国公労新聞 第1105号

●政府・人事院が最終回答
 

 国公労連は3月19日、全国統一行動として、早朝や昼休みに屋外での時間外職場集会を、各地で展開するとともに、政府・人事院と最終交渉を行いました。
 財界が「ベアゼロ・賃下げ」攻撃を強め、小泉「構造改革」がこれを後押しするなか、「雇用、くらし、いのち」を守るため、春闘後段のとりくみが重要な局面にきています。

〇生活実態を無視した「従来回答」 −−子どもの看護休暇は5日以内−−−
 3月19日に政府・人事院は、国公労連の「2002年春闘統一要求書」に対する最終回答を行いました。
 その内容は、「子どもの看護休暇」については、要求に照らして不満は残るものの「年5日の範囲内での特別休暇」として4月から実施するという前進的な回答も含まれています。

▼マイナス勧告の危険性に言及
 しかし、「17000円(4.5%)の賃上げ」や「賃金3目標」などの賃金要求については、「労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を維持尊重」(政府)、「官民較差に基づき適正な給与水準を確保」(人事院)とする従来回答に固執し続けています。 一方、3月13日を中心に行われた民間大企業の賃金回答は軒並み「ベアゼロ」であり、経営側が回答直後に、賃下げや定昇の「凍結」を逆提案しています。このような春闘状況からすれば、「人勧制度尊重」、「民間準拠」との政府・人事院の回答は、マイナス勧告とその「完全実施」の危険性に言及したものと受け止めざるを得ません。
 国公労連は、2月15日に政府・人事院に要求を提出して以降、2年連続の俸給表改定「見送り」、3年連続の一時金切り下げなどの結果、国公労働者と家族の生活悪化を招いている状況や過酷な定員削減の下で長時間過密労働が蔓延し、「過労死」の危険性が高まるほど労働実態は深刻化していることを強く主張してきました。
 しかし、政府・人事院の「回答」は、そのような生活や労働実態をふまえた切実な要求に背を向ける受け入れ難いものです。

▼不当な回答はねのけ、休暇宣伝行動で結集
 国公労連は「4・12国民総行動」に、全組織と組合員参加の休暇宣伝行動で結集していきます。
 政府・人事院の不当な回答をはねのけ、行政減量化、公務員制度改悪、医療制度改悪などの「構造改革」の流れを変えるためにも、この「国民総行動」の成功に全力をあげることが求められます。

▼「大綱」の撤回・修正迫るとりくみを
 鈴木宗男議員の利権あさりや加藤紘一議員の機密費流用疑惑、徳島県知事収賄事件など相次ぐ「政官財ゆ着」の構造に国民の怒りが高まっています。そして、そのようななかで、「公務員制度改革大綱」の非民主的側面が浮き彫りになっています。
 「キャリアによるキャリアのための制度改革」に反対し、民主的公務員制度の確立を求めてきた国公労連の主張と運動の正当性をあらためて確認し、「大綱」の撤回・修正を迫る職場・地域からのとりくみをさらに強めていきましょう。

●子どもの看護休暇を新設 −−2002年4月1日から実施

 3月25日、人事院は2002年4月1日から特別休暇として、子の看護のための休暇を新設し、人事院規則の改正を行いました。
 国公労連は3月22日に人事院交渉を行い、看護休暇の制度内容について説明を求めました。主な内容は以下のとおりです。

【「子どもの看護休暇」説明の内容】
▽根拠
 特別休暇のひとつ(有給)として人事院規則で定め、4月1日から実施
▽休暇の対象(要件)
 小学校就学前の子どもを看護する場合で、勤務しないことが相当と認められる場合(配偶者の連れ子も可。孫・親は不可)
▽休暇の日数
 暦年で5日の範囲内(分単位で取得できるが、計算は1回につき1日として扱う。最多で5回)
  ※職員1人が年5日まで取得可。子どもが複数いても5日
  ※育児休業などで年の途中で復職した場合でも、5日
▽休暇の際の証明書の提出等
 特に要しない(病気休暇で休む場合に近い)
▽非常勤職員…対象外

●愛媛県国公 3・19早朝職大を開催
 【愛媛県国公発】

 愛媛県国公では、3・19早朝時間外合同職場集会に全労働、全法務、全通信を中心に約120名が結集しました。
 冒頭、沖上県国公議長から「地域で奮闘してきたが、民間の状況は厳しいものがある。4・12行動に向けて、国公労働者の役割を果たし、奮闘しよう」とあいさつがありました。
 次に愛媛労連の田福議長から「キャラバンを通じて、今春闘の厳しさを実感している。これまでも国公のみなさんに奮闘していただいているが、引き続き先頭に立ってご奮闘をお願いしたい」と連帯のあいさつがありました。
 続いて山内事務局長による情勢報告、解雇の撤回と職場復帰に向けて裁判でたたかっている奥道後温泉観光バス労組、社長の無責任な債権譲渡により倒産に追い込まれ、労働債権の確保と企業の再建に向けてたたかっている野本製函支部から支援の訴えがありました。 最後に決議文を2本採択し、山田副議長の力強い団結ガンバローで閉会しました。


●雇用、くらし、いのちを守るため奮闘しよう
 
「休暇宣伝行動」をバネに、「ブロック連鎖キャラバン」へ 
 2002年春闘前半のたたかいは、「賃上げは論外、定昇見直しを含む賃下げ」とする財界・大企業の主張が「貫徹」されつつあります。中小企業の状況はより深刻で、「トヨタですらベアゼロ」「電機では定昇ストップ」などと定期昇給の「凍結」や「見直し」とする回答が増えてきています。
 小泉内閣は、産業再生法などでリストラを支援し、不良債権の早期処理で中小企業つぶしの悪政をすすめています。さらに、国民に激痛を強いる医療制度改悪法案を3月1日に国会に提出し、4月上旬にも法案審議を開始しようとしています。
 また、日本の有事を想定し、国の戦争体制をつくる「有事法制」法案を、今国会で成立させる動きも加速しており、小泉「構造改革」は、国民生活を最重視する国ではなく、競争による弱肉強食の社会システムを作り上げ、「戦争をする国」へ回帰するものであることが明らかになっています。

〇国民いじめの小泉「構造改革」ノー
 「国民総行動」は、このような悪政をはね返し、一気に小泉内閣を追いつめる重要な意義を持つ行動です。
 いま、ストライキで決起する労働組合の呼びかけにこたえ、「国民いじめの小泉『構造改革』ノー」「医療制度改悪反対」のたたかいに、開業医、商工業者、農民などの団体も立ちあがっており、着々とその準備が全国の職場・地域ですすんでいます。

〇すべての組合員が最大限の奮闘を
 この国民総行動に国公労連は、8日から12日までの「休暇宣伝行動」で結集することとしており、県国公を中心に各戸ビラ配布や街頭宣伝などとりくみの具体化がされています。
 国民的な緊急課題であると同時に、国公労働者にとっても「雇用・くらし・いのちを守る4・12国民総行動」を成功させることは、自らの生活改善のたたかいです。
 すべての組合員の最大限の奮闘により「国民総行動」を成功させるとともに、これを起点に4月15日から5月10日までの「小泉内閣の医療切り捨て許すな!国立医療『民営化』反対、民主的公務員制度確立」をめざす「ブロック連鎖キャラバン行動」を成功させましょう。

●職場から「憲法遵守職場宣言」を −−国民総動員の有事法制許すな−−

 政府は3月20日、今国会に提出する有事法制の骨格を与党三党に示しました。
 その内容は、首相を頂点に国会を排除し、地方自治体や民間まで動員できるようにするというもので、国の戦争体制をつくるものです。同時に、国民の強制動員の狙いも明確で、物資の保管命令に従わない者など戦争協力を拒否する民間人に対する「罰則規定の整備」も盛り込まれています。
 有事法制は、平和憲法を無視し「戦争を行うため、すすめるための法律」であることは明らかです。

〇公務員制度改革大綱は憲法を無視したもの
 また、私たち国家公務員は、憲法を「尊重し擁護する」(第99条)義務があります。
 昨年末閣議決定された公務員制度改革「大綱」は、憲法が求める「全体の奉仕者」としての公務員制度をないがしろにし、政治主導による行政の強化をさらにすすめるとともに、能力・成績主義賃金の強化や、各省による人事管理権限の拡大などにより、当局の施策に対してものを言えない公務員づくりを加速させるものです。

〇憲法の学習と討議をすすめよう
 国公労連は、今年も「憲法遵守職場宣言」のとりくみを行います。
 4月1日以降、「憲法と公務員制度改革」「憲法と有事法制」など、憲法を主眼に置きながら、自らの職場の問題と絡めた様々なテーマでの創意工夫した憲法学習・討議をすすめ、5月2日までに「憲法遵守職場宣言」を採択します。
 採択した「職場宣言」は、壁新聞やポスターなどで組合掲示板に掲示したり、職場ビラ宣伝などへの活用を提起しています。
 憲法を遵守する義務のある国家公務員として、また、憲法にもとづき行財政・司法の民主化をめざす国公労働者として、職場を基礎に「憲法遵守職場宣言」運動をすすめましょう。

●多摩地区で独法総決起集会ひらく

 3月15日、調布市の航空宇宙技術研究所において、多摩地区独立行政法人総決起集会が、3単組35名の参加で開催されました。
 集会では、NTT武蔵野研究所での「成果主義賃金」導入により、大多数が賃下げとなっていることが報告されました。
 また、各単組からは今春闘でのとりくみの現状と課題について報告があり、交流を深めるとともに、たたかいへの決意を固めあいました。

●国公労調査時報 4月号の広告

 (定価 450円、年間購読料 5,850円)
特 集 司法制度改革問題 −司法制度改革学習研究集会−
 ○記念講演 「司法改革と私たちの取り組みの方向と課題」
       日本弁護士連合会副会長 高橋 勲
 ○単組報告−全司法/全法務/全労働
 ○国公労連の問題提起
政府・財界の科学技術政策の特質
       元茨城大学教授 岩田 進午
公共一般の組織化の特徴とたたかいの教訓
       東京公務公共一般労働組合中央執行委員長 白神 薫
 ◎ 購読に関する問い合わせは、国公労連教育宣伝部まで
   電話:03-3502-6363
   e-mail:jihou@kokko.or.jp

●国立病院の縮小「合理化」は許せない
 「独立行政法人国立病院機構法案」を閣議決定

【全医労発】
 国立病院・療養所の再編成「合理化」が発表された1986年当時、厚生労働省は「概ね10年で統廃合を完了する」としていました。
 これに対し、国民の健康権・生存権を保障すべき厚生労働省が自ら運営する国立病院の縮小「合理化」に、「こんなことは許せない!」と、全国各地で患者さんや地域住民、民主団体、労働組合などが地域医療と国立病院を守る会を結成して運動をすすめてきました。
 その結果、当初計画どおりに進行していませんが、政府・厚生労働省は2004年度の国立病院・療養所の独立行政法人化までに、統廃合・移譲を完了させるとしています。

〇独法化により患者サービスは低下
 国立病院・療養所を独立行政法人化するための「独立行政法人国立病院機構法案」が、3月22日に閣議決定されました。
 法案では、独立行政法人国立病院機構(以下、機構)を設立し、その目的を「医療の提供・調査及び研究、技術者の研修などの業務を行うことにより、国の医療政策として機構が担うべき医療の向上を図り、公衆衛生の向上及び推進に寄与する」としています。
 しかし、その一方で施設ごとの業務評価ができるよう財務諸表の作成により経理を明確化させ、評価委員会に提出し意見を聞かなければならないこととなっています。
 採算性と経営効率の名のもとで、結核や難病、重症心身障害・筋ジストロフィー、救急医療など、「不採算医療」が切り捨てられ、患者へのサービスが低下していく危険性があります。

〇医療制度改悪と独法化を阻止
 今通常国会には、サラリーマン本人3割負担やお年よりの自己負担を増大させる「医療制度改革法案」が提出されており、いよいよ衆議院で審議が始まろうとしていますが、審議が会期末のギリギリまで続く可能性があるなかで、与党は「独法化法案」の審議について、参議院先議にしようとしています。
 全医労は、医療制度の改悪と国立病院・療養所の統廃合・移譲、独立行政法人化を阻止するため全力をあげます。

●国民のための司法制度の確立を −−「改革推進計画」を閣議決定−−

【全司法発】
 2001年11月の司法制度改革推進法の成立を受け、小泉首相は自らを本部長とし、すべての国務大臣を本部員とする司法制度改革推進本部を設置しました。現在、同本部では10テーマの検討会を設置し、必要な法律案の作成などをすすめています。
 こうしたなか、政府は3月19日、司法制度改革に関する基本的な制度設計の方向性を示す「司法制度改革推進計画」を閣議決定しました。その内容は司法制度改革審議会の最終意見書をもとに、司法制度改革推進本部内での議論動向をふまえたものになっています。

〇最高裁としての対応にも変化が
 最高裁は、これまで司法制度改革に関して、裁判所の独自性を強調していましたが、「推進計画」の決定を受け、裁判所制度を中心に司法制度改革の方針を打ち出すなど、最高裁としての司法制度改革への対応を転換しています。
 今後は、2004年までの間、最高裁を含めて「推進計画」を指針として、司法制度改革の具体化がはかられていく予定です。

〇司法と行政の権限の委譲論議も
 司法制度改革に関しては、財界が主張する新自由主義経済体制を補完し、効率化・迅速化を中心とした改革を許さず、真に国民による、国民のための司法制度を確立していく政策と運動が重要な課題となっています。
 また、今回の司法制度改革に便乗するかたちで、精神障害者に対する審判機関の創設問題が急浮上しています。しかし、この問題は国民の基本的人権や権利保障に直接関係するものであり、単に司法制度改革の範疇だけで論じられるものではありません。こうした動きにも注意が必要です。
 さらに、司法と行政の権限の委譲の論議もおきています。「推進計画」は裁判所に労働調停を創設することを明記していますし、特許審判の裁判所への権限移管も論じられています。司法と行政の分担や役割の十分な論議もなく権限のみの委譲が論じられることは、問題があるといえます。
 司法制度改革は始まったばかりといえますが、全司法では、対案提示を含めた国民的な運動をすすめていきます。

〇お知らせ
 司法制度改革シンポジウム
 日 時  5月24日(金) 18:00〜
 場 所  弁護士会館 クレオホール(千代田区霞が関1−1−3)
 主 催  国公労連
 内 容  ADR(裁判外紛争処理制度)、行政審判、労働関係裁判を中心に一定の見解の表明を行います。 

●[鶏口] −−「国際競争力強化」論のまやかし−−

 主要企業での「ベアゼロ・賃金回答」が、3月15日までに出そろった。特筆は、トヨタ自動車で、史上空前の収益が見こまれるにもかかわらず「国際競争力強化のためベアには応じない」などとしたことである。
 「日本株式会社と交渉しているみたいだ」と、トヨタ自動車労組の幹部が発言したといわれるように、日経連・奥田会長(トヨタ出身)の強い「指導」があったことをマスコミが報道している。
 春闘回答で「賃金体系維持」を確保したとされる電機では、間をおかず、5%賃下げ(日立)、定昇凍結(松下、NEC)などの逆提案が行われている。このような状況に、連合ですら「極めて不満」、「(定昇凍結などは)大いに遺憾」との談話を出さざるを得なかった。
 2002年度、大企業の経常利益(連結決算)は、「『リストラ効果』で56%増」といわれる(野村証券金融研究所)一方、2002年(暦年)の日本のGDP(国内総生産)がマイナス1.5%で、デフレ状況から脱却できないとする予測がある(世界銀行)。
 生産拠点の海外移転で、「国内総生産額4兆円、雇用15万人分が減少(2000年から2002年の3年間)」とする調査結果を経済産業省が明らかにしている。
 電機、自動車などの企業が、中国などに生産拠点を移転させ、国内ではリストラ「合理化」を加速させていることが、「企業は高収益、日本経済はデフレ」状態の元にある。
 中国などに進出した「現地企業」からの「日本への逆輸入」の割合は、欧米系現地法人の「母国」への「輸出」割合に比べて特段に高い(約12倍)。日本の年間輸出額の3分の1は、トヨタ、ソニー、本田、キャノンなど10社に集中している。「国際競争力強化」の実際は、一握りの大企業の競争力強化にほかならならない。
 このような大企業に、「3%賃上げで日本経済浮上」(元ドイツ大蔵次官)とする緊急提言は、どのように映るのであろう。「(デフレで)実質賃金が上がっているのでベアゼロは妥当」としてはばからない学者出身の国務大臣発言を金科玉条に、労働者・下請けいじめをさらに強めるのであろうか。

●<連載> 憲法を考える  No.5
  港の規制緩和と軍事利用許すな−−港湾労働組合 執行委員長 板倉 隆さん

〇国民生活の安全守る社会的規制を
 港湾の職場は、今年から元旦を除く364日を24時間稼働しており、横浜港では年末年始も27隻の荷役が行われ多くの仲間が出勤しました。
 港湾では2000年10月に港湾労働法、11月に港湾運送事業法が規制緩和され、今次通常国会では、「物流二法」の改定が審議されようとしています。
 物流二法が施行されて10年が経過した今日の状況は、荷主の輸送コスト切り下げ圧力によって、港湾運送料金や海上コンテナ輸送料金のダンピングが繰り返されてきました。
 こうした実態を放置して、さらに規制緩和をすすめることは、荷主の物流子会社などの新規参入を容易にし、一層競争を激化させ、中小・零細業者の経営と労働者の雇用と生活に大きな影響を与えることとなります。コスト切り下げ策による低料金の押しつけは、安全無視の長時間過密労働の押しつけとなり、事故の多発につながります。
 同時に、港湾運送事業は、港湾貨物の正確で安全な「受け渡し」を正業としてきましたが、利用運送業者が一貫請負(利用運送業者が陸・海・空を使って運送を請け負う)をした場合、港湾における受け渡し行為を曖昧にし水際でのチェック機能を弱め、麻薬・拳銃などの社会悪物品や危険物がチェックなしで素通りする危険性が指摘されます。私たちは、国民生活へも重大な影響を与える規制緩和ではなく、「安心・安全」を守る社会的規制を一層強化すべきだと考えます。

〇港湾施設を軍事転用、危険な「有事法制」
 また、政府が今国会に上程を準備し、法案成立を狙っている「有事法制」も重大な課題です。
 この「法案」はアメリカが引き起こす軍事行動に国民を総動員することを合法化するものであり、特に港湾施設は、航空・海運・病院などと共に、まず最初に強制執行による軍事転用、港湾労働者の徴用などが行われ、兵站(へいたん)基地や、前線基地として使用されることとなります。
 こうした危険な法案の成立を許し、「周辺事態」が発生するならば、「コソボ」の時のギリシャの港、朝鮮戦争の時の日本の港がそうであったように、港は軍需物資で埋め尽くされ、商業港としての機能は麻痺します。「産業空洞化」によって生活物資の多くが海外生産され、食糧自給率が40%を切り、60%以上を輸入に頼っている日本の現実。
 国民生活に多大な影響を及ぼす「有事法制」に反対し、港の軍事利用ではなく、平和な商業港として一層発展させることが求められています。

 

●国公労連 役員の横顔 No.11

 
 ○黒田 健司中執(全気象出身)
   新天地で模索する日々

 いよいよ国公労連の役割は大事になる。ぜひあんたに来てほしい││全気象の野澤前委員長の強引な押しに負け、広島地方気象台を退職して94年に東京に出てきた。
 翌年、阪神・淡路大震災が発生。被災地に全労連が開いた労働相談所で、のべ1か月にわたり相談員として悪戦苦闘。
 親兄弟を亡くし、あげくに会社をクビにされても、くじけず、前を向いて生きる神戸の人たちに逆に励まされた。「労働者は、心の奥底で深くつながり合っていると実感した。たたかうことの重みを身をもって理解した」という。  昨年から公務労組連絡会へ。組織は56万人にひろがったが、そのぶん現場から遠くなった。職場の仲間と話す機会も減ったとさびしがる。
 組合員の顔は見えているか、声は聞こえているか?いまや遺志となった野澤さんの熱い想いに応えようと、「新天地」で模索する日々が続いている。


 
 ○津田 久則中執(全建労出身)
   シャイな青年が運動でめざめる

 人前にでるのが恥ずかしいシャイな青年だった。しかし労働運動が彼を変えていく。
 83年、建設省九州地方建設局・筑後川工事事務所に。当時は人事院勧告凍結・値切りが強行され、痛烈な公務員攻撃の時期。ブリジストンの社宅や団地に足を運び署名を訴え、地道にこつこつ職場活動を実践した。以来、労働運動の歴史が深い筑豊の直方で、支部書記長として鍛えられ、組合の大切さを学んだという。
 転換点は94年、31歳で国公九州ブロック事務局長になった専従時代。単組を越えた地域運動の重要性を身をもって実感する。国立病院2交代制導入反対闘争では、ダンボールを敷き夜を徹して3日間座り込んだことも。
 98年、国公労連中執に。行革対策部、独法対策部そして現在は公務員制度改革闘争本部事務局と、国民のための行政とは何かを自らに問いかけながら日々奮闘している。
 趣味は「老後の楽しみに」と始めた写真。行動にカメラ持参ということも。国公労連書記局の某同好会では一番偉いSOUSAI(総裁)。


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