●「権利制約」を見直せ! −−ILOが再勧告−− 追いつめられた日本政府
6月20日、ILO(国際労働機関)理事会は、全労連などが昨年3月に提訴していた「公務員制度改革」にかかわる案件について、(労働基本権制約の現状維持とする)公務員制度改革「大綱」を「再考するようあらためて強く要請する」とした結社の自由委員会の「報告・勧告」を採択しました。
公務員の労働基本権制約に固執し続ける日本政府が、昨年11月に続き、国際社会から厳しく糾弾されることになりました。
「勧告」の内容は、政府が進めている公務員制度改革の中で、監獄職員の団結権や、(国の行政に直接従事しない)一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障することなど、国際労働基準にしたがった改革を進めることをもとめ、関係労働組合との全面的な協議を強く迫っています。
これは、昨年11月のILO「勧告」に対し、「(ILOの)過去の見解と異なる」「(日本の)国内事情に配慮していない」などとして反論をおこなうとともに、「承服しがたい」とした日本政府の主張と姿勢が、全面的に退けられたことになります。
〇法案提出を画策する政府・推進事務局
政府・行革推進事務局は、公務員の労働基本権に対して頑迷な姿勢をとり続ける一部政治家の圧力も利用しながら、延長国会での法案提出を引き続き画策しています。6月23日、ILOの「再勧告」もふまえ、国公労連が「法案閣議決定の断念」を迫ったことに対し、「法案の今国会提出にむけて準備を進めるという政府の方針に変わりはない」と強弁しました。
また、一部マスコミ報道では、政府と連合が、労働基本権問題での「政労協議の場」を設置することで「合意」したとし、「法案の国会提出」を示唆するものもあります。
ILOが求めているのは、「大綱」にこだわらない「(全ての)関係者との協議」であり、一当事者でしかない連合だけを相手とした「差別的な協議」ではありません。
また、この間の国公労連と推進事務局との交渉でも明らかなように、能力等級制など提出がめざされている関連法案の「中身」も、いたずらに職場の人事管理を混乱させる「ずさんな内容」です。労働基本権だけではなく、「大綱」全体が、一から見直す必要があるのです。
道理も大義もない「大綱」の矛盾と問題点を明らかにし、関連法案の国会提出を許さないたたかいは重要な段階を迎えています。
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●ILO結社の自由委員会中間報告(勧告部分の要旨)
ILO第287回理事会(2003年6月20日)採択
(a)委員会は政府に対し、公務員の基本的権利に対する現行の制約を維持するという、その言明した意図を再考するよう改めて強く要請。
(b)委員会は、日本が批准している87号および98号条約に具体的に示されている結社の自由原則に合致した公務員制度改革および法改正に関して速やかに合意に達するよう努力すること、また、この点に関してひきつづき通知することを、再度、関係者に対し強く要請する。協議はとくに次の問題に焦点をあてるべきである。
(1)消防職員及び監獄職員に団結権を保障する
(2)地方レベルの公務員が、登録制度実施の結果として過度の細分化を 被ることなく、自ら選択する組織を結成できることを確実にする
(3)公務員団体が専従組合役員の任期を自ら定めることを認める
(4)公務員が団体交渉権および労働協約締結権を持ち、また、それらの権利が 合法的に制約されている公務員は、適切な代償措置の享受を確実にする
(5)公務員が結社の自由原則に合致してストライキ権を付与され、その ような権利を正当に行使する労働組合員と役員が重い民事または 刑事罰をうけることのないことを確実にする
(※全労連訳)
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●官民一体で労働者の権利を守れ −−国公権利裁判、第2回弁論期日行動を展開−−
6月19日、初夏を思わせる日差しのなかで、「不利益遡及は許さない!国公権利裁判」の第2回弁論期日行動がとりくまれました。
スタートは、東京地裁前での昼休み宣伝行動。原告団・ブロック国公・単組など国公の仲間のみならず、同日第1回弁論を迎える仲立証券争議団と、関西航業争議団の仲間も大阪から駆けつけ、全体で100名を超える参加がありました。
両争議団からは、「国家公務員が不利益遡及に対して怒りの提訴をしたことは我々をたいへん勇気づけてくれた。労働者の権利を守るため、官民一体でたたかっていこう」との連帯あいさつがあり、お互い熱いエールの交換をしました。
「国公権利裁判」の第2回口頭弁論は東京地裁で開かれ、全体で58名が参加。今回も原告団・弁護団と傍聴者で法廷は満杯状態となりました。原告側の準備書面の陳述(被告側の求釈明への回答)が行われただけでわずか10分ほどの手続でしたが、裁判長が手続について丁寧な説明を行うなど、私たちの意気込みは裁判所に十分に伝えられました。
その後、弁護士会館で「報告集会」を実施。集会では、佐久間弁護士からはこの日行われた手続の説明が、大森弁護士からは「ILO条約について」のテーマで講演があり、国公権利裁判の歴史的意義をあらためて確認しあいました。
最後に、国公労連小田川書記長の経過報告、参加者からは各地のとりくみ報告があり、今後の奮闘を誓い合いました。
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●国民生活ないがしろ イラク特措法案、労基法改悪案、国立大学法人法案
−−政府、延長国会で悪法成立狙う−−
政府・与党は6月17日、米英占領軍支援のためのイラク特措法案をはじめとする悪法成立を狙い、国会の会期を40日間延長することを強行しました。
会期末の未処理法案である労働基準法改悪案、国立大学法人法案、保険業法改悪法案(生保予定利率引き下げ法案)などの悪法を、与党が会期延長してまで成立させようとしています。
イラク特措法案は、国連無視の米英軍によるイラク先制攻撃と軍事占領を正当化し、戦闘地域に自衛隊の地上部隊を派遣し、「安全確保支援」と称して米英軍のために武器・弾薬の輸送や医療、補給、通信、整備などの後方支援を行う内容となっています。
イラクでは、軍事占領に反対する民衆が米英軍との戦闘を続けています。日本が自衛隊を派遣することは、米英軍の軍事占領に加担し、イラク国民と敵対することになりかねません。
「なぜ自衛隊がイラクに行く必要があるのか」の声は日増しに高まっています。与党による「数の横暴」を許してはなりません。
〇労基法改悪案、参院厚労委で可決
労働基準法改悪法案は6月26日、参院厚生労働委員会において可決されました。 私たちの反対運動の盛り上がりの中で、使用者の「解雇の自由」を明文化した条項は「合理的理由のない解雇は乱用であり無効」とする内容に修正されたものの、財界が切望する裁量労働の範囲拡大、有期雇用期間の上限延長は、そのまま残されています。
有期雇用期間の現行1年から3年への上限延長は、必要なときだけ低賃金で働く有期雇用労働者の増大をまねきます。また、裁量労働制は、「タダ働き」の拡大につながります。長期不況の下でリストラによる生活苦などから過去最大の自殺者さえ出ている状況であり、これ以上の働くルールの破壊は許されません。引き続くたたかいが重要です。
〇国立大学法人法案、強まる反対の声
国立大学法人法案は、各大学の中期目標を文科大臣が定めるなど、大学の研究や経営に文科省が介入し、学問の自由、自治を奪うものであり、戦前にもなかった学問の国家統制です。しかも、法人化により国の財政責任は後退し、学費値上げが懸念されます。
与党は6月26日に審議を再開し、7月初旬にも採決を強行しようと目論んでいます。一方、多くの大学関係者、ジャーナリストが反対運動に立ち上がっており、「法人化法案は、徹底審議のうえ廃案にすべき」との声が大きく広がっています。
国公労連は、これらの悪法の成立に反対し、廃案めざして国会闘争を強化していきます。
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●読者のひろば
〇有事法制に無関心なのはなぜ? 全労働北海道支部札幌中央基準分会の方から
有事法制が国会で賛成多数で可決されてしまいました。このことがほとんどマスコミでも問題にされず、一般の法案通過のような扱いです。
これが今後の日本の大きな転換点になるのではないでしょうか。なんと言っても戦争準備の法案です。このことで非常時体制として私達の生活や権利が脅かされ、それに反対した時に、戦前の非国民という言葉が復活するのではないでしょうか。そんな恐ろしさを感じます。
それにしてもこの法案に対する無関心はなんなのでしょうか。世界の国からどう見られているのでしょうか。
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