国公労新聞 第1208号 |
●財界・経済諮問会議が「骨太方針05」に向け意見書 公共サービス商品化へ強まる圧力 4月19日の経済財政諮問会議では、「『日本21世紀ビジョン』専門調査会報告書」(下表参照)が了承されました。「(世界に対して)開かれた文化創造国家」、「『健康寿命80歳』の人生実現」、「小さくて効率的な政府」の実現を、「めざす将来像」だとし、グローバル化と高齢化のもとでの、企業収益確保の目標と方策を列記しています。 経済同友会が4月22日に発表した「活力ある経済社会に向けた財政健全化の道筋」という「意見書」では、2014年に財政赤字の解消にメドをつけることを求めています。「社会保障の一体改革」、「地方財政の削減等」、「公務員の人件費抑制」を歳出削減の課題として列記し、2020年度以降は19%まで引き上げとする消費税で、公的年金と地方財政を支えるよう求めています。企業さえよければ、の姿勢があからさまです。 ◇経団連が公務員制度に意見 国家公務員制度改革を主張しているのが「さらなる行政改革の推進に向けて」という日本経団連の「意見書」(下表参照)です。4月19日に発表されたこの「意見書」は、「(国際)競争力のある国づくり」の障害が「縦割り行政のもとでの官僚制」だと断定し、内閣による一括採用や、人事管理の内閣官房への一元化などを求めています。また、人件費抑制と民間準拠徹底の観点から、「身分保障」、「給与制度」、「退職手当」、「職域年金」などの見直しも求めています。一握りの「エリート官僚」を除き、公務員は処遇も身分も「民間化」という内容です。 これらの文書が、6月の「骨太方針2005」に反映することは確実です。公共サービスを商品化し、社会保障を切り刻み、財政悪化のツケを地方と公務員に押しつける政府・財界への反撃を集中する必要があります。 |
●4.20中央行動に2000人 いかんぜよ!郵政民営化・公務リストラ 4月20日、郵政民営化法案の取り扱いが重要局面を迎えるなか、国公労連は、全労連・公務労組連絡会に結集して05春闘第2次中央行動にとりくみました。全国から2000人、国公労連から800人が参加し、各省要求行動などを展開するとともに、国公独自に「公共サービス商品化」問題で全国知事会など21団体に要請行動を行いました。 |
●人事院「給与構造見直し」調査始める 人事院は、05年勧告の基礎となる民調(職種別民間給与実態調査)の内容を明らかにしました。 その内容は、調査期間が5月6日から6月14日までの40日間、調査対象事業所が企業規模100人以上、事業所規模50人以上の母集団事業所約4万事業所から抽出した約8300事業所(昨年は約8100事業所)。調査実人員が約36万人で、調査職種が76職種となっています。 ◇「転勤手当」関連も 調査項目は、本年の給与改定の状況、定期昇給、昇給制度(査定昇給含む)、年俸制、賃金カットの状況に加えて、役付手当の支給状況についても調査します。 また、一時金については、民間企業における04年8月から05年7月までの1年間の支給水準を把握するとともに、04年冬季賞与の配分の状況(一定率分、考課査定分)及び考課査定分の反映状況について調査します。 さらに、「給与構造見直し」で打ち出されている「転勤手当」とも関連する単身赴任手当の支給状況について調査するとしています。 昨年に引き続き、家族手当の支給状況と制度の見直し状況の調査や、住宅手当と通勤手当の支給状況についての調査が含まれています。 なお、雇用調整の状況についても、例年通り調査が予定されています。 |
●改憲の照準は9条 〈衆参憲法調査会〉最終報告書を議決 5年間にわたって議論してきた国会の憲法調査会が、まとめの最終報告書を議決しました(衆院4月15日、参院4月20日)。議長に提出された報告書の焦点は、「9条2項」でした。 衆院憲法調査会の最終報告書では、天皇制や集団的自衛権、国民の権利、義務など憲法の各条項ごとの改正「意見」を整理しました。 焦点の9条に関しては、多数意見として「自衛権の行使として必要最小限度の武力の行使を認める」などが盛り込まれました。 参院憲法調査会の最終報告書で9条については、「9条2項改正の要否」「集団的自衛権を認めることの是非」などを「主な論点の内意見が分かれたもの」に分類。「憲法調査会において憲法改正手続きの議論を続けるべきとする意見」を「すう勢」にあげています。 これらの報告書には、「9条改憲に向けた論点整理」とする批判や、「世界に誇れる憲法『9条』の精神を骨抜きにしてはならない」(『琉球新報』4月16日付)とするマスコミの主張も強まっています。 ◇民主党憲法調査会「9条改定」明記 4月4日には、自民党が新憲法制定委員会・小委員会の「改憲要綱」を公表し、連休明けにも制定委員会レベルのとりまとめを行おうとし、秋の自民党改憲案策定が現実化してきています。 また、民主党憲法調査会は4月25日、憲法に対する考え方を示す「憲法提言」に向けた論点整理と、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の素案をまとめました。 「憲法提言」論点整理では、9条にかかわって、「何らかの形で『自衛権』を憲法上明確に位置づける」として9条2項の改定方向を明記。「国連の集団安全保障活動への参加」を「明確に規定する」とのべ、海外での武力行使の道を幅広く開こうとしています。 ◇国民投票法案の成立狙う動き 自民、公明両党は4月18日の国対委員長会談で、改憲の手続きを定めた国民投票法案を衆参両院の憲法調査会で審議できるようにする国会法改定案を今国会に提出し、連休明けの5月上旬にも成立させる方針で一致しました。 民主党も、国民投票案について、「改憲に弱腰でない政党の間でゼロから議論をはじめる」とし、自民・公明との政党間協議を開始するとしています。 改憲の焦点が9条2項にあることが、より明確になり、そのための手続として国民投票法案が位置づけられていることは、以上の動きからも浮き彫りになっています。 国会で改憲の動きが強まる中、全国で1280の「九条の会」が結成され、「改憲反対の風」も吹き始めています。「9条守れ」の声を、いまこそ広げることが求められています。 |
●学ぶと、夢と希望が生まれる 愛媛・憲法学習会に1200人 ◇残業を削減して労働時間短縮を 【愛媛県国公発】愛媛県国公が呼びかけた「憲法を楽しく学ぶ実行委員会」主催の学習会が4月24日、松山市内で開催され、1200人(国公は150人)が参加しました。衆参の憲法調査会報告が出された直後の学習会に、建交労はバスをチャーターして100人規模で駆けつけ、大学生も「憲法を学びたい」と参加。続々と押し寄せる参加者に、開場時間を30分早めたほどです。 伊藤真氏(伊藤塾塾長)は、「憲法を学ぶと夢と希望が生まれる」とし、「前文、9条の積極的非暴力平和主義は、ひとたび放棄したら二度と取り戻せない。改憲は、国民の人権を国のため、国防のため、国際貢献のためと、制限する根拠を与えるもの」と強調しました。 コンサートで、きたがわてつ氏はジェームス三木氏作詞による憲法後文を紹介し、「わたし(=日本国憲法)を褒めてください」と熱唱。最後は、舞台に実行委員会スタッフなど100人が上がり、「ヒロシマのある国で」を大合唱し、割れんばかりの拍手! |
●国公労働運動を見つめなおし 男女共同参画の前進めざす交流集会ひらく 属性を超えて連帯を取り戻そう ◇残業を削減して労働時間短縮を 国公労連は4月16日、「国公労働運動における男女共同参画の前進をめざす交流集会」を都内で開催しました。全国から93人(14単組8ブロック、女性参加割合34%)が集まり、労働組合に女性の要求や意見を積極的に反映させ、運動への参加を拡大するとりくみを強めようと確認しあいました。 集会では、茨城大学の清山玲教授が「男女共同参画と労働組合運動」と題し、記念講演しました。 清山氏は、「労働組合が、男女、世代、雇用形態などさまざまな属性を超えて連帯を取り戻すために、男女共同参画の視点が必要不可欠」とのべ、非常勤職員組織化と労働条件向上のとりくみ、次世代を健全に育てる(再生産)ために積極的な政策提言などの必要性を提起しました。また、「女性の組合役員登用のためには、育成と参加方法に配慮と工夫が必要。まずは残業を削減して労働時間短縮を」と訴えました。 続いて、小田川書記長が基調報告。男女共同参画実現のための課題と現状を「労働条件(職場環境)整備」、「社会的環境整備」の面から明らかにしました。また、「改憲が最大のバックラッシュ(ジェンダーフリーへの攻撃)となる危惧」など、男女共同参画の「逆流」も指摘。さらに、「大会参加などでのクオーター制(割当制)の規約整備」を問題提起しました。 ◇職員への周知で実効ある制度に 次世代育成支援計画の策定状況や、労働組合への女性参画状況を4つの単組が報告しました。 「(次世代育成を)実効のある制度にするために、職員への周知が課題」(全法務)、「4人に一人が女性組合員。女性の要求を職場全体の課題として、交渉を強めている。北海道と沖縄をはじめ非常勤職員の組織化を全国で展開」(全労働)、「休日出勤の強要や、女性の深夜勤務など『通常残業省』と皮肉られる経産省の労働実態は異常。男女ともの働き方と、労働組合の役割が問われている」(全経済)、「仕事と育児に追われ女性は疲れ切っている。職場と組合運動の『男社会』の改善を」(全司法)など、率直に実態が語られました。 また、「労働組合に女性部は必要か」との問題提起など、活発な論議が行われました。 |
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