国公労新聞 第1204号

●「ベアゼロ」打ち破ろう
   3.17全国統一行動を全国で展開

 大企業が2年連続で過去最高の経常利益をあげるもとでも、3月16日の金属大手組合への回答は軒並みベースアップゼロ。個別賃金化が強める成果主義の導入で、実質賃下げになる労働者が続出しそうです。こうした中で、今春闘の回答指定日を3月16日に設定し「ベアゼロの克服」をめざす全労連・春闘共闘委員会は翌17日、35万人が参加して全国で行動を展開しました。

 ◇スト支援で深まる官民共同

 この日、国公労連は春闘勝利と独自要求の実現をめざし、早朝職場集会で統一行動に結集しました。
 また、通信労組のストライキ支援などと、地域からの官民共同を追求しました。
 東京・大手町のNTT本社前では、通信労組が、「50歳定年制」廃止、不当な広域配転の撤回、年齢賃金(定昇)・扶養手当廃止反対などの要求を掲げて、始業時から10時までの時限ストライキ突入集会を開催。国公労連、各単組から、支援に駆けつけました。

 ◇総務省・人事院局長交渉を実施

 民間の集中回答日を前に国公労連は、3月15日、総務省、人事院との局長レベル交渉を実施しました。
 この内、人事院は「1万2000円、3.1%」のベア要求には、「民間準拠」の回答に終始しました。賃下げとなる「給与構造見直し」に固執しつつ、「話し合いの余地」にも言及。また、査定昇給とかかわる「分布割合」について、現状を前提に「具体的に議論」を述べ、国公労連との交渉継続姿勢を示しました。
 また、非常勤職員の均等待遇実現にかかわって、「問題あるケースでの検討・議論」を回答しています。
 総務省交渉では、戸谷人事・恩給局長が対応。総人件費抑制の姿勢を政府が強めるもとでも「人勧尊重に変わりはない」の回答を繰り返しました。
 国公労連は、17日の全国行動も背景に、最終交渉に向け、政府・人事院追及を強めています。

 ◆攻撃に立ち向かう仲間たち!
  非常勤職員も参加した早朝職場集会

 【全港建発】全港建神戸港支部、神戸技調支部合同の3.17早朝時間外職場集会に多数の仲間が結集。うれしかったのは、組合加入を決意した6名の非常勤組合員が参加した初めての職場集会となったことです。
 定削「合理化」の攻撃は、直営船の運航委託や工事監督業務委託という形でかけられています。参加者全員で、良質な公共サービスを責任もって実施できる体制確立を求めていくとともに、職場や生活を破壊する給与構造見直しに反対を、決意しました。攻撃の嵐は猛烈でも、それに立ち向かう頼もしい仲間たちがいることを確認して。


●真の社会保険庁改革を
   大阪でシンポジウム開催

 3月5日、全厚生は「国民本位の年金制度と真の社会保険庁改革を考える」シンポジウムを大阪市で開きました。

 ◇県国公の役割確認し意思統一

 シンポジウムに先立って国公労連は、産別課題としている社保庁「改革」問題での県国公の役割を意思統一。するために、全厚生社保支部のある11府県の県国公を中心とした代表者会議を開催。参加した15県国公の代表は、「年金批判が社保庁批判を増幅している」「職場で縮こまっていてはダメ」「全国的なとりくみが必要」「各単組との意思統一も必要」と発言。シンポや宣伝行動の具体化など、全厚生の仲間とともに奮闘することを確認しました。
 午後は約400人が参加してのシンポジウム。立命館大学の芝田英昭教授、朝日新聞の浜田陽太郎記者、元社保庁長官で大阪大学大学院の堤修三教授、全厚生の杉浦書記長が社会保障改革などについてそれぞれの立場から発言しました。

 ◇行政の民主化追求に確信を

 会場からは、最低保障年金制度を求める発言とともに、「社会保障は国が責任持ってやらないといけない。民営化でいいのか。年金制度が充実するのか疑問」(社会保険労務士)などの声も。
 国公労連の堀口委員長はまとめの発言で、不祥事問題にも触れつつ、「自浄能力の欠如には猛省が必要。不祥事とは対極の立場で行政と職場の民主化追求をしてきた」、「全厚生の歴史的役割と運動に確信を」、と激励しました。


●寒さ吹っ飛ぶ、熱い声援
  ストップ!郵政民営化キャラバン

 【高知県国公発】3月8日、郵政民営化に反対する高知でのキャラバン行動が実施されました。前日には、「STOP!郵政民営化」の学習会も開かれ、県国公の黒川議長が公務の民営化問題でエールを送りました。
 行動当日は、5カ所の早朝宣伝行動(県国公から13名が参加)を皮切りに行われ、高知市中心部の県庁前では、国公労連の川村中執が宣伝カーから土佐の寒さも吹っ飛ぶ熱弁で訴えました。
 昼休みの市役所前決起集会には約80名(うち県国公26名)が結集し、デモ行進も行って「郵政民営化反対!」「NTTリストラ反対!」などを大きく高知市民にアピールしました。人手でにぎわう商店街での反応は良く、「がんばって」の声援もありました。


●《特集》はねかえそう! 職場・地域から
   公務員賃下げ・人減らし攻撃

 政府は、「5年間で10%定員削減」に加えた「国家公務員の純減」や、地方に勤務する国家公務員の給与水準引き下げなどの総人件費抑制を強行しようとしています。これは、定率減税の「半減」に続く消費税率引き上げ策動への国民の批判をそらすためのものです。
 その政府の「圧力」のもとで、人事院の「給与構造見直し」が進められています。政府の総人件費抑制攻撃のねらいを、職場の内外に明らかにし、「給与構造見直し」の不当性を地域に訴える、“二重のとりくみ”が求められています。

 ◆〈政府〉大幅定削、総人件費カット

 ◇財界発の公務員攻撃

 2月28日に開催された経済財政諮問会議には、奥田日本経団連会長など4人の民間議員から「公務員の総人件費の削減に向けて」という意見書が出されました。その議論にかかわって、小泉首相は「人事院のあり方の問題点検討」にまで言及しています。

 ◇国と地方に迫る

 意見書では、(1)国家公務員の「純減目標」の設定、(2)地方に勤務する国家公務員の給与水準引き下げなどの給与改革、(3)地方自治体での「(人事委員会)勧告のあり方改革」などを主張しています。「人数×給与水準=総人件費」という民間企業の発想で、国・地方の総人件費の大幅削減を、と迫っているのです。

 ◇消費税大増税のための公務員攻撃

 「公務員の人件費や公共事業の削減など、国・地方のすべての歳出を大胆に見直す」、2月15日の経済財政諮問会議に出された民間議員の意見です。
 今、消費税率引き上げ論議が日に日に強まり、「増税」に対する国民の批判をどのようにしてそらすのかは、政治の最大課題と言っても過言ではありません。経済財政諮問会議では、「増税のための歳出削減の本丸」が人件費と公共事業費だと論議されています。
 実際はどうでしょう。3月2日に、05年度予算案が衆議院を通過しました。歳出削減が強調された公共事業費は、「関西国際空港2期工事」と「整備新幹線3区間」の着工経費が盛り込まれ、大型プロジェクト中心の公共事業の流れは変わっていません。公共事業費の削減は「掛け声」、狙いは「総人件費削減」、という政府の本音は露骨です。

 ◇悪政の突破口阻止を

 1982年の人事院勧告は、「財政再建」を宣言した政府によって凍結された歴史があります。労働基本権の「代償措置」である勧告より、財政上の要請が優先したのです。そして、1988年の消費税導入にいたる論議の突破口になりました。小泉首相の発言にもみられるように、状況は、その時代に近づいていると言っても過言ではありません。
 「郵政民営化」や「市場化テスト」などの公務の民間開放、公務員べらし、賃金引き下げというトリプル攻撃とのたたかいが、いま国公労働者に求められています。


 ◆〈人事院〉「給与構造見直し」強行の構え

 公務員賃金に対する経済財政諮問会議などからの「声」は、(1)地域の賃金水準が民間より高い、(2)「過度な」年功賃金体系になっている、(3)成果・実績反映が不十分、というものです。人事院の検討状況は、「職場学習資料No.2」(05年2月、国公労連のホームページにも掲載)で詳細をお知らせしていますが、内容はその3点に応える検討となっています。
 仕事の内容は変わらないのに、地域に勤務するというだけで賃金が引き下げられ、一定年齢をこえたからというだけで大幅な賃下げを強制しようとしています。

 ◇地域の民間賃金準拠が口実

 公務員賃金に地方の民間賃金水準をこれまで以上に反映する、「見直し」理由を人事院はそう説明します。
 具体的には、(1)地域別(ブロック別)官民逆較差が最大の北海道・東北ブロックの数値(4.77%)を根拠に、全国共通俸給表の水準を5%程度一律に引き下げ、(2)(引き下げ分を原資に)民間賃金の高い地域に勤務する職員に対して「地域手当」を支給、(3)転居を伴う異動に対してのみ新たに3〜6%の転勤手当を支給、するのが人事院の提案内容です。
 この提案内容は、(1)肝心の地域別官民較差の数字にブレがある、(2)基本給与である本俸の引き下げは、「職務の価値」の低下にほかならない、(3)全国レベルでの民間賃金準拠を「出発点」とする従来の配分ルールの変更である、(4)中央・地方の賃金格差を拡大させ、地方に犠牲を集中させる(現在の機関別賃金較差は下図参照)、などの問題があります。



 ◇根拠なき高齢者賃金カット

 さらに、人事院は、地域の高齢者の官民逆較差を理由に、高齢層については最大7%程度の俸給額切り下げを提案しています(いわゆる賃金カーブのフラット化)。枠外昇給の廃止と「査定昇給」導入で、高齢者の賃下げを「加速」することも提案されています。
 人事院は、自民党の研究会に、50歳代の公務員賃金は民間の同種職員と比べて6%弱高い、とするデータを出しています。これは、企業規模100人以上ではありますが、男子労働者についての単純な年齢別平均賃金を用いた比較です。仕事の内容や勤続年数などの「官民均衡」は考慮されていません。このような比較は乱暴です。

 ◇民間労働者より低い賃金

 例えば、民間企業の標準労働者(学校卒業後直ちに就職し、同一企業に継続勤務している者)に関するデータで比較をすると、公務員賃金は入所後40代前半までずっと民間水準を下回り続け、やっと40代後半に至って民間標準労働者賃金にほぼ匹敵する程度に達し、高齢者でも「官民逆較差」状態は生じていません(下図参照)。
 高齢者賃金が民間より7%も高いという人事院の主張自体が、検証されなければならない一方的なものです。




 ◆4、5月のとりくみ強化を

 ◇地域から共同行動を

 「町財政ピンチで“強権”職員給与の2割削減案を可決」、05年3月3日付の『毎日新聞』が報道した鳥取県智頭町の状況です。同様の状況は、全国に広がり、「ルール無視」の賃下げが徘徊しています。
 そのことから、第1に、春闘方針でも提起している「地域からの共同行動」の具体化を急ぎましょう。春闘期は、北海道、東北ブロック、新潟県国公、九州ブロックなどでの先進的なとりくみはあるものの、全国的にみれば不十分な状況です。

 ◇署名・要請文の集中を

 第2に、総人件費抑制攻撃の元凶、経済財政諮問会議に対するとりくみを強めましょう。国公労連は経済財政諮問会議の民間議員に対して、4月18日から10日間、全国すべての職場から要請文を集中するよう呼びかけています。
 第3に、人事院に対するとりくみのテンポアップをはかりましょう。とりわけ、「給与構造見直しに反対する署名」の集約を急ぐこととします。そのためにもこの『国公労新聞』や「職場学習資料No.2」を活用した職場と地域の学習会を旺盛に展開しましょう。

 ◇使用者・当局責任を追及

 第4に、人事管理に責任を負う使用者・当局責任の追及も重要です。
 国公労連は、調整手当改悪反対のたたかいの経験をふまえ、各府省の県段階の長からの「要請書」(機関の長の連判状を含む)を獲得するとりくみを具体化するよう提起しています。
 そのために、県国公段階の「対角線交渉」や宿舎宣伝ビラ配布の行動を、「定員削減反対」の課題とも一緒に、4月下旬から具体化することとします。
 これらのたたかいの準備と意思統一、そして組合員のみなさんの行動参加を呼びかけます。



●退職する組合員からメッセージ

 ◇憲法の「語り部」としてがんばる 門倉武則さん(全経済特許庁支部)

 60年目の東京大空襲の真実がNHKで放送された。1945年3月10日午前0時8分から、墨田、江東、台東を標的にB29、344機が2時間半無差別じゅうたん爆撃を行い、下町は壊滅状態に陥り、死者10万人、負傷者11万人、家を失った人は100万人。沖縄戦、8月6日広島、9日長崎への原子爆弾投下をへて、15日に無条件降伏をしました。私は、言語に絶する戦争の惨禍を二度と繰り返さない誓いである憲法9条を絶対に忘れないことを胸に、平和問題を含め組合活動にとりくみました。
 定年により、職場での活動には区切りを迎えますが、憲法の「語り部」など様々な形で引き続き奮闘したいと思います。
 私を含めた多くの仲間の平和のとりくみを引き継ぐ、後輩のみなさんの職場での奮闘をお願いします。

 ◇世代越え、良い世の中の実現を 山下剛三さん(全司法京都支部家裁分会)

 1967年に採用され、38年間勤めました。無事定年を迎えることができたのも、多くの仲間がいたからだと思います。組合活動のおかげで、多くの人と知り合いになりました。
 しかし、よろこんでばかりではおられません。自衛隊が海外に派遣され、憲法「改正」が声高に語られる時代となっています。明るい未来をイメージしにくくなっています。
 こういう時代を招いたことは、私たちの世代の責任が大きいとも思っています。
 これからも、若い人たちと力をあわせ、先輩の人たちとも支えあって、より良い世の中の実現をめざしていきたいと思います(なお、再任用で、もうしばらく職場にいますので、よろしく)。


●「公務の公共性を考える」を特集
  国公労時報4月号

 「国公労調査時報」05年4月号(3月15日発行、定価450円)は、「公務における公共性を考える」を大特集しています。
 冒頭の二宮厚美氏(神戸大学教授)論文はぜひ一読を。新自由的改革にもとづく公務の市場化・民営化攻撃のねらいと背景をわかりやすく論じています。
 新自由主義が福祉国家解体の戦略であり、それが、公共部門の再編と抱き合わせの動きであることを解明。
 さらに、公務にマニュアル化された安上がり労働はなじまないと批判し、知的熟練と雇用保障による公務の専門性の重要性を明らかにしています。


●連載 憲法のはなし(7)〜最終回〜
  Q 憲法は「人類の財産」

 ◇世界で広がる「憲法9条」

 「憲法は、米占領軍の押しつけ」、改憲を主張する人たちから聞こえる言葉です。憲法原案が、「日本の民主化」を目的とした連合国の強い指導のもとで策定されたのは事実です。

 ◇国連憲章が反映した憲法

 しかし、憲法には、「戦争の惨害から将来の世代を救」うことを宣言した国連憲章(1945年6月)も反映していること、日本国民が草案段階から「9条」を支持していたこと、なども歴史の事実です。
 最近、「憲法第9条は、日米同盟の障害」と述べているのは、アメリカ政府の高官です。時代は経過していますが、押しつけたといわれる側が「見直し」を強く主張する、というのも変な話です。
 こんなこともあって、「押しつけ憲法論」は破綻し、最近は「憲法第9条は国際社会の現実の合わない」などの主張に重点が置かれてきています。これも変な話です。
 憲法違反の懸念が指摘される中で「イラク特措法」を成立させ、自衛隊がイラクに派遣されています。このような既成事実に適合させるための改憲、という主張は、憲法を守ることより憲法解釈が優先するという、ご都合主義にほかなりません。

 ◇ハーグ国際会議や国連で注目

 1999年5月、世界100カ国から1万人が参加した「(オランダ)ハーグ国際会議」では、「各国議会は日本国憲法第9条のように、政府が戦争することを禁止する決議を採択すべき」と提起しています。翌年5月の国連ミレニアムフォーラムでも「日本国憲法9条の国際化」がうたわれています。
 1945年から60年が経過して、世界の世論の大勢は、「日本国憲法第9条」を共通の目的に掲げることを求める段階に至っています。  
 「9条」を中心とする平和主義は、旧くなったのではなく、世界共通の財産として確認され始めている、というのが実際です。


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