国公労新聞 第1173号

●70兆円の国民負担増せまる年金改悪法案の審議強行

 自民、公明両党は4月2日、与党単独で衆議院厚生労働委員会を開き、政府提出の年金改悪法案の趣旨説明を強行しました。将来にわたって国民負担増をおしつける政府案には、68%の国民が反対しています(日本世論調査会3月実施)。国民の怒りを束ね、年金改悪法案を廃案にしましょう。

 政府の年金改悪法案は、14年間連続して保険料をアップし、その間の国民負担増の合計が70兆7000億円にものぼる史上最悪の改悪です。
 一方、4月8日に、民主党が3%の「年金目的消費税」を盛り込んだ「年金制度改革法案」を国会に提出しました。民主党案は、消費税で年金財源をまかなうもので、消費税を3%分アップした国民負担増の合計は、政府案と同じ14年間で、79兆2000億円です。
 日本は、大企業が負担する税・社会保険料の国民所得に占める割合がヨーロッパ諸国に比べてきわめて低い水準になっています。日本の場合、約380兆円の国民所得に占める企業の税・社会保険料は46.8兆円で、12.3%ですが、フランスは23.6%、ドイツは17.7%、イギリスは16.0%です。
 ヨーロッパなみに大企業が応分の負担をすれば、国民負担増なしで、年金財源は確保できます。年金財源を支えていく社会的責任が大企業にはあるのです。


●退職時特別昇給を5月1日から廃止
  −−人事院が決定強行−−

 人事院は、勤続20年以上の国家公務員の「退職時特別昇給」制度を5月1日から廃止(公布は4月12日の予定)することを決定しました。
 これに伴い、「初任給、昇格・昇給等の基準」(人事院規則9―8)第39条第3号「(勤務成績の特に良好な職員が)20年以上勤続して退職する場合」は削除されることになりました。
 この問題については、人事院が2月19日に、国公労連に対して「退職時の特別昇給については、可及的速やかに廃止する方向で見直しを検討することとしたい」との提案を行い、国会においても、2月23日の衆議院予算委員会で中島忠能人事院総裁が「廃止を含め見直したい」と答弁するなど、廃止に向けての積極的な動きを見せていました。
 こうした動きに対して、国公労連は2月27日に人事院に退職時特昇の「見直し」に関する要求書を提出し、「退職手当額を引き下げる退職時の特別昇給廃止は強行しないこと」を要求してきました。
 しかし、3月31日に人事院が、「見直しを行うということで問題提起した退職時の特別昇給については、今年度の実施状況を見た上で結論を出すと話をしてきた。本日までの実施状況は、おおむね従来と大きく変わらない見通しであり、方針通り廃止せざるを得ない」とし、「近々、正式決定の手続きに入る。実施の時期については、周知期間をおいて速やかに実施する」ことを明らかにしていました。
 この動きを受けて、国公労連は各職場から「退職手当額を引き下げる退職時の特別昇給廃止は強行しないこと」を求める緊急の要請打電のとりくみを展開してきました。
 言うまでもなく、退職時特別昇給の廃止は、退職時の俸給月額引き下げを通じて退職手当水準に影響を与え、2004年10月からの退職手当の調整率の引き下げにさらに「追い打ち」をかけるものです。当然、2003年通常国会において官民均衡を建前に強行された退職手当引き下げの前提とその正当性をくつがえすことになります。
 しかし、その点に関して人事院は「決定後退職手当を主管する総務省に対して、(退職手当に影響することについて)適切に検討するよう話をする」と述べるにとどまり、人事院自らの決定が職員に重大な不利益をもたらすことへの責任をまったく果たそうとしていません。
 国公労連は、今回人事院がわれわれとの十分な交渉・協議もなく、「退職時特別昇給」制度の5月1日からの廃止を決定したことに厳しく抗議するとともに、今後総務省に対して、退職手当水準に影響を与えないよう求めるとりくみを進めます。


●憲法遵守宣言 すべての職場で採択を
  4月から5月3日まで憲法・平和学習強化月間

 ○「戦争する国」への動き露骨

 いま、憲法、とりわけ「9条」をめぐる情勢が緊迫しています。政府は、「イラク占領統治」のために自衛隊を派遣し、米軍への戦争支援のため、罰則つきで国民を動員する国民保護法案をはじめとする有事関連7法案と3つの条約協定の早期成立をはかろうとするなど、「戦争する国」への露骨な動きを見せています。
 そうした動きとともに憲法「改正」の動きも進んでおり、小泉首相は「来年秋に向けて憲法『改正』の検討を進める」とし、自民、公明の与党はそのための準備を進めています。そればかりか、民主党も先の衆院選の政権公約で「国民的な憲法論議を起こし、国民合意の下で『論憲』から『創憲』に発展させる」との立場を打ち出しています。
 憲法第99条の「憲法尊重擁護義務」を負う私たち国公労働者にとって、こうした動きは、国民本位の行政を実現するための「仕事」から国民生活を抑圧する「仕事」への転換さえ懸念されるものです。

 ○職場で活発な論議を
 私たちの働き方をかけた取り組みとして、有事法制反対、イラク派兵中止など平和と民主主義を守るたたかいと一体で、憲法を守り、行政と職場に憲法を生かす運動の強化を呼びかけます。
 国公労連は、4月から5月3日までを「憲法・平和学習強化月間」に設定し、職場での活発な憲法・平和学習を行うよう呼びかけています。憲法が求めている平和と民主主義の実現のため、いま、私たち国公労働者がしなければならないことは何か、今日の情勢はどのようになっているのかなど、職場での論議を深めあいましょう。
 その上で、各支部・分会や職場単位で「憲法遵守職場宣言」を採択し、その決意を国会に対して「請願」の形で表す取り組みに発展させましょう。憲法「改正」に向けた動きが、かつてないほど露骨になっている今だからこそ、すべての職場・機関での採択をめざしましょう。

 ○一過性ではなく継続した運動に
 すでに宣言を採択している職場・機関では、「憲法遵守宣言職場」であること示すステッカーを職場内外に広くアピールするため組合掲示板に貼り出すこととします。取り組みを一過性のものとせず、日常の業務や運動に生かしていきましょう。

 ◇職場宣言要旨
1、 私たちは、日本国憲法を尊重・擁護し、基本的人権実現のために不断の努力を尽くします。
2、 私たちは、憲法改悪のあらゆる動きに反対し、同じ立場に立つ国民諸階層との共同の発展に力を尽くします。
3、 私たちは、とりわけ戦争放棄を掲げた第9条の改悪は絶対許さず、いかなる戦争にも加担しません。
4、 私たちは、憲法を暮らしに生かす行財政・司法の確立をめざします。


●〈国民平和大行進〉平和を願い「広島」へ
  一歩でも二歩でも参加しよう

 2004年国民平和大行進がスタートします。全国各地から8月の「広島」に向けて、核兵器廃絶の願いを行進によってつないでいく活動で、日本の原水爆禁止運動が生み育ててきた貴重な取り組みです。
 今年で47回目を迎える平和大行進は、毎年、日本全国から10万人を超える参加者でねばり強く展開され、平和を求める草の根運動の発展とともに、「戦争反対」「核兵器全面廃絶」などの世論を築く原動力となってきました。
 今年も5月6日の東京・夢の島を皮切りに11基幹コースで取り組まれます。
 今年の平和大行進は特別な意味があります。イラクへの自衛隊派遣や、有事関連7法案の制定や憲法「改正」に向けた動きが強まっているからです。
 「ストップ戦争、核兵器廃絶、有事法制反対」の大きな声をあげ、一歩でも二歩でも多くの仲間とともに行進し、国民平和大行進と2004年原水爆禁止世界大会の成功をめざしましょう。
 国公労連は、これまでどおり「通し行進旗」をなびかせます。全国に職場をもつ国公労連のなかまが、積極的に行進に参加し、平和の願いを広島へつないでいきましょう。



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