国公労新聞 第1164号 |
●地域経済を映し出す年金問題 |
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●西陣織の収入は月10万円 −−国民年金の保険料が払えない−− 昔ながらの街並みに響く機(はた)の音。 京都の西陣は1200年の歴史を刻む織物の町。京都は歴史都市だけでなく「物づくりの町」です。 西陣織は、繊維不況と中国からの「逆輸入」の影響で、西陣の主力である帯の出荷数量は99万本。87年と比較して23・5%にまで落ち込んでいます。 西陣の自宅で下請けとして帯を織る高木仁さんは訴えます。 「朝8時から12時間働いても収入は月わずか10万円です。工賃は出来高払いで、京都の最低賃金(677円)より低い時給660円。生活が苦しく、国民年金の保険料月1万3300円はとても払えません」 ○伝統文化と地域経済を守りたい 「私たちは培った匠の技を生かし、西陣の伝統文化を守り育てるため懸命に働いています。しかし、西陣で働く仲間の暮らしは苦しい。月10〜15万円では生活できず、みんな内職、パートなどで生活をつないでいるのです」と語るのは全西陣織物労働組合執行委員長の松下嵩さん。 西陣で働く労働者の社会保険などの加入率は悪く、健康保険62%、厚生年金58%、雇用保険50%(2000年)という深刻な実態です。 また、京都から中国へ進出している企業数は247社ありますが、そのうち伝統産業が占める割合は59%にものぼります。安価な労働力を求めて、地場産業を平然と切り捨てる企業のモラルがあらためて問われています。 ○私たちの実態をもっと知ってほしい 「いま地域経済はガタガタです。その地域で生産された地元の製品を使うなど、地域循環型の経済システムが必要だと思います。また、一方的な工賃の引き下げ反対の運動をすすめた結果、業界団体による『労務110番』の窓口開設を勝ち取りました」と松下さんは話します。 「国公のみなさんには、もっと地域に足を出して、私たちの生活実態を知ってほしいと思います。ともに安心して暮らせる社会をつくっていきたいですね」と語った松下さんの笑顔が印象的でした。 |
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●賃金底上げの運動を −−年収300万円を切るタクシー労働者−− JR京都駅を降りると、駅周辺にずらりと並ぶタクシーの列。 客を待っている運転手さんに突撃インタビューしました。「最近失業したがタクシーしか職がなかった。景気は悪いし、給料は最低。厚生年金の掛け金を払っているが、生活は火の車」「国民年金では将来が不安だ」など率直な意見が飛び交いました。 ○規制緩和で値下げ競争 労働者にしわ寄せ 「タクシー労働者の年収は300万円を切っています。なかには手取り月5万円や、借金してやっと生活している労働者もめずらしくありません。低賃金のため、年金など社会保障から脱落せざるを得ない状況もあります」と語るのは、自交総連京都地連書記長の浅井大二さん。 2002年2月のタクシーの規制緩和で、京都ではタクシーが300台以上増加。運賃の一定の自由化のもとで値下げ競争、激しい生き残りをかけたたたかいが起こっています。加えて不況による客減りで、事業経営と労働条件にしわ寄せが集中しています。 浅井さんは、「タクシーの供給過剰により水揚げの低下をまねき、出来高払いの賃金制度の下で極端な賃金低下になっています。時間の許すかぎり体の許すかぎり、ギリギリまで働いて、もうフラフラ。事故の多発や、過労死する労働者も後をたちません」と過酷な労働実態を訴えます。 「パンをかじりながら働くのはいやです。もっと人間らしい生活をしたいのです。最低生活保障の充実はみんなの要求です。労働条件を自ら切り開くと同時に、民間と公務の労働組合が先頭に立って、賃金底上げのたたかいをすすめていきましょう」と浅井さんは04春闘に向けた抱負を語りました。 |
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●自衛隊のイラク派兵は戦争とテロの悪循環まねく 【新春インタビュー】アニメーション映画監督 高畑 勲さん
今年の新春インタビューは、アニメーション映画監督の高畑勲さんです。数多くの名作をつくりだしている高畑さんですが、2003年夏には、フランスのアニメーション映画「キリクと魔女」の日本での上映に力をつくしました。スタジオジブリにおじゃまして、「キリクと魔女」の魅力とともに、それにつながる平和の問題についてお話をうかがいました。
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