国公労新聞 第1205号

●賃下げへの反撃を強めよう
   政府・人事院の春闘期最終回答を受けて

 政府・人事院は3月22日、国公労連統一要求への春闘段階での最終回答を行いました。
 いずれの回答も、基本は人勧尊重(政府)、民間準拠(人事院)という従来型の回答に留まっています。しかし、諸課題解決に向けた今後の交渉継続と、「誤解に基づく議論」への毅然とした対応(総務省)や「給与構造見直し」での「納得をえる努力」(人事院)を表明するなど、組合の意見をふまえた内容も含まれています。

 ◇強まる総人件費抑制攻撃

 人事院が「給与構造の見直し」素案を提案し、政府・財界が経済財政諮問会議なども通じて、これらの「見直し」強行に圧力をかけ続けるもとで、「給与構造見直し」の課題は、実質的に春闘期の最大課題でした。
 国公労連の追及に対して、政府(総務省)は、「配分問題も含めて勧告尊重」として使用者責任を明確にしませんでした。
 人事院は、「制度改変にともなう賃下げは断じて認められない」、「地域間の賃金格差をこれ以上拡大する理由も根拠もない」とする国公労連の追及に対し、「意見を聞きつつ検討をすすめ、その納得を得るよう努める」と回答しました。
 政府は、財政事情を最重視した総人件費抑制の姿勢を強めつつあります。国公労連は、「一人の賃下げも許さない」との要求をあらためて確認し、政府・人事院の理不尽な賃下げ攻撃と対峙できる職場の態勢づくりもこの時期の重要課題として、運動をすすめることにしています。

 ◇育児・介護課題では前向き回答

 「5年間で10%の定員削減」が閣議決定されるもと、働くルールの確立は、極めて重要な課題でした。国公労連は、長時間過密労働の規制やサービス残業の撤廃、男女ともに働き続けられる環境の整備、高齢者雇用制度の実効性確保、非常勤職員の均等待遇実現を強く迫りました。
 政府・人事院の回答は、現行制度を是として、各省に運用上の努力を求めるものがほとんどでした。そのようななかで、人事院に、育児・介護を行う職員の短時間勤務制度等の導入検討に前向きな姿勢を示させたことは、たたかいの反映といえます。
 国公労連は、この回答の具体化も含め、概算要求・勧告期にむけ、一歩でも半歩でも要求前進を獲得する立場からの運動と追及をねばり強くすすめることにしています。


●市場化テスト・給与構造見直し反対
   87地方議会が意見書採択

 3月地方議会での「市場化テストと給与構造見直しに反対する意見書」の採択(趣旨採択含む)が、3月30日現在で87議会となっています。
 宮崎県国公の要請行動では、木城町議会の議長が、「給与構造見直しは、明らかに地方自治体職員の給与を下げることを視野に入れたもの。この地域の経済はどうなるのか」と語るなど、地方の切り捨ては許さないとの声が多く寄せられました。
 また、三重県国公は、県内49の全地方議会への要請行動にとりくみ、その場で議会長が意見書採択を約束してくれるなどの反応がありました。


●郵政民営化反対・全国キャラバンin山口
  地方切り捨ての民営化やめよ

 【山口県国公発】山口県では、「郵政民営化を問うシンポジウム」(3月13日開催)で、事前に学習を深めて、3月23日の全国キャラバン当日を迎えました。あいにくの雨模様でしたが、早朝宣伝を県下11カ所で元気よくとりくんだ後、山口市民会館前の座り込み行動でアピール。地元のテレビ局が取材に訪れ、夜のニュースで報道されるなど、大きな宣伝効果をあげました。山口県庁への要請行動では、県民生活課長から、「山口県全体で過疎化が進んでおり、民営化で郵便局が減れば大変なことになるとの認識では一致している」との回答がありました。


●公務とは? なぜ基本権が必要?
   〈全労連〉民間開放と権利を考えるシンポひらく

 全労連「公務員制度改革」闘争本部主催のシンポジウム「公務労働の民間開放と労働者の権利を考える」が3月18日、開かれ、会場いっぱいとなる230人が参加しました。
 韓国の全国公務員労働組合のホン・ソンホ政策企画室交渉企画局長が、昨年末の「公務員労組特別法」制定阻止の壮絶なたたかいを紹介し、「労働三権の獲得をめざす」「国民になくてはならない組合であることを訴えていく」と決意を表明し、万雷の拍手で包まれました。
 シンポジストは、大阪市立大学院の西谷敏教授、元毎日新聞論説委員で白梅学園短期大学の山路憲夫教授、障害者の生活と権利を守る全国連絡会の吉本哲夫会長の3氏。「本来、どれだけが公務でなければならないのか、根本問題を考える必要がある」(西谷)、「なぜ基本権が必要なのか、国民に伝えることが不足している」(山路)、「国民との共同構築は窓口職員が担っている」(吉本)、などシンポジストから問題提起がされました。
 コーディネーターの堀口国公労連委員長が、「民主的公務員制度の確立は、国民生活擁護の行政を進める上で一体不離であり、要の関係」、「住民の目線と向き合うことなしに権利確立、国民本位の行政推進の展望は見えてこない」とまとめを行いました。



●NO!WAR!いまこそ平和を〈3.20国際共同行動〉
  東京での共同集会に6千人

 イラク戦争開始から2年目の3月20日を前後して、アメリカのイラク占領に反対する国際連帯行動を各地で展開。東京では20日、「いまこそ平和を守るとき 国際共同行動3.20集会」に労働組合の系列を越え、市民団体も含め6000人が集まりました。
 イラク人ジャーナリストのハッサン・アボットさんが、米軍によって罪のない人たちが殺されている実態を生々しく証言し、「平和をサポートするみなさんから希望や夢をいただいた」とのべると、会場から拍手が寄せられました。
 集会後、「自衛隊はイラクから撤退を」「憲法改悪反対」と訴えながら、休日でにぎわう銀座をデモ行進しました。


●「行政レポート」から反撃の運動へ
  〈岐阜県国公〉公務・公共職場交流集会ひらく

 【岐阜県国公発】「国や自治体が進めている『公務リストラ』反対の運動を地域で広げる1歩に」と3月19日、「公務・公共職場交流集会」が岐阜市内で開催され、県国公、岐阜教組、岐阜自治体一般など40名が参加しました。
国公労連小田川書記長の講演の後、各単産・単組作成の「行政レポート」にもとづき、全運輸、岐阜大学、全労働、全厚生などが、各職場の実態と運動を報告。また、教育現場の実態、地方自治体における定員外職員問題も出されました。
 そして、岐阜県公務労組連絡会(仮称)の結成をめざし、公務リストラ反対、給与構造見直し反対の運動などでの、共同行動を確認しあいました。


●不公正任命は団結権侵害
  〈労働者委員任命取消訴訟〉第一回弁論ひらく

 2月11日、中央労働委員会・労働者委員の不公正任命の取り消しを求める訴訟が東京地裁に起こされました。
 原告は、全労連、第28期中央労働委員会労働者委員候補(今井一雄・出版労連顧問、泉部芳徳・全経済顧問)とその選出組合(出版労連、国公労連)の五者です。
 3月16日には、その第1回口頭弁論が開かれ、原告代理人と原告の意見陳述が行われました。

 ◇勢力比の考慮は世界の常識

 原告代理人は「潮流や勢力比などを考慮した公正な任命を行うべきことは世界の常識」、「労働審判制度では、『最高裁判所は、ナショナルセンター別構成人員数を基本にした任命を予定』。中労委の委員選任の不公正さは際だっている」と提訴の趣旨を述べました。
 また、原告の意見陳述では、「連合と全労連の比率は約5.2対1。不公正な任命が続いていることが、全労連の社会的影響力を広げる上で大きな阻害要件となっている」とし、不公正任命が団結権侵害になっていることを指摘しました。
 なお、口頭弁論に先立って、東京地裁前での宣伝行動がとりくまれ、政府の不公正さを訴えました。
 次回口頭弁論は、5月18日の予定です。


●ストップ!公共サービスの商品化〈シリーズ6 医療問題〉
  許さない!混合診療、株式会社参入
  国民皆保険制度解体への一里塚


 財界の求めに応じた「混合診療の解禁」や、国民皆保険制度解体が強行されようとしています。医療現場の実態について、日本医療労働組合連合会(日本医労連)中央執行委員長の田中千恵子さんに、寄稿いただきました

 政府の規制改革・民間開放推進会議や経済財政諮問会議は規制改革の一環として、混合診療解禁を強行しようとしています。
 目的は、公的保険で行なうべき医療を保険外診療・自由診療に移し変えて、医療費の公的負担を削減し、増加した自由診療部分を市場解放し株式会社の参入等営利化を行おうとするものです。
 規制緩和・民間開放推進室の27人の内、14人が民間企業からの出向者であり、「混合診療」解禁を主張するオリックス、セコムなど、保険商品を売り出す保険会社からの出向者がその中心を占めています。誰のための規制緩和かは、この点からも明らかです。

 ◇利潤追求をすれば医療の安全が低下

 営利企業による「病院経営」を迫る動きも露骨です。利潤追求を目的とする企業の病院経営が、収益性の高い医療や儲けになる地域への集中となることが容易に推測できます。コスト削減目的の「人減らし」やベテラン看護師のリストラ、無資格者の導入なども予測されます。医療の安全性が低下しかねません。
 また、「国民だれもが、一定の負担で、いつでもどこでも安心して必要な医療を受けられる」という国民皆保険制度を解体する一里塚にもなりかねません。
 医療・社会保障を充実させ、国民の生存権を守るため、安全な医療を全国くまなく提供することは国の責務です。「混合診療の解禁」や医療への企業参入は、その責務を放棄するものであり、絶対に許されません。

 ◇日本医師会など医療団体が運動展開

 日本医師会をはじめ、多くの医療関係団体が反対を表明し、国民皆保険をまもる国民的運動を呼びかけています。
 岩手、沖縄、秋田では、県医労連がその呼びかけに賛同し実行委員会に入るなど共同のたたかいが幅広く前進しています。

 ◇強まる統廃合と労働組合弱体化攻撃

 医療制度の民間化の動きに合わせて、厚生年金病院・社会保険病院の廃止や労災病院の統合などの攻撃が、労働協約の一方的破棄などの労働組合弱体化攻撃とセットで強まっています。
 こうした攻撃に医労連は、「地域医療を守れ」、「医療と雇用を守れ」とたたかいに立ち上がり、政府に影響を与えてきています。
 運動をさらに発展させ、公共サービスである医療の商品化を許さないため全力をあげます。




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