国公労新聞 第1046号

総選挙で私たちの要求が実現できる政治つくろう

 「これ以上、国民不在の政治がつづくことは、許せない」――これが、多くの国民の声ではないでしょうか。
 もともと自民党の単独政権だったところに、98年の参議院選挙で「反自民」をかかげた自由党が翌年の99年1月にまず自民党と連立。同じく「反自民」を選挙公約としていた公明党も99年10月に自民党と連立。公約違反で党略的に結びついた「自自公」は、「数の力」にものをいわせ、アメリカの戦争に日本を参戦させる新ガイドライン法=戦争法、行政サービスを切りすてる行革関連法、年金支給額を夫婦で最大1200万円もカットし、支給開始年齢を65歳に遅らせる年金改悪など、悪政の限りをつくしてきました。
 そして、みずから「小渕継承内閣」と宣言する森自公保連立政権は、まさしく「悪政継承内閣」です。その上に、森首相が4月7日におこなった所信表明では、有事立法の法制化をすすめることを明言。国民の基本的人権を制限し、米軍と自衛隊の軍事行動を最優先する有事立法制定について明言した首相ははじめてです。
 国民の審判を受けないまま、さらなる悪政をつづけることは許されません。一刻も早い解散・総選挙で私たちの要求が実現できる政治をつくりましょう。


人事院が調整手当引下げ23地域を提示
 --改悪阻止へ全力あげよう

   調整手当の引き下げ改悪に固執する人事院は、4月24日、支給率引き下げ地域(8地域)、指定解除地域(15地域)および新たな暫定支給地域(現暫定地域からの継続6地域と新規暫定5地域)を対象とする「見直し案」の提示を強行してきました。
 「見直し案」の提示にあたって人事院は、「関係者の意見に配慮」して、次のような「特例」を設けたとしています。
 (1)正規の10%、6%支給地域は、1段階下の支給基準を満たさない地域のみ支給割合を引き下げる。
 (2)正規の3%支給地域で、賃金・物価・生計費のいずれかが101・5以上の地域は、暫定的に調整手当を支給する地域とする。
 (3)92年に見直しの経過措置期間中の地域の見直しはおこなわない。
 結果として、89年「見直し」で暫定支給地域とされ、これらの「特例」に該当しない地域のみの指定の解除または引き下げをおこなうというのです。
 このような「見直し案」は、賃金が3%〜4%も引き下げられる職員が5万人強と国家公務員の1割にのぼり、地方公務員や人勧準拠の労働者にも直接影響する重大な手当改悪です。「暫定地域は、手当支給の経過措置」とする一方的な論理で、それらの地域を「生け贄」にした「見直し案」は、認めることはできません。
 「なぜ、暫定地域だけに基準を厳格に適用するのか」、「人事管理などに配慮した総合的判断が89年より後退しているのはなぜか」などの点は、重大な矛盾です。
 職場、地域からのたたかいを強化し、人事院と当局の使用者責任を徹底して追及し、道理も合理性もない調整手当「見直し案」の撤回を迫りましょう。当面、国公労連は、5月10日から19日を調整手当改悪反対闘争の強化旬間とし、中央・地方で最大限の取り組み展開を呼びかけています。


人権無視の差別はゆるせない
--人間の尊厳まもるためたたかった26年〈全税関賃金差別裁判を考える〉

 全税関は、大蔵省・税関当局による組織破壊の分裂攻撃、徹底した人権侵害と賃金差別をうけてきました。今号は6.9決起集会成功にむけて、26年もの長期の裁判になっている全税関賃金差別裁判について、考えていきたいと思います。

 1974年6月、全税関労組の東京・横浜・大阪・神戸支部と組合員430名が原告となって、総額4億5千万円の損害賠償を請求する裁判を提訴しました。大蔵省関税局・税関当局は、高度経済成長政策のもと税関業務や港湾の大「合理化」を推進させるため、これに反対し、国民本位の税関行政をめざしていた全税関つぶしをねらい、神戸支部長以下3名の首切りをはじめ、組合分裂・第二組合の設立などを強行しました。
 さらに、組合つぶしに屈せず全税関に残った組合員に対しては、人権無視のなりふりかまわぬ差別を徹底しておこないました。「仕事中の組合員の会話を盗聴」「保証人や親族を呼び出して組合脱退をせまる」「結婚への妨害」「総務・管理職場などから排除」「仕事に必要な研修・出張させない」「税関長表彰からの排除」そして「特昇・昇任・昇格させない」という卑劣な賃金差別におよびました。全税関は差別是正と労使正常化をねばり強く要求しましたが、是正するどころか差別がいっそうひろがり、やむにやまれず裁判に訴えたものです。

●横浜事案は高裁で逆転勝利の判決
  東京、大阪地裁では「大蔵省・税関当局は差別意志をもって、昇任・昇格など人事差別扱いをした」として勝利し、横浜、神戸地裁では、差別実態を認めたものの、敗訴となりました。
 しかし、昨年2月横浜事案の東京高裁判決は「組合所属による差別、国の不当労働行為を認める」と、画期的な逆転勝利の判決を勝ち取りました。

●東京事案は結審  
東京事案は3月27日、東京高裁で結審しました。組合分裂以降の1967年に税関に入り、その後第二組合から全税関に加入した、全税関東京支部長の植松隆行さんは、最終陳述で「税関の職務に誇りを持ち、まじめに働く全税関組合員の姿と、職場の要求に真剣に取り組む全税関労組を見て加入しました。税関当局は一貫して私たちが求める労使の話し合いによる解決を拒否しています。労使関係が正常化される道は、当法廷の判決に求めるほかありません。どうか差別の是正と労使関係正常化の道を開いてください」と訴えました。

●裁判が長すぎると国連も批判  
 国連人権委員会でも、「長すぎる裁判は、裁判を受ける権利がないに等しい」と批判も出ています。
 26年間という超長期裁判となった東京事案と、「大企業優遇・国民犠牲の大蔵行政を国民本位に転換せよ」とたたかい続ける全税関闘争を勝利させるため、国公労連、東京労連、東京地評などが実行委員会をつくり、6月9日に東京・千代田公会堂で大集会を開催します。 全税関への差別を、国公労働者全体への攻撃とうけとめ、たたかいの支援を強めていく必要があります。


全税関6・9決起集会へ参加を

 「許すな!大蔵省の差別・人権侵害 全税関闘争勝利6・9決起集会」
 ◇日時 2000年6月9日(金)18:30〜
 ◇場所 千代田公会堂
 ◇講演 小倉寛太郎さん(小説「沈まぬ太陽」主人公・恩地元氏のモデル)
 ◇呼びかけ団体 国公労連・東京労連・東京地評など10団体

4.18大蔵・金融共同行動に1000名

 4月18日、大蔵・金融共同行動がおこなわれ、大蔵・金融行政の国民本位の転換を求めて、早朝宣伝から昼休みまで多彩な行動を展開しました。
 「大蔵・金融共同行動実行委員会」は今年はじめて参加した金融共闘を加え、昼休みの大蔵省前は団体旗と要求のぼりがいっぱいで、1000名の参加者でぎっしり埋まりました。
 午後からは「2000年国民春闘」主催の中央決起集会とデモ行進に合流し、終日奮闘しました。


2000年世界女性行進に参加しよう

 世界女性行進は「貧困と女性に対する暴力の根絶」を共通テーマに、3月8日国際婦人デーから10月17日国際貧困根絶デーまで、各国の女性が男女平等、暮らし、平和などの要求をかかげ、さまざまな行動をくりひろげます。みなさんもおおいに参加しましょう。

●おもな行動  
 ☆5月24日 全国一斉行動
 (平和と軍縮のための国際女性デー)各地で宣伝行動など
 ☆7月21〜23日 沖縄サミット期間、政府要請を含む行動
 ☆10月17日 終結集会・行進


ストップ!25%定員削減 つくろう!国民本位の行財政・司法
 全国キャラバン奮闘中〈大阪国公・宮城県国公〉
 

●独自のキャラバンも展開  
 【大阪国公発】
国公労連の全国縦断キャラバン(南コース)が、4月17日、18日に大阪入り。大阪国公は、独自のキャラバン行動をあわせて、2次にわたるキャラバンに取り組みました。2月21日から25日まで実施した第1次キャラバンでは、「2・25怒りの総行動」とも連動させ、国立病院・療養所の統廃合・独立行政法人化、国立大学・高専の独立行政法人化に反対する行動として、駅頭宣伝や当局要請を展開しました。
 今回の4月17日から25日まで設定した第2次キャラバンは、17日、18日に大規模な宣伝行動を中心に取り組んだ国公労連全国キャラバン行動に引き続き、19日は北河内地区国公で学習決起集会や駅頭宣伝を、21日は港・西地区国公での取り組み、26日には関西空港連絡会で各戸ビラ配布と駅頭宣伝を展開しました。

●高清水町長が「25%定員削減反対団体署名」に賛同  
 【宮城県国公発】
全国キャラバン(北コース)が、4月19日、20日と宮城県入りしました。宮城県国公は、早朝からの宣伝行動と自治体要請に終日奮闘しました。古川市の高清水町では、尾形町長が対応し、「みなさんの主張はよくわかる。定員削減の25%は根拠が無く、乱暴な話だ」と話され、その場で団体署名に署名・捺印してくれました。


 憲法遵守宣言を全支部で採択
 --引き続き行革闘争・平和運動に結びつけ〈全港建一建地本〉


 【全港建一建地方本部発】
 全港建一建地方本部は、秋田県から福井県までの港湾と空港の建設をおこなう運輸省第一港湾建設局の職員311名(8支部)で組織しています。
 憲法遵守職場宣言の採択の運動は、2月の地方委員会で「すべての支部でこの春闘期の職場集会を活用して採択する」ことを確認し、2月16日の全国統一昼休み職場集会を中心に全支部で宣言を採択し、職場の掲示板に職場宣言として掲示しました。
 私たちは、国家公務員としての採用時に「日本国憲法を遵守する」ことをすでに誓約していますが、いまの時期にあらためて労働組合として憲法遵守を宣言し、職場の一人ひとりが国民全体の奉仕者として国民本位の行財政を確立することや平和憲法を守ることを再確認することは大きな意義があると思います。
 宣言の第一番目には、「私たちはいかなる戦争にも加担しません」とうたっています。私たちが建設する港湾や空港は国民生活には欠かせない人的交流や物流の拠点ですが、過去の侵略戦争では出撃基地となり、攻撃や機雷封鎖の対象とされました。
 新潟港では1972年5月26日に港湾での作業中に海麟丸が米軍の投下した残存機雷にふれ、爆沈し、私たちの同僚である乗組員に死者2名、重軽傷者多数の大惨事が起きています。
 日米「新ガイドラインの見直し」では、アメリカ軍などに港や空港を強制的に使用させることも含まれており、港湾建設労働者として断じて戦争法を発動させてはならないと考えます。
 今回の全支部でのとりくみを採択だけに終わらせないように、引き続き行革闘争や平和運動に実際に結びつけるとりくみを仲間とともに追求していく決意です。


〈シリーズ・職場はいま(5)〉
◇運輸省航空大学校◇
 独法化でおしよせる「効率化」の波
 --学生を励まし安全な教育めざして
 
◇ 500名もの乗客の命をあずかり、音速に近い速度で成層圏を飛ぶジャンボ機。民間航空のパイロットには操縦技量に加え、優れた判断力、安全に対する強い意識と責任感がもとめられます。今号は、日本唯一の国立パイロット養成機関である運輸省航空大学校を教宣部が取材しました。

 青く広がる空を見上げると、パイロットの卵たちが操縦する訓練機がさっそうと飛行しています。
 空港に降りたつと、まず目にはいるのは「航空大学校」の建物です。 
 九州の南・宮崎県にある運輸省航空大学校。プロのパイロットをめざして、学生たちが日夜訓練に励んでいます。全寮制をとり、学生は朝6時から気象資料の解析、フライト訓練、講義というスケジュールが午後までびっしりです。
 パイロットの養成には広大な施設、空域、多大な経費を必要とし、仮に授業料を算定すると訓練生の個人負担は極めて多大な額となります。国として養成を行わなければ、教官の確保を含めて一企業ではきわめて困難です。
 乗客の命を守り「空の安全」を維持していくうえで、国が果たす役割は重要です。目先の経営状況に左右されることなく、質の高いパイロットを送り出すことが航空大学校の役割なのです。
 航空大学校のキャンパスは全国に3校あり、宮崎本校、仙台・帯広分校で段階的に訓練を積み上げ、プロのパイロットとしてのより高度なテクニックや判断力をマスターします。

●署名をいっきに集め、3分会で運動に確信  
 ところが、航空大学校は、来年から独立行政法人化されようとしています。
 97年12月の行革会議最終報告以降、航空大学校は民営化攻撃の嵐にさらされ続けてきました。
 全運輸航空大学校分会(組合員53名)では、98年には独立行政法人・民営化を阻止するため、組合員にカンパをつのり全運輸九州航空支部と沖縄航空支部が共同で新聞に意見広告を掲載するとともに、新聞投書行動などを精力的におこないました。
 また、航空大学校3分会(宮崎・宮城・帯広)で「航空大学校の存続を求める要請書」の署名にとりくみ、わずか1ヶ月半で4677筆を集めました。
 独法化の決定は強行されましたが、3分会全体で、運動の確信が大きくうまれました。

●要員・経費スリム化強行される  
 昨年、独法化移行が決定してから、職場はどう変わったでしょうか。
 当局は要員・経費の「スリム化」前倒しを強行し、航大3校職員125名のうち、職員を35名減らすという攻撃をかけてきました。
 その結果、今年の4月から学生の窓口である教務課が廃止されました。前分会長の紀勝幸さんは「学生あっての大学校なのに、採算ばかり気にしている。スリム化を優先すると教育機関としての任務を遂行できない」と話します。
 また、訓練機が3分の1削減され、少ない機数でさらなる効率化が求められています。整備課で働く古奥伸也書記長は「整備の見直し・要員削減は、安全面からいっても問題です」と不安な表情で訴えました。
 いっぽう、組合の運動の結果、強制配転などはさせなかったものの、関係職種に異動して給与が下がった職員もおり、一人ひとりの労働条件や処遇に大きな影をおとしています。

●教育の効率化で学生にしわよせ  
 いま民間航空会社では経営効率化優先・コスト削減と、安全規制を緩和するなど市場原理に任せた政府の規制緩和が一体となって、空の安全が脅かされています。航空大学校は民間航空会社の出資も一部受けており、運営の効率化を求める動きが表面化しています。
 たとえば、養成期間を4ヶ月短縮し「航空無線通信士」の資格を学生の独学に委ねたり、科目の見直しと教育時間の短縮や、募集人員を2割減らすなど、学生の教育をうける権利が侵害されようとしています。
 また、独立行政法人化にともない、授業料の値上げも懸念されます。「学生から授業料のことで質問をうけますが、『心配するな』と言うのが精一杯。つらいですね。でも、職場のみんなは誇りをもって働いています。これからも仲間と励ましあいながらがんばりたい」と助教授の山下勝分会長は語っていました。
 「スリム化」と安全で健全な教育の両立に悩みつつ、来年4月に独法化になっても、学生とともに歩もうとして奮闘している分会の仲間の姿が印象的でした。


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