国公労新聞 第1174号

●4月から6月は組織拡大強化月間
  要求前進のカギは仲間づくり

  みんなで組織拡大にとりくもう

 4月から6月は「組織拡大強化月間」です。
 定員削減もあって、何もしなければ組合員数が減少し続ける状況となっています。「チャレンジ30」のとりくみを着実かつ飛躍的に前進させることが求められています。
 昨年12月に厚生労働省が発表した「労働組合基礎調査」では、組織率が20%を割り込み、労働組合の社会的影響力の低下が指摘されています。一方で、リストラ「合理化」や非正規職員への置き換えなど、賃金・労働条件の切り下げが激化する中、公務・民間を問わず、労働組合の存在と役割発揮が問われています。
 労働組合の力は数であり、仲間を増やすことが要求前進のカギです。特に、労使が対等の立場で交渉を行い、労働条件を決定する独立行政法人の職場では、組織率が直接的に労働条件に反映します。
 いま大事なのは、すべての未加入労働者に加入を呼びかけることです。新規採用者はもちろん、従来から組織しきれていなかった労働者にも、情勢を語り、対話を進めながら、大胆に結集を呼びかけましょう。
 また、組織拡大は役員だけではなく、組合員みんなでとりくむことが重要です。

 ○非正規労働者の拡大で真価発揮を
 多くの単組が非正規労働者の組織化に向けた議論を深め、とりくみに着手しています。
 財界・大企業が労働者の「安売り競争」を進めるなか、公務の職場でも非正規の職員が増え続けています。非正規労働者に共通する、著しく低い賃金や労働条件の実態は深刻で、そのことが正規労働者の労働条件にも否定的な影響を及ぼしています。このまま野放しにしておくと、貧困や社会不安は避けられません。これを払拭するのは、労働組合です。
 いまこそ、非正規労働者の組織化や地域における産別組織の強化をはじめ、企業(省)内主義の克服という運動上の課題を、組織面から追及する「チャレンジ30」を本格実践していきましょう。

 ○新規採用者の拡大こそ青年の悩みを解決できる
 度重なる定員削減とOA化などで、青年の仕事は質・量ともに様変わりしています。職場ごとに違いはありますが、中には何年も新採用の職員が一人も来ない職場も少なくありません。定員削減は新規採用抑制による青年一人ひとりの業務量増と、数年も「新人扱い」という自尊心に関わる問題、そして青年組合員の減少という組織問題と、幾重にも重なって青年に襲いかかっています。
 何より、同じ職場に同世代の仲間がいない青年が毎年増え続けていることは、想像以上に深刻です。気軽に相談や愚痴の言い合いができる仲間がいない中で仕事が様変わりしているわけですから、メンタルヘルスの点でも問題があります。
 私は、ここに労働組合のメリットがあると考えます。少なくなってきている新採用の仲間にとって、同じ職場とまではいかなくても、同じ地域には一定程度青年が集まっているというのは、心強いものです。新規採用者に労働組合に加入してもらうとともに、県国公などで青年の集まる機会を作っていくことが求められています。
 青年協は、組織拡大強化月間に合わせて、新規採用者の拡大促進や新歓企画、県国公の青年企画などへの全国オルグなどを提起しています。
 みなさんのお力をお借りしつつ、多くの新規採用者を迎え入れ、青年の悩みの解決や要求を前進できるよう、奮闘します。

 ○国公一般 加入訴え宣伝行動
 国公労連は4月21日、定時退庁、年金改悪阻止の宣伝とあわせて、霞が関や大手町周辺の本省職員、非正規職員などの未組織労働者を対象に、加入を訴える宣伝行動を展開しました。
 宣伝では、従来の省庁門前だけでなく、地下鉄出口など範囲を拡大。国公労連加盟単組への加入とあわせて、未組織の職場の前でも、相談窓口の紹介と国公一般への加入を訴えるビラを配布しました。


●人事院 寒冷地手当改悪の方向を説明

 4月19日、人事院は、国公労連に対し、寒冷地手当の見直し問題で、民間支給状況調査の結果をふまえた今後の検討方向について改めて説明しました(各省当局にも説明済み)。その内容は全体として従来方針の域を出ませんが、今回新たに支給方法の見直しについても検討するとしています。
 人事院側(宮本参事官)は、昨年10月に実施した民間支給状況調査の各県別のデータについて、「民間事業所の同種手当の支給状況は、北海道で81%、青森で25%、その他の県では20%以下」と改めて解説した上で、この結果からみた今後の検討方向について、現在次のように考えていると説明しました。

民間事業所の約8割が寒冷地手当を支給している北海道は、公務においても寒冷地手当の支給対象とすることが適当。
北海道以外で支給対象とする合理的な理由がある地域があるかについて引き続き検討する。
これらの見直しに伴い、支給地域の区分も抜本的に見直すこととなる。
なお、支給方法については、冬季間毎月支給への変更を含め検討する。

 この説明を受けて、国公労連側は、(1)今回の調査票には不合理な選択肢(同種手当の支給の有無など)や全国展開している事業所と地場企業との区分が不明確など方法論上の問題点がある、(2)調査結果だけを根拠にする見直しには反対であり、これまでの交渉経過を踏まえ寒冷生計増嵩費や公務の特殊性をふくめて引き続き議論すべき、(3)寒冷生計増嵩費や気象データなど必要なものを可能な限り早期に公表すること、(4)地方事務局にも必要な情報を伝えて現地でも説明できるようにすること――などを主張しました。

 人事院は依然として、「民間準拠」に固執し続けており、職場・地域から、寒冷地手当の改悪を許さないたたかいの強化が求められています。


●人事院 メンタルヘルス対策の新指針

 人事院は3月30日「職員の心の健康づくりのための指針」(勤務条件局長通知)を発出しました。
 メンタルヘルス対策は、1987年に「職場におけるメンタルヘルス対策について」という福祉課長通知が出されています。近年、公務においても自殺する職員の数が増加し、精神・行動の障害による長期病休者の数が急増しているなどの状況をふまえ、昨年10月、専門家からなる「メンタルヘルス対策のための研究会」を設置し、検討していました。

 ○各省庁の長、管理監督者等が「心の健康」に責任持ち協力
 新しい指針では、「メンタルヘルス」という言葉が使われず、「心の健康」という言葉が使われています。従前の指針は、医学的立場から、メンタルヘルス対策ということで精神科医等の役割が重要視されていましたが、新指針では、「心の健康」づくりということで、各省庁の長は組織全体の「心の健康」づくりに責任を持つなど、その役割が大きくなっており、そこに新指針の特徴があります。
 指針のポイントの一つは、「心の健康」づくりのために、各省庁の長、管理監督者(職場の上司)、職員本人、人事院等の役割を明示し、それぞれが協力してとりくむとしていることです。

 ○「心の健康」の状況に応じて具体的な勤務環境の整備
 二つ目に、「心の健康」の状況に応じた対策が必要であるとして、(1)健康なとき→「心の健康」の保持増進、(2)不健康なとき→早期対応、(3)回復したとき→円滑な職場復帰と再発の防止、というように、健康な人だけでなしに不健康になりかけの人、健康でも疲れている、あるいは力が出ないなどという人も含めて対策をとるとしています。
 例えば、「心の健康」の保持増進のため、各省庁の長の役割は、勤務環境の整備として、職員のストレス状況の把握に努め、超過勤務の縮減や人事配置を適切に行うことなどが具体的に示されています。

 ○再発防止、職場復帰へ計画的な回復に重点
 また、円滑な職場復帰と再発の防止では、復帰前にあらかじめ職員本人、家族、主治医等と連携し、職場を離れている間の回復状態、現在及び今後の治療の方法等の状況を把握するなどとしています。
 「心の健康」の問題により長期間休んでいた者の職場復帰については、職務遂行能力の計画的な回復に重点をおき、復帰後一定期間(おおむね3月間)計画的に職務内容を決定していくことが示されています。
 今、職場ではメンタルヘルスが大きな問題になっています。今回出された指針を実効あるものにし、心の健康の保持増進はもとより、心の健康で長期間休んでいた職員の復帰についても職場全体でとりくんでいくことが求められます。


●船舶労働者の処遇改善を求め総行動

 国公船舶連絡会は4月8日、船舶(海事)労働者の処遇改善を求め、朝から夕方までの一日の行動として、船舶総行動を行いました。
 早朝宣伝行動では、財務省前、人事院前、農水省前、国土交通省前、気象庁前で船舶連加盟の各単組がビラを配布し、船舶労働者の処遇改善を訴えました。
 その後の人事院交渉では、東京国公、国公労連各単組から15名が参加し、人事院からは給与第一課の菊入専門官が対応しました。
 冒頭、国公労連から「船舶労働者は海上での勤務という劣悪な環境のもとで、重要な行政分野を支えているが、低賃金や昇格頭打ちなど、職員の労働条件は悪化している。船舶労働者の処遇改善のため誠意ある回答を」と強く求めました。しかし人事院側は海事職賃金の水準の「優位性」を強調し、昇格やその他の労働条件の改善要求については担当に伝えると言うだけで、誠意ある回答はありませんでした。最後に船舶連側は「再度昇格に絞った交渉を求める」と強調し交渉を終えました。
 昼休みには人事院前行動を行い、船舶労働者の労働条件改善を求めました。
 午後からは学習交流会を開催。全厚生の杉下委員長から「年金改革の問題点」、全日本海員組合の藤丸徹氏から「船員が平和問題にとりくむ意義」の講演を受けるとともに、各単組報告などで交流を深めました。
 船舶労働者の数は、国立大学が独法に移行するなど減少傾向にありますが、運動の強化による労働条件の改善が求められています。


●KKRホテルびわこ労働組合を結成
 支配人による人権侵害に怒り

 3月21日、国家公務員共済組合連合会が経営するKKRホテルびわこ(滋賀県大津市)に新しい労働組合が誕生し、宿泊労連(国公労連オブ加盟)と滋賀県国公に加盟しました。
 KKRホテルびわこは大津市郊外に位置し、宿泊定員85名の小規模な施設です。ヨットハーバーを併設し、アットホームなサービスで順調な黒字経営を続けていました。
 しかし、昨年5月に現在の支配人が着任以来、度重なるいじめや粗暴な言動、無理難題の要求に加え、繰り返し起こる顧客とのトラブルに耐えかねた職員が何人も職場を去っていきました。せっぱ詰まった職員の一人が公的機関に相談を持ちかけ、そこから滋賀県労連にたどりつき、県労連から連絡を受けた国公労連と国公近畿ブロック・滋賀県国公が連携して対応し、KKRホテルびわこ労働組合が結成されました。
 KKRホテルびわこ労働組合は、支配人の人権侵害を厳しく追及し働きやすい職場をめざして奮闘しています。


●年金改悪反対4.15行動に100万人

4月15日、全労連・国民春闘共闘は、「年金改悪反対」を掲げ、民間11単産がストライキを中心に決起し、公務の仲間は、終日多彩な行動を展開。全国で100万人が参加しました。(※4.15行動での各県国公の奮闘は次号に掲載します。)



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