国公労新聞 第1196号

●「新行革大綱」で10%定員削減
  公共サービス切り捨てねらう

◇「新行革大綱」の閣議決定ねらう
 政府は、12月24日に、「今後の行政改革の方針(新行革大綱)」を閣議決定しようとしています。 
 その内容は、12月3日に経済財政諮問会議が決定した「平成17年度予算編成の基本方針」などに盛り込まれているものが大部分です。
 具体的には、(1)05年度から5年間で10%以上の定員削減、独立行政法人の組織等の見直し、(2)特別会計の廃止、縮小等、(3)05年度中の市場化テスト法(仮称)や推進組織の整備、(4)公務員制度改革の「推進」、(5)04年度末までに、地方自治体の定員管理、給与抑制の指針策定、などが予定されています。
 この内、10%定員削減にかかわって、12月7日、国公労連と総務省・行政管理局との交渉で、「(概算要求と合わせ)06年度に向け、単年度2%以上の定員削減計画策定」の考え方が示されています。
 この数年、行政職の離職率は4%台で推移しています。この計画が策定されれば、離職者の半分以上は補充できない、場合によっては(定員調整のための)全国異動は当たり前、などという労働条件の大きな変更が危惧される内容です。

◇公務員制度改革は頓挫!?
 また、公務員制度改革については、通常国会への関連法案提出の見送りを確認しつつ、「現行制度下での評価の試行」や「営利法人への再就職の報告制の実行」などを盛り込もうとしています。
 法案提出の障害となっている評価制度の勤務条件性などの議論を避け、「現行制度下」というごまかしを使って、評価制度導入の道筋をつけようと言う「姑息」な路線変更です。
 国公労連は、「新行革大綱」の閣議決定で、公共サービスの低下、公務員労働者の労働条件悪化が容易に想定されることから、これに反対する政府申し入れを、12月14日、緊急に行いました。



●行政相談41件、市民に定着〈富山県国公〉

【富山県国公発】
 11月7日、富山市内のショッピングセンターで行政相談を実施しました。テレビやラジオで紹介されたこともあり、事前の問い合わせも多く、当日は年金の問題をはじめ41件の相談があり、会場は終始にぎわっていました。相談に訪れた人には、国公労連の「競争より公正な社会を」の宣伝ビラを渡し、「公共サービスの商品化」反対を訴えました。春と秋、年2回の行政相談が市民の間に定着してきたことを実感しました。



●行政相談19件、対話ひろがる〈宮崎県国公〉

【宮崎県国公発】
 12月5日、宮日会館において、行政相談を行いました。今年5月に実施したときよりも事前にマスコミに多く報道されていたのですが、あいにくの雨と強風により相談件数は19件にとどまりました。相談に訪れた人には、「公共サービス商品化」反対と憲法改悪反対を訴え、対話もひろげました。



●ストップ!公共サービスの商品化〈シリーズ3 労働行政〉 
  労働行政の「民間開放」は人権侵害
  〈全労働〉労働者・求職者の権利保障を


 近年、公的サービスの「民間開放」を進める動きが急速に広がっています。こうした動きは、深刻な財政危機に促された行政スリム化の方策として、また新たなビジネスチャンスを創出する方策として、さらには金融機関に過剰に蓄積された資金の活用策として位置づけられています。
 労働行政分野でも例外ではなく、労災保険や職業紹介等をめぐって、議論が進められていますが、そこには、労働者の権利保障に如何なる影響が及ぼされるのかなどの観点は見あたりません。

◇労災保険は労働者の人権保障
 規制改革・民間開放推進会議(以下、推進会議)の前身である総合規制改革会議は、その答申で「労災保険の民間開放」を掲げ、「労災保険の管理・運営については、民間事業者が行うべき」と主張しています。このことがもたらす弊害は深刻です。未手続事業場への強制適用や保険料未納事業場に対する滞納処分は困難となり、被災者保護に欠け、使用者間の公平も保てなくなるでしょう。
 また、民間事業者が認定を行う場合、損害保険の実務がそうであるように被災者等に「挙証責任」が強く求められることになるでしょう。「企業の労災発生のリスク等に応じた保険料率」(答申)を定めるとなれば、安い保険料を追求するあまり、不正な労災隠しの急増が懸念されます。

◇職業紹介等では労働行政間の連携が重要
 推進会議は「市場化テスト」のモデル対象事業の候補の一つに「ハローワーク」をあげています。この立場は、公的職業紹介が勤労権、職業選択の自由等を直接保障する重要な手段(年齢、貧富など求職者・求人者の属性にかかわらず、誰でもが利用できるセーフティネット)であることを見逃しています。
 今日、労働者派遣や業務請負の求人が急増していますが、求人受付・職業紹介の現場では、労働基準行政と連携しながら、その不安定かつ劣悪な労働条件の改善を進めています。
 また、家庭責任を有する労働者が安心して働くための環境整備が急務となっており、職業紹介等にあたっては、雇用均等行政と連携した指導が強く求められています。  職業紹介の「民間開放」は、労働行政の効率的な運営を阻害し、労働者の権利を脅かすことになりかねません。(全労働省労働組合)



●国公労連第121回拡大中央委員会 
  05春闘方針を決定

 国公労連は12月10・11日、第121回拡大中央委員会を開催して、05春闘方針を満場一致で決定しました。
 2日間にわたる討論を通じて、「7つの重点課題」−−(1)憲法改悪反対、憲法が輝く職場と社会をめざすとりくみ、(2)介護保険改悪・定率減税廃止反対など「暮らし守れ」の国民運動、(3)「市場化テスト」など「公共サービスの商品化」反対のとりくみ、(4)民主的な公務員制度確立のたたかい、(5)賃下げとなる「給与制度見直し」反対、生活改善のたたかい、(6)働くルール確立のとりくみ、(7)組織の整備と強化・拡大――に全力をあげる決意を固め合いました。



●平均月額12,000円(3.1%)ベア要求を提案
  国公労連05春闘統一要求(案)の職場討議を

 国公労連の「05年春闘統一要求」は、1月26日に開催される第122回中央委員会で決定します。平均月額1万2000円(3.1%)の賃上げをはじめとする春闘統一要求(案)および「給与構造の基本的見直し」などにかかわる要求の積極的な職場討議を呼びかけます。

◇アンケートの特徴 7割が「生活苦しい」
 05春闘にむけてとりくんだ「要求アンケート」(12月8日現在4万1268名分を集約)の結果では、約7割が「生活が苦しい」(下図参照※「かなり苦しい」が25・8%、「やや苦しい」が43・9%)と回答し、昨年と同様の傾向となっています。


 また、「賃金要求額」も昨年同様、1万円がもっとも多く、1万円から3万円に約6割が集中しています(下図参照)。


 このアンケート結果をもとに、一人ひとりの賃金要求を「最大公約」し、6割以上の多数の仲間が結集できると考えられる「3分の2ライン」(下表参照)および「中位数」に着目して、月例給の「平均1万2000円(3・1%)」の引き上げ要求を提起しています。


◇初任給改善を重視
 賃金要求にかかわっては、ベア要求とともに、国公労連の「賃金3目標(1.初任給改善、2.ライフサイクルに応じた生計費の確保、3.経験蓄積、専門性をふまえた賃金水準確保)にもとづく年代別配分要求(モデル賃金要求)も明示しています。アンケートの制度要求において「最低賃金の引き上げ」が全体では16.2%の回答率にとどまっているものの、20歳代では35.0%の要求となっていること、この間、公務の初任給水準が抑えられていること、全労連の「底上げ要求」にも応えることなどを考慮し、初任給改善重視の「モデル賃金要求」もあわせて提起しています。また、非常勤職員の最低賃金改善要求も重視しています。
 賃金改善要求のほか、春闘方針をふまえた重点的な要求課題についても提起しました。
 とりわけ、ただ働き残業の根絶や長時間過密労働の是正、非常勤職員の均等待遇実現など、公務における働くルール確立の要求は、労働基本権回復も展望した職場の権利闘争強化の点からも重要と考えています。

◇「給与構造見直し」に関わる要求の討議を
 この近年、人事院は賃金水準、手当、賃金体系に関わっても「民間準拠」論を強調しつづけていますが、04年勧告で言及した「給与構造の基本的見直し」では、とりわけ地場賃金と公務員賃金との「格差是正」のため、俸給水準の引き下げ、大幅な地域手当の「見直し」と年功的給与カー-ブの「見直し」など、民間大企業を中心に加速している賃金体系・制度への「準拠」をさらに強めようとしています。
 この「給与構造の基本的見直し」にかかわる要求については、国公労連として11月26日に人事院に提出していますが、全組合員結集による全国闘争が不可欠であり、そのことを意識した要求を確認する必要があることから、あらためて職場討議を行い、要求への確信を深めるとともに、たたかいの意思統一を行うこととします。






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