国公労新聞 第1202号

●5%賃下げやめよ
   根拠なき人事院の給与制度改悪

 国公労連は、2月22日、「給与制度見直し」問題で単組代表を含む人事院交渉を実施しました。
 冒頭、国公労連側は、人事院の「給与制度見直し」の姿勢や検討課題にかかわって以下のように主張。回答が引き延ばしになっている昨年11月の「給与構造の基本的見直しに関する申し入れ」〈(1)拙速な検討を避ける、(2)賃金引き下げの見直しは行わない、(3)地域別官民較差に基づく俸給表水準引き下げ撤回、(4)短期評価の給与反映は行わない、(5)本省手当などさらなる本省優遇策はとらない、などの6項目〉に正式回答するよう求めました。
 それに対し、人事院側は、「地域によっては公務の賃金が高いと言われる。全国平均で均衡するからでは済まなくなっている」「地域手当は厚生労働省の『賃金センサス』を用いて検討。5%の俸給引き下げは、これまでは全国平均で俸給表水準を定めてきたが、今後は地域水準の低いところに基準を置くという取り決めの問題だ」「本格的な評価システムは人事・恩給局で検討中。現状でも勤勉や特昇の運用通達で能力・実績に基づく運用を行うよう指導している。本年の勧告に向けては、この運用通達をはじめ現行制度の枠内の運用改善でやっていきたい。本格的な評価システムができれば移行することになる」などと回答しました。
 これに対し、単組代表からは、「全国どこでも均一のサービスを提供しなければならない。全国異動の職種も多く、転勤で賃金が変わることになれば、同一労働同一賃金の原則に反する。」、「『賃金センサス』を地域手当の指標に用いることは、サンプル数などから言って問題だ」、「災害多発などで現場も苦労している中、本省手当などキャリア優遇は許せない」、「規模も組織形態も異なる地場賃金との差を根拠に一度に5%も下げるようなやり方は納得できない(下図参照)」などの主張が相次ぎました。
 しかし、人事院は冒頭の回答を繰り返すのみで、追及にまともに応えようとはしませんでした。職場・地域のたたかいを強化することが求められています。



●〈総務省〉評価制度の検討開始を表明

 国公労連は2月24日、総務省と評価制度に関わる交渉を実施しました。
 これは、昨年12月24日に閣議決定された「今後の行政改革の方針」で、総務省に、公務員制度改革具体化の一つとして、現行制度下で、評価手法の開発と05年度中の本府省での施行実施が求められたことを受けたものです。
 総務省は、「多様な職場に定着でき、機能する評価システムの確立をめざしたい。そのため国公労連の意見も聞きたい」と提案しました。

 ◇05年度中に試行実施を計画

 これに対し国公労連は、(1)制度所管が二分しているもとでの検討の対象範囲、(2)推進事務局での公務員制度改革検討経過との関連、(3)想定している検討スケジュール、などを質しました。
 総務省は、「使える制度となるよう幅広く論議」、「苦情処理や交渉制度なども論議対象」、「試行は全部か一部かはあるが、05年度中に実施という計画」などと回答しました。
 これも受けて、国公労連は、「評価は、労働条件に直接的な関係のある課題」と主張し、十分な交渉協議を確認して交渉を終えました。


●「公共サービス商品化反対」各県で宣伝・議会要請

 【青森県国公発】「公共サービス商品化」反対の議会要請・街頭宣伝行動にとりくんでいます。降り続く豪雪にも負けず、すでに5回にわたる宣伝行動を実施し、波状的に議会要請を展開しているところです。

 【兵庫県国公発】議会請願で合併予定を除くすべての市町村議会を各単組に割り振り、県国公独自マニュアルも作成し、各議会へ実際に足を運ぶとりくみを進めています。宣伝も毎月第1・3水曜日に「護憲ライダー」(写真下)を先頭に奮闘中。



●〈人事院〉仕事と育児両立支援へ指針
  男性の育児参加促進へ環境整備を

 人事院は2月18日、「育児を行う職員の仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針〜育児を行う職員の仕事と育児の両立のために」を発出しました。
 人事院は、各府省での、次世代育成支援対策推進法にもとづく、特定事業主行動計画の策定に資するとともに、両立支援のための環境整備に活用して欲しいとしています。
 主な内容は、第1に人事担当部局と管理者の基本的役割として制度を理解しそれぞれの役割発揮と職員・管理者双方に対する周知・徹底、第2に両立支援制度の活用として活用モデルや留意点を示し、第3には育児休業の取得率が昨年度女性職員92・2%に対し男性職員0・5%となっていることの改善、一層の男性の育児参加の促進を打ち出しています。
 介護を行う職員に対しても同様の環境整備を行うこと、一層の超過勤務縮減を図る必要性にも言及しています。
 また、育休など制度の利用について申請があったときは承認することが基本としています。人事院は両立支援を推進するため各府省の人事担当部局による情報交換の場を設けるとしています。
 国公労連は、育児休業制度の拡充とあわせて利用しやすい職場環境の整備を求めてきました。今回の指針も活かして働きやすい職場をつくることを呼びかけています。


●雪のなか熱く 国公青年交流集会に150人in蔵王

 ◇評価制度の問題点を討議

 【国公労連青年協発】 国公労連青年協は2月11日〜13日の3日間、青年交流集会を、山形県蔵王で開催。厳寒の地に150人が参加しました。
 初日は、国公労連・小田川書記長が「公務員制度と評価」について講義を行い、グループトークで評価制度の問題点などを討議。「給与制度見直し」反対のたたかいとも一体のとりくみを、と確認しあいました。
 2日目は、メインイベントの「チキチキ第1回パブリンピック」を展開。当日は0度を下回る気温でしたが、20人21脚・雪中クイズ・雪中サッカーの3種目をブロックごとの班で争いました。参加者は雪に足を取られながらも競技に集中し、寒さを忘れているようでした。
 しかも、この競技の結果と、当日の夕食交流会のゲームにより班別対抗の結果が決まるため、朝から夜にかけて、熱いたたかいが続きました。

 ◇「花笠」に挑戦

 最終日は山形の伝統芸能「花笠」に挑戦しました。1時間30分の練習で全員が踊りを習得。無事3日間の集会を終えることができました。
 山形県蔵王に、北海道から沖縄までの幅広い地域から青年が集合し、楽しく交流を深めることができました。


●改憲動向に反撃を
  第2回闘争本部ひらく

 国公労連憲法改悪阻止闘争本部は2月18日、東京都内で第2回闘争本部会議を開催しました。
 静岡大学の小沢隆一教授が講師となり、「自民党憲法改正草案の批判的検討〜財界の改憲構想」について学習会を行いました。
 自民党と経団連が憲法9条2項を「改正」し集団的自衛権の行使を狙っている危険な情勢を分析しつつ、平和憲法を守る大切さを確認しました。
 続いて、小田川闘争本部事務局長(書記長)が「国公退職者9条の会」発足の動きを紹介したうえで、今後のとりくみの運動提起。
 「憲法の語り部」組織化、改憲反対署名の追い上げ、「公共サービス商品化」反対宣伝行動と連携した、4月以降の地域に打って出る運動強化、憲法遵守の職場宣言決議採択の追求など、ひき続くたたかいを意思統一しました。


●連載 憲法のはなし(5)
  Q 憲法と公務員

 ◇「全体の奉仕者」として役割発揮を

 日本国憲法の施行が1947年5月3日、国家公務員法の成立が同年10月21日。決して偶然ではありません。

 ◇「天皇の官吏」からの決別

 天皇主権の明治憲法のもとでの公務員は、天皇に忠勤する「天皇の官吏」でした。
 日本国憲法の施行で、主権者は国民となり、公務員は「国民全体の奉仕者」に変わりました(憲法第15条)。その「質的な変化」に見合った民主的な公務員制度の整備が必要だったのです。
 1945年8月21日付の朝日新聞に、「災いした出世主義、形式と法科一掃の秋」という見出しの投稿があったことが紹介されています(川村祐三「ものがたり公務員法」)。
 法科出身の文官高等試験の合格者が、天皇との距離を争う立身出世の競争に明け暮れ、トイレや食堂まで身分差別する「官吏制度」。この一掃が、公務員制度整備の中核でした。
 また、その目的を達成するために、労働組合の役割が確認されていました。憲法第28条に基づく労働基本権が保障されたのは、「天皇の官吏の残り滓(かす)」を一掃することへの期待もあったのです。

 ◇公務員制度の「再整備」動く

 しかし、めざされた公務員制度の民主化は、1948年7月に労働基本権が剥奪され、1960年に上級甲種試験(現在の1種試験)の「復活」するなどもあって、未達成なままです。
 2001年12月の「公務員制度改革大綱」では、キャリア制度合法化する目的の「能力等級制」まで打ち出されました。改憲とも一体的に公務員制度の「再整備」が動いている証しです。
 「もの言えぬ公務員づくり」に反対し、キャリア制度を告発する取り組みは、「全体の奉仕者」としての公務員の役割を守る、護憲の運動の一つです。その確認は、いまの課題です。


●革新候補を推せん〈千葉県知事選挙3月13日投票〉
 明るい民主県政をつくる会 http://www.akaruikai.net
  山田安太郎さん(弁護士)

 国公労連中央執行委員会は、千葉県国公の要請をうけ、千葉県知事選挙(3月13日投票)に「明るい民主県政をつくる会」が擁立している、山田安太郎さんの推せんを決定しました。
 ムダな開発優先・暮らし切り捨てをきりかえ、福祉・教育・防災を予算の柱に地方自治を守る県政をつくろうと訴える山田さん。600万の人口を持つ千葉県に、憲法改悪・庶民増税を許さない「憲法知事」を実現させるためにも、職場・地域からの支援をお願いします。




●革新候補を推せん〈名古屋市長選挙4月23日投票〉
  革新市政の会 http://www.n-kakusin.jp/
  くれまつ佐一さん(現愛労連事務局長)

 国公労連中央執行委員会は、愛知国公の要請をうけ、名古屋市長選挙(4月23日投票)に「名古屋・革新市政の会」が擁立している、くれまつ佐一さんの推せんを決定しました。
 くれまつ氏は、大型開発事業中心から、「くらし・参画・次世代」をキーワードに、市民のくらし優先の市政へ変えようと訴えています。また、愛知県労連事務局長として青年の雇用確保、学童保育の充実、障害者支援などに向けて率先してとりくんでいました。職場・地域からの支援をお願いします。


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