国公労新聞 第1157号

●賃金職員の雇用を守れ!
  10・16中央行動に3000人

 国公労連は10月16日、全労連・公務労組連絡会に結集し、秋季年末闘争の第2次中央行動にとりくみ、3000人(国公1200人)が参加しました。
 中央行動のスタートは、国立病院・療養所の賃金職員の雇用継承を求めて、厚生労働省包囲行動を実施。「国立病院に働くすべての職員の雇用継続を求める署名」35万5007筆の署名も厚生労働省に提出しました。
 その後、人事院、総務省、行革推進事務局への要求行動などを展開。総決起集会では、「賃下げ、国立病院の独法化など公務リストラの状況を招いている政治の流れを変えよう」と決意を固めあいました。

 ○賃金職員の雇用継承を訴える全医労国立名古屋支部の仲間と西別府支部の仲間

 私たち賃金職員は、当局から「雇わない」と通告されれば、来年3月31日に公然と「首切り」が行われるのです。雇い止めされたら、この不況で仕事はありません。 私たちは正規の職員と同じ業務をこなしているのに、何十年働いても処遇は劣悪です。賃金職員は現場に必要な人員なのです。厚労省大臣は、病院の現場の実態をみてほしい!
 たたかうのは今しかありません。私たちは毎月上京して、雇用継承を強く訴えていきます。

●青年協・女性協 人事院前行動を展開

 国公労連青年協・女性協・東京国公女性協は10月10日、秋晴れのなか昼休み人事院前行動を展開。昇格改善、差別是正などを求め、青年・女性250人の仲間が集まりました(10月10日・人事院前)

●枠外解消、部下数制限撤廃を
  −−昇格改善求め人事院を追及−−


 国公労連は、昇格改善の要求提出(9月16日)以降、地方出先、女性、青年と人事院交渉を積み上げてきました。
 10月16日には宮本参事官と岸田書記次長、単組調査部長で交渉を行いました。
 公務の職場では、組織改編や統廃合などが進行するなか、職務は複雑・困難化しており、級別定数改定作業においては、それらの職務を正当に評価し、反映することが求められています。
 交渉では、@マイナス人勧での昇格要求の高まりへの積極対応、A職務内容の変化に応じた再評価、B枠外者の激増への緊急対応、C行(二)部下数制限の撤廃、D年齢構成と世代間の公平への対応などを重点要求に追及しています。

 ○4人に1人が枠外、実態を無視した見解

 枠外号俸については、行(一)7級・8級の計では在職者の約25%が枠外であり、その解消は緊急の課題です。
 しかし、人事院の回答は、「話としては理解できるが、1号上位昇格や特昇などで滞留しており、ポストの枠の関係で上位級に行けない」など、実態を無視した見解を示しています。
 行(二)の部下数撤廃の問題については、定員削減の影響等で、ますます部下を持つのが困難な状況ですが、人事院は「部下なしで4級以上の職長に到達するのは困難」と部下数撤廃に背をむける回答を行っています。

 ○「世代間の公平には配慮」を表明

 国公労連の各単組の職場の昇格実態をもとにした追及には、「世代間の格差については、公平さに配慮したい」との回答を人事院はせざるを得ませんでした。

●中央労働委員候補に泉部さん

 中央労働委員会第28期委員の選挙が、来年11月に行われます。
 全労連は10月8日、労働委員会民主化対策会議2003年度総会で、泉部芳徳氏(前全経済委員長)を国営・独法担当の候補に、公正任命を勝ち取る運動を展開することを決定しました。
 国公労連も、泉部氏の中央労働委員確保に向け、力をそそぎます。

 ○泉部芳徳さんの決意

 独立行政法人化が提起された当初は、法人の自由裁量権の幅が広がり、自主的に活動できるなどとバラ色の宣伝文句が氾濫していました。いざ独立法人に移行してみると業務計画も組織も、職員の意向とは関係なしに所管省庁の思い通りに編成され、職場がバラバラにされてしまいました。
 それだけではなく、労働条件についても「団体協約権」が保障されているにも関わらず、形式的な交渉で公務員準拠を押しつけ、俸給表に関係ない手当の減額を強行してきました。独立行政法人における働くルールの確立のため微力ながらがんばります。



総選挙特集1

●私たちの願いかなう政治に変えよう

 11月9日投票で総選挙がおこなわれます。私たちの職場は、5年連続の年収切り下げをはじめ、定員削減の強行による長時間・過密労働の深刻化、それにともなう過労死・過労自殺、メンタル面の疾患の急増など、状態悪化の一途をたどっています。そして、国民いじめの悪政を推進するもの言えぬ公務員づくり≠めざした「公務員制度改革」が、「構造改革」の重要な柱として、来年の通常国会での法案提出がねらわれています。私たちの切実な要求が実現するかどうかは、国の政治のあり方と密接に関係します。そこで本紙では、今号から3回にわたって、総選挙の特集を掲載します。第1回目は、10月16日にとりくまれた中央行動の参加者の声を通して総選挙の争点を考えてみましょう。

 ○労働者の権利ふみにじる「構造改革」の転換を
   (全労働北海道支部滝川職業安定所分会の仲間の声)


 「構造改革」によるこの2年半で、雇用破壊をはじめ、働くものの権利が一層ふみにじられました。今度の総選挙では、イメージにまどわされず、自分たちの暮らしをよくしてくれる候補者を見極めて投票することが大切です。“政治”というと「自分には関係ない」とか「誰がやっても政治は同じ」とか、あきらめがちですが、“あきらめは悪政の手助け”になりますから、棄権などせず、主権者=国民として政治を私たちの手にとりもどしましょう。


 ○ズバリ、総選挙の争点は大企業本位VS国民本位
   (全港建四国地本の仲間の声)


 マスコミは、政権交代が総選挙の争点であるかのように言っていますが、「年金の財源は消費税で」などと同じような主張をする政党では、大企業本位からの転換はできません。
 私たちが直面する公務リストラにしても「官から民へ」と「改革」のスピードを競い合っていて、国民犠牲の行政サービス切り捨てに拍車がかかるような状況です。
 私は公共事業をすすめる職場にいますが、大企業本位から国民生活重視に転換しなければ、国民の命と財産と安全を守る本当にやりがいのある職場にはできません。そして、民主的な公務員制度をつくるために、総選挙で政治を変える必要があります。
 ズバリ、総選挙の争点は、大企業本位か、国民本位か、どちらの政治を選択するかだと思います。

 ○サービス残業なくし働くルールの確立を
   (全建労東海地本の仲間の声)


 職場は、定員削減で長時間残業があたり前のようになり、長期病休者、在職死亡者、失踪者などが増えています。賃下げが連続している上に残業手当は支払われないサービス残業が横行しています。サービス残業をなくすだけで、160万人分も雇用が増えるといわれているのですから、総選挙では、世界であたり前の「働くルール」を確立したいですね。

 ○史上最悪の年金改悪と消費税増税は許さない
   (全厚生本部の仲間の声)


 先月まで地方の社会保険事務所で働いていました。全厚生本部の中央執行委員に選ばれ上京したばかりですが、いきなり総選挙で、それも「史上最悪の年金大改悪」が争点。全厚生の出番ということで、精一杯奮闘したいと思っています。
 今回の年金改悪は、これまでのものと違って、半世紀の将来にわたって改悪のレールをしくことにねらいがあります。こんな改悪を私たちが許したら、未来をになう子どもたちにも顔向けできません。
 「年金財源に消費税をあて、将来、消費税は10%程度に」などと消費税アップを主張する政党も少なくありません。そもそも社会保障は、弱い立場の人を助けるためのものです。消費税は低所得者ほど負担が重くなる不公平なもので、これほど社会保障の精神をふみにじる話はありません。安心して生活できる社会保障をめざし、がんばります。

 ○国立病院賃金職員の雇用継続、医療を守ろう
   (全医労大阪医療センター支部の仲間の声)


 来年4月からの国立病院の独立行政法人化で、7500人の賃金職員の雇用がおびやかされています。私もそのなかの一人なのですが、「構造改革」の正体は、医療・福祉の切り捨てにあると身を持って感じています。私は保育士なので、政府が、言っている保育園の“待機児童ゼロ作戦”というのもまやかしのパフォーマンスと感じています。いまある保育園の定員をはるかに超える子どもを無理矢理つめこむやり方で、保育環境の悪化が深刻になっています。みなさん、総選挙では、パフォーマンスにだまされないようにしてください!

 ○憲法改悪、アメリカに従い戦争する国づくりNO!
   (沖縄開建労の仲間と全運輸航空管制支部の仲間の声)


 沖縄開建労の仲間は、「沖縄の面積の20%を米軍基地がいまだに占拠しています。イラク戦争でも沖縄の米軍基地から戦闘機が空爆に向かいました。沖縄県民は、他国の人々の命を奪う米軍に手を貸していることに胸を痛めています。米軍への“思いやり予算”が不況で苦しむ中小企業対策費より多いというのは、許せません。総選挙で基地のない平和な日本をつくりましょう」と訴えます。
 全運輸航空管制支部の仲間は、「憲法改悪のスケジュールが出され、一部野党も同じ土俵に乗ろうとしています。交通運輸の安全を守るためには、何よりも平和であることが第一です。平和憲法をないがしろにする候補者を当選させないように、総選挙でがんばりましょう」と語ってくれました。

●国公労働者一人ひとりが“主権者”として総選挙で奮闘しよう

 直近に行われた2001年7月の参議院選挙で、自民党・高祖候補(当選後に辞職)の特定郵便局をめぐる一大選挙違反事件が国民のきびしい批判をあびました。
 こうした「政・官・財ゆ着」を背景に官僚OB候補の当選をねらう「官庁ぐるみ」選挙は、公務員関係法だけでなく憲法上も許されるものではありません。
 だからといって、公務員は「全体の奉仕者」(憲法15条2項)であり、「政治的中立性」を確保するうえで政治活動や選挙活動の制限は当然――という政府・人事院の言い分は断じて認められません。
 国公労連は、組合員一人ひとりが“主権者”として今回の総選挙で大いに奮闘することを心から訴えます。

 ○公務員でも違う制約

 政治活動・選挙活動に関する公務員関係法上の規制は、一般職の国家公務員と地方公務員(特別職はいずれも規制なし)について、労働基本権の制約状況以上に分かれています。とりわけ国家公務員の場合は、非現業・現業を問わず、また特定独立行政法人や郵政公社の職員を含めて、国家公務員法(102条)と人事院規則(14の7)で詳細かつ包括的な規制がされており、世界に例のない刑事罰まで加えられています。
 また、地方公務員の場合は、非現業職員と教育公務員に規制がある(刑事罰なし)ものの、現業職員と公営企業職員は何ら規制されていません。しかも、非現業職員に対する規制も、「当該の職員の属する地方公共団体の区域」内の行為に限定されています。

 ○やれる活動は大いにやろう

 最も制限がきつい国家公務員の場合、人事院規則で一定の政治的目的(5項1号〜8号)をもった一連の政治的行為(6項1号〜16号)を広範囲に規制していますが、その前提として、「政治的目的」がなければ規制の対象にもなりません。
 例えば、「特定の候補者を支持し又は反対すること」(5項1号)の「特定の候補者」とは、「正式に候補者としての地位を有するに至った者」とされているので、告示日以降しか問題になりません。また、「投票するよう勧誘運動をすること」(6項8号)の「勧誘運動」とは、「相当多数の者を対象として、組織的・計画的に彼等に投票する決意をさせることを促す行為」とされているので、4要件(組織的、計画的、継続的、相当規模)を満たさない限り問題にならず、たまたま出会った友人や電話による勧誘などは当然自由です。
 なお、公務員の労働組合が行う機関紙活動は、公職選挙法に抵触しなければ、原則として国家公務員法の規制対象になりません(詳細は国公労連教宣部発文書で連絡済み。問い合わせ先=国公労連本部 Eメールmail@kokko.or.jp )。


 ○公務員への活動規制は組合攻撃

 政治活動・選挙活動の自由は、すべての国民に保障された憲法上の権利として「表現の自由」(21条)の中核をなしており、公務員といえどもその例外ではありません。しかし、公務員の政治活動・選挙活動は、公職選挙法と公務員関係法によって大きく規制されています。
 これらの規制は、その成立経過からみて、公務員労働者・労働組合のたたかいに対する攻撃として、争議権の剥奪、団体交渉権の制限とあわせて行われたものであり、極めて不当なものです。
 いま政府が進めている「公務員制度改革」でも、肝心の労働基本権は「現行の制約維持」という不当な対応であり、ILO勧告にそった労働基本権の回復とともに、公務員の市民的・政治的自由の確立が改めて重要となっています。

●国政転換を!全労連キャラバン

 ○熊本 アーケード街をデモ行進

【熊本県国公発】 熊本では10月15日、「雇用・くらし・いのちと平和を守れ!10・15秋の要求実現県民集会」が約350名で開催され、県国公から157名が参加。集会後は、市内アーケード街を「年金改悪・大増税反対」「国立病院賃金職員の雇用を守れ」「公務員制度改悪反対」とシュプレヒコールしながら元気にデモ行進しました。

 ○京都 怒りの府民集会に3000名


【京都国公発】 10月10日満月の夜、京都市内で「怒りの府民大集会」を開催。3000名が結集し、京都国公も70名が参加しました。集会では、小泉内閣にNO!の審判を下し、政治を転換しようと盛り上がりました。集会後、八坂神社から祇園をぬけ、市役所前まで元気にデモ行進をしました。

 ○高知 県民のつどいで行政相談

【高知県国公発】 10月4日、「くらし・雇用・平和を守る県民のつどい」を開催。青空学習会、フリーマーケットなど多彩な催しがあり、県国公は行政相談で奮闘(写真上)。年金・消費税、賃金職員問題を訴えた宣伝行動後の県民集会には800名が参加し、商店街パレードで国政転換・要求前進を訴えました。

●単組定期大会の概要

 ○全労働 相談員の組織化で運動の前進めざす

 〈9月10〜13日 香川県内〉全労働(全労働省労働組合)第46回定期大会では、「ハローワークの改革」「労働保険の民営化」などを打ち出している政府・総合規制改革会議とたたかい、「対話」を重視しながら、国民のための労働行政を守りぬくことを意思統一。
 相談員など非常勤職員の組織化にとりくみ、「正社員組合」からの脱却をめざす方針を確認しました。
 ○大会で選出された四役
委員長・新宮峰男(再) 副委員長・高木博文(再)、木下秀人(再) 書記長・森ア巌(再) 書記次長・林三喜男(再)、鎌田一(新)

 ○全税関 港のチェック機能強化、民主的な関税行政を


〈9月12〜14日 川崎市内〉全税関(全国税関労働組合)第66回定期大会では、当局による人事差別やIT化に伴う過密業務に対し、仲間の処遇改善と健康を守るとともに、港のチェック機能を強化して民主的な関税行政の実現に向けてとりくむことを決定。 「税関の24時間通関体制」が、港湾関係労働者の労働条件切り下げとなっている現状をふまえ、国民生活と暮らしを守るため共同のたたかいを強めようと確認し合いました。
 ○大会で選出された三役
委員長・河野正典(再) 副委員長・宮応勝幸(再)、斉藤忠範(再) 書記長・古木名正信(再)

 ○全通信 全ての組合員が結集できる運動を

 〈9月17〜19日 神奈川県箱根町〉全通信(全情報通信労働組合)第61回大会では、小泉「構造改革」に対峙し、公務員制度改悪阻止、賃下げ攻撃打破、平和と民主主義擁護のたたかい強化をはじめ組織の拡大強化などについて活発に討議しました。
 一つひとつの行動に組合員一人ひとりが確信をもち、全ての組合員の英知を結集してこの難局を乗り越えていくことを確認しました。
 ○大会で選出された三役
委員長・大谷啓二(再) 副委員長・田中敏晴(再)、宮澤義幸(新) 書記長・狩野成明(再)

 ○総理府労連 組織拡大と独法化問題で活発に議論

 〈9月20日 東京都内〉総理府労連(総理府労働組合連合会)の第46回定期大会では、6単組(統計、人事・恩給、公取、内閣府、航技研、放医研)のさまざまな問題、特に残業の不払い、非常勤職員の雇用継承、昇任昇格、組織拡大、独法化移行のたたかいについて活発に議論しました。 03年度の運動方針を決定し、国公労連に結集してたたかうことを確認しました。
 ○大会で選出した三役
委員長・小林 啓明(再) 副委員長・小林 昇(再)、納谷 理憲(新) 書記長・岩崎 秀子(再)

●非常勤職員の雇用保障を
  −−宇宙航空研究開発機構が派遣化提案−−


  10月1日、航空宇宙技術研究所、宇宙科学研究所、宇宙開発事業団が統合され発足した独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で非常勤職員を派遣職員にする提案がされています。
 これに対し、労働組合と該当者は、反対を表明、正職員化・雇用保障の要求を対置しています。
 現在、旧航技研では、常勤的非常勤職員17人を含む140人ほどの非常勤職員が、旧宇宙科学研究所では、145人ほどの非常勤職員が働いています。一方、旧宇宙開発事業団では、非常勤職員ではなく、派遣職員が導入されています。
 今回の動きは、人件費費目の圧縮が直接の狙いといわれています。それは同時に、非常勤職員を派遣会社採用にすることで法人の雇用責任を回避し、非常勤職員であっても繰り返し雇用されることで期限の定めのない雇用と見なされるという判例法理のしばりからのがれようとするものです。
 派遣職員化されれば、雇用継続の保障はなく、JXAXが「もうこなくてよい」といえば、いつでも首を切られかねない状況に立たされます。
 当初、派遣職員化は10月1日の法人発足と同時に行うという提案でしたが、航技研労組のとりくみにより撤回させました。しかし、派遣職員化提案そのものは撤回していません。


 ○予算編成に向け運動を

  航技研労組は、宇宙研職組と協力し、正職員化・雇用保障の実現をめざしています。来年度予算編成時には、山場を迎えますが、要求を前進させるため、国公労連も支援にとりくみます。


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