国公労新聞 第1035号

〈2000年春闘方針案ダイジェスト号〉
国民の中へ、国民とともに

 ―民主的転換へ21世紀の架け橋きずこう

 2000年春闘を国公労連は、どうたたかっていくのか? 全国活動者会議(99年12月16・17日)の成果をふまえた最初のとりくみともなる2000年春闘の基本方向について、国公労連・福田昭生書記長にお話をうかがいました。

 ●全活の成果ふまえ展望きりひらこう
  ――全国活動者会議も成功裡に終わり、いよいよ春闘のスタートですね。
 福田書記長 ええ。積極的な討論ができた全活だったと思います。「国民の中へ、国民とともに」というスローガンをしっかり受けとめていただきました。今日の情勢は、政治・経済など社会の転換期であると同時に、国公労働運動の転換期でもあることが特徴です。そこから展望をどう切り開くのかが問われていると思うわけです。
 ――情勢が厳しいと「嵐が過ぎるのを待っていよう」という気持ちが生まれがちで、あきらめもでてきますね。
 福田 そうなりがちです。しかし、情勢の厳しさはどこからきているのかということをよくみると、展望が見えてくると思います。橋本「6大改革」路線から、戦後の政治・経済・社会構造の根本的な転換が本格的にはじめられました。これを構造改革路線と呼んでいます。新ガイドライン法(戦争法)の成立強行でアメリカの戦争に国民をかり出すしくみができつつあります。平和憲法否定の軍事大国への道といえるでしょう。同時に、行政改革・規制緩和が推進されて、自立・自助の名の下に国民に痛みが強要されています。雇用情勢は、戦後の混乱期に次ぐひどい状態に追い込まれています。一部の巨大な多国籍企業の利益第一に、社会のしくみを強引に変えようとしているからです。
 ●情勢のきびしさと国民共同の発展
 ――失業率も5%に近いところで推移していますし、日産の大リストラ攻撃や賃下げも相次いでいますね。
 福田 そうですね。しかし、大事なことは、それに対抗できる運動の芽も生まれてきていることです。戦争法に反対する広範な共同とか、前の国会では、全労連も連合も年金改悪に反対しました。野党の共同も力を発揮しました。この構造改革が誰のためのものかがはっきりしてきたせいでしょう。
 もともと、構造改革自体に深刻な矛盾があります。規制緩和・保護政策の撤廃がすすむもとで、今までの保守の基盤であった農村や中小業者・商工業者の間で意識の変化が起こっています。労働者のなかにも、企業依存主義やかたくなな反共主義が崩れて、まともな労働運動への期待が広がっています。国民的共同の大きな可能性が生まれています。厳しさと同時に新しい転換の可能性、情勢のこの二つの側面を正しくつかむことが大事です。
 ●解散・総選挙で国政の民主的転換を
 ――新たな可能性をはらんだ情勢ということですね。では、2000年春闘の基本方向については、どうですか。
 福田 まず第一には、国民的な共同を大きく前進させることです。賃下げや異常なリストラ、農業や中小企業切り捨て政策、年金や医療改悪などで、あらゆる階層で怒りや不満が高まっています。このエネルギーを総結集して、自自公政府を社会的に包囲して、悪政にストップをかけることです。総選挙は秒読み段階です。国民的なたたかいによって解散・総選挙に追い込み、国政の民主的な転換をかちとるチャンスです。国民的な課題を前面に掲げた国民春闘・地域春闘を前進させる必要があります。国公労連も、行革闘争を柱にして、「国民の中へ、国民とともに」積極的にたたかいます。
 ●全国縦断キャラバンで共同広げ25%定削阻止
 ――行革闘争の目玉という点では?
 福田 独立行政法人個別法など関連法が国会で強行され、枠組みはできあがった段階です。これからは、中身のたたかいです。今回の省庁再編や独立行政法人化が国民生活にどんな影響を与えるのか、抽象論ではなしに具体的に追及することが大事です。中心課題は「25%定員削減」問題ですが、単に「職場はもう限界」というだけでなく、定員削減でどんな行政サービスが切り捨てられようとしてるのか明らかにしなければなりません。そのために、3万団体を目標とする団体署名と全国縦断キャラバンを提起しています。「対話と共同」を一歩すすめて、様々な団体との「行政懇談会」をたくさん開きたいと考えています。行政相談もかつてない規模で広げたいところです。地域春闘の発展と結びつけて前進させたいと思っています。
 ――賃金闘争はどうでしょうか。
 福田 賃金闘争も産別と地域一体でがんばることが必要になっています。一つは、全労連が提起している全労働者を視野に入れた賃金底上げ闘争です。地域を基軸に、最賃闘争とも結合して「○○地域から月額15万円以下の労働者をなくそう」の大運動を展開することです。もう一つは、公務産別の統一賃金闘争の強化です。統一賃金要求案として「平均2万7千円、(7・2%)」を提案しています。これは、アンケートの結果と全労連の「誰でも1万5千円以上」の最低保障要求をふまえたものです。また、これまでの年齢別ポイント要求を年齢別・世帯別の生計費確保の観点から「モデル賃金要求」に改めました。
 ――全活では、賃金闘争についても基本方向が打ち出されましたね。
 福田 ええ。今の賃金破壊の焦点は、能力・実績主義賃金の導入をテコに年功賃金を攻撃し、労働組合の集団的な賃金決定を形骸化しようとするところにあります。公務職場は、年功賃金の最後の砦になっています。年功賃金には、若年層の賃金を低く押さえ込むという欠陥がありますが、労働組合のたたかいによって年齢別・世代別の生計費確保という役割を果たしてきたことも事実です。これを一方的に破棄させるわけにはいきません。ですから、全活では、あらためて初任給の底上げとライフサイクルに応じた生計費の確保を今後の賃金闘争の基本目標とすることを提起しました。2000年春闘をその第一歩にしたいと思います。
 ――組織課題はどうですか。
 福田 全活では、独立行政法人も含めた広がりのある産別組織をめざすことをうちだしました。大事なことは、どんな攻撃にも対抗できる確固とした労働組合を職場に確立することです。組織拡大をはかりつつ、弱点を補強することが第一です。具体的な組織のイメージは、組織財政検討委員会の結論をふまえ、具体化していきたいと考えています。 2000年春闘は、21世紀への架け橋の春闘です。転機にふさわしく、組織も運動も新しい課題に挑戦する意気込みですすめたいと思います。


〈2000年春闘方針案のポイント〉
25%定削許さず職場・地域から行動を

 ―「対話と共同」で国民と連帯しよう

 国民春闘の新たな発展をめざした国公労連2000年春闘方針案が、いま職場に提起されています。今後、各機関での討議をへて、2月初めの第107回拡大中央委員会で決定されます。
 みんなで話し合いをすすめていくうえで、ここでは、春闘方針を5つのポイントからときあかし、大まかな内容をしめします。なお、春闘方針案の詳細は、職場に配布されている議案書を参照してください。

 ■ポイント(1)雇用をまもり、生活を改善させる国民春闘の発展を■
 完全失業率は5%にせまり、300万をこえる人たちが職を失っています。その3分の1は企業のリストラが理由とされ、労働省の調査でも、今後、大企業41社で14万人以上の人減らし計画が明らかとなっています。
 なかでも、全国5工場の閉鎖、3万5千人削減を柱とした日産自動車の大リストラ計画は、雇用情勢をいっそう深刻にするものです。
 こうした大企業の身勝手なリストラ攻撃にストップをかけるため、2000年春闘では、リストラ・首切り反対、雇用の確保に全力をあげ、全労連や春闘共闘に結集し、国民的な規模のたたかいを展開します。
 とくに、日産リストラに反対するたたかいは、雇用と地域経済をまもるうえでの重点課題に位置づけます。 いっぽう、4月からはじまる介護保険制度は、抜本的な基盤整備が必要となっており、また、年金や医療制度の改悪がねらわれるなかで、社会保障制度の拡充が切実にもとめられています。国民生活を守り、改善するたたかいも2000年春闘の重点です。

 ■ポイント(2)25%定削反対を前面にかかげて行革闘争を展開■
 2001年1月からの新省庁体制の発足、4月の独立行政法人設立をひかえて、政府部内では、具体的な作業が本格化します。とくに重大なのは、国家公務員の25%定員削減を目標とした行政の「減量化」攻撃です。

 ●「総定員法」が通常国会に提出
 定員削減計画の柱ともなる「総定員法」が通常国会に提出されることや、各省庁が、2001年度予算の概算要求期にむけて今後10年間の削減計画を決めることなどから、2000年春闘は、「25%削減」反対を軸にした行革闘争がもとめられています。
 ●労組・団体訪問と行政相談活動を
 運動の柱は、国民との「対話と共同」です。25%定員削減が国民生活におよぼす影響を明らかにし、行政サービス後退を許さない幅広い共同をめざしていきます。そのために、労働組合・団体訪問や、懇談会活動、行政相談活動などを職場や地域からとりくみます。
 ●団体署名とキャラバンで対話と共同を
 なかでも力をいれるのは、「25%定員削減など行政減量化反対」の団体署名です。署名は、地域の労働組合はもとより、行政に関連する団体などを対象として3万団体からの集約をめざし、通常国会に提出します。
 また、2000年春闘では、行革闘争の柱として「全国縦断キャラバン行動」を展開します。これらの行動をとおして、「対話と共同」を全国各地から前進させていきます。

 ■ポイント(3)賃下げ攻撃打破、大幅賃上げにむけて官民一体で賃金闘争■

 ●労働者を犠牲にして大企業はボロもうけ
 全労連の「ビクトリーマップ」によると、大企業430社のため込み利益(内部留保)は、この1年間で3兆7千億円も増えています。従業員一人あたりにすると、3千万円以上の金額となります。これだけのもうけをため込みながら、労働者には首切りと賃下げの両面からの攻撃がくわえられています。大企業は、業績が上向きにあるにもかかわらず、国際競争力を口実にした労働者犠牲を強めています。
 庶民の台所事情をみれば、98年の民間賃金は5年ぶりに減少傾向をしめし、消費支出も毎月連続して前年にくらべてマイナスとなっています。さらに、99年の人事院勧告では、史上はじめて、年収ベースで前年額を下回りました。
 ●未組織ふくめて結集できる要求
 賃下げ攻撃をうちやぶるために、パートなど未組織をふくめたすべての労働者が結集できる賃上げ要求として、全労連は、2000年春闘において、「誰でも・どこでも月額1万5千円」をかかげて、その実現をめざします。
 国公労連は、統一賃金要求の実現にむけて、要求に対する「誠意ある回答」を求めて、政府・人事院をねばりづよく追及していきます。
 ●調整手当見直し改悪をゆるすな
 また、調整手当の見直し改悪阻止の課題も、たたかいの大きなヤマ場をむかえます。ブロック段階での決起集会や人事院交渉、職場からの署名行動をつみあげ、上京団行動を配置し、なんとしても改悪をくいとめるために全力をあげます。

 ■ポイント(4)自自公の悪政阻止し政治を変える流れをふとく大きく■
 行革・賃上げなど諸課題などともむすびつけ、政治を国民本位に変えていくことも2000年春闘の大きな課題です。

 ●民意を無視した国会運営に批判
 昨年末の臨時国会では、「自自公」の数の暴力がまかり通る異常な状況がつづきました。
 年金改悪法案では、与党3党が、公聴会の前に採決の日程を一方的に決めるなど、民意を無視した国会運営が強行されました。こうした自自公の横暴に、国民批判が集中するのは当然です。
 連立政権スタート時に50%前後あった小渕内閣の支持率は、わずか1か月で急落しています。与党がしがみついていた年金改悪法案の成立を阻止したのも、世論と運動の力です。国民の自自公ばなれは止まりません。
 支持をうしなった内閣である以上、ただちに国会を解散し、総選挙で国民の真を問う以外に道はありません。国政を私たちの手にとりもどすチャンスが訪れています。2月には、大阪府知事選挙や京都市長選挙など、その結果が国政にも影響する重要な選挙がひかえています。
 一連の政治戦を、国政・地方政治の民主的転換をめざすたたかいの場として、みずからの要求とも関連させながら奮闘します。

 ■ポイント(5)全員参加でひとつひとつの行動をやりあげる
 今春闘では、4次の中央行動、5波の全国統一行動を配置してたたかいます(行動展開図参照)。とくに、全労連・国民春闘共闘が提起している2月25日の「日本列島・怒りの総行動」や、3月7日の「霞ヶ関・中央総行動」には、地域や職場から結集していきます。 
 全労連は、3月16日を春闘のヤマ場に設定し、ストライキをふくむ全国統一行動を配置しています。
この統一行動には、回答指定日をむかえる民間組合への支援や、宣伝行動、退庁時の地域合同集会などで参加しつつ、3月下旬の政府・人事院回答日には、国公労連の全国統一行動として、組合員全員結集の職場集会にとりくみます。
 これらの行動をひとつひとつやりあげるためには、全員に参加をよびかけ、職場の仲間の力をひとつにしていく努力が大切です。要求討議、所属長交渉、職場集会、地域での宣伝行動などすべてにわたって、職場を出発点にしたとりくみを追求し、そのための執行体制も確立します。
 また、運動ともむすびつけて、新規採用者や異動者が集中する時期として、職場組織の拡大・強化のとりくみを目的意識的にすすめます。


〈全国縦断キャラバン〉
行革と国民要求をむすび地域から運動をひろげよう

 「25%定員削減」など国民犠牲の行革を許さず、国民本位の行財政・司法の実現にむけた2000年春闘の運動の柱として、「全国縦断キャラバン行動」にとりくみます。
 国公労連は、3年にわたって行革闘争をとりくむなかで、2度にわたって「全国キャラバン行動」を展開してきました。
 とりくみを通して、政府がすすめようとしている「行革」の本質を国民的に明らかにし、省庁再編や独立行政法人化によって、国民にいっそうの犠牲と負担をせまる問題点をうきぼりにしてきました。
 そのなかで、地方議会や自治体首長からの賛同や、地域の労組・団体との共同などがひろがり、それが行革闘争全体を大きく前進させる原動力ともなってきました。
 こうした経験をふまえ、「25%定員削減」など行政の減量化にむけた攻撃がいよいよ本格化するなかで、雇用と暮らしを守る国民要求ともむすびつけ、新たな共同のひろがりをめざす「全国キャラバン行動」を展開します。
 「国民の中へ、国民とともに」をスローガンに、思い切って地域に足をふみだし、国民犠牲の行革を許さないたたかいを積極的にすすめましょう。

 ●実施時期
 春闘の諸行動の配置をふまえ、2期に分けて実施します。第1期は、2月20日頃出発し、3月中旬までとし、第2期は、4月10日頃に出発し、ゴールは4月末となります。
 それぞれ、北(北海道・東北・北陸・関東・東海)と南(近畿・中国・四国・九州)の2つのブロックに分け、各県をキャラバンカーでつなぎます。
 ●行動計画
 各県でのこれまでのキャラバン行動の経験を生かしながら、おもに次のような行動にとりくみます。
○街頭宣伝行動、団地や公務員宿舎へのビラ配布
○労働組合・団体訪問、自治体への要請行動
○民間と共同した地域集会、デモ
○地元国会議員への要請
○労組・団体との懇談会、行政相談活動


27,000円(7.2%)引き上げ提案
 第107回拡大中央委員会(2/3.4)に向け職場討議を
〈Q&A春闘統一賃金要求案〉

 ●Q1 国公労連の2000年春闘での統一賃金要求案はどんな内容ですか?

 国公労連は、12月22日に開催した第106回中央委員会で、「平均2万7000円(7・2%)」の賃上げと、「(非常勤職員を含め)国公職場に働く労働者の最低賃金を月額相当15万円(時間給1000円、日額7500円)以上とすること」などの統一賃金要求案を確認しました。そして、2月3、4日に開催する第107回拡大中央委員会にむけて、職場からの積極的な討議を呼びかけています。

 ●Q2 統一賃金要求案はどのような考え方で提起されたのですか?
 国公労連は、「わたしの要求アンケート」に示される仲間の要求を大切にして、賃金闘争をたたかってきました。労働者と家族の生活を支える唯一の「収入源」である賃金は、生活の実態にねざした「あとこれだけ引き上げて欲しい」という生計費を基本にした要求があってこそ、たたかいが前進すると考えるからです。今年も、7万3309人の仲間の賃上げ要求の傾向を重視し、国公産別が一丸となって政府・人事院にせまる「ベア要求」を提起しています。
 同時に、戦後はじめてともいえる「賃下げの時代」に、国公労働者も直面していることも見逃せません。99年勧告では、一時金0・3月の切り下げで、国公労働者の年収は前年を下回っています。その背景には、一部の大企業が雇用と賃金の「リストラ」(破壊)攻撃を強め、自自公政権もこれを後押しする規制緩和策を強行していることがあります。そのことから全労連は、「月額15万円以上」、「どこでも誰でも1万5千円以上の賃上げ」などの最低賃金要求、「賃金の底上げ要求」を重視し、労働者の力の結集を呼びかけています。
 国公労連は、この全労連方針に応え、初任給改善や非常勤職員の賃金改善を重視した要求事項も併記することとしました。地域のたたかいではこの要求を前面に、民間労働者と共同して、最低賃金要求や「底上げ要求」の実現を追求します。

 ●Q3 2万7千円(7.2%)賃上げ要求案は、民間労働者などの支持がえられるのでしょうか?
 連合が「1%」要求案を提起し、日経連が「賃下げ宣言」を出しているのは事実です。また、99年度末で607兆円もの「借金」が国・地方自治体あわせてある財政破綻の状況が、公務員の人件費削減の圧力を高めているのも事実です。
 しかし一方で、年金や医療の相次ぐ制度改悪や「負担あって介護なし」との批判が強い介護保険制度の2000年4月からの実施、消費税などの税負担の大きさ、教育費の増大など、生活を圧迫する負担が労働者に押しつけられていることも事実です。7割近い仲間が、生活の「苦しさ」をアンケートで回答しています。 財界、大企業の「宣伝」とは異なって、もともと日本の労働者の賃金水準は決して高くありません。加えて、最近の政府や財界の賃金攻撃は、不況下での一時的なものではありません。「生活を支える賃金」から、「成果に応じた賃金」に強引に切り替え、「安上がりの労働者」を意図的に生みだすための構造的な攻撃です。
 こんな時だからこそ、生活改善のためには「あとこれだけ必要」とする要求を大切にしたいと思います。「わたしの要求アンケート」でも、3万円以上の賃金改善を6割弱の仲間が求めています。生活の実態や将来生活への不安、税負担などの重さを反映した「大幅賃上げ」の要求を高く掲げることは、正当なものだと考えます。生活改善をもとめる様々なたたかいの出発点が「2万7千円」要求なのです。

 ●Q4 賃上げ要求だけでは政府や人事院の賃金攻撃をはねかえせないのでは?
 民間大企業での賃金体系改悪を反映して、99年勧告でも、(1)「能力・実績」反映の賃金制度、早期立ち上がり型の賃金体系への「変更」をめざした「俸給表構造の見直し」、(2)地域間の賃金格差への「準拠」をめざす調整手当の「見直し」、(3)「能力・実績」の評価制度の検討、などがうたわれています。
 このような「見直し」を一方的に強行させないためにも、春闘期のたたかいは重要です。
 その点では、(1)単身単収入の独身世帯でも自立して生活できる賃金をめざす初任給改善要求、(2)ライフサイクルに応じた生計費の増加に対応した賃金水準と体系の維持、(3)公務労働者の専門性や経験の積み重ねを正当に評価する賃金の維持・改善(同じ職務であれば賃金も同一という「同一労働、同一賃金の原則」の3点を目標においた政府(当局)・人事院追及を強めることが大切だと考えます。統一賃金要求案では、賃金体系なども提起しています。
 また、大規模開発中心の公共事業の「ばらまき」を続けながら、財政破綻のツケ回しを国公労働者に押しつける賃金抑制攻撃に反対するたたかいも重要です。その点では、行革闘争とも一体で、行財政の民主的な転換をせまる国民的な運動に、国公労働者がどれだけ積極的な役割を果たすのかが、大きなカギとなっています。


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