国公労新聞 第1170号

●たたかえば要求は前進
  3.5中央行動に3000人

  3月5日、国公労連は、04春闘要求の実現をめざし、全労連・公務労組連絡会に結集して中央行動にとりくみました。政府・人事院・財務省への要請行動、総決起集会、国会請願デモなどを展開するとともに、昼休みの時間帯には、全労連女性部の「菜の花行動」や、青年部の要求行動とも一体で、「すべての労働者に賃上げを! 年金改悪阻止・総決起集会」を開催しました。中央行動には、3000人が参加し、国公労連は1500人の仲間が終日奮闘しました。
 昼の集会で主催者あいさつした全労連・坂内事務局長は、「財界の攻撃が強まっているもとでも、国民春闘共闘に結集する組合で前年を上回る賃金回答を勝ち取っているところもある。石にかじりついても要求を一歩でも二歩でも前進させる断固としたたたかいが必要。運動を盛り上げ、4・15年金ストを大きく成功させよう」と訴えました。
 人事院前要求行動では、寒冷積雪地域の仲間が次々と宣伝カーのマイクを握り、寒冷地手当の改悪をねらう人事院に向けて、渾身の力で怒りをぶつけました。

●スタートダッシュ! ILO勧告遵守署名

 ○小泉首相が「大綱」見直しに言及

 3月8日の参議院決算委員会で、小泉首相は、「公務員制度改革大綱」(「大綱」)について「見直していいのではないか」と答弁したと伝えられています。
 昨年7月、政府・行革推進事務局は、「大綱」にもとづく国家公務員法「改正」法案や能力等級法案の閣議決定、国会提出をめざしました。しかし、ナショナルセンターである全労連、連合が一致して反対したこともあって、法案決定は断念されました。
 秋以降、政府は推進事務局の人心を一新し、自民党が総選挙でかかげていた「2004年中の公務員制度改革法案提出」のマニフェストをふまえた論議も行われていました。
 自民党の行革本部・公務員制度改革委員会は、3月5日に、(1)能力等級制について「従前の考え方を整理」すること、(2)「天下り」の承認(チェック)は内閣が行うことなどを確認したと伝えられています。小泉首相の発言は、この動向も意識したものと考えられます。

 ○あくまで労働基本権の“棚上げ”を画策

 政府や自民党の論議の経過には、見過ごせない問題が含まれています。それは、2002年11月、2003年6月と、二度にわたるILO(国際労働機関)からの勧告が無視されていることです。「公務員に対する労働基本権の付与については、当面先送りし、継続的に協議する場を設ける考え」(3月6日付朝日新聞)とする新聞報道もあります。
 「歴史的、画期的」と評されるILOの勧告は、労働基本権回復を正面にすえた労使の交渉・協議を求めています。基本権回復を棚上げにするための交渉・協議ではありません。
 ILO87号条約の批准にともなう1965年の国家公務員法「改正」時にも、労働基本権問題を先送りするために公務員制度審議会が設けられ、今日まで、非現業公務員の労働協約締結権と争議権が禁止され続けています。そればかりか、不当労働行為の救済制度など、同審議会で「残された課題」とされた事項も、うやむやのまま40年が経過しています。同じ轍をふまない、そのためのたたかいが求められています。

 ○全労連、国会に向け「ILO勧告遵守署名」を開始

 3月5日に開催された「民主的公務員制度確立3・5決起集会」(主催・全労連)では、前述した状況を確認するとともに、215市町村議会(12月地方議会まで)で民主的公務員制度の確立を求める請願、陳情が採択され、約370名の学者・弁護士から同趣旨のアピールに賛同が集まっている運動の到達点をさらに前進させ、「ILO勧告にそった民主的公務員制度の確立を求める団体署名」(ILO勧告遵守署名)を5月末集約でとりくむことが確認されました。
 ILO勧告に背を向け続ける政府を世論で包囲するため、国公労連は、1万団体を目標に全力をあげることとしています。
 賃下げを4月に遡らせる不利益遡及を政府・人事院が一方的に決定する無法が許される公務員制度ではなく、労働者の権利を中心においた公務員制度への改革をめざすとりくみは、今国会から秋に向けて重要な段階を迎えています。民主的公務員制度確立をめざす積極的なたたかいを全国で展開しましょう。

●「国公法違反」口実の不当逮捕・起訴を許すな

  春闘諸行動の成功で全国から反撃しよう

 ○あまりにも異常!
 警視庁公安部は、3月3日、昨年の衆院選挙(11月9日投票)時に、日本共産党「しんぶん赤旗」号外などを休日に居住地で配布した行為が国家公務員法(政治的行為の制限)に違反するとして、厚生労働省社会保険庁の目黒社会保険事務所に勤務する国公労働者を不当逮捕しました。
 さらに東京地方検察庁公安部も、送検された翌日の5日に本人を釈放したうえで、即日起訴するという暴挙を強行しました。
 今回の事件は、4カ月も前の行為でかつ正当な政治活動に対し、選挙の取り締まり担当部局でない公安部が乗り出してきたことからも明らかなように、公務員労働者・労働組合と革新政党に対する不当弾圧以外の何ものでもありません。
 国公労連は、あまりにも異常な今回の不当逮捕・起訴に、満身の怒りをこめて断固抗議するものです。

 ○時代錯誤そのもの
 政治活動の自由は、すべての国民に保障された憲法上の権利として「表現の自由」(21条)の中核をなしており、公務員労働者もその例外ではありません。
 したがって、公務員に制約を課す場合でも、憲法理念に照らしてその濫用を厳に慎むべきことは多くの判例も認めています。
 直近では、今から20年前の1983年の一斉地方選挙で郵政労働者が公営掲示板にポスターを貼って逮捕された例(東京貯金局事件)がありますが、その時は不起訴となっています。
 今回の不当逮捕・起訴は捜査権・公訴権の濫用であり、国公労連として断じて認めることができません。

 ○権利闘争と一体で
 今回違反の口実とされた国公法第102条第1項(政治的行為の制限)は、諸外国でも特殊な歴史事情をもつアメリカ以外にはその例をみず、そのアメリカでも刑事罰は存在しません。
 こうした制限強化は、今から55年も前の「マッカーサー書簡」にもとづく1948年の国公法全面改悪によって、争議権・協約締結権の剥奪とセットで行われたという、国公労働者の無権利性を端的に示すものです。
 全国のみなさん!
 今回の異常で時代錯誤もはなはだしい攻撃に一歩もひるまず、国内外の広範な抗議の声を追い風に、春闘山場の諸行動を成功させるため全国の職場・地域から総決起しましょう。
 全国のみなさん!
 憲法と平和・民主主義を守り、国民のための民主的な公務員制度を確立するためにも、ILO勧告にそった労働基本権の回復と、公務員労働者の市民的・政治的自由の確立をめざして全力で奮闘しましょう。

●新潟 寒冷地手当改悪反対集会

 3月3日、札幌・仙台集会につづいて、「寒冷地手当改悪阻止・関信越総決起集会」が新潟市内で開催されました。
 決起集会には、地元新潟の公務職場の仲間をはじめ東京や千葉、埼玉、さらには北海道や近畿など全国の仲間400人がかけつけ、地元テレビ局も取材するなど注目を集めました。
 主催者あいさつに立った公務労組連絡会・堀口副議長(国公労連委員長)は、「寒冷地手当の改悪は、人事院がねらう給与の全面改悪の突破口であり、全国的なたたかいが重要だ。8年前のたたかいでは、827の地方議会で請願や意見書が採択されたが、新潟はそうした運動をリードし、全国の仲間を勇気づけた。それを上回るたたかいで人事院を攻め上げよう」と呼びかけました。
 新潟県労連・目崎議長は、「寒冷地手当改悪により新潟県の経済が100億円のマイナス効果となるとの試算がある。大義あるたたかいに、県労連としても力いっぱい奮闘したい」と連帯あいさつしました。
 新潟県国公・立石議長が、署名運動や議会請願など今後の行動提起を行い、集会参加の仲間は、職場・地域から一歩もひけないたたかいをやりぬく決意を固め合いました。

●春闘要求実現へ政府・人事院を追及

  国公労連は、2月12日に政府・人事院に要求を提出して以降、各レベルでの交渉を積み上げ、3月18日の最終回答をめざします。

 ○私たちの生活悪化と労働実態をふまえよ

 5年連続の年収切り下げ、2年連続の本俸引き下げの状況下で、「1万2000円、3・2%」の賃金改善要求はより一層切実となっているにもかかわらず、政府・人事院の回答は「人勧制度尊重」(政府)、「民間準拠」(人事院)の回答に終始しています。この回答は、私たちの生活悪化や労働の実態および公務員賃金の社会的影響からして、受け入れがたいものです。

 ○超勤縮減・サービス残業の根絶へ責任ある対応を行え

 「超過勤務縮減・サービス残業の根絶」要求に対して、政府は「重要な問題と認識している」としながらも「各省の補佐クラスの連絡会で検討」との回答にとどまり、また人事院も「指針や目安時間を示しているので、各職場でとりくんでほしい」と制度官庁としての責任ある対応をしない無責任な回答を行っています。
 定員削減のなかで増大している非常勤職員の賃金・労働条件改善については、政府・人事院ともに「常勤職員との権衡を考慮し、予算の範囲内で各省でやられている」との非常勤職員の現状をふまえない回答に終始しています。
 再任用制度についても、政府・人事院は、「関係機関との調整」「雇用と年金の適切な連係を図るという趣旨の理解に向けて、努力」と言及しながらも、定員管理をはじめとする現行制度の問題点解決に何ら言及していません。
 男女共同参画課題については、人事院が「指針を出し、それを通じて各省が計画を立てており、そのフォローアップを通じて指導している」と回答し、育児休業・介護休暇については、「民間の法制の動きをとらえ、その方向で動いているものもある」と回答。

 ○寒冷地手当の改悪やめよ

 寒冷地手当では、人事院が基本方針として、(1)今回の見直しでは、民間準拠を基本として支給対象地域および支給額の見直しを行う、(2)見直しは本年夏の勧告において行う、と提案しました。
 国公労連は2月6日に寒冷地に関する申し入れを行い、その後ブロック代表および単組代表による交渉を実施しました。
 しかし、人事院は「寒冷地生計費増嵩補填という性格は変わらない」としながらも、「生活均一化でその差は希薄」「情勢適応の原則に基づく民間準拠によって手当を決めることが国民の理解が得られる」と民間準拠を唯一の根拠に改悪強行の姿勢を崩していません。いずれの課題も、職場・地域からのたたかい強化が求められています。

●被災50年3.1ビキニデー集会

 アメリカのビキニ環礁での水爆実験による焼津のマグロ漁船・第五福竜丸の被災から50周年を迎えた今年の3・1ビキニデーは、マスコミも大きく報道するとりくみとなりました。
 水爆実験で死の灰を浴び亡くなった故久保山愛吉氏の墓参行進には、約2000人が参加。引き続き開催された集会には1800人以上が参加し、会場は立ち見も出る状況でした。地元の仲間を中心に28人が参加した全法務をはじめ国公からも多くの参加がありました。
 集会では、あらたな核兵器と言われる劣化ウラン弾を湾岸戦争やイラク戦争で米軍が使用し、今も次々と被爆者が生まれていることなどが告発されました。参加者は、地球上から核兵器を廃絶するため、新しい国際署名「いま、核兵器の廃絶を」のとりくみをはじめ、草の根からの運動を強めることを誓い合いました。


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