国公労新聞 第1191号 |
●国公権利裁判に不当判決 公務労働者に対する権利侵害を免罪 ◇わずか10秒の判決 10月21日、法廷を埋めた原告や組合員を前に、東京地裁民事36部の難波裁判長が言い渡した判決は、「原告の請求を棄却する」。午後1時30分の開廷から、わずか10秒でした。 ◇ヒラメ司法は不要 「不当判決糾弾!」、支援行動の国公労連の仲間の声が響くなか、配布された判決要旨は、さらに怒りをわきたたせる内容でした。 「公務員の団体協約締結権は『憲法上許容されない』」、「ILO結社の自由委員会勧告は、条約を解釈する際の『法的拘束力ある基準ではない』」、「国家公務員について『不利益不遡及法理が直ちに適用されない』」などとし、だから「国会の立法行為に裁量権の逸脱はなく、(損害賠償)請求に理由はない」という内容だったからです。このような判決内容に、「(行政、立法に屈する)ヒラメ司法は不要」という批判の声さえあがりました。 ◇控訴の方向で論議 午後2時30分から東京都内で開催した「判決報告集会」では、「公務員労働者の団体交渉権を極めて限定的にとらえた判決をこのままにしておくことは、当面する公務員制度改革課題とかかわっても放置できない」、「判決は、『調整措置』の脱法性について判断を避けるなど、原告の主張に答えていない」ことなどを確認。 弁護団からも「不当判決を乗りこえるため、裁判闘争に引き続き奮闘する」との決意も表明され、高裁控訴の方向で、必要な手続と論議をすすめることとし、集会を終えました。(※裁判闘争の詳細は、次号で特集します) 「判決報告集会」で岡村親宜弁護団長は、要旨次のように述べました。 私たちの主張は−−(1)「不利益不遡及原則」は民間では確定判決。国公労働者にもこの原則が適用されるのは当然で、認められないとするならばその根拠を示せ。(2)国公労働者に「不利益不遡及原則」が適用されるとすれば、実質的に不利益が遡及されていることは脱法行為だ。(3)被告・国側は、勤務条件法定主義を持ち出し、国会の立法裁量を主張しているが、何でもできるというものではない。裁量の範囲を超えた行為は裁量権の逸脱であり違法だ−−ということ。これに対し、判決は、一切まともに答えていない。 |
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●本省・出先間の格差拡大やめよ 昇格改善要求の実現を 国公労連は9月17日に昇格改善要求を人事院に提出し交渉を積み重ねています。 10月6日には、人事院の定数改定作業の状況や今後のスケジュールを明らかにするよう求めたところ、人事院側は「公務員制度改革の動きはあるが、今年の改定作業自体は例年同様11月を目途に政策的に左右されず淡々と進める」と回答。 ◇行(二)昇格改善 部下数制限撤廃を 10月13日には、行(二)の昇格改善を求める人事院交渉を実施。 国公労連側は、行(二)の昇格問題では、国全体の不補充政策の強行で部下数制限がいよいよ足かせになっていること、運用の抜本改善に向けて部下数の大幅緩和や付加業務評価の拡大とその評価基準の明確化などが必要であることを強調し、国公労連の要求に対する人事院側の回答を求めました。人事院側は、要旨以下のように回答しています。
◇管区・府県・出先 地方の仲間の不満は大きい 10月20日には第2次中央行動と並行して、管区・府県・出先の昇格改善を求める交渉を実施。国公労連側は、「地方へ行くほど評価が低くなる現行標準職務表に対し地方の実施部門に働く職員の不満は大きい。人事院は04勧告で給与構造見直しと地域給与に言及したが、本省と出先間の格差拡大の動きが懸念される。地方出先に焦点を当てる新たな定員削減計画策定の動きもあり、これまで以上に仲間の不安が高まっている」とせまり、人事院側は要旨以下のように回答しています。
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●台風接近のなか第2次中央行動 10月20日、超大型台風が接近するなか、国公労連は、全労連・公務労組連絡会に結集して、秋年闘争第2次中央行動を420人(全体で600人)の仲間の参加で実施。人事院前、総務省前、行革推進事務局前の要求行動と、日比谷野外音楽堂での総決起集会を開催後、国会議員要請を行いました。 |
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●新潟中越地震 被災者支援に全力を 10月23日夕、新潟県中越地方(小千谷市、十日町市、長岡市)を中心に発生した新潟中越地震による被害は甚大で、鉄道、電気、ガス、上下水道、電話通信など被災地のライフラインは困難を極めています。道路の寸断で孤立している山古志村は全村民への避難指示が出されており、県内の避難住民は10万人にのぼっています。冬に向かって長引く避難生活に「疲労死」も数多く出ています。 こうした非常時のなか、全労連は25日、「新潟・中越地震緊急対策本部」(本部長・熊谷金道議長、事務局長・宮垣忠事務局次長)をスタートさせました。 国公労連は、被害の甚大さに鑑み救援カンパ活動をとりくむことにしました。今回の救援カンパは、組合員に限らず、一般の被災者を対象にとりくみ、国公労連で集約し、送金します。 集約したカンパ金は、別記口座に送金して下さい。なお、単組で一括集約する時は、単組本部の指示に従ってください。
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●国公労連、全経済の学習会に170人 成果主義「成功した会社ない」 −−「虚妄の成果主義」の高橋伸夫氏が講演−− 話題となっている「虚妄の成果主義−日本型年功制復活のススメ−」の著者、高橋伸夫氏(東大教授)を講師に、「虚妄の成果主義」を学ぶ学習会」が、国公労連と全経済の主催で10月20日夜、都内で開かれました。台風23号が接近している悪天候にもかかわらず、170人が参加しました。 主催者あいさつで、国公労連の堀口士郎委員長は、「政府・人事院が、民間事例を無批判に取り入れようとしているとき、高橋先生の著書にある『すべての仕事が共同作業』ということを大切に職場の合意を強めたい」とのべました。 高橋氏は講演で、かつて中小経営者向けの講座を15年間行い、参加者の考えを約1000時間も聞いてきた体験から、「これらの人びとは成果主義に反対だった」ことを紹介し、「大多数の人は、給料に差をつけるような差はない。成果主義はみな失敗するのであり、マスコミも『成功した会社はない』と言っている」とのべ、「若い人は、先輩が経験談を語ってくれるのを待っている。成果主義みたいな手抜きはやめるべき」と語りました。 参加者からは、「成果主義が無意味なことがわかった」などの感想がよせられました。 |
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●国公労連・新役員の横顔 川村好伸中執(全労働出身)公務員制度対策 高知県生まれ。中学時代は「野球少年」。 78年、高知公共職業安定所に。すぐ青婦部役員になり、明るい「目立ちたがり屋」の本性を磨き始める。 83年は全労働四国青婦協事務局長に。キャンプ出発前に「人勧凍結では商店街は大変!」と署名を訴え、遊びと運動をリンク。86年から3年間は全労働青婦協議長も経験した。 94年から10年間、高知県国公事務局長。96年、「行革の徹底を」と発表した高知新聞社の論説委員長と2時間激論。「高知総行動」では自民党、連合労組などに要請し、県議会の「定削計画の見直しを求める意見書」採択を勝ちとった。世論を動かすために、笑顔で食らいつき、離さない。 農協パート不当解雇争議では、行政経験も生かして弁護士と論争。和解を勝ち取った。 21歳の長男は徳島税務署で働く川村唯志さん(全国税非専従中執)。カンパを職場で集める「組合パワー」は親譲り。親子一緒に日々、飛び回っている。 |
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