国公労新聞 第1047号

STOP! 定員削減による労働強化、行政サービス切りすて

●総定員上限を2万人以上引き下げる総定員法成立

 5月12日の参議院本会議で、国家公務員の総定員の上限を2万人以上も引き下げる総定員法(行政機関の職員の定員に関する法律)の「改正」法が、共産党を除く政党・会派の賛成で成立しました。
 総定員法「改正」をうけて、定員管理をめぐる焦点は、行革基本法で実施が定められている「10年間・10%」の定員削減計画の策定に移ることになります。
 非現業国家公務員の約54万人を母数とするあらたな定員削減計画は、政治的目標でもある「国家公務員25%削減」と一体であり、これまで以上に純減を意識した計画策定となる危険性を持っています。また、独立行政法人化などで母数が変化することも想定されます。
 これまでの定員削減で、職場・行政の定員状況は極限まで抑制されています。法定化されてはいても、あらたな定員削減計画の策定は、到底受け入れられるものではありません。
 定員削減の強化は、能力・実績反映の公務員制度への改革や行政責任を投げすてる規制緩和、民間委託などのいっそうの加速をともなうことは明らかです。定員削減による労働強化と行政サービスの切りすてに反対するとりくみを強めましょう。


怒りの人事院包囲
--調整手当改悪阻止連鎖行動

 国公労連は、5月15日、16日と調整手当改悪阻止・該当地域連鎖行動を展開しました。連鎖行動は、調整手当の改悪案を撤回せよと、昼休みの人事院前行動から午後4時までの人事院を包囲する座り込み行動にとりくむとともに、並行して上京団の仲間による人事院交渉をおこないました。15日は、北海道・九州・山口の仲間が、16日は、近畿・東海・中国ブロックの仲間が、人事院へ怒りをぶつけました。


生活悪化を許さないたたかいを
--特集・夏季闘争方針案 書記長インタビュー

 8月の人事院勧告にむけて、いよいよ夏季闘争がスタートします。国公労連は、6月7日に第108回拡大中央委員会を開催し、夏季闘争方針案と人事院勧告期要求案を決定します。夏季闘争方針案では、2年連続の一時金の切り下げや、調整手当の改悪を許さないたたかい、定員削減反対などの行革闘争が焦点となっています。
 今号は、夏季闘争方針案のポイントを、国公労連福田書記長に聞きました。

●賃金・労働条件の切り下げを阻止しよう
 --いよいよ夏季闘争がはじまりますが、今年の夏季闘争の争点をどのようにみたらいいのでしょうか。
 福田書記長  そうですね。春闘結果をみると、全労連の奮闘はありますが、全体としては2%を切る「定昇割れ」の可能性もあるきびしい結果です。国営企業への回答も「0・04%、130円」、中労委の調停委員長見解は「0・12%、369円」です。一時金も民間は昨年以上の落ち込みですから、再切り下げ必至とみておかなければなりません。それから、調整手当切り下げ改悪です。
 限りなくゼロに近いベアの中で、これ以上の生活悪化を許さないということが事実上の焦点にならざるをえませんね。  もう一つの争点は、行革・定員削減問題です。
 残念ながら総定員法は強行されましたが、これから7月にかけて「10年間10%」とする定員削減計画が具体的に策定される時期です。 独立行政法人にかかわる労働条件問題も最終盤です。定員削減反対、独立行政法人での「合理化」反対のたたかいを軸に、行革闘争を多面的に発展させる必要があります。

●〈賃金闘争〉ベースダウン勧告で本俸に切り込む危険性  
 --なかなか、きびしいですね。それでは、まず、賃金闘争の争点から聞かせてください。
 福田 ええ。率直に言いまして、民間のきびしい結果からすれば、「ベア」どころか「ベース・ダウン勧告」の可能性も視野にいれなければと思います。国公の年齢構成や「1号上位昇格制度」などから考えると最悪の場合は、官民逆較差もありうるとみておかなければなりません。一時金の再切り下げや調整手当の改悪など、まさに、これ以上の生活悪化を許さない立場からのたたかいが必要だと思います。
 それに、もっと重大なことは、昨年、人事院は、「人勧制度上はマイナスもありうる」ということをいいましたが、それが具体的な焦点に浮上してきたことです。これまで、本俸にまで切り込んだ勧告は経験がありませんが、そこまで踏み込む可能性があるということです。
 そうなれば労働基本権の「代償措置」としての勧告制度自体が問われるわけです。もし、そんなことになるなら、われわれとしても、ストライキ態勢確立も視野にいれて検討せざるえないと思いますね。これから職場でもしっかり議論していただくつもりですが。

●〈人勧期要求〉「せめてこれだけは」のみんなの思いをよせて
 --なるほど。今までになかった新しい事態ということですね。人事院勧告期の賃金要求はどう考えていますか。
 福田 そこが悩みどころなんですよ。これまでは、「春闘相場+歴史的較差是正(比較企業規模改善)」ということで、数字を積み上げて決めてきました。
 今年は、春闘相場もわずかですし、歴史的較差もこの間の官民対応関係の見直しで相対的には縮まってきています。そこで何を算定根拠にするのか、人勧期要求の性格にまで立ち返って検討が必要だと思います。
 それで、今年は、「せめてこれだけは」という思いをこめて「平均5千円」という要求額を提起しました。従来の「積み上げ方式」ではありませんから、とまどいがあるかもしれません。
 去年の一時金切り下げや4月からの介護保険料の負担増、ベア・ゼロやマイナスは許さないという決意もこめて、総合的に考えた要求と受けとめてほしいと思います。  職場でおおいに議論してほしいところです。

●〈調整手当課題〉切り下げ案撤回もとめ、職場・地域から追及を
 --調整手当のたたかいはどうすすめますか。
 福田 今、大詰めです。4月24日に人事院が切り下げ案の提案を強行してきました。この間のたたかいで、彼らの思惑どおりにはさせませんでしたし、基準の緩和に踏み切ったことをみれば、3指標・データ一辺倒の切り下げ強行路線は破綻しつつあると思いますが、人事院の姿勢はまだ強硬です。
 しかし、あの案をみると、結局は、現行の暫定支給地をターゲットに、改悪の「形作り」に固執していることがわかります。
 --6月から7月が正念場です。切り下げ地域案の撤回を求めて職場・地域から人事院をきびしく追及・包囲しなければなりません。人事院勧告期の賃金要求はどう考えていますか。
 福田 そこが悩みどころなんですよ。これまでは、「春闘相場+歴史的較差是正(比較企業規模改善)」ということで、数字を積み上げて決めてきました。
 今年は、春闘相場もわずかですし、歴史的較差もこの間の官民対応関係の見直しで相対的には縮まってきています。そこで何を算定根拠にするのか、人勧期要求の性格にまで立ち返って検討が必要だと思います。

●〈行革闘争〉定員削減計画の策定許さずたたかいを
 --行革闘争では、定員削減計画策定が大きな焦点になるわけですね。
 福田 残念ながら総定員法は強行されましたが、「出血整理はさける」「行政サービスを低下させる削減とはしない」という内容の付帯決議がつけられました。
 それを足ががりに職場実態をかえりみない、一律・機械的な定員削減計画の策定を許さず、政府・各省当局を追及しなければなりません。ヤマ場は7月初旬と想定しています。
 それから、独立行政法人にかかわっても、中期計画と関連して初年度の予算が策定される時期ですから、労働条件の切り下げを許さないとりくみをこの時期から強める必要があります。国公労連としても、就業規則や労働協約などについて、基本的な考え方をまとめたいと思います。

●〈選挙闘争〉総選挙で悪政にストップかけよう
--国会解散・総選挙も日程が固まってきたようですが、労働組合としてこの選挙闘争をどうすすめますか。
 福田 6月13日公示、25日投票という日程がほぼ固まったようですね。選挙での審判を一度も受けずに、数の横暴を続けてきた、自自公、自公保政権の悪政にストップをかける絶好のチャンスです。
 橋本6大改革からはじまった、行革・規制緩和、数あわせの省庁再編、戦争法体制の確立、銀行・大企業には手厚く、庶民や中小業者には冷たい財政運営など、きっぱり審判を下さなければと思いますね。
 国家公務員は仕事のうえでは政治的に厳正・中立でなければなりませんが、個人のレベルでは、別に中立である必要はありません。自らの信条にしたがって、主権者・国民として21世紀の政治のあり方を決める責任があります。
 国公労連は、選挙にあたっては、組合員の政党支持・政治活動の自由を保障することを大原則にしていますから、党派別の選挙で特定の政党や候補者を推薦することはありません。政治課題をタブー視したり、政治アレルギーもあります。今の政治のあり方、各政党の政策や実績について職場でおおいに論議してほしいと思います。民主主義は選ばれた責任は当然ですが、選ぶ責任もあります。その意味で政治的無関心というのは政治的無責任でもあると思います。
 やりがいのある仕事、国民に喜ばれる行政のためには、政治のあり方が決定的です。悪政が続けば、そのお先棒を担がされたうえ、公務員攻撃で賃金や労働条件の切り下げ攻撃が強まる、というのが現実なのですから。
 --ありがとうございました。


 「平均5,000円」の賃金要求案を提起
 --賃下げを断じて許さない決意しめそう

  国公労連は、春闘期の政府・人事院の回答や民間春闘状況などもふまえ、人事院勧告にむけてあらためて実現を追求する要求案の討議を呼びかけています。
 「2万7千円、7・5%」の賃金改善をもとめた国公労連の要求と、2000年春闘状況からすれば、「人事院勧告制度尊重」(政府)、「民間賃金準拠」(人事院)とする春闘期の回答は受け入れがたいものの、今後は、人勧期にむけた賃金要求を確立し、あらたなたたかいをすすめる局面にきています。
 国公労連は昨年まで、人勧期要求案の提起にあたっては、「民間相場+官民比較改善」を基本にしてきました。
 しかし、官民比較改善については、@要求と運動を反映し、91年から98年までの8年間の比較方法見直しで一定の「効果」が生じたこと、A民間大企業での雇用弾力化や、賃金体系改悪が急速に進展するなかで、企業規模による比較要素を一致させることを困難にしていること、B賃金・雇用破壊・財政危機を理由に、比較企業の小規模化を迫る政治的圧力がいっそう強まっており、「制度改悪」阻止が現実の課題となっていることなどの変化が生じています。  そのようなことから、国公労連は、本年の勧告にあたっては、従来方法での要求案検討をあらためて、@4月28日現在の国民春闘共闘の賃上げの到達点(加重平均2.25%)、A国営企業に対する中央労働委員会調停委員会見解(0.12%・369円)、B99年勧告での一時金切り下げや、4月実施の介護保険料負担(40歳以上の職員)をはじめとした生活の悪化と改善要求が高まっている状況を勘案し、そのうえで、「せめてこれだけは」の要求額として「平均5千円」を提起し、職場の率直な討議を呼びかけています。
 2年連続の一時金切り下げに加え、月例賃金でのベースダウンの危険性さえある今年の勧告にむけ、賃金引き下げを断じて許さない決意を内外にしめす意味でも、「せめてこれだけは」の要求をかかげて国公労働者がたたかうことが重要だと考えます。

●賃金要求案の主な内容

 賃金水準を平均5,000円引き上げること。賃金配分もふくめて、賃金の抑制、切り下げは断じて行わないこと。
 公務の特性、公共性を損なう能力、実績重視の給与制度への「見直し」は行わないこと。
 俸給表について、世帯形成にともなう生計費の増大や、経験・勤続に応じた賃金体系を維持し、昇給制度等の改悪は行わないこと。
 一時金の支給月数の再切り下げは断じて行わないこと。



ちひろ&健太のチャットで考える総選挙(1)
 私たちの要求かなう政治つくるチャンス


●選挙なんて関係ない?

 ちひろ 総選挙が6月13日公示、25日投票でおこなわれることがほぼ確定的ね。それで、国公労新聞では、今号から連載で、総選挙を考えるコーナーを掲載していこうと思うの。
 健太 僕は総選挙なんて興味ないんだけどな。
 ちひろ あらっ、どうして?

●政治はどうしようもない?
 健太 どうせ、政治なんて誰がやっても同じようなもんでしょ。
 ちひろ そうかしら?
 健太 そうだよ。ほとんどの政治家が選挙で公約したことも守らないし、国民そっちのけで、金権腐敗の政治をくりかえしてるだけでしょ。こっちは毎日の生活がたいへんで仕事におわれてるんだから、そんなのにつきあっちゃいられないっていうのが正直なところだよ。
 ちひろ たしかに、くりかえされる自民党なんかの金権腐敗政治にあきれちゃう気持ちもわかるけどね。でも、ちょっと考えてみて欲しいの。いま健太さんが「生活がたいへんで仕事におわれてる」って言ったけど、私たち国公労働者はもちろん、国民みんなの生活がたいへんになっているのって、政治が悪いからじゃないかしら?最近、国公労新聞に寄せられた組合員からのメールを見て欲しいんだけど。
 健太 どれどれ。(下のカコミ記事を読む健太)
 ちひろ どうかしら。
 健太 なるほどね。僕たちの仕事や生活を改善していくためには、政府のすすめる行政サービス切りすての「行政改革」の流れを、今度の総選挙を通じて変えていかなくちゃいけないってことだね。 でも、いまの自民党政治ってずっと続いてて、変わらないんじゃないの。
 ちひろ 98年の参議院選挙での投票率(選挙区)は、58・8%で、そのうち自民党の得票率はわずか30・8%なのよ。自民党はこの程度の支持しか得てないんだから、健太さんみたいに政治に絶望してあきらめてる人たちが「自民党政治ノー」の意思表示をすれば、いまの自公保政権なんかもすぐに変えられるんだから。
 健太 政治に絶望してる場合じゃないんだ。
 ちひろ そうよ。今度の総選挙は、私たちの願いがかなう政治をつくるチャンスなのよ。次号の国公労新聞では、私たちの要求にてらして、総選挙の争点などをわかりやすく解説できればと思ってるから、健太さんも参加をよろしくね。
 健太 おてやわらかにお願いします。

(次号につづく)


●読者BBS  
 総選挙で定員削減やめさせよう 全厚生愛知昭和分会の方から(28歳)
 公務員削減阻止のためにも、今度の総選挙で自分たち一人ひとりが、よく考えなればいけないと思います。
 総選挙を私たちの要求実現の第一歩に 全運輸新潟支部本局分会の方から(43歳)
 今度の総選挙では、私たちの要求実現に向けての第一歩となるよう、候補者を見きわめることが大事だと思います。実現したい要求は、いっぱいあるのですから。
 リストラ規制し雇用を守る政治つくろう 全労働川越職安分会の方から(49歳)
 総選挙では、自公保連立政権を過半数割れにして、革新・民主の政治を実現したいものです。そして、リストラを規制し、雇用を守る政治を実現したいし、核兵器のない平和な日本をつくりたいと思います。
 許しがたい雇用保険の改悪 全労働高知支部伊野分会の方から(36歳)
 ハローワークの窓口で毎日、忙しくしています。来春からの雇用保険料の引き上げと離職理由による所定給付日数の決定は、失業者と、また窓口で接している私たちにとってたいへんつらく許しがたい制度改悪です。
 憲法改悪を許さない政治きずこう 全行管近畿支部の方から(44歳)
 性懲りもない談合・密室政治による森政権は、即時退陣すべきだと思います。そして、子どもたちに胸をはれる未来を築くために、憲法改悪は絶対に許さないよう、総選挙でがんばりましょう。


核兵器のない21世紀へ
--平和行進 夢の島からスタート
 

 5月6日、東京・夢の島で、国民平和大行進の出発集会がおこなわれ、東京--広島コースがスタートしました。出発集会・行進には、国公の仲間160人が参加し、核兵器のない21世紀をつくろうと沿道の人たちにアピールしました。


国公労連第14回労働学校を開催します

とき  6月29日(木)午後1時〜7月1日(土)正午
ところ 伊東温泉ホテルじゅらく(伊東市岡281 TEL0557-37-5161)  カリキュラム(講義名は仮称)
  (1)21世紀、この国はどこへ向かうのか 講師・岡嶋 明氏(元東京経済大学講師、経済評論家)
  (2)憲法の基本理念と人権思想 講師・森 英樹氏(名古屋大学教授)
  (3)645兆円の財政赤字をどう考える 講師・中西啓之氏(都留文科大学教授)
  (4)賃金・雇用破壊のもとで進む医療・社会保障の大改悪
講師 西岡幸泰氏(専修大学教授)
  文化企画 ギョーカク落語「ストップ・ザ・独立行政法人」 笑福亭松枝さん


トップページへ   国公労新聞へ