国公労新聞 第1195号

●憲法改悪NO!
  競争より公正な社会を 《05春闘討論集会討議資料》

 「もう一つの日本は可能だ!」。12月3・4日に開催された全労連・05年春闘討論集会は、「戦争をする国」づくりと、「官から民へ」の公共サービスの商品化を進める小泉「構造改革」に対し、「安心・平等・平和な社会」づくりをめざすとりくみが論議されました。国公労連は、全労連春闘の一翼を担い、産別要求を積極的に掲げて「地域からのたたかい」への結集を強めます。

◇大企業の社会的責任を追及
 「上場企業、9月中間経常益32%増」(「日経新聞」04年11月5日付)、大企業は史上空前の儲けをあげ続けています。
 「民間給与6年連続減少」(国税庁「民間給与実態調査平成15年版」)、労働者の生活は、さらに悪化しています。大企業は経常利益を、リストラ「合理化」で確保しているのが実際だからです(下図参照)。


 大企業は、「社会的責任(CSR)を果たせ!」の声が高まっています。三菱自動車、コクド、三井物産等々、04年も、最低のルールさえ守らない大企業の不祥事が続発しました。 企業の「社会的責任」追求は、税金負担は減らしながら、「市場化テスト」などで新たなもうけ口の提供を政府に迫る財界を牽制する運動としても重要です。
 全労連の「企業通信簿」(下表参照)を活用した宣伝行動などを強めます。


◇戦争する国づくりを許さない
 11月17日、自民党憲法調査会は、「改憲大綱の原案」を公表。明文改憲の動きが、いよいよ強まっています。
 戦闘地域に自衛隊を駐留させ続ける小泉内閣は、国連改革や、在日米軍の再編・強化などの動きも活用し、「アメリカ軍とともにある自衛隊」づくりを加速させています。
 気に入らない相手には武力を振りかざすアメリカ追従は危険、の思いが広がり、「憲 法9条を守れ」の一点での賛同を呼びかけている「9条の会」への支持が広がっています。
 しかし、政治の動きやマスコミ報道もあって、国民世論は揺れています(下図参照)。


 「9条改悪は、人権抑制と一体」であることなど、改憲のねらいを学習し、多くの国民に伝える運動を強めます。

◇国民いじめの悪政はねかえそう
 郵政民営化などの民間開放、年金に続く介護保険改悪などの社会保障破壊、消費税率引き上げを先導する定率減税の廃止(下表参照)、地方自治体に国の借金をつけ回す三位一体改革等々。05年通常国会も、「悪政具体化」法案が目白押しです。


 国の行政責任を投げ捨て、国民に負担と痛みを押しつける悪政に反対する運動に、「公共サービス商品化反対」のとりくみを積極的に位置づけて結集します。また、「地域給見直し」などの給与構造見直しが、地域経済破壊を後押しすることを訴え、共同を広げます。



●許すな!賃下げ・給与構造の改悪
  生活改善のたたかいを地域から

◇低所得者の増加
 財界の「春闘終焉宣言」ともかかわって、民間賃金が変化しています。
 一つは、雇用形態の変化(パート、臨時、派遣、請負など非正規労働者の増大)もともなうリストラ「合理化」のもとで、産業間、企業規模間などの賃金格差は是正されず、むしろ低所得者が増加しています。
 二つは、大企業を中心に、成果主義の導入が乱暴に進められ、そのことと相まって、特に高齢者層の賃金切り下げが進んでいます。

◇重要性増す最賃闘争
 三つには、生活保護水準さえ下回る低賃金の実態が明らかになりながら、その是正に政府も企業も後ろ向きで、賃金の「底割れ」が懸念される状況です。
 これらのことから、賃金底上げ、最低賃金引き上げの運動は、いよいよ重要です。
 組合員の切実なベア要求を掲げ、政府に回答をせまるという原点は大切にしつつ、全労連規模の最低賃金闘争などでの役割発揮を賃金闘争の中心課題としてとりくみます。

◇賃下げとなる「給与構造見直し」反対
 人事院が、11月2日に国公労連に「素案」を提示した「給与構造の基本的見直し」(下表参照)は、民間賃金制度の「変化」を直接的に公務員賃金に反映させるものです。同時に、国、地方を通じた人件費抑制をすすめ、消費税増税をはじめとする国民負担増の「言い訳」づくりの意図も見え隠れしています。


 地域や機関、世代間の賃金格差拡大を意図した攻撃にたいし、「賃下げとなる給与構造見直し反対」を確認し、一部の職員への賃下げの集中を許さないたたかいを強めます。
 また、「給与構造見直し」を先行させて、公務への「成果主義」導入をねらう動きに対し、短期評価の賃金反映を許さない当局追及を強化します。
 政府は、「三位一体改革」とも連動させ、地方公務員についても、国に準じた「給与構造見直し」を迫っています。
 また、独立行政法人など国の「財政統制」が及ぶ法人等にも、人件費抑制を迫っています。それだけに、人事院勧告の影響を受ける750万労働者との共闘を飛躍的に前進させることが大切です。



●ストップ!公共サービス商品化

◇公共サービスへの全面攻撃
 公共サービスへの全面的な攻撃が押し寄せています。医療、介護、教育分野での営利企業の参入促進や郵政公社の民営化、独立行政法人の非公務員化、さらに「市場化テスト」(官民競争入札)まで動きはじめています(下表参照)。


◇何でも民間化の市場化テスト
 「市場化テスト」とは、国の実施事務を競争入札により、官業(公務)の委託先(独法・特殊法人や営利企業)、あるいは譲渡先(官か民か)を決めるもの。対象事業は、すべての「官業」で、「なんでも民間化」の攻撃です。
 契約期間ごとに事業者が入れ替わることでの専門性の低下(職員の訓練や経験の蓄積、質の確保への影響)、継続・安定なサービス提供という公共業務の不可欠の要素の形骸化、公務員の雇用問題の発生などの問題が懸念されます。
 企業にとってうまみがなくなれば、事業(所)廃止という恐れもあります。
 政府の規制改革・民間開放推進会議は、予算を国が措置し、守秘義務を課し、贈収賄罪を適用するから問題は生じないといいますが、それではすみません。

◇問題を象徴する郵政民営化
 公共サービス切り捨ての当面の焦点が郵政民営化です。通常国会への法案提出が閣議決定されています。
 郵政民営化によって、採算性の悪い地域の窓口が閉じられ、貯金もできない、郵便もとどこおるなどの状態が懸念されています(下表参照)。「三位一体改革」とならぶ、地域切り捨ての悪政の象徴でもあります。


◇公共サービス商品化反対キャンペーンで世論喚起
 競争による効率化という市場原理を優先すれば、弱者切り捨て、一極集中の歪んだ不公正な社会となります。「競争より公正な社会を」をスローガンに、公共サービスの商品化反対キャンペーンを全国で展開します。
 社会保険業務などの「市場化テストのモデル事業化」強行を許さず、「市場化テスト法(仮称)」の制定や郵政民営化法案の成立反対を宣伝や要請行動で、国民世論に徹底して訴えていきます。



●介護保険改悪・大増税NO!
  くらし守る国民共同広げよう

◇05年通常国会で政府が狙う介護保険改悪
 社会保障の連続改悪と大衆増税に反対するとりくみは、「国民とともに」の運動の中心的課題です。
 政府が来年の通常国会に提出予定の介護保険法案は、(1)居住費と食費を「ホテルコスト」だとして介護給付から外し、(2)軽度介護者の給付制限をおこなう、(3)保険料の大幅な負担増を盛り込む、などの内容です。ますます使いづらい「負担あって介護なし」の制度にしようとしています。
 23万5000人も待機している特別養護老人ホームなどの基盤整備には手を付けようともしていません。

◇生活保護までカット
 05年度予算編成では、生活保護制度の見直し改悪で、(1)国庫負担率の引き下げ(4分の3から3分の2)で約1700億円の削減、(2)母子加算の廃止で約100億円の削減が行われています。また、高齢者からも保険料を徴収する高齢者医療制度の創設が検討されています。
 このように相次ぐ社会保障制度の改悪は、憲法25条で規定された国民の生存権の制度的裏付けを空洞化させるものです。「年間所得200万円未満の世帯が780万戸」という現実は、切り捨てられています。

◇定率減税廃止、消費税の大増税
 加えて、政府は、配偶者特別控除の廃止(今年末)に引き続き、05年と06年の2年間で定率減税を廃止し、07年の消費税率引き上げにつなげようとしています。
 社会保障を空洞化させ、低所得者ほど増税を強いる施策こそ、小泉「構造改革」の正体です。
 消費税は、大企業の税金や社会保障負担を削減し、その分を国民負担に付け替える仕組みです。政府は、社会保障給付を抑制し、「医療も介護も金次第」の自己責任も国民に迫ってきています。

◇大企業の儲けを国民に還元させよう
 消費税の導入後、法人税はどんどん下げられました。現在でも、他の先進国と比較して、日本の企業は税・保険料を負担していません。
 憲法25条を具体化する社会保障制度をめざし、大企業から国民への「富の配分」を求めるとりくみが重要になっています。




●超勤縮減・次世代育成支援を

 構造改革や不況対策、災害多発などで、最近はどの職場でも長時間残業が蔓延し、職員の健康にも重大な影響を及ぼしています。公務員の長期病休の理由は「ガン」を抜いて「精神疾患」(精神・行動の障害)がトップとなり、自殺者の増大もめだちます(下表参照)。

 これほど深刻な問題に対する政府・人事院の政策は、一向に効果を上げていません。肝心の増大する業務量と定員との関係に手をつけない目安時間設定(年間360時間)や定時退庁日の呼びかけの限界性は、はっきりしています。
 長期間過密労働の解決は、不払い残業の一掃とともに、一刻の猶予もゆるされない緊急課題です。

◇次世代育成支援の推進を
 「出生率1.29ショック」などもあり、次世代育成支援策は社会的にも強く要請されています。
 2005年4月からは官民ともに、育児休業手当金の6カ月延長が予定されています。
 人事院の2004年「報告」に沿った、部分休業の延長(小学校就学前まで)や、子の看護休暇の時間単位取得を可能にするなどの要求実現は間近です。
 秋闘でとりくんだ次世代育成支援策推進にむけた「一言はがき」行動などの成果を背景に、その実現に引き続き力をいれる必要があります。ただし、同時に検討されている各種の勤務時間の弾力化措置には十分留意しなければなりません。



●すべての組合員の力あわせて

 行動展開図(PDF・103KB参照)にあるように、05春闘では、さまざまなとりくみを提起しています。
 これらのとりくみを成功させるためには、すべての組合員が職場・地域で力をあわせることが必要です。
 1月までを基本に、全国300カ所、1万人の参加目標で05春闘討論集会を開催し、要求実現に向けた討議、学習、意思統一をはかります。
 以下、国公労連の主な全国統一行動を月別に紹介します。

【1月のとりくみ】
大企業の社会的責任追及する宣伝を全国で
春闘スタートのとりくみとして、大企業の社会的責任を追及する新春宣伝行動(1月7日)を実施。「公共サービス商品化」反対を中心とした宣伝行動は、毎月第1・3水曜日にとりくみます。

【2月のとりくみ】
全職場から要求書提出、2・23地域総行動
7日の週を第1波全国統一行動として、すべての職場で所属長に要求書を提出します。
14日の週に、「公共サービス商品化」反対で、すべての地方議会・自治体への要請行動を展開します。
11日のトヨタ総行動、23日の地域総行動(第2波全国統一行動)に大きく結集します。

【3月のとりくみ】
3・17早朝職場集会、民間労組支援
政府回答指定日の17日を、第3波全国統一行動とし、全員参加の早朝時間外職場集会で結集するとともに、民間労組のスト支援行動を実施。回答日に向けた上申闘争を7日の週に集中します。

【4月のとりくみ】
憲法改悪反対の対外宣伝、定削阻止、組織拡大を
憲法遵守職場宣言旬間(4月18〜28日)、第1・3水曜日の宣伝など、改憲阻止運動を強化します。
4月20日に郵政民営化反対、「公共サービス商品化」反対中央行動にとりくみます。
新たな定員削減計画に反対するとりくみを5月段階に集中します。
4〜6月を組織拡大強化月間とし、春闘をたたかいながら仲間づくりを進めます。




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