国公労新聞 第1029号

25%定削反対署名を広げよう--要求前進もとめて中央行動を展開

 9月28日、国公労連は、99年秋闘の第1次中央行動を取り組み、一時金切り下げ、「25%定員削減」、調整手当「見直し」改悪反対など、切実な要求の実現、前進をめざして行動を展開しました。
 中央行動には、近畿、東海、九州ブロック国公の代表を含む400名(公務共闘、公務労組連絡会全体で700名)が結集しました。

 総務庁前の要求行動では、9月21日に、一時金の0・3月切り下げを含めて勧告の「完全実施」を閣議決定し、超低額ベアの実施と引き替えに「国家公務員の純減」などの「合理化」強行を求めていることへの怒りが集中しました。
 人事院前での行動は、枠外号俸者が急増している状況など、切実な実態にある昇格改善要求の実現や、調整手当「見直し」改悪作業の中止などを求めました。
 その後、日比谷野外音楽堂での決起集会、「霞が関」デモをおこない、国、地方自治体を通じて強まっている行政改革や賃下げ攻撃に対し、公務労働者が一丸となって99秋闘をたたかう決意をアピールしました。

 ●要求前進に難色しめす政府・人事院
 この日の中央行動を背景に、国公労連は、定員削減に反対し職場実態に見合った定員査定を求めて総務庁行政管理局交渉を取り組みました。
 慢性的な超過勤務などの職場実態をふまえた追及にたいして総務庁は、「政府として行革に取り組んでおり、キチンとした結果を示さないといけない」、「2001年の省庁再編時の定員も査定するが、スリム化の実を示す必要がある」とし、定員削減の政治的「圧力」の厳しさを強調しました。
 また、調整手当「見直し」改悪作業の中止をもとめて、人事院交渉をおこないました。ブロック代表を含む交渉参加者からの「見直し」断念の追及に対して人事院は、「これからの話はまだ言えない」としつつ「早期に成案を得られるよう検討を進めたい」とする回答に終始しました。

 ●職場から行革の「流れ」をかえる対話と共同を
 行政サービス切り捨ての25%定削や独立行政法人化の強行を許さず、一時金切り下げや調整手当改悪などの賃金抑制攻撃をはねかえす99秋闘は、短期間の集中した運動が必要です。
 「25%削減反対」の政府宛署名の早期目標達成や、全労連網の目キャラバンへの積極参加など、職場から打って出る取り組みで、厳しい攻撃をはね返すためにも、大きく共同をひろげましょう。


独立行政法人化を告発!--西日本学習決起集会を開く

 国公労連は10月2日、国公近畿ブロックと大阪国公との共催により、「行政リストラ攻撃・独立行政法人化を告発する」と題する「学習決起集会」を大阪市内で開催しました。
 この集会は、国家公務員の25%定員削減、独立行政法人の個別法の国会上程を政府がねらうなかで、こうした攻撃に反対してたたかう決意を固め合う場として開催されたもので、北陸・東海をふくめた西日本の各職場から160名をこえる参加がありました。
 国公労連安部副委員長の主催者あいさつのあと、名古屋大学の市橋克哉教授の講演では、国立大学の独立行政法人化に焦点をあて、人事や評価制度など、今後おこりうるさまざまな問題が明らかにされました。市橋氏は、「大学の自治という基本理念からも、単に減量化や効率性を追求する組織であってはならず、基本的人権を実現する国立大学として拡充させていくべき」としめくくり、運動の重要性を強調しました。

 ●決意あふれる発言が次々と
 小田川書記次長の基調報告をうけた後の各単組報告では、「なりふりかまわぬ国立病院つぶしの攻撃のもとで、各地の『守る会』運動も前進している。共同をひろげ、地域の信頼を集める国立医療をめざす」(全医労近畿)、「安全確保と環境保護のためにも国民本位の自動車検査制度が必要。独法化に反対して職場からたたかう」(全運輸本部)など4名から決意が表明されました。
 会場発言でも、京大職組、九州ブロックの代表などから、25%定員削減など行政の減量化の阻止にむけた、今後のたたかいへの力強い決意がのべられました。
 当日、大阪は30度をこえる猛暑となり、冷房のない会場で参加者は汗を流しながら、文字どおり熱気あふれる決起集会となりました。


「予想外の事故」ではすまされない
 --東海村臨界事故

 9月30日に茨城県東海村で起きた「臨界事故」は、行政への疑問や不安をひろげました。同時に、国民の安全や健康を軽視する行政実態も浮かび上がっています。
 アメリカでは3千人の体制で対応している原子炉などの安全審査を、日本では数十人の非常勤委員にゆだねている実態は、行政の無責任さの表れです。事故が発生してから5時間もたって避難勧告がだされ、その間周辺の住民が放射線にさらされ続けました。事後の検診、経済・社会生活への補償問題なども制度化されていません。事故と被害が大きくなったことの責任を解明する姿勢を政府はいまだに示しません。
 行政改革の目的である「首相への権限集中」は、軍事面や財界の要望に応えた悪法推進をねらったものであり、「国民生活の危機」への対応など眼中にないことが今回の臨界事故でも明らかになりました。それだけに、いまでも本来の役割を果たしていない政府が、行政改革で責任放棄を加速することは見過ごせません。行革闘争の強化は、その点でも重要です。


昇格基準・級別定数の抜本的改善を 

●能力・実績主義の強化はかる人事院
 人事院は、これまで一時金の新たな役職加算制度や特定級以上の1号俸上位昇格制度の導入など「職務給原則」を強化する一方、昨年は昇給停止年齢を3歳繰り上げ55歳とする高齢者への賃金抑制措置を強行しました。
 また、本年も早期立ち上がり賃金カーブへの移行を口実とし、史上最低のわずか1034円の低額改定にもかかわらず、中堅層の最高引き上げ額は2000円、高位号俸者では200円と10倍もの較差を設けた配分とし、95年以降5年連続して高位号俸者の賃金抑制をねらいとした俸給改定を勧告しました。
 さらには、能力や実績を重視した給与上の処遇を行うことがますます重要となっているとし、「能力、実績の評価・活用に関する研究会」を開催し、より一層の能力・実績主義の強化を図ろうとしています。
 こうした人事院の政策は、民間の傾向を前面に出しながら政府や財界の能力・業績主義強化の動向に迎合するものですが、結果として昇格のハードルを高くし、昇格に対する組合員の要求を切実にしています。

 ●昇格改善要求書を提出
 この時期は、級別定数の改定時期に当たっており、昇格闘争にとりくむ重要な時期です。
 国公労連は、9月24日2000年度昇格改善要求書を人事院に提出し、10月上旬から11月中旬にかけて交渉と行動を集中的に配置することとしています。
 産別の要求としては、標準職務表を抜本的に見直し、昇格基準や級別定数の改善を中心に次の点を重視していますが、本年は特に、省庁再編による組織改編にともない新設されるポストの職務や職務内容の複雑・高度化、変化を適切に評価し、級別定数の改定に反映することが必要です。とりわけ、地方支分部局の組織再編では、その職務実態を正当に評価した改善が求められます。

 ○省庁間、機関間格差の解消
 ○性別格差の是正
 ○行(二)の部下数制限の撤廃
 ○専門職等、一般職員等の昇格改善
 ○従来の昇格ペースの維持・改善等
 ○枠外号俸者の解消

 いずれも、重要で緊急な課題ばかりですが、それぞれ互いに関係する問題です。現実の級別定数の保有状況は省庁によって異なり、それが最終の到達級の格差に反映していますが、それは職務給の原則からも公平な処遇の観点から許されることではなく、本来その是正こそが公正中立機関の人事院に求められている重大な責務です。

 ●公平・公正な昇格を
 ライン重視の職務評価や新昇格制度、高位・高齢者抑制は本省、地方の格差を拡大し、さらには機関別や男女格差など不合理な格差が存在しています。
 このような状態の抜本的改善を図るためには、昇格の制度的改善が重要です。「一般職員4級、主任6級、係長7級、管区補佐8級」などの標準職務表の抜本的に改善するとともに、級別資格基準表どおりの昇格が可能となるような定数上の措置を講じることが必要となりますが、当面は、第2双子に到達する前に昇格できるような定数改善が求められます。
 その上で、男女とも研修や能力発揮の機会を平等に保障することなどを通じ、一定レベル〔たとえば行(一)6級〕までは各省同一のペースで昇格できるような改善を行わせることが重要で、そのためにも劣悪な4級、5級退職者を一掃し、「だれでも8級」退職実現に向けた取り組みが求められます。

 ●産別一体のたたかいを
 昇格は重要な労働条件の一つですから、当該する労働組合の交渉事項となります。産別と単組が一体となってよりよい結果をかちとるようにしなければなりません。そのためには、職場を基礎に、当局の使用者責任を追及することと一体で産別の強化・前進をめざすことが重要です。

 ●用語解説
 【昇格】
 職員の職務の上位の級に変更することが昇格です。
 ベースアップ以外で最大の賃金上の問題といえますが、現行の給与制度上は全省庁に共通する「職員を昇格させる基準」は存在しません。任命権者に昇格運用の基準を明らかにさせ、その改善と個々人の昇格の実現をせまるのが、昇格闘争の課題です。

 【級別定数】 級別定数とは、各省庁ごとに、予算によって職務ごと、(各俸給表の)級ごとに定められている人員のことです。昇格する資格を満たしていても、この予算定数に枠がなければ昇格することはできません。したがって、実際の職務に即した定数を確保するための予算編成期のたたかいが重要です。

 【双子・三つ子】 俸給表の上位級の1つの号俸に対応する下位級の号俸が2つあるときを「双子」〔たとえば行(一)3級11・12号俸〕、3つあるときを「三つ子」〔行(一)3級18〜20号俸〕とよびます。 双子、または三つ子の上位号俸から昇格すると、結局1号俸おくれることになっています。「特定号俸」(第1双子)の次の双子を第2双子といっています。


エキサイト4の成果生かし青年組織の前進を
 --青年協第25回総会ひらく 

国公労連青年協議会は、9月11日〜12日の2日間、東京・池袋センターシティホテルで第25回定期総会を開催し、99年運動方針とエキサイト4の総括について討議を行いました。
 運動方針に関わって、教宣活動強化、一時金切り下げ等賃金切り下げ攻撃への対応強化を求める意見がだされたほか、「独立行政法人化の問題など、これからのたたかいが重要」と今後の行革闘争へ決意が示されました。
 県国公からは、沖縄、京都、大分、新潟で組織再建にむけた報告がだされる一方で、各単組地方組織の県国公への結集強化をもとめられました。これらの意見を積極的に受け止め今後の活動に反映させていくとし運動方針を満場一致で承認しています。
 エキサイト4での総括について各単組からは、参加者募集など準備段階における反省点など意見がだされたほか、当日の運営について、単組実行委員会、中央実行委員それぞれの立場から、問題点と評価すべき点における意見があげられています。今後の活動においては、「評価点」を生かしていくとのこととしました。次期交流集会については、1年間の予備討議期間を設定し、その開催の是非を含めて職場において討議を深めることとしました。
青年協新役員
議長  山川秀史(全港建)
副議長 銘苅朝晃(全気象)
    大塚 円(全労働)
    金井 洋(全通信)
事務局次長 高橋昌嗣(全司法)
常任委員 後藤勇二(全建労)
    山道外誠(全国税)
    樋口 崇(全法務)
    重田哲良(全厚生)
    橋本英久(全運輸)
    千吉良直子(全通産)
    山下雄生(全港建)


男女ともに人間らしく働くため20世紀最後の年をしなやかに
 --女性協第25回総会ひらく

 国公労連女性協第25回定期総会は、9月18・19日に、全国から13単組、21県国公6ブロックから86人の参加で活発な討議が行われました。
 今年は、4月1日の「女子保護」撤廃、改正均等法と男女共同参画社会基本法の施行などにより、公務職場での働き方に変化が起き、建設省では「超勤の目安時間」が無視され、「男性と同じでうれしい」という技官の声も。しかし、夜中の2時、3時まではたらくことがあたり前の感覚に、「将来、子どもを産み育てられるのか心配」の意見も出ています。
 また、子育て問題での議論の中、保育所制度の後退もあり職場内や国立病院の院内保育所について検討していくことや、手を取り合い励ましあってはたらき続けた先輩の女性からは、「要求をしぼませることなく運動しましょう」との激励もありました。
 昇格では、「ワースト1が大学。職種が多く実態の学習が必要」、「差別にめげず、20年で6級昇格を目標に『応援団』の組織化と組合員の拡大を進める」(全国税)という発言がありました。
 セクハラ防止では、職場アンケートの結果、相変わらず男性と女性の意識のずれがあり、被害は一部に偏ることも明らかに。また、これからはポジティブアクションも活用しいくことが大切と語られました。そして、「行革」との関係で、職場訪問の計画も出されたり、昇格による男女差別の実態が、県国公女性協に参加してはじめて知ったなど、今こそ労働組合の役割が求められ必要なことが明らかにされ、1年間の活動を総括し20世紀最後の1年をしたたかに、しなやかに、たたかうことを確認しました。

女性協新役員
議長  伍 淑子(全労働)
副議長 小池千代美(全司法)
     阿部春枝(全運輸)
     半戸幸枝(全通産)
事務局長 武城順子(全国税)
事務局次長 三村宏子(全建労)
常任委員 鈴木滋子(全法務)
     渡辺聖子(全労働)
     淀 房子(全医労)
     林 絹子(全運輸)
     森林敦子(全厚生)


新生・公務労組連絡会が発足
 --賃金と行革を一体でたたかう態勢に、公務共闘は解散し一本化

 10月6日、公務共闘、公務労組連絡会の定期総会が東京都内で開催されました。 先に開催された公務共闘の総会で、96年9月の総会以来検討されてきた「公務大産別の新たな『組織整備』に関する検討結果」にもとづく公務共闘の解散と、その運動を新たに組織整備した公務労組連絡会に引き継ぐことが提案され、満場一致で確認されました。
 引き続いて開催された公務労組連絡会の総会では、@「運動の調整・実施」と「交渉の実施」の2つの機能を備えた公務大産別共闘組織として、公務共闘の運動を引き継ぐこと、A全労連・春闘共闘との連携をこれまで以上に強めること、Bこれまでオブ加盟だった郵産労が正式加盟し、福祉保育労をオブ加盟とすることが承認されました。
 このような公務大産別の「組織整備」によって、今後は、賃金などの労働条件、公務員制度課題に加え、行革、権利課題も一体でたたかう態勢が備わったことになります。
 「組織整備」について、国公労連は、機能強化の観点から賛成するとともに、「公務共闘10年の運動の積極的な総括」と「公務労組連絡会での賃金・労働条件課題と一体での行革闘争強化」について発言しました。なお、新たな公務労組連絡会の役員として国公労連から、藤田忠弘副議長、山瀬徳行事務局長、野村昌充、岡部勘市両幹事が選出されました。


秋の組織拡大月間スタート

 国公労連は、10〜11月を「秋の組織拡大月間」(11月を集中的なとりくみ期間)に設定して、すべての単組・職場で未加入者へ組合加入の働きかけをおこないます。
 年収マイナスの99年人勧、独法化や25%定員削減、年金制度改悪など将来への不安と、国公労働者の生活と労働条件が急速に悪化しています。
 こうした状況を打開するために、国公労連がすすめている賃金要求アンケートや、25%定員削減反対署名などへの協力を求める未加入者との対話をすすめ、労働組合の役割や影響力を発揮するために、組合加入を積極的に呼びかけようではありませんか。


平和憲法お心を21世紀へ
 --地区国公で戦争展開催

 【大阪・港西地区国公発】 
港西地区国公も実行委員会の一員として取り組んだ「第19回港区私たちと戦争展」が9月4・5日、区民センターで開催され、1千人以上の人が訪れました。
 戦争法をはじめ悪法強行成立というきな臭い動きが強まる中で、18年間積み重ねてきた役割と値打ちが輝く戦争展にしようと準備してきました。
 会場正面に、一人ひとりが平和の願いを色紙に書き込んでつくった憲法9条(戦争放棄)の大壁画。これには99年原水禁世界大会(長崎)で行われた「国公平和のつどい」の場で書いていただいた色紙も貼られました。 
 最近、港区に存在したことが明らかになった「大阪捕虜収容所」。連合軍捕虜の管理実態等を、戦犯として巣鴨刑務所に服役していた沢村さんが生々しく話されました。
 7月、大阪湾に自衛艦25隻、航空機21機参加の戦後最大規模の軍事演習がおこなわれ、実行委員会のメンバーが乗船して撮った写真や資料に多くの人の真剣な目が注がれていました。
 「再び戦争の惨禍を繰り返さない」平和憲法の心を、21世紀につないでいきたいとのたくさんのアンケートとカンパに励まされ、また多くの出会い、ドラマが生まれた戦争展でした。


お詫びと訂正

 本紙定期大会特集号(9月21日付、第1027号)4・5面「大会全発言」(要旨)の記事中、全厚生の加藤さんと山本さんの発言趣旨が異なっていました。お詫びして訂正します。

 【全厚生・加藤さん】
 4面の加藤さんの発言中、「衛生試験所の中に自衛隊の駐屯地があり、軍事研究が続いてきた。独立行政法人問題ともからみ軍事研究がどうなるか」は、以下の文章に訂正します。「国立医薬品食品衛生研究所と隣接した地に自衛隊の衛生隊の駐屯地があったり、戦前の旧予防衛生研究所では軍事研究が行われていた歴史がある。全厚生の研究機関の支部では、軍事研究は絶対行わないと宣言している」
 【全厚生・山本さん】
 5面山本さんの発言はすべて以下の文章に訂正します。「先の国会で地方分権一括法が成立し、地方事務官制度が廃止され厚生事務官となることとなった。7年間、都道府県職員の労働組合に加入できる修正が行われたが、身勝手な修正に怒りが広がっている。新しい歴史がスタートするが、国公労働運動と社会保障闘争を発展させるため、奮闘したい」


トップページへ   国公労新聞へ