国公労新聞 第1044号

定員削減やめよ
  ―総定員法「改正」案反対、団体署名広げよう

 3月14日に閣議決定され、国会に上程されていた「行政機関の職員の定員に関する法律」(総定員法)の「改正」法案(現行の総定員の最高限度を55万6千人から53万4千人へ引き下げるもの)は、3月30日に衆議院本会議で趣旨説明がおこなわれ、内閣委員会に付託されました。
 内閣委員会では、4月5日に趣旨説明が予定されていたことから、国公労連は、緊急に国会行動を配置し、昼休みの衆議院議員面会所での集会をおこなうとともに、25%定員削減反対と総定員法「改正」案の徹底審議をもとめて、各政党の内閣委員を訪問し、要請しました。(趣旨説明は、5日はおこなわれず、12日以降に延期されました)
 昼休みの衆院議面集会では、国公労連の藤田委員長が、「総定員法を2万人以上も引き下げる法案の内容は、非常勤など多数の定員外職員の存在など、現状の人員不足を固定化するもの。その立場から、徹底審議せよの声を国会に集中しよう」とのべ、「25%定員削減反対の団体署名」のとりくみの強化をはじめ、4月10日から後半戦がスタートする全国キャラバンなど定員削減を許さない運動に全力をあげようと呼びかけました。


調整手当の改悪は許さない

 ●2次の九州総行動を展開〈九州ブロック〉

 【国公九州ブロック発】国公九州ブロックは、福岡県国公とともに、春闘課題とあわせて調整手当の改悪を許さないたたかいとして、第1次九州総行動(3月16日、写真上)、第2次九州総行動(3月28日)にとりくみ、人事院九州事務局前の早朝宣伝行動や昼休み総決起集会をおこないました。

 ●500人で集会・デモ〈近畿ブロック〉

 【国公近畿ブロック発】国公近畿ブロックは、調整手当の改悪を許さないとりくみとして、3月30日に、早朝宣伝行動、昼休み集会とデモ行進、人事院近畿事務局交渉・交渉支援行動をおこないました。昼休み集会とデモ行進には、大阪公務共闘の仲間も結集して全体で500人が参加し、人事院の暴挙を阻止するために奮闘することを誓い合いました。


国民生活破壊の年金改悪を強行

 すべての年代の年金額を大幅に削減する年金改悪法が、3月28日の衆議院本会議で、自民、自由、公明の与党三党の賛成多数で十分な審議もないまま、成立させられました。この年金改悪法は、年金の支給開始年齢を段階的に65歳に遅らせ、支給額も削ることが主な内容です。内容の問題とともに、法案をめぐって、自自公の数を頼んだ議会制民主主義のルールを踏みにじる暴挙が、先の臨時国会からくりかえされました。この間の経過は、労働者・国民の要求実現のためには、ただちに国会解散・総選挙で国民の信を問う以外にないことを示しています。


過剰投資のツケで宿泊施設が膨大赤字
 ―国公共済連運審で経営責任追及

 給与明細には長期掛け金が給与から天引きされています。これは私たちの年金のおおもとになる掛け金なのです。この掛け金を管理しているのが、国家公務員共済組合連合会です。
 では、この掛け金はどうように使われているのでしょうか。そのほとんどは、年金として支払いにまわされます。しかし、掛け金と年金支払がつねに同じ額というわけではありません。現在の年金は掛け金の積立額より、年金の支払額の方が少ないので、これを一定期間の間、運用することが可能です。積立や運用には厳格な法的制限があります。そこで、運用は、共済組合員の福利厚生事業として、住宅紹介事業、医療事業、宿泊事業などに使われています。各事業は独立採算を基本としていますが、銀行などからの借入はできないことになっていますので、実際は、年金積立金運用のための事業です。
 3月28日におこなわれた連合会の運営審議委員会で、現在の連合会の各事業に関する会計報告がおこなわれました。運営審議委員会は連合会の諮問機関であり、労働側委員と使用者側委員が、それぞれ半数となる構成でおこなわれています。ここで、連合会の各事業のうち、宿泊事業に働く仲間たち全体への賃下げや希望退職の募集がおこなわれていることが明らかになりました。
 宿泊事業は膨大な赤字財政に苦しんでいます。連合会は、宿泊事業の資産売却や人件費の削減で打開をはかろうとしています。しかし、宿泊事業の赤字の原因であるバブル期におけるリゾート型宿泊施設や大都市型会館への過剰投資のツケである巨額の負債については抜本的な解決策を示していません。
 宿泊事業は、不況の長期化で、利用者が減っているだけでなく、負債の返済が重荷になっているため、事業の存在さえ危ぶまれる状況であることが明確になっています。そのことは年金積立に影響を与えることになりかねません。バブルに踊って過剰投資をおこなった連合会の経営責任と労働者へのバブルのつけ回しを審議会ではきびしく追及しました。


〈連載〉憲法を考える 第3回
 憲法がめざすものを行政は具体化しているか
 ―憲法遵守宣言運動で行政を見つめ直そう

 ●「行政改革」は憲法への攻撃

 近代日本において、明治維新、戦後改革に次ぐ「第3の改革」と位置づけられる今回の「行政改革」。この「行革」でめざしている「この国のかたち」が、日本国憲法の第3章「国民の権利及び義務」の第10条から40条にわたって示されている、基本的人権の実現にかかわる、政府の役割を見直すものであることは明らかです。

 ●攻撃の中心は「生存権」

 自己責任と弱肉強食の競争原理がつらぬかれる社会のしくみを最善とする「新自由主義」は、「完全」雇用と社会保障の制度化で国民の生活保障をめざす「福祉国家」を攻撃の対象にしています。この「新自由主義」の考え方は、行政改革会議の「最終報告」が、行革の「目的」を「日本の国民に色濃く残る」行政依存体質を「なくす」ことと述べていることにもあらわれています。
 憲法第25条が掲げる「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」=「生存権」と、その実現と密接に関連する「教育を受ける権利」(第26条)や「勤労の権利」(第27条)などは、「福祉国家」の追求を高らかに宣言したものです。
 それらは、国民が天皇の臣民とされた戦前では考えられなかった国民の人権の規定であり、憲法が、国民が主人公であることを確認したこととも無関係ではありません。

 ●規制緩和は「改憲」の露払い

 憲法は、生存権などの基本的人権の実現のため、国が制度(法や行政組織、財政措置など)拡充の責任を負っていることを明らかにしています。行政改革がめざす方向は、その点と相いれません。改憲論者が、憲法第9条だけを問題視していないことは、明白です。
 このような流れの中で、労働時間や派遣労働の対象業種の規制緩和など、労働法制の改悪が相次いでいます。その上に、昨年来、企業のリストラを支援する産業再生法や、企業倒産を簡単にできる民事再生法などが成立させられています。企業の生き残りのためには、労働者の首切りは当然とするような悪法が相次いでいます。
 年金支給開始年齢を繰り延べる一方で、年金額を削減する年金改悪法は、確定拠出型年金(401K)の制度化とあわせて、公的年金制度の「解体」に道を開くものです。

 ●行政は基本的人権の実現をめざしているか

 企業のもうけの自由を最優先する制度づくりが進められる一方で、「福祉国家」としての制度が形骸化されている、これが21世紀を前にしたこの国の実態です。それは、憲法がめざした「この国」のかたちなのでしょうか。行政改革と憲法を考える時の中心の課題は、実はその点にあるのだと思います。
 憲法自体は、基本的人権を実現するための制度を規定していません。それは、たとえば年金制度を通じたり、教育制度を通じたり、あるいは労働者保護の制度を通じたりして具体化されていくのです。ですから、国民の生活実態などをふまえ、これらの制度を運営する各省の行政が基本的人権を実現する方向にむいているかどうかが、重大な問題となります。そして、その検証が行政民主化の取り組みです。
 国民生活を破壊する悪法が次々に成立させられ、それが施行されはじめた今こそ、憲法からみた行政を見つめ直す時ではないでしょうか。憲法遵守職場宣言運動は、その第一歩の取り組みです。 (次号につづく)


「行革」でどうなる?私たちのくらし
 ―沖縄県国公などがシンポジウム

 【沖縄県国公発】3月25日、シンポジウム「『行革』でどうなる?私たちのくらし・教育・学校給食」を、沖縄県国公や沖縄県教職員組合那覇支部、学校給食を考える市民の会などが共同して、沖縄県浦添市で開催しました。シンポジウムには、一般市民を含め、130名が参加し、各分野のパネラーのわかりやすい話に真剣に耳を傾けていました。 このシンポジウムは、政府が進める「行革」の本質と県民の生活への影響について知ってもらおうと開催したもので、県国公加盟の各単組は、シンポジウムの成功に向けて、公務員宿舎へのビラ配布やポスターを張り出すなどの宣伝行動で奮闘しました。
 シンポジウムでは、本当の行政改革は、憲法の理念にもとづき、国民の生活を豊かにするものでなければならないことが明確にされました。そして、ムダな大型公共事業などはそのままで、公務員の定員削減や、国立病院・大学などの独立行政法人化、学校給食の民営化などの動きは、行政サービスの切りすてとなるもので本来の行政改革とは正反対であることが、明らかにされました。
 沖縄県国公は、国民いじめの行革に反対し、行政を民主化するために今後も奮闘していきます。


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