国公労新聞 第1214号

●給与構造改悪・定員削減NO!
 7.26中央行動へ最大結集を

 7月5日の衆議院本会議。郵政民営化法案は可決されましたが、与党・自民党からの50人を超える「造反」で、政治状況は一気に流動化しました。その状況が、秋口の「総人件費削減指針」決定をテコに、人事院には給与構造・地域給「見直し」強行を、総務省には退職手当「見直し」と「5年間10%定員削減」を迫る「構造改革」にも動揺を与えはじめています。
 7.26中央行動は、「一人の賃下げも許さない」、「定員削減による職場破壊はやめろ」の要求をかかげ、総人件費削減攻撃への反撃の“のろし”をあげ、「構造改革」の動揺を広げる格好の行動です。全国の仲間の結集を、呼びかけます。


●200人でデモ・集会〈新潟〉

 【新潟県国公発】6月30日、新潟県公務共闘は、給与構造改悪阻止を掲げ、200人の参加でデモ行進や総決起集会を実施。この間の11の地方議会での意見書採択や2首長の賛同を得てきた運動に確信を持って全力でたたかいを進め、給与構造改悪による地方切り捨てを阻止する決意を固め合いました。


●宣伝・集会・要請で終日行動〈富山〉

 【富山県国公発】6月22日、富山県国公は、富山高教組と共同で給与構造改悪阻止の終日行動を実施。100人の仲間が、地元選出国会議員・団体要請、富山駅前での宣伝や集会を展開。富山中小企業家同友会の専務理事からは、「公務員賃金を下げる必要はない。応援している」との激励を得ました。


●総務省「見直し素案」提示
 退手にも成果主義を導入へ

 総務省は6月27日、退職手当見直しの「素案」を提示してきました。
 この「素案」の提示は、6月21日の「骨太方針2005」閣議決定時に、麻生総務大臣が退職手当見直しに言及したことを受けたものです。
 人事院がすすめる給与構造見直しを契機に、公務員制度改革における指摘や民間企業における退職金制度見直しを反映する制度見直しを表明。退職手当制度について、(1)勤続年数に中立的な形で貢献度を勘案する部分の新設、(2)中期勤続者の支給率引き上げなどによる支給率カーブのフラット化、(3)在職期間長期化に対応するための算定方式の特例などの構造見直しを行うとしました。このように総務省は、給与水準引き下げ分の回復ではなく構造見直しを提示してきました。
 国公労連は、退職手当の構造見直しを進めるのであれば、その必要性等に関わるデータや問題意識を明らかにさせ、十分な議論を尽くすよう要求しています。
 退職手当は、官民均衡の観点から02年11月に水準引き下げの法「改正」が行われ、02年、03年の2年連続で水準が引き下げられました。
 人事院が提案している給与構造見直しが強行されると、高齢者では7%程度に達する俸給表水準の引き下げが行われます。退職手当の支給月数を現行制度にとどめるならば、7級高位号俸の退職者は200万円を上回る引き下げとなり、民間退職手当水準を下回ることになります。
 退職手当の官民均衡は、支給月数ではなく、退職金総額で比較したものだからです。
 このようなことからも、給与構造見直しによる退職手当の現行水準引き下げは絶対に許せません。
 国公労連は、こうした総務省の退職手当をめぐる動きを受けて、職場からの総務大臣宛「退職手当の現行水準維持を求めるジャンボはがき」にとりくんでいます。


●悩み・要求出しあって均等待遇実現を
  第4回「非典型」労働者交流集会ひらく

 国公労連は6月25日、第4回「非典型」労働者交流集会を東京都内でひらきました。全国から105人が集まり、非常勤職員らが悩みや要求を出しあい、正職員との均等待遇をかちとろうと熱心に話し合いました。昨年まで「非常勤職員交流集会」としていたものを、「パート、相談員、委託職員など」に対象を広げるため名称を変更して開催しました。
 堀口委員長は、「公務職場で多様な雇用形態で働く仲間との対話をすすめている。創造的な国公労働運動に挑戦し、力を合わせよう」とあいさつ。小田川書記長の基調報告では、「公務職場の3割以上が非典型労働者。『市場化テスト』で雇用流動化が一層加速」する骨太方針の総人件費削減攻撃を明らかにし、「企業(省)内主義」の克服を呼びかけました。
 生協労連副委員長の八谷真智子さんが特別報告。劣悪な職場環境を改善しようとパート部会が結成され、仲間と激励しあった24年間を語り「均等待遇実現は正規職員の労働条件改善につながる。非正規雇用の『差別』は基本的人権が阻害されている問題」と指摘しました。

 ◇組織化で組合活動が活性化

 全体集会では、政府の国家公務員削減方針で、非常勤職員がいなければ職場が回らないという実態と、劣悪な労働条件が浮き彫りになりました。「業務の研修で職場を離れた正職員の穴埋めをしているのに、なぜ私たちは研修が受けられないのか」「交通費を支給してほしい」(全労働)、「夏季休暇がない。日給制なので休めない」「3年で雇い止めは、とても不安」(全運輸、全建労)など、劣悪で無権利な労働実態を告発しました。
 同時に、非常勤職員が組合に加入することで要求が実現し、組合活動が活性化している報告も相次ぎました。「組合に入って当局交渉にのぞみ、雇い止めを撤回させた」「雇い止め解消が困難だから組織化はできないなどの議論を克服して組織化することで、組合活動が活性化して風通しのよい働きやすい職場になった」。
 また、今年4月に全港建四国地本小松島港支部(徳島)に加入したAさんは、「1カ月前に地本の非常勤職員『新入組合員教室』で学び交流して、労働条件をよくするため、まず声を出そうと思いました。職場の皆さんと一緒に働きやすい環境をつくりたい」と笑顔で話しました。

 ◇「都合よく雇われている」と痛感(参加者の声・感想文から)

 ○ 非常勤は私一人で、お茶くみやその他雑用は当たり前となっているのが現状です。コピーやFAXくらい職員自らやればいいじゃないか!と、いつも思っています。私には充分な賃金や休暇がないのは、許せません。まず、職員一人ひとりの非常勤に対する意識が変わらなければ、制度や待遇は変わらないと思います。都合のいい時に、都合良く雇われていると痛感している日々です。
 ○ 雇い止めについての不安が一番の悩みです。組合に入っていることやお茶くみを嫌がることでクビになったのではたまりません。自分なりに家に帰ってから勉強を続け、スキルアップをはかっています。
 ○ 「非常勤は3年でおわりでしょ」という言葉が発せられる職場もあったとは、人権に関する感覚やモラルが問われていると強く感じました。非常勤職員の要求を取り上げられない正規労働者の組合は、正規労働者の仲間の要求に目を向ける感覚も鈍っているのではないか、と感じました。


●国公労連第19回労働学校ひらく 全国8カ所に635人

 ブロック別開催となって今年で3回目の国公労連第19回労働学校が、5月中旬から7月上旬にかけて開催され、全国で635人が参加しました。
 今年の講義テーマは(1)情勢課題=憲法(東北、近畿、四国、関東)、構造改革(九州、中国、東海・北陸、北海道)(2)産別政策課題=公務における評価問題(3)組織課題の三つを設定しました。各ブロックでは、これらのテーマを深めるために独自のカリキュラムとスケジュールを設定して開催。東北では、各種団体の代表によるシンポジウム「憲法とナショナルミニマム」で、国民各層の状態悪化を改善するためにも憲法25条にもとづく最低保障制度の確立の必要性を確認しました。
 参加者からは「内容が濃く、貴重な体験となった」(東北)、「継続して活動するためにも学習活動の充実の必要性を痛感」(中国)などの感想が寄せられています。
 国公労連労働学校は、国公労連の学習・教育活動要綱にもとづく役員対象の中級教育して開催されています。なお、単組など専従役員を対象とする中央労働学校は今年は開催せず、6月に開催された「公務の公共性を考える集会」参加による振り替え措置としました。


●連載 検証・憲法調査会報告(3)
 「9条2項」論議の本質は

 憲法調査会では、9条2項について、どんな議論がされたのでしょうか。
 参議院の報告書によれば、(1)集団的自衛権を認めることの是非、(2)自衛隊の憲法上の明記、(3)国際貢献の憲法上の明記、(4)緊急非常事態法制、の4点が論議の焦点とし、衆議院の報告書でも、「集団的自衛権」と「国際協力」にスペースを割き、同様の論議であったことが伺われます。
 日本経団連が、「第9条第2項は『国際貢献・協力活動』を進める上で、『大きな制約』」(「わが国の基本問題を考える」05年1月18日)と主張し、「憲法9条は日米同盟の邪魔物」(アーミテージ米国務副長官・04年7月)と発言したことに、調査会報告は応えています。

 ◇争点1 集団的自衛権の認否

 衆議院の報告書では、「集団的自衛権」について、(1)無制限に認める、(2)限度をつけて認める、(3)認めるべきでない、に3分されたとしています。
 「認める」論拠としては、米国と共同した「国際協力」を行うため、などの意見を紹介しています。一方の「認めない」の論拠では、「集団的自衛権」は軍事同盟の根拠や、アジア諸国の脅威などの意見を紹介しています。
 なお、「認める」中の意見の多数は、憲法「改正」が必要としたことも紹介されています。
 憲法調査会では、アメリカとの関係を中心に「集団的自衛権」を論議し、改憲が論じられたのです。

 ◇争点2 軍事面の国際協力の認否

 「国際協力」の内容について、(1)国際協力活動の根拠規定、(2)自衛隊の海外派遣の根拠規定、(3)国際協力における軍事力行使を可能とする規定、と三つに大別される意見があったことを衆議院の報告書が述べています。
 そして、それらの点ともかかわって、「国連の集団的安全保障活動への参加」の論議があったことにも触れています。
 なお、「国際協力」は非軍事的な分野で行うべきで改憲は不要、の意見があったことも紹介されています。
 「国際協力」という言葉に惑わされそうですが、国連との関係も含めて、軍事面での協力をするのか、しないのかが、9条改憲をめぐる争点でした。
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