍結」しました。その結果、官民賃金較差の内の20円を配分に回していません。ベアを実施するにも、公務の「合理化」が条件、ベアがあってもどのように使うか(どう配分するかだけでなく、較差の内のいくらを使うか)まで、人事院の判断にゆだねられるのでしょうか。「代償機能」との関係で、少なくない問題をもっています。
●政治色の強い勧告 四つには、勧告が、極めて政治的におこなわれた感が強いことです。人事院は、これまでにはなかった「モデル給与例」を明らかにしてまで、賃下げ勧告であることを強調しました。 99年春闘が史上最低の結果になったことに加え、4・9%(99年6月末)もの高水準に達した完全失業率に示される雇用不安の拡大、「産業競争力再生法」の成立にも代表される国・大企業あげてのリストラ「合理化」攻撃の強まり、自治体での賃下げの先行など、勧告をめぐる情勢はかつてなく厳しいものがあったことは事実です。 また、勧告制度そのものが、これまでも賃金抑制の仕組みとして社会的には機能してきました。しかし、今回の勧告は、単に春闘結果の反映を強調しているのではなく、賃下げを強調していることから、次に続く人事院勧告に準拠する労働者や、来春闘への悪影響が危惧されます。 人事院は、勧告の影響する労働者を「750万人」であることを示しましたが、そのことにも示されるように、賃下げ強調の悪影響を人事院は熟知していると考えられます。そのように見れば、勧告制度は、「賃下げの悪魔のサイクル」を担いはじめたと言えなくもありません。
●調整手当改悪見送りは私たちのたたかいの反映 五つには、以上のような不満な勧告内容であると同時に、国公労働者のたたかいの反映がはっきりした勧告であることも一面の事実です。 勧告前の7月16日の段階で、「今夏勧告での調整手当見直し決着の見送り」を言明させ、8月4日の段階で、全ての組合員の賃金に影響する「ベア勧告の見送り」を決断させませんでした。 特に、調整手当については、その「見直し」手法の不当性などを徹底して追及し、中央・地方が一丸となった運動を展開したたたかいが、「勧告見送り」に反映していることは明らかです。
◇ ◇ また、10数年来、該当単組を中心に実現を求めてきた「福祉職俸給表」の実現や、96年以降重点課題としてきた「育児休業期間中の一時金基準日問題」について決着をみたことも、ねばり強く取り組みを積み重ねてきた運動の成果です。勧告制度のもとにあっても、制度改悪を阻止し、制度改善を勝ち取ることができることを改めて示しています。
●一時金切り下げおこなわず、改善部分の早期実施を 勧告をうけて、政府に対するたたかいがはじまっています。国公労連は、勧告日当日、総務庁に「一時金切り下げをおこなわず、改善部分の早期実施」を決断するよう求めています。 しかし、8月13日に開かれた第1回給与関係閣僚会議では、結論が先送りされました。一方で、賃下げ勧告すら「不十分」とするマスコミ報道もあるように、公務員攻撃はなお強く吹き荒れています。 暴挙を繰り返す自自公連立のもとで、「公務員賃金のカット」などの政治的な圧力が強まる危険性がないとも言えません。一時金切り下げによる賃下げに反対する要求をかかげつつ、いかなる動きにも対処できるたたかいの体制を固めることが求められています。
核のない平和な21世紀を
--原水爆禁止1999年世界大会ひらかれる
原水爆禁止1999年世界大会は、8月3日から9日まで被爆地広島・長崎で開かれました。 熱気あふれる雰囲気のもとで「核兵器のない21世紀のために世界の草の根から反核・平和の波をおこそう」と、参加者の心をひとつにしました。
●署名運動と対話・共同を提起 戦争法(ガイドライン法)の成立、アメリカ主導のユーゴ爆撃、たびかさなるアメリカの臨界前核実験が行われるという状況のもとで、原水爆禁止1999年世界大会が行われました。 7日から9日にかけて主会場となった長崎では7500人が参加。参加者の半数が30代以下ということもあって、核兵器廃絶・平和な21世紀への若者の熱い思いが会場に広がりました。 アメリカフレンズ奉仕委員会の代表は、草の根の運動をもとに、バーモント州議会で連邦政府への「核兵器廃絶条約の締結交渉を行うよう求める決議」採択の運動を報告しました。 カナダの上院議員で元国連大使のダグラス・ローチさんは、国連決議で「核兵器廃絶につながる交渉を始めるよう核保有国に明確な誓約」を求める、カナダやスウェーデンなど中堅7ヶ国で構成する「新アジェンダ連合」の動きを紹介し、被爆国でありながら核兵器廃絶の国連決議に背を向けている日本政府を厳しく批判しました。
日本原水協の赤松事務局長は日本代表として決意を表明。「日本政府に対し核兵器廃絶の国連決議に賛成することを求める署名運動」を提起するとともに、「対話・交流・共同」を潮流の違いをこえて各界に呼びかけ、「日本政府を包囲する大きな輪をつくろう」と強調しました。
「憲法の守り手」として平和運動の大切さを確認
--国公労働者平和のつどいひらく
国公労連と長崎県国公の共催で、8月8日午後に「国公労働者平和のつどい」を開きました。全国から60名が参加しました。 はじめに、開催地の長崎県国公を代表してあいさつした田口議長は、「平和運動は継続してとりくむことが重要」として、職場や地域からの日々の運動のつみかさねを強調しました。 つどいでは、旧制中学3年で被爆した吉田恒雄さんから、当時の話をうかがいました。かろうじてみずからの命は助かったものの、軍事工場で勤務中に命を落とした父親とは面会も許されず、後日、遺骨になってからでしか対面できなかったくやしさや、友を原爆で失い、350人いた同級生も卒業時には200人に減っていた体験を語り、「大量殺人の核兵器は存在自体許してはいけない」と、吉田さんは心から訴えました。
●職場の豊かな経験を交流
参加者の経験交流では、全税関大阪支部の大槻さんが、港西地区国公など地域で実行委員会をつくって、18年前から毎年開いている「戦争展」について報告。また、同神戸支部の松本さんから、全港湾など民間労組を含めた港湾共闘の6・9行動や、非核神戸方式を全国へひろげる重要性などがのべられました。その他、全運輸本部の真面(まつら)さんからは、陸・海・空・港湾20労組の共同が実現した戦争法のたたかいを中心に報告がありました。 わずかな時間でしたが、被爆地長崎の心にふれ、憲法の守り手である国公労働者として、反核平和運動の大切さをあらためて考えあう機会となりました。
「勇気のバトンわたしたい」--女性のつどい
8月8日夜、長崎市内で「核兵器なくそう女性のつどい99」が開かれ、22人の外国代表を含む2000人の女性たちであふれました。 被爆者で原爆松谷裁判の原告である松谷英子さんの報告に続き、フォトジャーナリストの森住卓さんは、旧ソ連セミパラチンスク核実験場周辺での住民被害の実態を報告。外国代表と地域・職場から、女性たちの平和の願いがあふれる発言が続きました。 最後に高校生の「平和な時代をめざしてがんばっている子どもがここにいると勇気のバトンをわたしたい」と力強い訴えに拍手。とりわけ若い人の参加が目立つ今年のつどいでした。
青年のパワーを実感--ピースジャム 「ピースジャム99イン・ナガサキ」が8月8日、長崎市民会館で開かれ、2200人の青年が参加しました。 「核兵器のない世界をつくるために何をすればいいのか」をテーマにした討論や、ユーゴ空爆反対運動などに取り組んできた海外の仲間との交流、そして全国に広がった戦争法を許さないという報告が、全労連青年部でつくる反核ライダーなどの平和学習活動「ピース・ウィンド」をはじめとして、各団体から次々だされました。 核兵器も基地もない21世紀をつくろうという決意が大きく広がり、青年のパワーを感じた集会でした。
バイクとばし平和の風に吹かれて
【投稿・愛知県国公宮沢久孔事務局長】
核兵器廃絶を、好きなバイクに乗って訴える99反核ライダー「Peace wind」のとりくみが実施され、7月24〜25日に参加しました。愛知県内の自治体要請・宣伝行動実施後、静岡や全労連青年部とも合流し、長野県を南から縦断し、白馬村・長野市まで足を延ばしました。 長野市松代にある「松代大本営跡」を見学してきました。第2次世界大戦の末期、軍部が本土決戦になった場合に、大本営や政府各省等を東京から松代に移すために極秘工事がされ、7千人の朝鮮人の方々が強制的に3交替徹夜工事に従事させられたということです。その極秘工事は9カ月間おこなわれ、75%の工事の進行で終戦をむかえたそうです。「象山地下壕」には政府各省等の機関が入る予定であったとのことです。戦争がさらに長期化していたら霞が関から松代の地下壕の中に国の機関が移動していたかもしれません。 とりくみを終えてみると、走行距離788q、のべ68名の参加でした。
視覚障害をもつ組合員へ、国公労バリアフリー新聞
【全厚生発】
全厚生に組織している国立身体障害者リハビリテーションセンター支部をはじめ函館・塩原・神戸・福岡の各視力障害センター支部には、視覚障害をもつ組合員がいます。 長い間、「国公労新聞」や「全厚生」新聞などは、ボランティアによって「声」にして録音し、テープで聞くか、「対面朗読」の方法がとられていましたが、デジタルデータをコンピュータに声を出して読ませる技術が開発され、普及してきたので、新聞をテキストファイルにしてほしいという要望が組合員からありました。 全厚生では、昨年11月から、「国公労新聞」と「全厚生」新聞のテキストファイルを一月に一回、フロッピーディスクに入れて支部ごとに郵送しています。 全厚生も国公労連もインターネット・ホームページに、「全厚生」新聞と「国公労新聞」の記事データを掲載していますが、組合員全員がホームページにアクセスできる環境にはないので、フロッピーディスクの送付は、たいへん喜ばれています。
●パソコンで好きなときに聞けて組合が身近に
--全厚生国立身体障害者リハセンター支部の加藤則夫さん 私が組合の情報を得るため従来は対面朗読で「全厚生」新聞、「国公労新聞」を読んでいただくのに4〜5時間を要していました。今回、全厚生本部のご努力でフロッピー配信が実現しました。誠に喜ばしく思います。これなら、人手をわずらわすことなく、パソコン(音声装置)で好きなときに、好きなところから聞くことができ、組合活動が身近に感じられるようになり、満足しています。これからも組合情報のバリアフリーに一層のご配慮をお願い致します。
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