国公労新聞 第1031号

秋年闘争後半戦へ国会闘争を強化しよう
 −12・3中央行動成功にむけて、25%定削反対署名の追い上げを

 紅葉のたよりが各地からとどくころ、秋の深まりとともに、秋季年末闘争も後半戦に入りました。
 昇格要求の実現や賃金改善の早期実施をもとめて、10・28中央行動や10月上旬の地域での総行動週間などでたたかった前半戦から、課題の中心は、国民犠牲の25%定員削減阻止や、11月5日に閣議決定された独立行政法人の個別法案をめぐる国会闘争へとうつります。 
 要求実現をかちとり、実りの秋を手にするために、新たなたたかいにむけた職場・地域からのいっそうの奮闘がもとめられています。

 国家公務員の25%、13万7千人もの人減らしに反対して、国公労連がとりくんできた政府あての「25%定員削減反対署名」は、各地で宣伝・署名行動が展開されるなど、12月3日の中央行動にむけて、積極的なとりくみがすすんでいます。
 この間、愛知県国公が、わずか約1時間の街頭宣伝行動で270名以上の署名を集めたり、全港建下関港・志布志支部などがはやばやと一人10名の目標を達成するなどの成果をあげています。
 しかし、まだまだ100万の署名目標からすれば、集約は遅れぎみで、今後、地域の共同をひろげ、運動の追い上げが必要です。
 独立行政法人問題でも、政党や国会議員への要請にとりくんできましたが、個別法案の審議がおこなわれることをふまえた国会闘争の強化が必要です。 
 10月28日の第2次中央行動では、総務庁を前に、参加者から要員不足の実態が報告され、これ以上の削減などとんでもないとの怒りの発言があいつぎました。そして、何よりも、目標を大きく上回る700名をこえる行動参加があったことに、仲間たちの強い怒りの声が凝縮されています。
 国民犠牲の行革阻止にむけ、全国から2千名が集結する12・3中央行動を成功させ、100万の署名を政府につきつけるためには、いまこの時点からの職場での運動強化が大きなカギをにぎっています。


独立行政法人個別法案
 −−5日に閣議決定し国会に提出
 政府は、11月5日、独立行政法人個別法案や1府12省庁体制への移行を2001年1月6日とすることなどの中央省庁等改革関連法施行法案(施行法案)を閣議決定し、国会に提出しました。
 独立行政法人個別法案は、86機関事務(国立病院・療養所、造幣、印刷の3事務を除く)・56法人に再編し、「名称、目的、業務範囲など」を定めています。
 なお、法案では、「別に辞令が発せられない」限り「研究所の相当の職員となる」として、職員の雇用を法人に引き継ぐことを規定しました。
 また、施行法案では、省庁再編の実施日にくわえ、1300本余りの法律について、省庁や大臣名の「変更」、地方支分部局への権限委任の「整備」などをおこなうとしています。
 政府は、これらの法案の早期成立を狙っており、独立行政法人個別法案の「一括審議」をもくろんでいます。
 国公労連は、対象とされている機関・事務が、独立行政法人化にはなじまないとの立場から、個別法人毎の徹底審議を求めて取り組みを強めています。
 国会開会日の10月29日には、衆参の関連常任委員会や議院運営委員会への要請行動をおこない、法案提出後の11月8日にも衆議院議院運営委員会に慎重審議を申し入れました。
 行政改革=公務員削減とする「異常な状況」を変えていくためにも、独立行政法人個別法案などの徹底審議を求めるたたかいの強化が重要になっています。


人事院 新再任用制度の導入で人事院規則を整備
   2001年4月から、老齢基礎年金の支給開始年齢が65歳に段階的に引き上げられることにより、雇用と年金の連携が官民を通じて重要課題となっている中、先の通常国会で最長65歳まで再雇用する新たな再任用制度を導入するための「国家公務員法等の一部を改正する法律」が成立しました。 この新再任用制度は、定年年齢の延長による本格的な高齢者雇用に至るまでの過度的な制度として、また、民間への波及効果を含め、その導入の意義には小さくないものがあります。
 しかし、新再任用制度の内容は、私たちの要求からすれば、@希望者全員の雇用が保障されていないこと、A1年ごとの雇用契約の更新であり身分・雇用保障が不安定であること、B定員内の職員とされていること、C給与水準が極めて低額なこと、D就労困難と思われる職種についても同じ制度を適用していることなど、実効性の面でまだまだ改善されなければならない問題を多く残しています。
 人事院は、新再任用制度の運用等に関わる人事院規則及び関連通達を10月25日付けで発出しました。これらを受け、各省庁において制度の円滑な実施に向け、職員の意向把握、再任用ポストの整備、採用・昇進・退職管理等全体の人事管理計画の策定などの準備を進めることとなります。
 人事院の通達では、新再任用の趣旨から、各任命権者に「再任用を希望する定年退職者等については、できる限り採用するように努めること」を求めていますが、今後、各職場単位で希望者全員の再任用を確保する運動を強化する必要があります。


99年国公全国活動者会議
○日時 12月16日(木)13時から12月17日(金)15時まで
○会場 静岡県熱海市銀座町1-16ニューフジヤホテル TEL 0557−81−0111
○参加費 14,000円(1泊3食)
○今、21世紀の日本を憲法理念を基軸にすえた方向に変革するのか、「戦争をする国」への変質を許すのかが問われています。この中で、私たちはこれまでの国公労働運動の到達点をふまえ、賃金・行革・国公産別組織の発展をめざすため、全活会議で討議を深めます。


どう考える?「日の丸・君が代」 みんなで考えようQ&A

Q1 国民の半数が「日の丸」法制化に反対する理由は?
 「国旗・国歌法」が国会で採決される直前の世論調査では、「日の丸」法制化反対が47・5%もありました。これらの反対意見の存在を、どう見るべきなのでしょうか。

  「敵軍を追ひはらって、せんりゃうしたところにまっ先に高く立てるのは、やはり日の丸の旗です」(『初等科修身一』3年生用教科書、1942年発行)と戦前の教科書に書かれているように、日本軍は、「日の丸」の旗を先頭にアジア諸国へ侵略し、占領した地に「日の丸」を掲げました。そして、侵略したアジアの人々には「日の丸」の小旗をふって日本軍を迎えることを強制しました。

 ●2千数百万の命奪った侵略戦争のシンボル
 歴史がしめすように、「日の丸」は日本国民を戦争にかりたてる象徴として利用され、そのことから、戦時の苦しみや悲しみをじかに味わった人たちのなかには、「日の丸」にたえがたい嫌悪感を持っている人は少なくありません。日本による侵略戦争で、2千数百万人もの生命を奪われたアジア諸国が、「日の丸」を国旗とすることに批判的なのも事実です(別表参照)。
 世論調査でしめされた約半数の反対意見は、こうした事実に目を向けた、ごく自然な意見であると言えます。
 ●ドイツとイタリアは侵略戦争を反省して国旗・国歌を変えた
 第二次世界大戦で同じように侵略戦争をおこなったドイツとイタリアは、戦後その反省の上に、「国旗・国歌」を変えています。21世紀に向けて、世界の人々と平和的で友好的な信頼関係をきずいていく必要があるなか、侵略戦争のシンボルであった「日の丸」を国旗とすることがふさわしいのかどうか、意見が二分していることに十分な配慮が必要です。


Q2 「君が代」は国民主権の日本にふさわしい国歌?
 「君が代」法制化については、前出の世論調査で58%が反対しています。これも、戦争の歴史と関係があるのでしょうか。

 A  国会審議で政府は、「君が代」を「天皇の国」とする解釈を明らかにしました。「天皇の支配が永遠につづくことを願う『君が代』を、国民主権をかかげる憲法のもとで、日本の国歌にするのはどこかおかしい」と考える人がいるのは、あたり前のことです。

 ●憲法と両立しない君が代=天皇の国
 戦前の「大日本帝国憲法」下の天皇は、「神聖にして侵すべからず」(第三条)とされ、立法・行政・司法権の頂点に立ち、軍の最高指揮権・宣戦布告権など強大な権限をもつ文字どおりの専制君主でした。「君が代」はまさに、この専制君主としての天皇をたたえる歌だったのです。
 こうした天皇主権のもとで、戦争がくりかえされ、そのいっぽうで国民の人権がふみにじられてきた歴史にたって、戦後、「国民主権」が明記されました。だから、「君が代」を国歌にすることは、国民主権の原則とは両立しません。


Q3 なぜいま「日の丸・君が代」なのでしょうか?
 戦後50年以上もたち、いままで一度も国民的な議論もなかった「日の丸・君が代」なのに、なぜ、政府は、これほどまでに法制化を急いだのでしょうか。いかにも、だしぬけな感じがします。

 A 日本を「戦争をしない国」から「戦争をする国」へと一気に変えてしまったのが、この前の国会で強行した「新ガイドライン法」でした。
 この国会では、個人のプライバシーを、警察がこっそりとのぞき見できる「盗聴法」や、憲法第9条の改悪をねらった調査会の設置もきめられました。その上に、侵略戦争や天皇制とも深くかかわる「日の丸・君が代」の法制化です。

 ●国をあげて戦争する体制づくりに利用
 こうした一連の動きを重ねあわせていくと、うかびあがってくるのは、「戦争」の二文字ではないでしょうか。アメリカの戦争にいつでも参加し、国をあげて協力する体制をつくっておこうというねらいです。
 政府はいま、有事(戦争)法制にまで手をつけはじめました。こうした動きとあわせて、天皇を政治的に利用しようとしたのが「国旗・国歌」法の制定であると考えます。
 世界に誇れる平和憲法をまもり、発展させる義務をもっている国家公務員労働者だからこそ、私たちが、こうしたねらいを見ぬき、戦争反対の声を高くあげていく必要があるのです。


Q4 「国旗・国歌」が国民におしつけられるの?
 正式に法律ができたのですから、今後、家庭や職場での「日の丸」掲揚が強制されたりすることはないのでしょうか。

 A 2条からなる「国旗・国歌法」は、その第1条で「日の丸」を国旗とし、第2条では「君が代」を国歌とさだめています。たったそれだけであり、どこにも、「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱を義務づけたり、協力をもとめたりする内容はありません。

 ●国旗・国歌の強制は思想・良心の自由をふみにじるもの
 国旗や国歌にたいして、どういう態度をとるかは、それぞれの良心の問題、内面の問題であって、そのことからも、憲法で保障されている「思想・良心の自由」(第19条)の原則が、あくまでもつらぬかれていなければなりません。
 もともと憲法で思想・良心の自由が明記されたのは、戦前の天皇制政府のもとで、国民の基本的人権が乱暴にふみにじられたことからです。とりわけ、学校教育では、天皇への忠誠を強制され、日の丸掲揚、君が代斉唱を拒めば、天皇を尊敬していないときめつけられ、「不敬罪」で罰せられるなど、きびしい措置がとられました。戦後、このようなことをくりかえさないために、日本国憲法では基本的人権の尊重を国政上の原則としたのです。
 だからこそ、国旗や国歌への態度はあくまでも個人の自由な意思にまかされるべきであり、強制される性格のものではありません。
 ●「国旗・国歌法」に強制できる根拠はない
 「国旗・国歌法」そのものは、本来、なんら国民に強制できる根拠となるものではありません。しかし、法制化されたことをうけて、ここぞとばかりに「日の丸」掲揚などを強制しようとする動きにも十分な注意が必要です。
 「法律で決まったのだから歌わないのは非国民だ」と言われるような社会ではあってはならないし、そういう社会にしてはいけないことを、国民の常識にすることが大切です。


Q5 職場に強制されたらどう対応する?
 職場のさまざまな行事や式典で、国旗掲揚や国歌斉唱がおこなわれるなどの場合も考えられます。また、それらが、「職務命令」として扱われれば、それにしたがわざるをえないのではないでしょうか?

 A 政府は8月末、まちかねていたように、各省庁にたいして「主催行事における国旗掲揚、国歌斉唱」を通達しました。
 私たちの職場でも、「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱など、今までやってこなかったようなことに、職員の協力をもとめてくることも予想されます。
 しかし、「思想・良心の自由」からすれば、それらは、国の機関に働く職員だからといって、決して強制できるものではありません。政府は、「法律自体から生ずる効果として、国民が国歌斉唱等の義務を課されるものではない」と国会で答弁していますが、この立場は、職場のなかにあっても変わりありません。
 したがって、行事や式典で国歌斉唱が強制されることは、そもそもあってはならないことですし、ましてや、職務命令などと言って、国旗掲揚をおしつけるべきではないと考えます。
 そして、何よりも、そんなことが強制されず、だれでも自由に意見が言える民主的な職場づくりを日頃からこころがけていくこと、おかしな動きには、労働組合としてきちんとした態度をとることが大切です。


Q6 日本の「国旗・国歌」を決める方法は?
 「日の丸」や「君が代」ではなくても、やはり、日本の国旗や国歌は必要なのではないでしょうか。その場合、どんなふうな方法できめるべきでしょうか。

 98年2月、長野県白馬ジャンプ場には、2本の日の丸がひるがえりました。日本のジャンプチームが、オリンピックで1位と3位をとったその瞬間、国民のだれもが感激しました。はためく旗をみて、テレビの前で拍手した人もいるでしょう。
 もちろん「日の丸」に感動したわけではなく、船木や原田のがんばりにたいして送られた拍手であることはいうまでもありませんが、こんな選手たちの奮闘をたたえるためにも、日本のシンボルとなる国旗や国歌があったらいい。そのことに反対する人は、おそらくいないでしょう。でも、もともと国旗・国歌は、上からおしつけるものではなく、やはり、国民みんなの議論のもとで決められるべきものではないでしょうか。
 今年になって、「日の丸・君が代」の問題が急浮上したとき、それに反対する人、そして、賛成する人もふくめたはばひろい人たちのあいだで、いまの日本にどんな国旗・国歌がふさわしいか、じっくりと討論しようという機運が急速にもりあがりました。
 しかし政府は、こうした討論にフタをするように、「数の力」で法制化を強行したのです。こんな決め方は許されるものではありません。
 いまいちど原点にもどって、日本を象徴すべき国旗や国歌がどうあるべきなのかを議論し、その上で国民の総意として決定していくことがすじみちです。

◆資料 別表 法制化を批判するアジア諸国のマスコミ
 ●半世紀前、日本侵略者は「日の丸」をかかげ、「君が代」を歌って中国やアジアの大地をじゅうりんし、人類史上まれにみる侵略の暴行をはたらいた。「日の丸・君が代」は、日本帝国主義の侵略の象徴であり、それらが被侵略国の人民の心にとどめた傷跡は永遠に消しさることができない(中国『南方都市報』紙)
 ●法制化は日本社会の右傾化を象徴するものだ。日本を強い国にしていく過程で大きな画期をなす事件(韓国『東亜日報』紙)
 ●侵略戦争と結びついた「日の丸・君が代」を国旗・国歌として法制化することには、日本国内や近隣諸国からも根強い疑念があるにもかかわらず、参議院は法制化法案を可決した(フィリピン『ビジネス・ワールド』紙)
 ●もはや天皇に主権がある国家でないのに「君が代」をなぜ国歌とするのか(『シンガポール早報』紙)
◆資料 戦後の「日の丸・君が代」にかかわる主な動き
  ○1945年 GHQ(連合国軍総司令部)「日の丸」の公式掲揚禁止命令
  ○1950年 朝鮮戦争始まる。文部省、祝日に「日の丸・君が代」をすすめる通達
  ○1958年 文部省、小・中学校学習指導要領を改訂、「国旗を掲揚し、君が代を斉唱させることが望ましい」とする。「日の丸」を国旗として扱う。
  ○1965年 中央教育審議会「期待される人間像」中間草案を発表。「国家に対する忠誠」「天皇への敬愛の念」を強調
  ○1977年 文部省、小・中学校学習指導要領改訂で、これまで「君が代」としていたものを「国歌」と記述する。
  ○1987年 臨時教育審議会(臨教審)最終答申で「国旗・国歌」への理解と尊重を強調。
  ○1989年 文部省、新学習指導要領で、入学式・卒業式などで国旗掲揚、君が代斉唱を「指導するものとする」と明記。
◆国旗をあげよ、国歌を歌えと政府が学校に強制している国は、サミット参加国の中で、日本だけです。日本以外の国では、国旗や国歌にどういう態度をとるかは、1人ひとりの国民の良心の問題、内面の心の問題であって、国は心の問題に介入しないという民主主義国家の原則が確立しています。


戦争法の発動阻止、基地強化許さない
 −−99年平和大会ひらく

【国公労連青年協発】
 99年日本平和大会は、10月28日から31日までの4日間、山口県岩国市でひらかれました。大会には、全国から約1500人が参加。国公の職場からも青年をはじめ多くの仲間が参加し、基地の押しつけ反対、戦争法の具体化・発動を許さない決意を固め合いました。
 アメリカ海兵隊の駐留する岩国基地は、沖縄や横須賀とならぶ海外戦略拠点の一つです。基地調査の当日も演習がおこなわれており、頭上をかすめるように離陸していく戦闘機のごう音に身のすくむ思いでした。
 岩国基地は現在250ヘクタールを埋め立てる拡張工事をおこなおうとしています。工事のため住宅地やれんこん畑をつらぬいて築かれた約3キロメートルのベルトコンベアーは、まさに国民の生活よりも軍事優先の政府の姿を反映したものでした。

◆参加者の声 
全気象沖縄地本那覇航空分会・山田貞光さん
 日本全土の75%の米軍基地が集中する沖縄では、普天間基地の県内移設などでさらなる県民への犠牲が押しつけられようとしています。岩国基地の拡張工事が、米軍への思いやり予算1600億円で進められている状況をまのあたりにして、全国の仲間とともに「基地ノー」の声を広げなければいけないとあらためて思いました。


〈シリーズ 職場はいま…〉(1)
◆気象庁大島測候所◆
 「島ぐるみ」の運動で住民と連帯 −−予報業務廃止反対署名で大きな確信


 このシリーズは毎月1回程度のペースで、各単組の職場の取り組みや、行革の影響がでている職場実態などを1年かけて連載していきます。

【全気象大島分会発】
 東京の南海上約120キロメートルに位置する伊豆大島。いま、この島は暮らしと産業に欠かすことのできない天気予報をめぐって、大きな問題がおこっています。

◇    ◇

 気象庁は、全国13か所にある「分担気象官署」と呼ばれる測候所・海洋気象台の予報業務(天気予報、注意報・警報、気象情報等の発表業務)を順次廃止し、地方気象台に業務を集約する計画をすすめていて、伊豆大島にある大島測候所もその対象にあげられています。
 大島測候所は、厳しい気象現象の発生する離島の気象官署として、島特有の現象をリアルにつかみながら、産業や風土に即した情報の発表や気象解説業務をおこなってきています。
 全気象大島分会(組合員19名)の仲間は、大島測候所の予報業務が廃止されると、きめ細かな気象情報が提供できなくなる、それは島民に対して果たしている気象事業を縮小することであり、住民無視につながることだとして、昨年、大島町議会への請願行動にとりくんだところ、全会一致で採択されました。
 しかし、今年4月、千葉県の館山測候所の予報業務が現場や地元住民の強い反対にもかかわらず、廃止が強行されたことを受けて、大島分会の仲間は危機感をつのらせました。そして、「まずは島民に知らせなければ」の思いで、予報業務廃止の問題点を宣伝ビラにまとめ、配布活動を展開しました。同時に、島内のさまざまな団体を訪問し、反対運動への協力を要請しました。

●地元住民と協力し「反対する会」設立
 ビラや訪問活動の反応は抜群に良く、仲間の想像を超えたものでした。
 とりわけ、いくつかの団体から「反対運動の母体となる組織をつくってはどうか」という熱心なすすめもあって、島ぐるみの反対運動に発展させようとがんばった結果、7月7日に「大島測候所の予報業務廃止に反対する会」が結成されました。
 この会には、大島町長、町議会議長をはじめ、商工会、漁協、農協、建設業協会、観光協会など、島内の主要な団体が参加しています。

●島民過半数の署名を集める
 「反対する会」は、さっそく署名運動を展開しました。この「大島測候所の予報業務の存続と拡充を求める」個人署名は伊豆大島内だけでなく、周辺の新島、式根島、神津島などの伊豆諸島北部の島々にも船を使って広げていきました。
 わずか2カ月足らずのとりくみでしたが、個人署名は5千筆を超え、伊豆大島の島民過半数を達成しました。署名運動展開中には、多くの方々から反対運動への励ましの言葉をいただくとともに、「島の風は現地にいないとわからない。東京から予報できるわけがない」(漁業関係者)、「島の特性を考慮した台風の説明はたいへん重要です。測候所からの情報が無くなると困ります」(自治体防災担当者)などの要望や意見もいただき、大島分会の仲間は、「あらためて測候所への信頼と期待がいかに大きいかがわかった」と述べています。

◇   ◇
 

 島民の願いが託された署名は、10月8日、「反対する会」の代表(大島町商工会理事)、大島町商工会事務局長、大島観光協会副会長の3氏が上京して気象庁に提出しました。
 しかし、気象庁当局は、「大島測候所の予報業務廃止の具体的な計画は無い。仮に大島測候所の予報業務が廃止されても地域住民へのサービス低下などは無い」などと無責任な回答に終始しました。
 当局のこのような姿勢は、国の責任放棄や国民へのサービス切り捨てにつながる「行革」の枠内に埋没したものです。気象庁に陳情した3氏も、「島民無視もはなはだしい」と怒りをあらわにしていました。

◇   ◇

 大島分会の仲間は、今後の運動について、(1)これまでの運動を通じて得られた島民からの意見や要望を今後の業務に活かすなど、測候所が島民から信頼され、期待されるとりくみを強めること、(2)地元の方々とよく相談しながら、文字通り「島ぐるみ」の運動として大きく発展させることをめざす、などを職場で意思統一して、さらに奮闘する決意を固め合っています。


賃金闘争は底上げを重視
 −−全労連評議員会

 10月19日・20日、全労連は東京都内で評議員会を開催し、秋以降のたたかいと2000年春闘構想を確認しました。
 今年7月の全労連大会で提起した(1)雇用、反失業・リストラ闘争(2)介護・年金・社会保障闘争(3)戦争法発動阻止・憲法改悪反対闘争の「緊急3課題」を中心に、各産別や地域でのたたかいを引き続き重視すると同時に、民間の企業合併や営業譲渡などの際に、雇用継続や労働条件維持を義務づける「労働者保護法」制定を求めるとして、要求大綱案を提起しました。
 賃金闘争については、全労働者に賃上げに波及する「賃金の底上げ・最低保障(一律)」を重視し、賃金の底上げを土台とした大幅賃上げをめざすこととしました。
 なお、具体的な「要求目標」については、引き続き討議をすすめ、単産・地方組織の意思統一をはかりながら春闘方針で提起することとなりました。

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