●平均17000円(4.5%)引上げ
国公労連2002年春闘統一賃金要求(案)
国公労連の「2002年春闘統一要求」は、2月1日に開催される第113回中央委員会で決定されます。
「平均17000円(4.5%)」の賃上げなどの統一要求(案)のポイントをまとめました。職場での積極的な討議を呼びかけます。
|
〇賃金闘争は労働運動の原点
2002年春闘での賃金改善のたたかいは、とりわけ重要な意義をもちます。
(1)私たちの賃金闘争は、デフレ不況下の内需拡大に向けた組織労働者のたたかいの一環です。
(2)公務員制度改革による個別管理の強化、能力・成果主義賃金導入の動きが強まっており、それをはね返し、団結を強め、全員の賃金水準引き上げと公平な賃金決定を求めていかなければなりません。
(3)労働基本権の制約を当然とする政府の姿勢を変えさせるためにも、改めて賃金・処遇改善にあたっての使用者・政府の責任を追及することが重要です。
国公労連は、このような立場から、アンケートに示された組合員と家族の切実な要求を大切にして、政府に対する積極的な賃上げ回答を迫るとりくみをすすめます。
〇生活改善とともに不況克服を
アンケートをもとにした要求は、組合員の大多数の生活の実態を根拠にしたものであり、たたかいの基礎でもあります。
長引く消費不況や度重なるリストラの影響で失業率が5・4%にもなりました。また、パートや派遣など不安定雇用労働者が増えています。こうしたなかで、「大幅賃上げを勝ちとるのは無理ではないか」といった声も聞かれます。現に大企業労組の一部には、雇用か賃上げかといった選択を迫られるもとで、賃上げ要求を行わないところも出てきています。
しかし、多くの組合員は賃上げを望んでいます。公務の職場をみても、年収ベースで3年連続マイナスとなり、「生活が苦しい」と感じている仲間が7割弱となっています(図1)。こうした生活実感にもとづく要求でたたかうことなしには、雇用も賃上げも勝ちとることはできません。
図4 あなたの家の生活実態は?
(国公労連2002年春闘、わたしの要求アンケート結果から)
政府・大企業の賃金抑制攻撃が激しくなっているなか、私たちが賃上げ要求を掲げてたたかうことは、労働者ひいては国民全体の懐を暖める一助としても積極的な意義があります。
〇統一要求案の概要
「平均17000円(4.5%)」の賃上げと「V種初任給12000円(8.5%)引き上げ」要求を中心に統一要求案を提起しています。
2002年春闘に向けた「わたしの要求アンケート」の集約状況は、12月17日現在で64622人です。要求額を昨年と比較すると、1万円(17.9%)、1万円未満(9.5%)など低めの要求が昨年より増えており、3万円(26.8%)、5万円(14.1%)といった要求額は減少しています。とくに昨年は第3山となっていた5万円が1万円に逆転されたのが特徴です(図2)。
図5 2002年春闘でいくらの賃金引き上げを要求しますか
(国公労連2002年春闘、わたしの要求アンケート結果から)
そのようなアンケート結果をもとに、一人ひとり異なる賃金要求を「最大公約」し、6割以上の多数の仲間を結集できると考えられる「3分の2ライン」に着目して提起しました(表3)。
表3 2002年春闘賃金要求アンケートの傾向
(国公労連2002年春闘、わたしの要求アンケート結果から)
|
2002年春闘 |
2001年春闘 |
前年との比較 |
加重平均 |
28,500円 |
32,654円 |
−4,154円 |
並 数 |
26,435円 |
26,834円 |
−399円 |
中位数 |
25,261円 |
28,405円 |
−3,144円 |
3分の2ライン |
16,929円 |
21,529円 |
−4,601円 |
なお、全労連は、すべての労働者に15000円以上の賃金底上げを図ることなどを提起しています。
〇2002年春闘統一要求(案)の具体的な内容(抜粋)
1 賃金水準の大幅改善
国公労働者の賃金を平均17,000円(4.5%)引き上げること。
また、パート・アルバイト等の非常勤職員を含め、国公職場に働く労働者の最低賃金を月額相当150,000円(時間給1,000円、日額7,500円)以上とすること。
2 俸給表体系、手当などの配分
賃金改善にあたっては、初任給引き上げを前提に、世帯形成に伴う生計費の負担増と経験勤続年数に応じた賃金水準を維持する賃金体系を基本とした配分を行うこと。なお、初任給を以下のとおり 改善すること。
高卒V種初任給(1−3)は、153,900円とすること。
大卒U種初任給(2−2)は、186,400円とすること。
3 賃金体系などについて
(1)賃金体系について、世帯形成にともなう生計費の増大や、経験・勤続(専門性向上要素)に応じた体系を維持すること。
(2)前記の点をふまえ、行政職(一)表での俸給体系の目安となる級号俸の本俸改善を以下のとおりとすること。
<モデル賃金要求額>
年 齢 |
引き上げ要求額 |
要求率 |
本俸改善要求額 |
備 考 |
18歳 |
12,000円 |
8.5% |
153,900円 |
1−3 |
35歳 |
17,000円 |
5.9% |
303,300円 |
4−8 |
45歳 |
19,000円 |
4.9% |
405,600円 |
6−14 |
(3)定期昇給制度の改悪は行わないこと。
(4)公務の特性、公共性をそこなう能力・実績重視の給与制度への見直しは行わないこと。短期的な(実績)評価結果を直接的に賃金に反映させる給与制度の改悪、運用の「見直し」を行わないこと。
4 一時金は、現行水準の切り下げを行わないこと。また、「役職別傾斜支給」及び「管理職加算」をやめること。一時金への業績反映を行わないこと。
5 「同一労働同一賃金」の原則による全国共通の賃金制度を堅持する立場から、地域間格差を直接反映させないこと。
|