国公労新聞 第1078号

●ルール無視の進め方は認められない!

−−政府が「新たな人事制度」検討案を「提案」

 5月29日、政府・行革推進事務局は、6月中の「基本設計」とりまとめにむけた「たたき台」となる「新たな人事制度について(検討案)」を、国公労連に「提案」してきました。
 「検討案」は、労働条件の大幅な変更であるにもかかわらず、労働組合の意見も聞かず一方的に作業をすすめ、唐突に「提案」されたものです。その内容はもとより、ルール無視、労働基本権侵害のすすめ方自体に重要な問題があります。このため国公労連は、推進事務局に、強く抗議しました。
 これに対して事務局は、「6月中の基本設計のとりまとめは、『行革大綱』で決まっている。それまでは、事務局が責任をもって国公労連と対応する」、「『検討案』はあくまでもたたき台。これで決める訳ではない。『基本設計』の性格、その後のすすめ方なども決めていない。そのことも含め、国公労連の意見を聞きたい」などと回答しました。

○強まる能力・業績主義危険な「改革」明らかに
 総人件費削減や人減らしなどのリストラ「合理化」のため、導入されてきた民間の成果主義・人事管理を、行革のために公務に持ち込もうとする公務員制度「改革」の不当性は、「検討案」でさらに明確になりました。同時に、憲法でも保障している、労働条件にかかわる「交渉」という労働者の基本的な権利を、意図的に無視して「改革」をすすめる政府・事務局の不当性も明らかになっています。
 「基本設計」策定を断念させ、公務員制度「改悪」の流れを断ち切るために、「50万署名」など職場からのたたかいををさらに強める必要があります。
 なお、「検討案」は、人事管理における信賞必罰を徹底するため、(1)適任者の抜擢と不適格者の降任などを推進する任用制度(分限降任・免職の手続き・基準の明確化)、(2)8段階程度からなる「能力等級制度」の新設、(3)職務給原則をあらため、能力、職責、業績に分割した給与制度、(4)能力評価、業績評価(目標管理制度)、業務遂行規範からなる評価制度、などの制度改革をすすめるとしています。


▼新たな人事制度について(検討案概要)はこちらへ

●全国各地で多彩なとりくみ

 各ブロック・県国公は「公務員制度改悪反対」の宣伝署名行動や、行政相談活動などを創意工夫して全国各地でとりくんでいます。

○ブロック・愛知国公・社保協 
 無料行政・健康相談で反響 −−署名は1千筆超える−−
 【東海ブロック国公発】5月12日、東海ブロック国公・愛知国公・愛知社保協が共同し、名古屋市内で「無料行政相談」と「健康相談」を実施しました。この行動には、国公・社保協・弁護士・税理士・医師など91名が参加しました。年金や税金・登記、法律や人権問題などの行政相談には29件、健康相談には50件の相談がありました。
 街頭宣伝では、パンダなどのぬいぐるみを登場させ、600個の「へび風船」も子どもたちに大人気。同時におこなった署名行動では、各団体あわせて1千筆を集約しました。

○4会場で93件の相談が
 −−福岡県国公が「生活なんでも相談」−−
 【福岡県国公発】連休明けの5月12日、福岡県国公は地区国公と共同し「生活なんでも相談」を県下4会場(福岡・北九州・飯塚・久留米)でいっせいに開催しました。
 当初の「行政相談」の発想から、官民一体を意識し「生活なんでも相談」と名称を変更。相談内容は住宅建築、車検、登記、年金、労働・失業問題、税金、医療、介護保険問題など多岐にわたり、県労連加盟組合や民主団体の協力もえて、総勢90名が参加しました。
 事前の宣伝では、「新聞折り込み」ビラを10万世帯へ配布するとともに、北九州地域15万世帯への「新聞広告」、4大新聞の地域版「催しものコーナー」への掲載を実施。当日の会場周辺でもビラを配り、一部の会場では署名宣伝行動もおこないました。
 その結果、当日は4会場あわせて93件もの相談者を迎えました。アンケートには、相談活動の継続を望む声や、行政への要望も多数寄せられ、国民とともに歩く姿勢を積極的にしめすことの重要性を、再認識させるとりくみとなりました。

○相談と署名行動をリンク−−北海道国公
 北海道国公は5月12日、行政相談とリンクして宣伝署名行動を実施。血圧測定には100名以上の市民が参加しました。

○独自パンフを配って宣伝−−京都国公
 京都国公は5月19日、行政相談を実施。国民にわかりやすく、暮らしに役立つ生活情報や、国公加盟単組の行政機関情報などを記載したパンフレットを配布しました。

○各戸ビラ配布などを展開−−岐阜県国公
 【岐阜県国公発】公務員制度学習決起集会の確認をうけて県国公では、集中的に街頭宣伝行動や、早朝ビラ配布、団地等への各戸ビラ配布を中心に運動を展開しています。今後も国民世論に訴え、運動の発展をめざします。


●メーデー写真コンクール 全国から力作がぞくぞくと
 −−最優秀賞は全運輸の樋口さん−−

 国公労連では、全国各地で開催された第72回メーデーをメインテーマとした「写真コンクール」を実施しました。
 結果、19名からのべ71点の応募がありました。「IT時代」を反映して、デジタルカメラと電子メールを駆使した応募が、全体の4分の3を占めました。
 連合通信社のカメラマン亀井正樹さんの協力のもと、国公労連堀口委員長と教宣部で厳正に審査し、最優秀賞1名、優秀賞2名、佳作4名を選びました。
 審査にあたった亀井さんからは、入賞作品についての講評をいただきましたので、作品とともに紹介します。
 応募されたみなさんに、紙面を借りて感謝します。

○最優秀賞 「君に会えた感触」
 全運輸羽田航空支部羽田分会 樋口 賢さん


[評] メーデーをテーマにした作品では、集会やデモ行進に参加する仲間たちの力強い場面に焦点を当てた写真が多数見られますが、作者はあえて行事に流されず、自らの視点で撮影した作品6点応募しました。
 それぞれ独創的で丁寧に撮られており、審査でも論議になりましたが「君に会えた感触」を最優秀賞に決めました。ここにはゼッケンやプラカードなどいわゆる一般的なメーデーらしさは見当たらないのですが、親の職場の仲間たち?に囲まれて、ちょっぴり不安気な様子の子どもに「すっかり大きくなったのねぇ」なんて周りの声が聞こえてきそうな、ほのぼのした雰囲気が感じられます。

○優秀賞 「公務員制度改悪反対!」
 全運輸労働組合九州航空支部  稲村 栄治さん


[評] のぼり旗を気にしながらタテ位置のフレーミングで、正面からしっかり撮ってます。それだけに被写体一人ひとりの表情は柔らかいのに、力強さとボリューム感が見えてきます。「公務員制度改悪反対」という題名を付けましたが、問題の大きさに比べて被写体の組合員の様子が柔らかいのが気になります。題名をもうひと工夫すると作品が活きてくると思います。

○優秀賞 「21世紀 きみたちが主人公!」
 宮城県国公教宣部


[評] 保育士さんたちが散歩か、参加者としてか、乳母車を並べて子どもたちを連れて来たようです。面白いのは子どもたちが「おじさん、おばさんたち大勢集まって何してるんだろう」と興味深い様子で伺っている様子です。背景の建物など余計なものを切り詰めて、子どもたちと保育士さんにより絞って撮ると、主題が明確になってきます。


○佳作 「要求を張り付けたアドバルーンを持って参加した全通信東海支部の仲間」
 東海ブロック国公 増田 晴穂さん


[評] 画題が長く、むしろキャプションの感じがします。しかし中望遠を効果的に使い、行進する人々のボリューム感を引き出しています。


○佳作 「プラカードコンクールでアピール賞受賞」
 全運輸近畿航空支部神戸衛星分会  武田 吉光さん


[評] 記念写真的でありながら、ローアングルで威風堂々した雰囲気に近づいています。さらに徹底した広角ローアングルで3人だけを強調すると面白いかもしれません。


○佳作 「県国公のプラカードコンクールは残念賞」
 全労働兵庫支部 秋山 正臣さん


[評] 画題にもめげず、「宣伝物を作ってきたのは俺たちだけ」といわんばかりに存在感を誇示しているようです。スナップショットに終わらせず一味違った撮り方にすると、面白い作品になりそうです。


○佳作 「メーデーは5月、5月といえば...(帽子に注目)」 
 総理府労連教宣部 岩崎昭人さん


[評] 参加者が身につけたマスコットの鯉のぼりに着眼したのは面白い発見です。参加者の後ろ姿でなく、前からもうひと工夫して撮ると、よりいい作品になったと思います。

●メーデーの主役は参加する労働者たち
−−連合通信社写真部 亀井正樹
 メーデーという共通のテーマで撮影した力作が集まりました。大勢の人々が集う催しだけに、いい写真がとれる状況は用意されています。それに流されず自分が感じた場面をいかに切り取って表現していくかが大切です。
 出品作品には状況説明的な写真も見られました。ともすると傍観者的な感じに終わってしまいます。後ろ姿も多く見られましたが、メーデーの主役は参加する労働者たちです。正面からしっかりと、丁寧に撮ることが大事です。
 気心知れた仲間同士でもカメラを向けられると構えてしまうもの、時には声をかけながら撮ると被写体との心の距離感も縮まり、意外なシーンが撮れることもあります。
 また集会やデモ以外に前夜の準備、家族での参加者、市民との交流など視野を広げてメーデーを撮影するのも面白いでしょう。ニュース写真的なメーデーの様子は機関紙などで数知れず掲載されています。その枠を越え、自分が発見したオリジナリティーなメーデーの主題に近づいた時、単なるスナップやニュース写真の域から一つの作品へと昇華していくものです。


●活力ある青年部活動に向け熱い討論
−−「第8回青年組織と運動の交流集会」ひらく−−

 国公労連は、5月11・12日に、東京都内で「第8回青年組織と運動の交流集会」を開催しました。
 今回の交流集会は、「あるがままの青年層の実態をどう理解するのか」を最大のポイントとし、現在の青年たちがどのような考えをもち、労働組合がどのような対応していくべきかについて、加盟単組の基本組織と青年組織がともに議論を深めることを目的にしたもので、50名の参加がありました。

○今の青年たちは
 全労連西川征矢副議長の講演では、今の青年と接近し対話をすすめる上での問題提起として、青年が育ってきた時代背景や、現在の青年の意識について話しがされ、白木屋労組をつくって賃金不払いでたたかっている若い女性たちなどを例に、「労働相談や労働組合を作ろうとする青年は少しずつではあるが増えている」と報告され、国公労連小田川書記長は、国公青年労働者の現状や意識について報告をおこないました。

○要求実現こそ明日への活力
 「現代の若者の生き方・背景」をテーマにしたバネディスカッションでは、全日本学生自治会総連合(全学連)の小林昌弘委員長が、「全学連は、学生として学ぶために何が問題で、何が不足しているのかについて考え、要求の実現にとりくんでいます。また、学生の中には、いろんな人と交流したいという要望が強いことから、交流の場も設けています」と、全学連の活動の現状を報告しました。
 航空労組連絡会客乗連絡会の島田亜美さんは、「労働組合としては、身近な要求を大切にしており、青年・女性に限らず、要求の実現をめざして活動をしています。小さな要求でも取れれば、これからもがんばろうという気になります」と労働組合の大切さが話され、公務員の労働組合については、「スト権がないと、労働組合の活動でストレスがたまってしまうのでは」との印象を語りました。
 全国福祉保育労働組合の民谷孝則さんは、「労働組合としては、福祉を儲けの対象にしてはいけないという立場を持っています。また、青年部の活動については、たとえば、青年層だけでの中央集会の開催など、青年らしい大胆な行動が必要ではないでしょうか」との提案もありました。
 国公労連からは、青年協酒井常任委員が国家公務員の職場の状況や青年部としての活動について報告しました。
 2日目の分散会では、現在の青年や、自分の身近の青年層に対する考えなどについて活発に意見交換し、今後、職場の青年に対してどう接していくかについて議論を深めました。


●第35回国公労連行(二)労働者全国集会
 
 日 時  6月12日(火)13:00〜13日(水)12:00
 場 所  東京サニーサイドホテル  江東区東陽2−3−12
        (地下鉄東西線東陽町駅より徒歩2分)
        電話 03−3649−1211

 昨年の集会では、定員削減や政府の行(二)職員不補充方針が貫徹されるなど、きびし い情勢の中で、単組組織をこえた全国の仲間が交流し、今後のとりくみへの確信を深めてきました。
 今年の集会は、文化行事に「創作落語の夕べ」として桂三風師匠をまねきます。
 多くの仲間の参加により、じっくり交流すできる場にするため準備を進めています。


●ナショナルセンターと平和・民主団体の拠点
 −−全労連会館が完成−−

 21世紀のたたかう砦「平和と労働センター・全労連会館」が、このほど東京・文京区湯島に完成しました。すでに全労連などは「平和と労働会館」から「全労連会館」に引っ越しています。
 これまで全労連などが入居していた「平和と労働会館」(港区新橋)は、すでに建築から30年が経過し老朽化が激しく、耐震基準も満たしていませんでした。また、スペースが狭くて会議も外部を利用してたため、新たな土地に「平和と労働センター・全労連会館」を建て替えることになったものです。今後、たたかうナショナルセンターと平和・民主団体の拠点となるものです。
 なお、「全労連会館」の完成にあわせて、公務労組連絡会も、全労連会館6階に移転しています。


●真の男女共同参画めざし職場から運動をすすめよう
 女性の積極採用・登用を
 −−人事院が各省庁へ「指針」−−

 人事院は5月21日、「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を、各府省に通知しました。
 各府省では、育児休業制度の拡充など勤務環境の整備につとめ、2005年度までの目標をさだめた計画をまとめ、女性の採用や登用の推進のとりくみがせまられます。
 指針は(1)現在の女性の採用・登用状況を把握し、分析する、(2)「積極的改善措置」により男女格差を計画的に解消する、(3)採用・登用の拡大にむけ、目標と具体的なとりくみ方を盛り込んだ計画を定める、(4)女性、男性ともに職業生活と家庭生活の両立支援を推進し、働きやすい勤務環境の整備に努める、などを求めています。また、人事院は、各省庁のとりくみ状況を定期的に公表するとともに、苦情相談にも応じていくとしています。

○各府省が定める計画に要求を反映させよう
 職場の実態や働き方、国公労連の要求からすれば、指針の内容は充分とはいえませんが、公務職場における男女格差の是正と、女性国家公務員の地位向上にむけて、新たな第一歩となるものです。
 あわせて、指針が述べている「女性職員採用・登用の進捗状況や雇用状況・雇用環境の変化を踏まえた必要な見直し」にむけ、よりよい指針にしていく運動が重要です。
 とりわけ、人事院の指針にもとづき各府省が定める「計画」に、私たちの要求を反映させるとりくみの強化が必要です。人事院は、指針に基づく「計画」の年内策定を各府省に求めています。
 今後、真の男女共同参画社会の実現にむけて、男女ともに人間らしく働くルールの確立を求める運動を、職場から積極的にすすめていきましょう。


●読者のひろば
 −− 私のひと言

○理念なき政治家の言葉がマスコミに載る怖さ 全労働北海道支部総務課分会の方から
 最近の公務員制度改革には非常に危機感をもっています。
 それにしても「遅れず、休まず、働かずのような公務員には信賞必罰で辞めてもらうか給料を下げることができるようにし、引き換えにスト権を与えても良いのでは」などと言い出す、制度改革に何の理念もない政治家の情緒的な言葉がそのまま無批判にマスコミに載ることの怖さ。
 マスコミまでが理論的批判眼を失って、結局政府の煽動に乗ってしまっているような……。

○ジュンイチローではなく自らの手で未来つかもう 文部職組水沢分会の方から
 メジャーでのイチロー、新庄の活躍はリストラ、合理化の波にもまれている今の日本に、一服の清涼剤として我々に明るい夢を与えてくれている。
 さて、日本のジュンイチローは彼らのように我々に明るい未来を与えてくれるだろうか?
 いや、我々の手で明るい明日をつかむために、全国の仲間とともに一層の運動を強めていきたいと思う。

○今年も平和行進で核廃絶訴える 全運輸関東支部の方から
 今年も平和行進に参加して、核廃絶を訴えてきました。お天気で良かったなぁ〜。



●国公労連のメールアドレスが変わります!

 6月1日より国公労連のメールアドレスが変わります。一定の移行期間は旧アドレスでも使用できますが、いずれ使用できなくなりますので、ご注意ください。
 ★国公労連本部 mail@kokko.or.jp


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