国公労新聞 第1160号

厚労省「雇い止め」を一方的に通告
  −−守れ!賃金職員の雇用−−

 厚生労働省は11月10日、独立行政法人移行時に、賃金職員を「雇い止め」することを一方的に発表し、職員に通告しました。
 独立行政法人では、「賃金職員制度に依存しない職員配置」とすることを強調。賃金職員をいったん「解雇」し、(1)病棟勤務を希望する看護師は試験を経て正規職員として採用、(2)病棟勤務を希望しない看護師は試験を経てパートとして採用、(3)看護助手などは業務委託やパート採用を検討するとしています。

 ○団結権侵害の不当労働行為

 同時に、国立病院機構の運営のあり方についても言及し、「組織・運営の形態を見直し、常勤職員と短時間非常勤職員による効率的な職員配置の実現」「経営実績や職員の業績・能力を的確に反映した給与制度」など労働条件の変更を独立行政法人移行時に強行する考えも示しています。
 全医労が、賃金職員の雇用継続や就業規則内容についての交渉をくり返し求めていたにもかかわらず、事前の交渉もなしに、職員に通告することは、団結権侵害の不当労働行為です。
 昨年の臨時国会で坂口厚労大臣は、労使協議の必要性・重要性を認めていますが、その経緯すら無視しています。
 全労連闘争本部と全医労は同日、「労働者の生活破壊を招くとともに、人減らし、チーム医療の崩壊、医療水準の低下を招き、地域医療に深刻な事態をもたらすもので、断じて受け入れがたい」との抗議声明を発表。賃金職員雇い止め方策を撤回し、全員の雇用継続と労働条件問題での労使協議に応じるよう求めました。
 国公労連は、雇用継続を求める100万署名の早期達成や、11・19中央行動、「1の日宣伝行動」など、中央・地方の運動を強化し、厚生労働省の不当な姿勢を世論に訴えるとりくみを強めることとしています。

 ○雇用継続訴え宣伝

 【広島県国公発】11月11日、広島では三大リストラ反対宣伝行動を、県内の主要駅前や国立病院、NTT前で展開。広島県国公は小雨のなか、広島合同庁舎前で国立病院非常勤職員の雇い止め問題を中心に訴え、宣伝ビラを配布しました。
【鳥取県国公発】鳥取県国公は11月10日、全医労西鳥取病院支部の抗議・団結集会に参加。当局の分断攻撃に負けず、全員の雇用継続をめざし団結してたたかうことを確認しました。
 翌11日は、鳥取病院前で宣伝行動を実施し、冷たい雨のなか、住民に国立病院の現状と職員の雇用継続を訴え、ビラ1500枚を配布しました。


年金改悪反対!

 ○霞が関周辺で宣伝行動

 国公労連・年金闘争本部は11月5日、霞が関一帯での早朝宣伝と昼休みの厚生労働省前行動を展開。ビラを読んだ方から「本当に同感です」とのメールが国公労連に届くなど反響がでてきています。

 ○年金学習会で確信深める〈石川県国公〉

【石川県国公発】石川県国公は11月5日、金沢市内で「年金学習会」を開き、約70人が参加しました。講師に愛知県労連副議長、全厚生元副委員長の小松孝二さんを迎え、年金のしくみ、年金改悪の問題点、どうしたら安心できる年金制度にできるかを学習し、参加者は大いに確信を深めました。

30代前半(4級)に一定配慮
  −−昇格課題で最終交渉−−

 国公労連は11月13日、昇格課題での最終交渉を実施し、人事院山野勤務条件局長に対して、各レベルの交渉結果を踏まえた回答を迫りました。
 山野局長は、定数改定の基本方針について「基本スタンスは従来と変わらず、職務評価を基本に行っている」と前置きし、回答しました。
 今年の改定については、「(1)30歳代前半の職員が人員の山を構成しており、4級について一定の配慮を行う。(2)その他の中位級(5〜6級)について、世代間の公平に配慮する」と国公労連の要求を反映した回答を行いました。
 国公労連が昇格課題の重点としている枠外の解消については「十分問題意識はあるが、給与制度全般の見直しの際に取り上げられるだろう」と無責任な回答にとどまりました。
 行(二)の部下数制限については、「撤廃の考えはない」と「非常勤職員・委託職員のカウントや付加業務の評価など、運用上の配慮を行っている」と従来どおりの回答を繰り返しました。
 機関間の格差については、「出先の職務の重要性はわかる」としつつも、「本省と出先の相対的な関係は、大きく変わっていない」と答えるにとどまりました。
 男女間の格差是正については、「格差はあってはならないが、誰をどうするかは各省庁の問題だ。女性登用指針の取り組みを支援していきたい」とだけ述べました。
 国公労連は、回答に不満を表明しつつも、「昇格は重要な勤務条件であり、業務の困難性の高まりをきちんと評価するのが人事院の役割であり、それを踏まえた検討をすべきだ」と最後までの努力を求めて交渉を終えました。

国、「遡及でなく調整」といい逃れ
  −−国公権利裁判 第5回弁論−−

 「国公権利裁判」第5回口頭弁論が、11月6日、東京地方裁判所で開かれました。
 原告団及び各単組・ブロック国公の参加者約70名は、9時30分から裁判所前宣伝行動にとりくみ、支援を訴えました。山瀬副委員長のあいさつの後、4人の原告から決意表明がありました。全建労・古澤副委員長は、「2年連続の不利益遡及は私たちの仕事を軽視している証拠だ。行政サービス切り捨てとたたかっていく」と、職場の怒りと公務労働者としての決意を力強く訴えました。
 10時30分からの裁判傍聴では、原告席14名、傍聴席39名、全体52名が参加し、提訴から5回連続で満席となりました。今回、被告側が「公務員に不利益不遡及原則は適用されないのか」との追及にどのような回答をするのか注目されましたが、「本件は遡及ではなく調整」とのこれまでの回答に止まりました。
 裁判終了後の報告集会では、弁護団の野本弁護士から原告側が今回提出した「憲法28条違反」に関する準備書面について、弁護団事務局長の佐久間弁護士から本日の裁判手続について、説明がありました。小田川書記長は今後のとりくみとして12月18日の原告団会議、裁判支援署名やILO条約遵守署名などを提起しました。
 次回弁論で原告側が、第7回弁論で被告側が反論の総まとめを行います。
 来年からはいよいよ証人尋問が行われ、裁判の山場を迎えます。職場からのいっそうのご支援をお願いします。

 ○今後の口頭弁論予定
第6回  12月18日午後1時30分
 原告側が主張の総まとめ
 ★原告団会議(社会文化会館)
第7回  2月12日午前10時30分
 被告側が反論の総まとめ


国公労連初代委員長
  さようなら樋口緑さん

 11月7日、元国公労連中央執行委員長の樋口緑さん(全港建出身)が、肺ガンのため逝去されました。享年82歳でした。
 樋口さんは、1969年に国公共闘(国公労連の前身)議長、国公労連が結成された75年には、国公労連初代委員長に選出されました。「仲間を信頼し、仲間の力を基礎にたたかう組合」をめざして、通算6年間委員長を務め、81〜85年までは国公労連顧問として国公労働運動の発展に大きく寄与されました。
 その後も、全港建退職者の会・会長として活躍されるなど、82年の生涯を一貫して労働運動に貢献されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。

なぜ?なに?ニューストーク
  “戦場”のイラクに自衛隊派兵急ぐ政府

健太 政府が、国会で審議もしないで年内にもイラクに自衛隊を派兵しようとしているね。
ちひろ 自衛隊だけじゃなくて、産業基盤整備、医療体制づくりのためとして民間技術者や医療関係者などの文民も派遣しようとしているわ。
健太 でも、イラク特別措置法から考えても、「戦闘地域には行かない」ことが前提になっているよね。
ちひろ だから、小泉首相は、「イラクには非戦闘地域がある。危ないのはバグダッドやその周辺だけ」と言い張っているのよ。
健太 だけど、「非戦闘地域」だとして、自衛隊の派兵先にあがっていたイラク南部で12日、イタリア軍が攻撃を受け30人近くが死亡したじゃないか。
ちひろ イタリアのマスコミは一斉に「安全な人道活動などというのは幻想にすぎなかった」と報道しているわ。
5月1日にブッシュ大統領が戦争終結を宣言して以降、攻撃で死亡した米兵は155人(11月13日現在)で、戦争中の死亡数を大きく上回っている。そのうえ日を追うごとに、スペイン、デンマーク、ポーランドなど米軍以外にも戦死者がひろがっているわ。
健太 アーミテージ米国務副長官も「極めて戦争に近い」と認めざるを得なくなっている。
ちひろ そんな「戦場」への自衛隊派兵をなぜ政府は急いでいるのかしら?
健太 政府は水の補給や医療のためと言ってるけど、国連や赤十字も撤退するなか、明らかに自衛隊派兵はアメリカの占領軍に協力するためのものだ。
ちひろ 「逃げるな」「お茶会じゃない」と恫喝され、アメリカ政府のいいなりに派兵しようとしているわけね。
健太 先月末、川口外相が、アラブ連盟の事務局長に、自衛隊派兵への理解を求めようとしたのだけど、「必要なのはイラクの主権回復と外国軍の撤退だ。これ以上の外国軍派遣は平和回復に役立たない」と反論されているよ。
ちひろ アメリカ国民もブッシュ政権のイラク政策に過半数が反対しているし、マスコミも「新たなベトナム」「泥沼のイラク」「ブッシュの失敗」と政府批判の論調が高まっているわ。
健太 紛争は武力でなく平和的に解決する≠ニいう国連のルールを破ったアメリカのイラク侵略戦争、その延長にある占領支配に自衛隊が参加することは、海外での武力行使を禁じた憲法9条をふみにじることだ。憲法遵守の義務を負う僕たち国家公務員労働者は断じて容認できないよ。
(11月13日記)



トップページへ 国公労新聞へ