国公労新聞 第1209号 |
●国公権利裁判・控訴審第1回口頭審理 東京地裁判決の不当性を問う ◇2人の原告が意見陳述 昨年10月21日の東京地裁の不当判決から半年経過した4月14日、国公権利裁判の控訴審・第1回口頭審理が東京高裁で開かれました。裁判では、控訴人101人を代表して、福島実氏(全港建委員長)と星野誠氏(全通信東海支部支部長)が意見陳述。「超過勤務手当も含め1円の単位まで差額計算した2002年の『減額措置』は、不利益遡及と考えるのが普通の感覚」(福島氏)、「一審判決に対し『一度貰った賃金を後になって返せでは生活は成り立たない』という怒りが職場に広がっている」(星野氏)などと述べ、「正義と道理ある判断を」と訴えました。 裁判では、国側が「即時結審」を主張しましたが、大法廷を満席にした傍聴者を前に、裁判長が第2回の弁論期日を6月14日に指定し、閉廷しました。なお、当日は、専修大学法科大学院・晴山一穂教授に依頼した「意見書」(行政法令不遡及原則や国家賠償の違法性の解釈などから一審判決を批判)も提出しました(『国公労調査時報』6月号に全文掲載)。 ◇強まる公務員攻撃のもとだからこそ負けられない 「(鳥取県)智頭町議会…職員給与の2割削減案を可決」(『毎日新聞』05年3月3日付)。地方財政危機がいわれるもとで、議会が公務員賃金決定に直接介入する事例が報道されています。国公権利裁判の争点でもある「勤務条件法定」主義と労働基本権との関係が、総人件費抑制攻撃のもと、改めて問われています。 一度支払った賃金を後から取り返す「不利益遡及」は脱法ではないとする東京地裁判決と、「議会」が議決すれば人事委員会勧告を無視した賃金カットも有効だとする動きは同根です。 政府や財界が、「公務員攻撃」を強め、労働基本権侵害がまかり通っている今だからこそ、国公権利裁判の意義があります。「公務員も労働者」という当然の主張を掲げ、「公正判決を求める署名」も武器に、05年勧告に向けたとりくみと一体で、裁判闘争の勝利をめざします。 |
●「公共サービス商品化」問題で広範な団体と懇談 共同ひろめる 国公労連は、4月20日に実施した中央行動と並行して、「市場化テスト」など「公共サービスの商品化」・民間開放問題で、地方6団体をはじめとする広範な各種21団体に要請を行い、行政に対する要望意見も含めて率直な懇談を行いました。 ◇「何でも民間開放には賛成できない」中小企業家同友会 懇談・要請のなかでは、 ○「何でも民間開放には賛成できない。審議会等の委員構成には以前から偏り過ぎているとの意見を政府にも伝えている」(中小企業家同友会全国協議会・国吉専務幹事) ○「政策評価や事後規制などとも関わって『市場化テスト』について勉強してみたい。シンポジウムなど消費者の立場から協力できることはあると思う」(全国消費者団体連絡会・山崎事務局次長)。 ◇「必要な規制は残すべき」日本商工会議所 ○「『市場化テスト』は推進の立場だが、コスト論だけではなく利用者の満足度など公正な基準で評価すべき。必要な規制は残すべき」(日本商工会議所・近藤理事) ○「規制改革や三位一体改革について地方6団体でも意見がちがう。今日初めて町村会と議長会の正副会長会談を行う。危機感の現れだ」(全国町村議会議長会・美多政務議事調査部副部長) ○「4月28日の常任幹事会で経済財政諮問会議と民間開放推進会議への申し入れを相談したい」(日本婦人団体連合会・榎本事務局長) ○「あらゆる部門で民間開放が進んでいる。バラバラでなく一緒に運動をとりくみたい」(全国保険医団体連合会・住江副会長) ○「議会制民主主義がないがしろにされ、万事が市場原理、カネの問題になっている。共同のとりくみについて検討する」(全国商工団体連合会・松本運動政策局次長) ◇「もうけのための政治利用に憂慮」日本医師会 ○「国公労連の主張はよく分かった。会として何ができるか議論し返事したい。民間開放推進会議とは『対立』関係にある。もうけのために政治を利用し、権力を振るう状況を憂慮している」(日本医師会・野中常任理事) ――など、多くの意見や要望とともに、今後の共同の運動に向けた積極的な対応がなされました。 今回の、こうした一斉の団体要請行動は近年にないとりくみでしたが、6月中旬にも小泉内閣が決定する「骨太方針2005」や、それを受けて具体化されようとしている公共サービス切り捨て、国民と公務労働者に犠牲を強いる施策に反対するとりくみの強化の決意を新たにしました。 |
●戦後60年のメーデー 〜憲法改悪NO!〜 5月1日、戦後60年目のメーデーが、全国各地で開催されました。各会場では憲法改悪反対をアピールするデコレーションが目立ちました。 |
●ニューヨークに響く核兵器廃絶の声 国際共同行動に日本から1000人 5月2日からのNPT(核不拡散条約)再検討会議にむけたニューヨーク国際共同行動に、日本から約1000人(うち原水協830人)が参加。国公労連代表団(団長=伊波全経済書記長ほか10人)も、核兵器廃絶を訴えて元気に活動しました。 国公労連のAグループ9人は、4月27日、3班に分かれて日本を出発し、ハンフォードやネバダでの核関連施設の見学・交流、サンフランシスコでの市民集会への参加などの諸行動を経て、29日にニューヨーク入りし、直行のBグループ2人と合流しました。 翌30日は、全労連参加者約2百人と全米反戦労働者連合(USLAW)との交流集会、原水協主催の公開シンポジウムなどに参加しました。そして迎えた5月1日には、4万人の大パレードとセントラルパークでの大集会が行われました。 ◇米国マスコミはトップで報道 道いっぱいに広がったパレードでは、国公労連のオレンジ手ぬぐいを身につけ、持参した平和行進リレー旗にサインをもらったり、折り鶴を渡したりしながら、思い思いのパフォーマンスでセントラルパークまで行進。ニューヨーク市民や国連関係者に大きくアピールし、翌日の新聞各紙はトップ記事でこの模様を大々的に報道しました。 このほか参加者は、国連本部でのNPT再検討会議傍聴や街頭署名などで大いに奮闘しました。 ◇言葉の壁を越え1.2万署名集約 今回の行動を通じて感じたのは、米ブッシュ政権が自らの核兵器保有を正当化し、5年前の前回会議で合意された核兵器廃絶の「明確な約束」の具体化を阻止しようと狂奔していることでした。 こうした米国政府の態度を改めさせるためにも、被爆の実相を広く米国国民に訴えることが重要、との思いでとりくんだ市民集会や街頭での署名活動には、言葉の壁を乗り越えて1.2万余筆が集まりました。 なお、日本政府(町村外相)の対応が、核兵器廃絶にふれつつも米国追従に終始したのとは対照的に、大島国連大使が自らも被爆者として国連原爆展の初開催に尽力したことが印象的でした。(国公労連中執・空直樹) ☆NPT再検討会議=1970年に発効した核不拡散条約(NPT)で決められた事項が遂行されているかどうかを点検するため、同条約第8条に基づき、発効から5年ごとに開かれている会議。2000年の前回会議が採択した最終文書では、核軍縮・廃絶のための13項目が合意されました。 |
●5.3憲法集会に5000人〜9条を守るうねりを 改憲への新たな動きが強まるもとで迎えた5月3日の憲法記念日。「9条を守る大きなうねりを!とめよう憲法改悪」を掲げ、「5.3憲法集会」(同実行委員会主催)が東京・日比谷公会堂で開かれ、参加者は5千人を超えました。場外の大型スクリーン前も参加者でいっぱいでした。 集会では、「日本国憲法を若いみなさんの手で大成させていただきたい」と88歳になる三木睦子さんの訴えや、ノンフィクション作家の山崎朋子さん、愛知大学の小林武教授、志位和夫日本共産党委員長、福島瑞穂社民党党首がスピーチ。憲法改悪と連動した教育基本法改悪やビラ配布への弾圧を許さないと各界からの発言がありました。 集会後、手作りのプラカードを手に、銀座までパレードしました。 |
●国民平和大行進がスタート 被爆60年の今年、世界と連帯して核兵器廃絶のうねりをつくろうと5月6日、原水爆禁止国民平和大行進(東京→広島コース)が東京・江東区の第五福竜丸展示館前から、被爆地・広島に向けてスタートしました。 出発集会には、帰国したばかりのニューヨーク行動代表団も駆けつけ、700人が参加。全労連の坂内三夫事務局長は「世界は核の脅威から解放されていない」と、世界の反核勢力との連携強化を呼びかけました。 6日を皮切りに全国で11の幹線コースと、全市区町村での網の目行進にとりくみます。核兵器の廃絶、平和を守れ、憲法改悪反対を、平和行進で訴えましょう。 |
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