●歴史的、画期的なILO勧告
全労連の主張を全面的に受け入れ、日本政府を厳しく批判
日本の現行の公務員制度が、ILO87号条約(団結権)、98号条約(団体交渉権)に違反すると断定し、消防職員の団結権など7点(別表・勧告参照)について、結社の自由原則に合致させる方向で法律改正を求めるという、歴史的、画期的「勧告」が、11月21日にILO理事会で採択されました。
「勧告」では、公務員制度改革に関わって、労働基本権を維持するとしている日本政府の考え方に対し、「再考」を求めています。
また、日本政府に対して、国家公務員法の改正の内容がILO条約の原則に合致するものとなるよう要請しており、関連法案の写しを提出することなども求めています。
全労連の提訴に対する今回の「勧告」は、その主張を全面的に受け入れ、これまでのILO総会や委員会での議論を包括的に整理して、より具体的で踏み込んだ内容となっています。
また、日本政府のこれまでの主張を全面的に退けており、現在の日本の公務員制度と公務員制度「改革」の進め方に対して、極めて厳しい批判がされています。
「勧告」に対して日本政府は、「我が国の公務員制度について、ILO条約違反である旨言及された点については、我が国の実情を十分理解した判断とは言えず、従来のILOの見解と異なる部分もあることから、承服しがたいものと考えている」(総務省見解)との不当な態度を示しています。
通常国会での国家公務員法改悪案の提出阻止も視野に、勧告に沿った公務員制度改革を日本政府に迫るたたかいの強化が重要となっています。
〇ILO結社の自由委員会の勧告(要旨)
「勧告」では、公務員制度改革の理論的根拠及び内容に関して、「この問題についてのより広い合意を得るために、また、法律を改正しそれを結社の自由原則に合致させるようにすることを目的として、すべての関係者との全面的で率直かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する。これらの協議は、日本の法令及び慣行またはいずれか一方が条約第87号及び第98号の条項に違反していることについての、以下の問題にとくに焦点をあてるべき」としています。
(1) 消防職員及び監獄職員にみずからが選択する団体を設立する権利を認めること
(2) 公務員が当局の事前の許可に等しい措置を受けることなくみずからの選択による団体を設立することができるよう地方レベルでの登録制度を改めること
(3) 公務員組合に専従組合役員の任期をみずから定めることを認めること
(4) 国家の施政に直接従事しない公務員に結社の自由原則に従って団体交渉権及びストライキ権を付与すること
(5) 団体交渉権及びストライキ権またはそのどちらか一方が結社の自由原則のもとで正当に制限または禁止されうる労働者に関しては、みずからの利益を守る根本的手段を与えられないこれら職員を適切に補償するために国及び地方レベルで適切な手続及び機関を確立すること
(6) みずからのストライキ権を正当に行使する公務員が民事上または刑事上の重い刑罰を受けることのないように法律を改正すること
(7) 政府が公務員における交渉事項の範囲について、労働組合との意味のある対話にとりかかること
さらに、「勧告」では、「委員会は日本政府に対し、国会に上程しようとしている法律案の写しを提出するよう要請する」などとしています。(全労連・仮訳)
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〇国内での運動強化を確認 −−闘争本部が緊急報告集会ひらく−−
ILO結社の自由委員会勧告が出されるなか、全労連「公務員制度改革」闘争本部は11月21日、「ILO緊急報告集会」を東京都内で開催し、民間労働組合も含め約100名が参加しました。
集会では、ILO勧告という新たな情勢をふまえ、あくまで「公務員制度改革」をねらう政府を世論と運動の力で包囲するとともに、労働基本権回復など民主的公務員制度確立のたたかいをいっそう強化していく重要性を意思統一しました。
闘争本部の岩田事務局長は、「政府は『中間報告』だから無視するとの姿勢だが、ILOの意図は勧告に沿った改革が進むかどうか監視を継続するという意味だ」と、今回の勧告の重みを具体的に示しました。
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●許すな!退職手当切り下げ、定員削減
−−第3次中央行動 1600人が総務省を包囲−−
国公労連は、11月21日に第3次中央行動を実施し、単組の上京団や東北ブロック国公の貸切バスでの独自上京団の仲間など、1600人が多彩な行動を展開しました。
昼休みの総務省前での要求行動で、堀口委員長は「年金改悪など、国民に痛みを押しつける小泉『構造改革』反対のたたかいと一体で、退職手当引き下げ反対、増員要求実現のたたかいをいっそう強めていこう」と呼びかけました。
総務省に怒りのシュプレヒコールをぶつけた後、「総務省前座り込み行動」「労働条件関連予算を増やせ!財務省要求行動」「民主的な公務員制度を確立しよう!行革推進事務局要求行動」にとりくみ、総務省前にはブロック・県国公の仲間を中心に120名が座り込み、総人件費抑制に固執する総務省を厳しく抗議しました。
その後、日比谷野外音楽堂で、中央総決起集会を開催、霞が関〜行革推進事務局前〜芝公園を要求アピールデモ行進し、中央行動を終了しました。
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●国公労連第115回拡大中央委員会
と き 12月13日(金)〜14日(土)
と こ ろ 全国教育文化会館 エデュカス東京
議 題 2003年春闘方針(案) ほか
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●国民的視点で行政民主化を
−−国公労連行政研究推進集会を開催−−
構造改革検証し「政策提言」めざす
国公労連は、11月23日、東京都内で「行政研究推進集会」を開き、各単組、ブロック・県国公など113名が参加しました。
この集会は、来年秋に予定している「国公労連行政研究集会」に向けて、各単組の行政研究活動の中間的集約と交流を行い、今後1年間のとりくみの方向を確認することを目的に開催したものです。
午前中の記念講演で、全労連の寺間誠治総合労働局長は「雇用や地域経済を破壊する国の政策が進められているが、労働者・国民の生活を改善するうえで、国公労働者の行政研究活動の重要性は高まっている」と指摘し、日本大学の永山利和教授は、「危機的状況にある日本経済・国家財政を改善するには、国民的視点での公共事業の民主化が必要。そのために公務員労働組合の役割は大きい」と期待を述べました。
午後は、12単組からそれぞれの分野での規制緩和や経済政策の問題点など、これまでの行政研究活動の状況について、また、愛知県国公からは行政懇談のとりくみについて報告がされ、小泉「構造改革」の実態、とりわけ、国際競争力を優先し、企業の負担軽減のために進められている施策の実態が明らかになりました。
最後のまとめでは、国民犠牲の悪政のなかで、公務員労働組合として行政研究活動が重要となっており、来年秋の行政研究集会のテーマを、「構造改革路線の検証」として成功させるとともに、「政策提言」をめざし、各単組のとりくみを強化していくことを全体で確認しました。
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●小泉「改革」NO! −−全労連11・20統一行動を展開−−
全労連は11月20日、全国統一行動を展開しました。東京では「小泉『改革』NO!雇用・くらし・いのち・平和を守る」中央総決起集会を日比谷野外音楽堂で開催し、3000人が結集(写真上)。国公労連をはじめとする公務労組連絡会の仲間は、参加者一人ひとりに「公務員制度署名」を訴え、2時間で2116筆の署名を集約しました。
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●大盛況!行政相談
〇富山県国公「目に見える」とりくみで地域から行政民主化
【富山県国公発】
富山県国公は、ブロック連鎖キャラバン行動の一環として11月10日、「アピタ富山店」で秋の行政相談を開催しました。相談件数は37件、血圧測定は22件でした。相談員には民医労、自由法曹団、社労士、税理士など地域の仲間の協力も得て、あわせて22名で実施しました。
今回は、各コーナーに次々と相談が寄せられ、行政に対する率直な意見や要望も聞くことができました。富山県国公は、これからも相談会を重ね、地域の中で、行政民主化を「目に見える」ように積極的にとりくんでいきます。
〇熊本県国公 マスコミ報道され大きくアピール
【熊本県国公発】
熊本県国公は11月23日、10単組26名と弁護士、税理士の参加で「行政よろず相談」を熊本市内で開催しました。事前に宣伝ビラを3万枚作成し、各戸配布、11・20統一行動での早朝宣伝、地元新聞への折込を実施し、新聞2紙とNHKニュースで開催告知の報道がされました。
当日は、順番待ちも出るほどで、相談件数は51件ありました。相談者からは、「人に言えない悩みを相談でき大変助かる」「この活動はぜひ続けて欲しい」との要望がよせられました。また、地元「熊本日日新聞」にも掲載され、地域へのアピールという点でも大きな成果がありました。
熊本県国公は、今後も地域住民との「対話と共同」を進め奮闘していきます。
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●イラク攻撃・有事法制反対、大集会に全国から3千人 −−東京で日本平和大会−−
アメリカによるイラク攻撃をめぐる動きと国連安保理決議など新しい状況のもとで、2002年日本平和大会が11月21日〜24日、東京都内で開催されました。
最終日の11月24日には、日本平和大会の閉会集会として「ストップ!イラク攻撃、許すな!有事法制」大集会が東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から3000人が参加しました。
平和活動で奮闘する青年や女性、労働組合、海外代表などから活発な発言が次々出され、「平和を私たちの手で守ろう」と、日本と世界の運動の共同を広げる新たな決意の場となりました。 集会後の銀座パレードでは、「イラク攻撃あかん」など創意工夫したプラカードを持ち、銀座を歩く都民にアピールしました。
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●最高裁、全医労の上告棄却 −−いのち守る裁判−−
ILO勧告無視した不当判決
最高裁判所は11月26日、「11・13医療労働者の人権回復・いのち守る裁判」において、全医労の上告を棄却する不当判決を下しました。この裁判は、全医労が91年11月13日、人事院判定実施のための看護婦増員を求め全国237支部で行った時間内職場大会に対し懲戒戒告処分を強行した厚生省(当時)を相手として、その取消を求めたものです。
判決後、竹澤哲夫弁護団長は、「11月21日に公務員にスト権を付与するよう求めたILO勧告が出たにもかかわらず、非常に遺憾」と記者会見。
また、国立医療闘争委員会(全医労・国公労連・医労連・全労連で構成)は声明を発表し、「判決は、憲法の保障する労働基本権、ILOの国際労働法にも反するもの」として強く抗議しました。
全医労は、国民の医療と患者の安全を守るため、引き続き、たたかいを強化していきます。
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