国公労新聞 第1166号

●労働者の雇用を守れ!
  1・21全国統一行動を展開

 全労連と国民春闘共闘委員会は1月21日、04春闘の第1次全国統一行動を展開。全労連が全国拠点闘争と位置づける国立病院の雇用保障、国鉄1047人の解雇撤回、NTTリストラ反対のたたかいの前進をめざして、厚生労働省、国土交通省、NTT持ち株会社前で行動しました。
 厚生労働省前の行動では、400人が結集。「国立病院を支えてきた賃金職員の雇用を継続せよ」と厚生労働省に強く訴えました。
 また、国公労連は独自に定時退庁・年金早朝宣伝と、公務員宿舎使用料引き上げ反対を求めた財務省前要求行動も実施しました。
 行動には約2000人が参加し、ベアゼロのトヨタ自動車やリストラを進めるNTTなどに企業の社会的責任を果たすよう要求。昼休みには丸の内のオフィス街をデモ行進しました。
 日本経団連前の行動では、全労連の坂内三夫事務局長が経団連の「春闘終焉論」を批判し、「大企業は労働者犠牲で利益をあげるのではなく労働者に安定した賃金を支払って個人消費と景気を回復させるべきだ」と強調しました。

●陸上自衛隊
  本隊に派遣命令
  派兵反対のたたかい全国で


  石破茂防衛庁長官は1月26日、自衛隊のイラク派兵法(イラク特措法)にもとづき、陸上自衛隊本隊と、その装備などを輸送する海上自衛隊に派遣命令を出しました。
 同日昼、全労連などが加盟する安保破棄実行委などが防衛庁前で緊急抗議行動を実施し、「イラク派兵の中止・撤回を」と250人(写真上)が結集。1月28日の国会前座り込み行動には年金改悪反対も訴え200人が参加しました。
 北海道・川崎・兵庫・和歌山でのデモや集会など、派兵反対のたたかいは全国で展開されています。2月13日の中央集会や、3月20日の「イラクからの占領軍撤退を求める国際統一行動日」など運動を大きく広げましょう。

●厚労省 非常識な労働協約案を提示
  
徹底した減量化と効率化迫る


 【全医労発】本年4月の国立病院の独立行政法人化にあたり、厚生労働省は徹底した経営の減量化と効率化を強行しようと、全医労に激しい攻撃をかけています。
 そのもっとも大きな攻撃が、賃金職員の「雇い止め」「パート・業務委託化」です。もしパート職員にされると、年収は半減し、130〜150万円程度となってしまいます。
 全医労は、移行時に定員化できないのであれば「最低でも現状の賃金・労働条件で経過措置を設けること」を要求し、たたかっています。
 攻撃は賃金職員だけではありません。厚労省から示された「就業規則」(案)では、職務・業績給制度が導入されようとしており、役職でない看護師は最高月4万1200円も賃金がダウンします。もちろん事務職や現業職の一般職員も同様です。
 その一方で、国立病院であるにもかかわらず医業収入の多く出た病院には、業績給として「年度末賞与」を支給するとしています。
 また4週8休原則を、労働基準法の最低基準である4週4休に改悪し、全職員に変形労働時間制を適用しようとしています。
 極めつきは「団体交渉・窓口折衝はすべて時間外」とし、さらに「法人の安定的移行のため6カ月間は交渉をしない」という非常識な労働協約案を提示してきていることです。
 いま、国立病院の職場では「こんな無茶苦茶なことは絶対許せない」との怒りが巻きおこり、多くの仲間が全医労に加入してきています。
 「36協定」締結や、「就業規則改善」のためにも、「すべての支部で全医労を過半数にしよう」「全医労が労働者過半数代表を絶対獲得しよう」と全医労は奮闘しています。

●採用差別事件の早期解決を
  
最高裁 JRの法的責任問わず

 1987年の国鉄分割民営化で、1047名の全動労・国労組合員等がJRに不採用になった問題で、最高裁は昨年12月22日、裁判官5名のうち3対2の僅差で「JRに法的責任はない」と上告棄却の不当判決をだしました。
 しかし、裁判長ら2人の裁判官は反対意見で、「JRに使用者責任があり、全動労組合員に差別的な取り扱いがなされたことが推認される」として、東京高裁判決の破棄差し戻しを主張しました。

 ○ILO勧告に基づき政府の責任で解決を

 ILOは、昨年6月20日の5度目の勧告で、事件が17年目の長期となり、28人が死亡し多くの労働者が定年退職の年齢になっていることを指摘、解決は「緊急な課題」とし、政府の責任による早期解決を強く主張しています。しかし、この間、政府は「最高裁の動向を見守る」として傍観者的な態度をとってきました。
 政府がいまただちに、やらなければならないのは、ILO勧告に基づき、事態の具体的解決に積極的に乗り出すことです。
 JR採用差別事件は、不当労働行為事件のみならず、人権問題としても一刻も早い解決が求められています。

●7兆円もの負担増 生活破壊の政府予算案

 小泉内閣は、2001年4月の発足からこれまでに、4兆円を超える負担増を国民に押しつけてきました。
 その上に、04年度政府予算案では、06年度までに(※小泉首相の自民党総裁任期は06年9月)、年金改悪をはじめ、年間3兆円の新たな国民負担を押しつけ、06年度には、合計7兆円を超える負担(01年度と比較した負担増)が国民におそいかかります。
 04年度政府予算案の重大な特徴は、負担増が来年度にとどまらず、将来に渡って続くものになっていることです。年金改悪で、厚生年金の保険料は、04年10月から2017年まで毎年0.354%(労使折半)ずつアップされようとしています。

 ○史上最悪の年金改悪
   年金額2230万円カット
   保険料800万円アップ


 平均的収入(平均年収572.5万円)のモデル世帯の場合、いまの年金は手取り収入の59.4%(夫のみ働く夫婦の収入比)。それが50.1%に下げられます。
 1961年生まれの場合、65歳から受け取る年金は、月5.5万円カットされ、受け取る期間を20年とすると1320万円ものマイナスです。保険料は65歳まで働いたとして今より217万円以上の負担増となります。
 男性単身者の場合は、現在の平均的手取り収入の42.7%が36%に下がります。1961年生まれでみると65歳から受け取る年金は、月4万円カットされ、20年で960万円のマイナス。保険料は217万円以上アップします。
 平均的収入(922万円)で、ともに40年間共働きの夫婦の年金は、手取り収入の46.7%が39.4%に下げられます。
 1974年生まれの場合、65歳から受け取る年金は夫婦で月9.3万円のカット。20年間で2230万円ものマイナスです。保険料は夫婦で800万円以上のアップになります。
 04年度政府予算案等が実施されれば、40歳の国家公務員(配偶者、子供2人を扶養)で、年金掛け金は年間1万円強引き上げられ、配偶者特別控除(住民税も含む)の廃止で約5万円増税となります。配偶者がパートで働いていれば、厚生年金の掛け金が7万円近く上乗せされ、住民税1000円が徴収されることになり、これらをあわせれば、年収ベースで13万円近い負担増が強いられる計算になります。

 ○大企業優遇、国民犠牲を徹底

 物価スライドによる給付カットは、年金にとどまらず、児童扶養手当の受給者も0.2〜0.4%の給付カットとなります。
 生活保護の老齢加算(70歳以上の人に支給)を3年間で段階的に廃止されると現行の月1万7930円が06年度でゼロになります。
 障害者小規模通所授産施設の運営費補助金単価は、前年度の1100万円から1050万円へ50万円カット。小規模作業所に対する助成も1割カットされようとしています。
 国立大学の授業料の引き上げ、「三位一体改革」による国庫補助負担金の「1兆円廃止」や地方交付税減額による地方自治体への負担転嫁など、国民負担を招きかねない「仕組み」なども組み込まれています。
 その一方で、国民の多数が反対するイラク派兵の経費135億円、「ミサイル防衛」システム整備のために1068億円、本州四国連絡橋公団の赤字穴埋めに3049億円、高速道路を「新直轄方式」で建設する費用1300億円を措置するなど、軍事費や公共投資を温存・聖域化しています。
 また、主に大企業向け補助金である産業技術関連予算は、前年比1.8%増の6226億円を計上し、大銀行救済の仕組みである貯金保険機構への政府保障枠を59兆1500億円に増額するなど、大企業優遇の予算となっています。

 ○公務サービス切り捨ての04年度定員査定 

 04年度定員査定では、治安関係の大幅増員がある一方、国立大学法人化、国立病院独法化による17万6604人減によるサービス部門切り捨てを中心に、非現業全体では17万7049人(法人化・独法化以外は、445人)の純減とされています。
 見過ごせないのは、3年連続で計画削減数に上乗せがされ、公務サービスの根幹に関わる定員切り込みが強められていることです。さらに、国立大学法人化、国立病院独立行政法人化を受けて、総定員法改正が行われる予定ですが、定員の上限の削減幅を17万人にとどめず、2万人超引き下げが上乗せされようとしており、要員配置はさらに厳しさを増すことが必至の状況です。

 ○小泉首相の消費税増税宣言

 今回の予算編成・定員査定を通じて、小泉政治の実態がこれまで以上に国民の前に明らかになっています。
 1月19日から始まった通常国会の所信表明演説で小泉首相は、「与党税制改正大綱(以下大綱)をふまえ、税制の抜本改革にとりくむ」と訴えました。「大綱」には消費税率の引き上げを07年度と明記しています。小泉首相の所信表明演説は、事実上の消費税増税宣言です。
 かつて橋本内閣が、97年度予算で消費税率の5%アップなど9兆円負担増を国民に押しつけ、これが現在の長い不況の引き金になりました。国民所得が増えていた97年度でも家計と経済は深刻な打撃を受けたのに、現在の長引く不況下の国民所得が減るなかでの連続負担増を許すわけにはいきません。
 「構造改革なくして景気回復なし」「痛みの先に明日がある」などのスローガンは力を失ないつつあります。税金のムダづかいをやめさせ、国民生活と国と地方の公務サービスを守るため、国民との共同を強めることが大切になっています。

●04春闘 財界の戦略に反撃を!
  
経労委報告 賃下げ、「構造改革」を強調


 2004年度版の日本経団連「経営労働政策委員会報告」(以下、報告)が発表されました。
 報告は、賃金引き下げを声高に主張し、成果主義賃金への賃金体系・制度改変を性急に進める姿勢を強く示し、「春闘終焉」を改めて宣言。そればかりではなく、公的年金制度の縮小解体や、法人税率引き下げ・消費税率引き上げを求め、国民生活水準の「アジアとの均衡」を労働者・国民に迫っており、「規制緩和」の徹底、社会保障の削減など「構造改革」路線を強調しています。

 ○労使交渉を軽視し「労組無視」の主張

 今年の報告の特徴は「降給」「ベースダウン」という表現で明確に賃下げに踏み込んだことと、労使交渉を軽視していることです。
 報告は、春闘を「終焉」させるだけではなく、春闘時の団体交渉を「労使協議」に変えることで、春闘時に限らずすべての団体交渉を「労使協議」に解消させようとしています。これは「団交否定」を通り過ぎた「労組無視」の主張であり、労働基本権軽視と言わざるをえません。
 報告では、産業別最低賃金制度の廃止が主張されているように、財界の攻撃は、個別労使関係での賃金抑制・切り下げの段階から、最低賃金制度など労働者保護の最低基準に拡大されてきています。
 日本経団連は1月28日、93年以来中止していた政治献金「あっせん」を再開するため、自民、民主両党の政策評価を発表。財界が直接政治に口を出し、カネの力で支配下におこうとしていることは明らかです
 04春闘では、最低賃金にも目を向けた「賃金底上げ」をかかげ、全労働者の賃上げ追求と、財界の攻撃に反撃するたたかいが重要になっています。

●公務員宿舎等の値上げ問題で交渉
  一方的な引き上げ許すな!
   財務省 激変緩和措置に言及


 国公労連は1月21日、今年4月から予定されている公務員宿舎使用料、駐車場使用料の引き上げ課題で、単組代表を交え、2回目の財務省交渉(斎藤国有財産企画調整課長)を行いました。
 冒頭、小田川書記長は、前回の交渉をふまえ、賃下げのもとで、大幅な宿舎費引き上げは認められないと主張し、算定方法を含め職員の納得を得られる説明を行うよう求めました。
 財務省側は引き上げ理由として、(1)10年以上据え置かれ、その間、税制上の減価償却期間の短縮(60年から47年へ)があったこと、(2)宿舎の建設費用をより的確に反映させること、(3)民間に貸した場合の期待収益の考え方を導入して、算定方法を変えること、などをあげて理解を求めてきました。

 ○劣悪な設備の改善を要求

 国公労連は、(1)公務員宿舎は、転勤など公務の円滑な運営に資するためのものであること、(2)転勤・転居の度に原状回復のための重い負担があること、(3)引き上げは若い層ほど痛手が大きいこと、(4)市場原理の持ち込みは公務員宿舎に馴染まないことなどをあげ、引き上げよりは、劣悪な設備の改善に手をつけるべきことを強調しました。

 ○公務員宿舎は労働条件問題

 こうした追及に、財務省側は「扶養家族数によっては従来より広い規格の宿舎に入居可能とする、C規格のグレードアップなどの改善も行う。大幅な引き上げであることから、激変緩和措置も検討する。また、関係機関や労働組合への十分な説明のため政令公布の後ろ倒しの可能性もある」と一定譲歩の姿勢を示さざるを得ませんでした。
 しかし、その回答は私たちの要求に十分応えるものではなく、小田川書記長は、回答には納得できないとし、公務員宿舎は重大な労働条件問題であることをふまえ、上げ幅だけでなく、退去時の修繕費、激変緩和の内容も含め,改めて交渉に応じるよう強く迫りました。

 ○署名など職場から運動を

 テレビや新聞などで、幹部公務員用の都心の豪華宿舎の実態が報道されていますが、退去時の過重な負担や老朽・狭隘な宿舎の改善こそが、いま求められています。
 一方的な引き上げを許さないため、署名など職場から運動にとりくんでいきましょう。

●年金など切実な訴え相次ぐ
  無料行政相談に177件 神奈川県国公

 【神奈川県国公発】神奈川県国公は1月17日、「無料行政相談」を行いました。横浜駅東口・そごうデパート前広場で、年金改悪などの宣伝行動とあわせ35名が参加。年金・登記・人権・労働・裁判手続・税金・健康相談などを受け付け、相談件数は177件でした。
 また、全法務の増員ティッシュに年金ビラを折り込み、1日で2000枚を配布。宣伝効果も抜群でした。
 年金問題には関心が高く、「将来的に年金はどうなるのか」などの相談がありました。また、サービス残業、失業給付などの切実な相談が寄せられました。
 神奈川県国公は、今後、年複数開催をめざし、行政の現場で、相談にきた国民の声を生かしていきます。

●震災から9年
  神戸でメモリアル行動
  復興に向け運動広げよう


 【兵庫県国公発】阪神・淡路大震災から9周年の1月17日、早朝追悼集会をはじめパネルディスカッションなど、メモリアル行動がおこなわれました。
 地震発生の5時46分、神戸市内を見渡せる諏訪山公園(ビーナスビレッジ)に松平晃さんの追悼トランペットの音色が響き渡り、参加者はロウソクをともした提灯を手に黙祷。その後、合唱や献花が行われ、追悼集会にあわせたように降り始めた雪のなかで集会をすすめました。
 神戸市内では、復興住宅での孤独死が増加し、自殺も全国のトップクラス。震災後の心のケアが十分できていないと指摘されています。しかし、震災後小学校に配置していた「心のケア」担当教諭を今年限りで廃止する方向が出されるなど問題も浮上しています。
 兵庫県国公は、震災が過去のものとされることがないよう訴え、「住宅再建支援法」などの実現に向けて運動をすすめていきます。

●全労連評議員会 春闘方針決定
  年金改悪阻止へスト
  大企業の社会的責任追及、賃金底上げを


 全労連は1月22、23の両日、評議員会を開き、04春闘方針を決定しました。
 熊谷議長はあいさつで、小泉首相が憲法をふみにじる自衛隊のイラク派兵の強行や国民生活破壊の「構造改革」を推進していることを厳しく批判しました。そして、大企業が史上最高の利益をあげながら、大企業労組が賃上げ要求を見送るという情勢のもと、政治も買収しようとする財界・大企業の横暴を許さないたたかいを呼びかけました。
 坂内事務局長は方針案の提案で、(1)大企業の社会的責任を徹底して追及、(2)非正規労働者と青年を重視、(3)地域春闘の本格的な前進で国民総決起、(4)イラク派兵反対・憲法改悪を許さない、(5)組織拡大・強化、全員参加をつらぬく、ことを強調しました。
 賃金闘争では、「誰でも1万円以上の賃上げ」「時間給千円以上の引き上げ」など底上げ重視の方針を決定しました。
 そして、年金改悪阻止を04春闘の「最大の国民的課題」と位置づけ、(1)500万署名と5万団体署名の達成、(2)毎週水曜日の全国いっせい宣伝・署名行動の展開、(3)新聞や雑誌への意見広告、(4)国会前座り込みや中央行動の強化などを提起し、2月25日の全国1000カ所での地域総行動をステップに、4月15日に年金ストライキをかまえます。
 今通常国会で政府がねらう年金改悪を阻止するたたかいを「第2の賃金闘争」と位置づけて、すべての組合がストライキなどのたたかいをかまえ、中小企業、商工業者、農民、老人クラブなどとの共同の拡大に全力をあげることが決定されました。

●公務労組連絡会臨時総会 春闘方針決定
  賃下げ悪循環ストップ!地域給・寒冷地手当改悪の阻止
  年金闘争で総決起


 公務労組連絡会は、1月16日、臨時総会を開き、春闘方針を決定しました。
 石元議長は、この間の官民共同の賃金闘争の発展や民主的公務員制度確立を求める全国キャラバンでの国民共同の広がりと関連法案の国会提出を許さず、政府の「改革」スケジュールを大幅に遅らせていることなどに確信を持ち、4.15年金改悪阻止ストライキに合流し要求を前進させようと訴えました。
 若井事務局長は、方針提起で、人事院勧告・最低賃金の改善・賃金底上げの重視、賃下げ悪循環阻止、地域の公務員給与の見直しと寒冷地手当改悪阻止などを強調。そして、全労連が呼びかけた4.15年金ストに公務労働者も全国統一行動として総決起することを呼びかけました。

●なぜ?なに?ニューストーク
  憲法破壊の軍事占領加担
  戦後初の戦地派兵の暴挙


 ちひろ 1月26日、政府が陸上自衛隊本隊と海上自衛隊にイラク派兵命令を出したね。
 健太 小泉首相は、「戦争しに行くのではない、人道復興支援に行くのだ」と言ってるけど?
 ちひろ どう言いつくろっても、武装した自衛隊がイラク占領軍司令部の指揮下に入って、他国を軍事占領する一翼を担うことに変わりはないわ。
 健太 占領というのは、国際法上からも戦争状態が続いているということだよ。
 ちひろ 政府自身も「憲法第9条第2項は、『国の交戦権は、これを認めない』と規定しているが、ここにいう交戦権とは、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政を行うことを含むものである」と答弁してきたわ。
 健太 政府の見解に照らしても、憲法が禁じている「交戦権」の行使になる自衛隊派兵が許されていいはずがないね。
 ちひろ それに、自衛隊の実際の任務も、占領軍の一員としての活動だわ。
 健太 政府がつくった「基本計画」と「実施要項」には、「安全確保支援活動」って書いてあるけど?
 ちひろ オブラートに包んでるけど、「フセイン軍残党の米軍掃討作戦への支援」や「イラク人による米占領軍への抗議・抵抗運動への鎮圧の支援」なども含まれてるのよ。
 健太 米英占領軍は、武装勢力の「掃討作戦」として、イラクの一般国民の家屋の破壊や民衆のデモへの発砲をして、イラク国民の怒りと憎しみを広げているね。これに自衛隊は加担するわけだ。
 ちひろ 無法な戦争と占領こそテロと暴力の根本原因で、NGO関係者が「占領と人道支援は両立しない」と訴えてるのもそのためよ。
 健太 小泉首相は、自衛隊が武器を使うのは「正当防衛」のためで、「憲法が禁じる武力の行使にあたらない」と言ってるのは?
 ちひろ イラクでは、テロ集団だけでなく、米英軍の占領に対して、一般のイラク人による武力抵抗が起こっているわ。自衛隊がイラク国民から抵抗を受け、これに自衛隊が武器をもって殺傷することが、どうして憲法が禁じる武力行使ではないと言えるのかしら。
 健太 自衛隊のイラク派兵は、平和憲法のもとで日本が他国民を殺傷したり、自らも犠牲者を出したことはないという、国民が戦後守りぬいてきた「この国のかたち」を破壊する歴史的暴挙だ。
 ちひろ 自衛隊派兵の即時中止を求める声を大きくしなければいけないわ。(1月28日記)


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