国公労新聞 第1061号

●全法務に新しい仲間! 少年院施設・加古川学園で労働組合が誕生 

要求実現のため、たたかうしかない


 「人間らしくはたらける職場をめざしたい」−切実な要求をかかげ、兵庫県加古川市にある少年院施設・加古川学園(職員数69名)に労働組合が誕生しました。組合名は「全法務省労働組合近畿地方本部加古川学園支部」。全法務に新たに矯正職場の仲間が加わりました。

○入園者の増加で慢性的な人員不足
 加古川学園は、現在、150名をこえる少年が入園していますが、近年の少年非行の増大で、慢性的な過剰収容が続いています。
 その結果、数年前までは6日に1回の当直が現在は4日に1回に増え、そのうえ、25人の少年を一人で担当しなければなりません。また、職員が極端に少なくなる休日は、休憩・休息がほとんどとれず、12時間を超える勤務が強いられています。こうしたもとで、労働条件の改善を求める声は高まっていました。

○職場の不満を要求に変えて仲間が立ちあがる
 少年院という施設の性格から、職員には極度の肉体的・精神的な緊張が強いられるため、職場を去る仲間が後をたたず、残った職員も不満はふくらんでいきました。
 「このままではアカン」「小さな問題でも、改善する方法はないのか」という職員の要求からはじまり、「労働組合を結成し、たたかう以外にない」という確信のもと、労働条件の向上と法務行政の充実のため、加古川学園の仲間が労働組合の結成へと立ち上がったのです。

○みんなの力で明かりを大きくし全員でがんばろう
 支部の結成大会は10月26日に開催されました。参加した組合員からは、当直勤務体制の改善、超過勤務手当の充分な支給などとあわせ、少年たちの社会復帰を手助けできる充実した職場づくりにむけ、大幅増員が必要との意見がつぎつぎとだされました。
 初代委員長となった東間英明さんは「出口のない暗いトンネルの行く先に、ようやく小さい明かりが見えてきた。この明かりを大きくし、出口に向かって全員でがんばる」と決意を語りました。
 結成時の組合員数は10数名でしたが、結成後の加入呼びかけで、加入者はさらに増えています。
 今回の組合結成は、全国52か所の少年院をはじめ、矯正施設の職場での組織確立にむけた展望をきりひらくものであり、国公労働運動にとっても大きな前進です。


●独法化による労働条件悪化を許すな  10・27学習決起集会ひらく

 国公労連は10月27日、独立行政法人化による労働条件の悪化を許さず、要求を着実に実現していくため、学研労協と共催で、学習決起集会を都内でおこないました。この集会には、独立行政法人へ移行する職場の仲間、単組役員など114名が参加しました。
 集会では、まず徳住堅治弁護士が講演。民間企業では、全員解雇型による企業再編の増加など、経営側の攻撃が強まっている、独立行政法人化は、一面でこうしたむき出しの労使関係への移行を意味しており、「権利は勝ちとり、守るもの」を認識し、一人ひとりが学習や行動に取り組む重要性を強調しました。
 続いて、郵産労中村委員長から、年輩者を見ず知らずの土地へ配転させ、やめざるをえない状況に追い込んでいるなど、公社化を前にした当局の攻撃が特別報告されました。
 次に、運動上の課題について国公労連本部小田川書記長が報告し、(1)合理化の強化を許さない、(2)現行の労働条件を維持することを基本にする、(3)予算案が確定する年内までのたたかいを強化、(4)不当な攻撃には全体で反撃、(5)統一交渉、決起集会を配置する、(6)中労委委員の公正任命の実現などを提起しました。
 また、統一的な要求の考え方について飯塚独立行政法人対策部長が報告、移行時の要求は現行労働条件の維持を基本としつつ、移行後は、定員定数の縛りがなくなる条件をいかし、行(二)職の昇格改善実現を図ること、などを提起しました。
 その後、全通産、総理府労連、全運輸、全通信、全建労、学研労協など、独立行政法人移行職場を抱えた単組・地域の代表が労働条件の悪化を許さない決意を表明しました。


●中央労働委員に熊谷氏を推せん

 独立行政法人の設立にともない、中央労働委員の「補選」が来年3月中におこなわれます。全労連は10月18日の評議員会で、熊谷金道副議長(国公労連)を候補に公正任命を勝ち取る運動を展開することを決定しました。国公労連も熊谷氏を推せんし、中央労働委員確保にむけ力をそそぎます。
○熊谷金道さんの決意
 独立行政法人化のねらいは、より低コストで最大限の成果をあげさせることにあると思います。これまで法律や規則で規程されていた労働条件が今後は労働基準法等の適用により「就業規則」や「労働協約」で規定されることになります。その際決定的に重要なことは、当局の分断支配を打ち破り、労働組合が職場の多数派を握れるかどうかということです。独立行政法人担当の中央労働委員の予定候補者として皆さんとともに、雇用や労働条件を守るために、また中央労働委員になんとしてでも任命されるよう全力をあげる決意です。


●アルバイト職員の有給休暇実現

 全国税が要求 社会保険への加入も

 全国税が長年要求を続けてきた全国の税務署で働くアルバイト職員(約5000名)の有給休暇が10月から取得できるようになりました。
 これまで国税当局は、アルバイト職員を2カ月以内の雇用契約とし、「切替え」と称して3日間の雇用中断することにより、人事院規則による休暇取得の「6カ月継続勤務」の要件から逃れていました。
 今回の要求実現は、全国税が長官交渉の場において「アルバイト職員は長い人で10年、15年と継続して働いている。実質的な継続雇用にもかかわらず、有給休暇を認めないのは人事院規則、運用通知等に反する」と追及した結果によるものです。
 また、今回の処遇改善で、雇用形態によっては、社会保険・雇用保険への加入も実現することとなりました。
 全国税では、今後もアルバイト職員の処遇改善のため、要求を掲げていくこととしています。

〇全国税江東東分会の吉牟田道子さんの話
 江東東税務署には、現在8名のアルバイトさんが働いており、職場は彼女らがいないと仕事が回らないのが現状です。
 今回は、有給休暇が改善されましたが、年間フルに働いても140万円ぐらいの低賃金にすえおかれています。また、アルバイトさんの処遇問題などで職員と話すことがほとんどないことも問題と思っており、職員に気軽に相談できる職場環境もぜひつくりたいと思っています。

〇アルバイトさんは、全国税の取り組みに感謝
 有給休暇や社会保険加入ができるという話を聞いたときは、うれしくてしばらくは仕事が手につきませんでした。まだ、有給休暇を取得していませんが、いざという時に、有給で取れるのでとても楽しみにしています。
 今回の改善では、全国税の方には感謝しています。子供に頼らずに生活できる一歩となったようで、心の張りも生まれました。働くことは大好きですので、これからもずっと続けられることを願っています。
(江東東税務署勤務のアルバイト職員より)

〇非常勤職員の年次休暇(有給)について (人事院規則15−15)
・要件
 6ヶ月間継続雇用され、勤務すべき日の8割以上の日数を勤務すること。
・休暇付与日数
 応答日(6ヶ月経過した日)の勤務形態に応じ、1年間に1日から10日の範囲。
 (例)1週間の勤務日数が4日であり、1年間の勤務日数が169日でかつ、雇用の継続勤務期間が6ヶ月間であれば7日間
・繰越日数
 使用しなかった年次休暇は、20日を限度に次の1年に繰り越しできる。
・休暇の単位
 単位は1日。ただし特に必要と認められる時は、1時間単位。


●暴力と貧困の根絶を求め摩天楼に「連帯」の声こだます

 世界女性行進に参加して 国公労連女性協常任委員 渡辺聖子さん

 2000年世界女性行進は、「暴力と女性に対する貧困の根絶」を共通テーマに世界159カ国で、デモや集会などがくりひろげられました。フィナーレをかざる10月17日のニューヨークでの集結行進には各国から1万人以上が集まり大きく成功しました。
 国公労連女性協を代表して行進に参加した、渡辺聖子さん(全労働)にレポートしてもらいました。

 国公労連からは私と、武城順子女性協事務局次長の二人が参加しました。
 10月15日の全米女性組織NOWが呼びかけた「ワシントン女性行進」では、カラフルな民族衣装を身につけた各国の女性が、飢餓と貧困を象徴する鍋やカマなどの台所用品を使って宣伝行動を展開。私たち二人は日本的な作務衣を着て「ノーモアヒロシマ・ノーモアナガサキ」と大きな声で行進すると、後ろを歩いていたフランス、アメリカのグループも唱和してくれてとても感動しました。アピール署名を訴えると、行列ができるほど集まり、平和に対する関心の高さに驚きました。
 また、アメリカ電気ラジオ機械労働組合と懇談しましたが、アメリカでは貧富の拡大と医療や教育などの課題が社会問題化しており、労働組合として最賃と生活賃金の引き上げを要求していること、広がりつつあるマクドナルド方式(使用者が必要なときに必要な労働者を確保する方式)の労務管理を研究していくことの必要性を感じました。
 なお、国連や各国政府あての要求を書き綴ったサポートカードは世界で470万枚(日本は46万枚)も集まりました。
 ニューヨークの摩天楼のビル街に「ソリダリテイ(連帯)」の唱和が響きあった女性行進の情景が今でも脳裏に浮かんできます。世界のたたかう女性たちとともに21世紀にむけてさらに運動を前進させようと決意をあらたにしました。


●パパ、水曜日は早く帰ってきて  定時退庁をよびかける本省組織

 国公労連は、毎月第1水曜日を定時退庁行動強化の日としています。
 11月1日の定時退庁日では、東京国公・国公労連が合同で、出勤時に霞ヶ関で宣伝カー・ビラ配布行動を実施しました。
 また、各単組の本省支部も、これに呼応して声かけや鐘を鳴らすなど多彩な方法で定時退庁を呼びかけました。
 自らの健康をまもるためにも、仕事の都合をつけ水曜日には定時退庁を


●新省庁体制でどうなる行政と職場 12・2シンポジウムを成功させよう

 はたらく労働者の視点で省庁再編の問題点にメスを

 2001年1月の省庁再編を目前に、この国のかたちがどう変わるのか、マスコミをはじめとして関心が高まっています。
 国公労連は、昨年12月の全国活動者会議で「国民の中へ、国民とともに」のスローガンを確認し、行政の現場ではたらく労働者・労働組合として、現在すすめられようとしている「省庁再編」の問題点について国民にアピールする取り組みをすすめてきました。
 今回のシンポジウムでは、パネルディスカッションとして、各界からパネラーをまねき、省庁再編で国の役割はどう変わるのかを中心に、さまざまな視点から発言してもらいます。
 また、この間の行政改革で行政がどう変わってきたか、省庁再編の中でどう変わろうとしているのか、それが職場でどのような「ひずみ」や「問題点」となって現れているのかについて、各単組から具体的な例をまじえながらの「行政レポート」が報告がされます。
 重要な時期に開催されるシンポジウムに、職場からの積極的な参加をよびかけます。

 どうなる新省庁体制
    〜今後の行政を考えるシンポジウム〜  
  日 時 12月2日(土) 13:30〜17:00
  場 所 日本教育会館 8F
      地下鉄「神保町」駅下車 徒歩5分


●多発する医療事故をなくすため

 パンフレット「輝いて看護、守ろういのち」を作成

【全医労発】
 「なんでこんなに病院のミスが続くのか」そんな嘆きが聞こえる昨今、医療事故は当事者だけの問題でなく、その解消は社会的課題となっています。
 命を守るべき医療の世界の安全性が疑問視され、それに対し、厚生省の対策・医療関係者の対応に首をかしげる人も多いと思います。
 いま、医療の最前線にいる看護婦たちは、日々の業務に追われ、夜勤をこなし、明日は自分がミスを起こすかもしれないという不安の中で、看護の喜び、誇りすら失いかけています。
 わたしたちは、医療に携わる労働組合として、託された「命のまもり手」であるべき看護婦たちの笑顔を取り戻すために、(1)医療現場の現状から問題点をあきらかにすること、(2)そこから医療事故の原因・背景をさぐること、(3)安全(より良い医療・看護)という観点から医療のあり方や改善に向けた提言をしようとパンフレットを作りました。
 このパンフレットの中で紹介している「病院における人手不足が、あらゆる面で医療事故の影に潜んでいる。」(国立循環器病センター川島名誉総長)の言葉に象徴されるように、あまりに少ない人員配置等の改善を抜きに、努力とか意識改革をベースとして解決を図ろうとする国・厚生省の姿勢をあらためさせるには、わたしたちだけの運動だけでは限界があります。
 医療を守る運動は、医療を受ける患者さん、あるいは家族を含めた広範な人々と手をつなぎ、国・厚生省に、医療のあり方そのものを問う国民的な課題であると思います。
 パンフレットの活用や11月27日に開催する医療事故問題のシンポジウムなどをとおし、医療現場の実態について、声を出し、広く国民に発信していくことこそ、いのちを守るもののつとめと思っています。


●国民のいのちと財産・雇用を守れ 大阪で集会・シンポ開かれる

【近畿ブロック国公発】
 9月30日に、大阪市内で規制緩和の学習集会と公共事業のあり方を考えるシンポジウムが開催されました。
 全運輸も加盟している大阪交通運輸労働組合共闘会議(大阪交運共闘)が開催した「規制緩和−陸・海・空でいまなにが−学習交流集会」には、約70名の参加がありました。
 主催者からは、運輸分野での規制緩和の状況と結成から10年間の大阪交運共闘のたたかいについて基調報告が行われ、その後「交通産業の規制緩和と安全問題」と題して立命館大学の土井靖範教授が講演しました。
 また、職場代表からは、今の規制緩和が安全性を無視したもので、国民の財産をも脅かすものとなっている状況や、交通・運輸関係で働く労働者のきびしい実態が報告されました。
 一方、大阪建設共闘・大阪社保協・大阪障連協などは、「公共事業と仕事おこしを考えるシンポジウム」を開催し、建設関係者のほか、全医労や福祉保育労、障害者団体関係からの参加もあり、「公共事業50兆円、社会保障20兆円」の逆立ちした財政の打開にむけた幅広いシンポジウムとなりました。
 基調講演では、都市計画コンサルタントの角橋徹也氏から、「福祉と建設分野で仕事と雇用をいかに増やすか」と題しての提言がありました。
 また、参加者からの発言などで論議を深め、今後も建設分野と福祉・医療・教育分野の共闘をより発展をさせることを確認しました。


●切実な相談に耳を傾け 石川県国公が今年2回目の行政相談を実施

 【石川県国公発】石川県国公は、昨年から年2回行政相談を実施しています。今年春までは、郊外の大型スーパーで実施をしていましたが、今回は、北陸三県の生協が合併したことを祝う「コープフェスタ」の会場に行政相談コーナーを設けました。コープフェスタは、10月14・15日に金沢市の産業展示館で開かれ、5万人が訪れた大きな行事でした。
 行政相談を実施した15日は、好天に恵まれ朝からすごい人出のため、案内のチラシは面白いようになくなりました。
 相談内容は、法律2、相続4、登記2、年金2、税金4の計14件で、源泉徴収票を持参して年末調整の相談をする人もありました。
 石川県国公では、行政相談を「国民のなかへ、国民とともに」の行動の一環として重要視しており、今後も年2回の行政相談に一人でも多くの人にきてもらうため、相談会場や宣伝方法の改善についても検討をすすめていくこととしています。


●シリーズ 職場はいま 横浜北労働基準監督署

  激しいリストラ・合理化で労働相談が集中
  労働者が安心して働ける職場環境を実現したい


 新横浜にある横浜港北地方合同庁舎。1階の職業安定所では職を探す人々であふれかえり、3階の労働基準監督署の窓口には、真剣な表情で相談をしている労働者や経営者の姿がありました。
 不況とすさまじいリストラ・合理化の中で解雇や賃金引き下げの攻撃にさらされている労働者の守り手、横浜北労働基準監督署を訪問しました。

○労働条件を守らせる「労働Gメン」
 「労働相談は匿名が多いですね。最近はサービス残業に関する投書が増えています」と語るのは労働基準監督官の松尾俊一さん。
 労働基準監督官の仕事は、工場や事務所などの労働現場に立ち入って、検査や調査、指導をする「臨検監督」が主ですが、そのほかにも、労働相談、司法警察事務、災害調査など多岐にわたっています。
 監督官は、働く人たちの労働条件を確保することにより、労働者の安全や健康を維持するために働いています。
 実際に現場におもむき、労働基準法や最低賃金法などに規定されている労働条件を使用者に守らせるという、その任務はまさに「労働Gメン」といえます。

○労働者と事業主の間にはいって説得
 しかし、全国的に労働基準監督署の職員数は不足している状況です。
 横浜北労働基準監督署の管轄区域は、横浜市内の6区を受け持ち、事業所数は1万以上、区域内の人口は110万人を超えます。これほどの広範囲にもかかわらず、実際に稼働する監督官は10名しかいません。「臨検」の件数は監督官一人あたり年間約160件で、すべての事業所にはとても目がいきとどきません。
 また、法令違反などで労働者が救済を求めてくる「申告事案」の処理は、賃金・労働時間・解雇・安全衛生上など、いずれもいのちや暮らしに直結するもので、時には泣きつかれることや、憤慨をストレートにぶつけられることもあるといいます。
 監督官歴20年の渋谷健一さんは「私たちは常時10件以上の案件をかかえているため、電話に出ても、どの案件であったか考え込んでしまうこともあります。どんな問題であっても、その人にとっては重大なことです。1件1件大切に処理しています。最近は会社倒産にともなう賃金不払いの救済の訴えが多く、電話応対に追われ大変です。でも、根気強く労働者と事業主の間にはいって相手に納得してもらい、双方から感謝された時はうれしかったですね」と話します。
 もっと広範に労働者の権利擁護と安全を守りたいと思いつつ、限られた人数の中で必死にがんばっている監督官の現状が浮き彫りになりました。

○労災業務や安全衛生課も人員不足
 全労働神奈川支部横浜北基準分会(組合員29名)分会長の鈴木秀人さんは、労災保険業務が担当です。労災請求の件数は、横浜北が神奈川県内の監督署ではもっとも多くなっています。「私の課は14名で、1万件を超える適用事業場の労働保険料の申告納付事務を処理しています。ほかにも業務上外の認定や労災保険の給付業務、滞納整理や算定基礎調査もあり、一人で複数の業務をこなしています」と人員不足の現状を訴えました。
 また、安全衛生課の小野純一さんも、「私は工事の足場やクレーン、ボイラー設置などの計画申請処理をしていますが、年間1千件をたった3人で担当しています。設備の入れ替えの度に現地におもむき検査するので、きついですね」と話します。

○サービス残業なくすため民間労組の相談を期待
 激しい企業間競争と人減らしのもと、長時間・過密労働によって労働者の健康がむしばまれています。90年代から作業に関連する疾患や蓄積疲労、さらには自殺、過労死などが増加していることも象徴的です。「労働者の健康をまもる活動は、職場の労働条件を変えるたたかい」として、民間労組の関心は高く、対策が求められています。全労連も秋年闘争で、ただ働き・サービス残業の根絶を呼びかけました。
 いっぽう、松尾さんからは「監督官が少ないことと、裁量労働や年俸制の導入により、今まで以上にサービス残業を立証することがむずかしい現実があります。労働条件について労働組合や組合員からの相談がもっとあっていいと思います」という意見もだされました。
 「本当に苦しんでいる弱い立場の人ががまんしていると痛感します。私たちの役割は労働者保護であり、労働者が安心して働ける職場環境を実現したい」と鈴木さんは語っていました。
 いま労働者の仕事と生活は危機にさらされており、その家族に与える影響はきわめて大きくなっています。労働基準監督署ではたらく仲間の役割は、激増する労働災害やリストラ・解雇などに対する労働相談など、国民からの期待も含めていっそう重要になっていると感じた一日でした。


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