国公労新聞 第1216号 |
●緊迫!賃下げ断固阻止を7.26中央行動4500人が大結集国公労連は7月26日、地域間・個別賃金の格差拡大となる給与構造・地域給「見直し」に反対、公務員の総人件費抑制阻止、人事院や政府を追及する「7.26中央行動」を展開。台風7号が関東に迫りくる悪天候のなか、全国から職場の怒りを持ち寄り、全労連・公務労組連絡会全体で4500人(国公労連は3500人)が結集しました。「怒りの霞が関総一日行動」は人事院前行動からスタート。日比谷公園の噴水広場周辺にも参加者があふれかえり、要求を掲げたのぼり旗でいっぱいに。全国からバスなどで駆けつけた仲間に、本省の仲間も加わり、人事院前を埋め尽くしました。 主催者あいさつに立った堀口士郎・公務労組連副議長(国公労連委員長)は、「人事院は7%もの水準ダウンとなる給与構造『見直し』に加えて、マイナス勧告も示唆している。二重の賃下げは断じて許されない。地方・中央一体で奮闘しよう」と呼びかけました。人事院前行動では、全運輸北海航空支部・地域給阻止決死隊が「地域給を断固阻止するまでたたかう」と力強く決意表明。 続く人事院前行動(第2部)では、青森・佐賀・大阪・長野・中国・京都・高知・福岡・宮城・神奈川・静岡県国公が次々リレー発言し、職場の怒りを訴えました。 並行して、総務省・内閣府・財務省前要求行動、05夏季闘争勝利総決起集会を展開。8月初旬の人事院勧告までねばり強く運動を強化することを確認しあいました。 |
●人事院「マイナス勧告も想定」◇不利益遡及にも言及国公労連は7月22日、勧告期要求前進をめざした交渉を行いました。 追及に人事院は、(1)マイナス勧告を想定、(2)勤務時間・休暇制度は「多様な勤務形態に関する研究会」の報告をふまえて言及、(3)給与構造見直しは議論中であるが、激変緩和の経過措置を検討、(4)作業量が多く、勧告日は例年より遅れぎみ、などと回答しました。 マイナス勧告と給与構造見直しとの関連について、人事院職員福祉局の鈴木職員団体審議官は「仮に俸給表を改定する必要があるとすれば、マイナス分を一旦改定。それをベースに5%引き下げの新俸給表を作り、来年4月実施の勧告をすることになる」と説明。マイナス勧告での不利益遡及にも言及しました。 国公労連は「マイナス勧告の話は受け入れがたい」と強く抗議しました。 ◇地域手当の矛盾、ブロック国公が追及 7月26日には各ブロック国公代表による給与構造「見直し」・「地域給」課題を中心にした交渉を行いました。 各ブロック代表からは「地方職員が6、7級頭打ち、55歳昇給停止で上に行けず、5〜7%も俸給を切り下げられるのに、12級新設はキャリア優遇」(近畿)、「北九州など一挙に12%もの引き下げでは生活が成り立たない」(九州)など切実な地域の実態を訴え、「地方切り捨ては断固許せない」と厳しく追及しました。 ◇4日は中央・地方で人事院前座り込み 給与構造・地域給「見直し」に加えた本俸切り下げの勧告さえ想定される厳しい状況のもと、国公労連は、8月4日に中央・地方で人事院前座り込み行動を実施し、職場・地域からのとりくみを背景に、最終盤の人事院追及を強めることとしています。 |
●うち破ろう!許すな給与構造改悪〈北海道国公〉人事院北海道を包囲【北海道国公発】7月19〜20日、「地域給・給与構造改悪阻止北海道連絡会」は、7.26中央行動へ向けて北海道総行動を展開しました。国公労連より山瀬徳行副委員長を迎え、19日は旭川集会(86名)、20日は札幌で人事院北海道事務局交渉、人事院北海道事務局包囲行動(209名)、総決起集会(250名)などの連鎖行動を展開しました。官民一体での「打ち破ろう!許すな給与構造改悪」の運動が世論を動かし、道内議会での意見書採択は、札幌市、小樽市をはじめ8市町村議会となっています。デモ申請を大きく上まわる参加があるなど、北海道の仲間たちの怒りのボルテージは上がっています。 |
●地域から共同ひろげ憲法が輝く社会を〜国公労連05年度運動方針案のポイント国公労連は、8月24日(水)から26日(金)まで、第51回定期大会を都内で開催します。大会に向けた運動方針案のポイントを小田川義和書記長に聞きました。 ◆ストップ!憲法9条改悪 〜国民を戦争に動員する役割は担わない −−2005年度の運動方針案では、三つの柱(1.憲法9条改悪反対、2.公共サービス商品化反対、3.組織整備・拡大)で運動を進めるとしていますが、最初に憲法課題を掲げているのはなぜでしょうか? ◇9条改憲は公務労働を変質させる 小田川書記長 昨年来の動きの中で、改憲の中心目的が、「日本の軍隊を海外派兵する」ことであることがはっきりしてきました。他の国と戦争する国に変えようとする動きに無関心ではいられません。 戦前の公務員は、「天皇の官吏」とされ、「お国のために命を捧げる臣民(国民)づくり」や戦争への国民動員が「仕事」でした。戦後、日本国憲法が制定され、「国民全体の奉仕者」となった公務員は、ナショナルミニマムの具体化など、国民共同の利益を追求する「労働者」に変わりました。 国公労連は、そのような歴史認識を今日まで継承してきました。他の国と戦争する日本に変わることは、公務労働の変質をともないます。国民を戦争に動員する役割を再び担わない、その決意で、「9条改憲反対」のたたかいを進めることを提案しています。 ◇大きく広がる「九条の会」 昨年6月に、「9条守れ」の一点での賛同と運動を呼びかけた「九条の会」のとりくみが、この1年間で大きく広がりました。地域や職場、様々な分野で結成された「○○九条の会」は全国で2000を突破し、さらに増え続けています。そして、それぞれがネットワークを形成しながら、「9条改悪反対」の世論を広げています。 国公労連も、この「九条の会」の運動の大きな流れに結集したとりくみを強めたいと思います。 ◇国民過半数署名・全職場学習の推進、職場9条の会結成を 国民過半数を目標とする「9条改悪反対署名」(06年末集約)を地域における憲法闘争の軸に置き、毎月9日を全国統一宣伝行動日とし、とりくみを進めます。 そのようなとりくみを効率的に、かつ全国的に進めるため、「全職場憲法学習運動」の強化、組合未加入者や管理職、職場に働く関連労働者の参加も得た「○○職場9条の会」や「○○県国公9条の会」の結成など、運動の基盤づくりをこの一年間重視することを提案しています。 ◆総人件費削減反対と結合し「公共サービス商品化」NO! −−公務員バッシングとともに、市場化テスト、民間開放、総人件費削減などの攻撃が強まっています。これに対してどう運動を進めていくのでしょうか? ◇行政民主化闘争で国民との共同を広げる 小田川 方針案では、柱の一つに「公共サービス商品化反対」の運動を位置づけています。 確かに現状では、公務の非効率が指摘され、マスコミも通じて、公務員の給与や働き方が連日のように批判されています。しかし、そのことと一体で、国民生活や公務の公共性を破壊する「構造改革路線」が進められていることや、サラリーマン大増税・消費税大増税の突破口として公務員バッシングが強められていることに、次第に国民の目がむきはじめています。郵政民営化法案をめぐる政治的混乱や、東京都議会選挙に、政府税調の「増税報告書」が影響を及ぼしたことなどがその実例です。 国民的な立場で、行政第一線の現状と問題点を明らかにし、政府の「骨太方針」など「構造改革」の矛盾や問題点を明らかにする行政民主化闘争を強めることが、公務員バッシングへの反撃にもなると考えています。 ◇産別一体で行政民主化署名を 具体的には、「国の責任でいのちとくらしを守り、安全・安心な社会の実現を求める署名」(仮称)を軸に、産別一体で、公共性破壊や公務員攻撃への反撃を強めることを提案しています。 行政研究活動の成果も活用しながら、「公共サービス商品化」反対キャンペーンのとりくみを強め、毎月第3水曜日を全国統一行動日とした宣伝行動や、地方議会要請行動、各種団体との行政懇談会など、できるとりくみを全国で展開することを呼びかけています。 こうした国民共同を広げる運動がなければ、強まる総人件費削減攻撃、賃金・労働条件の切り下げ攻撃に反撃できません。その点での組合員の意思統一と運動への参加を呼びかけます。 ◆組織の整備・拡大の前進、地域から産別運動のうねりを −−職場では、仕事が忙しくなっていて、「労働組合の活動が目に見えない」「メリットを感じない」という声も聞こえてきます。「数は力」が労働運動の原点だと思いますが、組織拡大・強化はどう進めていくのでしょうか? 小田川 これまでの運動の経過を見ても、運動の課題を学習し、職場討議を徹底して行い、全員参加の運動をめざした組織がとりくみの目標を達成し、要求も組織も前進していることが実証されています。 厳しい職場実態にあるからこそ、話し合いの場を持ち、団結を深め、力を寄せ合って問題解決をめざす、という労働運動の原点に立ち返った職場活動を呼びかけます。 仲間の悩みに耳を傾け、解決の先頭に立つ「10人に一人の世話役づくり」も提起しています。 役員まかせの組合からの脱皮が必要です。 ◇非常勤職員の仲間も組合に迎え入れよう 公務リストラがすすむもとで、非常勤職員などの増加、任期付き職員の導入、委託、派遣労働者の存在など、正規職員以外の労働者が増えています。 多くの場合、これら非正規労働者の労働条件は劣悪です。そのことに目をつぶり続けていて、正規労働者の労働条件が前進すると考えるのは身勝手すぎる、そのような姿勢が労働組合への信頼を低下させている、国公労連はそう考えています。 職場の周辺にいる民間労働者、例えば関連法人の労働者の解雇、賃下げなどの「合理化」攻撃を見て見ぬふりで、公務員バッシングが弱まるとも思えません。 大胆な組織運動の変革を、方針案では提起しています。 ◇地域を中心にした運動を 「地域給」見直しや地方支分部局に焦点をおいた「定員削減」、地域切り捨ての「構造改革」、など。今、多くの矛盾が、地方に集中しています。その矛盾と立ち向かう地域からの運動も前進しはじめ、「労働運動の再生は地域から」と言われる状況もうまれています。 それらの点に目を向け、ブロック国公、県国公、地区国公の整備・強化や、県労連などへの一括加盟の前進なども05年の重要な課題として提起しています。 |
●弱者いじめの民間解放・規制緩和 問題だらけ東海ブロック国公 公務のシンポジウムを開催【東海ブロック国公発】東海ブロック国公は7月16日、「『公務の民間開放・規制緩和がもたらすもの』シンポジウム」を名古屋市内で開催し、53人が参加しました。専修大学の晴山一穂教授、建交労愛知県本部書記長の谷藤賢治氏、国公労連の川村好伸中央執行委員の3氏をパネリストとして招きました。 「市場化テストの導入など、様々な厳しい状況が生まれているが、公務でしかできないこともあり、その未来は決っして暗いわけではない」(晴山氏)、「この間の規制緩和によって、交通関係の職場には様々な問題が起きている。JRの事故についても背景をみておく必要がある」(谷藤氏)、「小泉構造改革の下で、弱者に改革の痛みが押しつけられ、大企業のみが利益を伸ばしている。こうした国民の状況悪化を見据えながら、公務の役割を発揮する必要がある」(川村氏)、など問題提起がされました。 ◇行政民主化のとりくみと両輪で 会場からは「公共交通について国民が求めているのは『安かろう速かろう』ではなく『安全・安心』だ」「公務の職場で『数字』が求められ、歪んだ状況が生まれている」「規制緩和や民間開放に反対するとりくみは、日常的な行政民主化のとりくみと両輪で行うべき」といった意見が出されました。 ◇憲法の精神を職場にいかそう シンポジウムでは、民間開放や規制緩和によっては問題の解決は図れず、公務が自らの責任で業務を行っていく必要性や、憲法25条2項(国の社会的使命)の精神をたたかいに生かすことの重要性を改めて確認できました。同時に、今後も職場からのたたかいを盛り上げていかなければならないことを強く感じた集会となりました。 |
●連載 検証・憲法調査会報告(5)「心の自由」制約の危険性衆参の憲法調査会とも、憲法が規定している基本的人権については、個別には踏み込んだ論議をしていないように思われます。それが、国民の身体、精神、経済活動などについては、権力(国家)が干渉しないことが確認された結果なら問題はないのですが…。 ◇争点1 表現の自由の議論 「日本臣民は法律の範囲において言論著作印行集会及び結社の自由を有す」(大日本帝国憲法第29条)と「集会・結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する」(日本国憲法第21条)の違いはどこにあるのでしょう。「法律が認めなければ(制限していなければ)」という条件をつけているか、いないかです。 その違いが、治安維持法によって、表現、結社の自由はもとより、心の自由まで制約された時代と現在の違いに反映しています。 衆議院の調査会報告では、表現の自由について、「報道の自由とプライバシー権の合理的な調整について論議があった」としています。 「人権と公共の福祉との関係」(参議院)、「非常事態における人権の制約」(衆議院)などの論議は気にかかります。さらに、前文では、「愛国心」明記の論議が行われています。個々人の自由な意見表明より、「国家」が「国益」が優先される状況。国を批判するものを「非国民」とレッテルを貼り、心の自由まで縛られる。そんな危険が浮かびあがります。 ◇争点2 信教の自由の議論 衆参共通する争点に、信教の自由(「政教分離」)(憲法第20条)があります。 衆議院の「報告書」は、「内閣総理大臣等が社会的儀礼あるいは習俗的行事へ参加し、公費を支出することが許容されるよう憲法を改正」との意見があったとしています。 言うまでもなく、この意見で想定されていることの中心は、首相の「靖国参拝」です。 国が特定の宗教団体を特別に扱い、「お国のため」に命を捧げることを強制した歴史は、この意見では忘れ去られています。 国民の身体、精神活動の自由(自由権)を「国家」や「国益」を口実に制約できる憲法に変えたい、との改憲派の主張を両院の「報告書」が明らかにしています。 |
●読者のひろば◇全職場で給与構造改悪反対の声を!(全労働鹿児島支部の男性組合員)キャリア優遇の給与構造改悪に断固反対します。改悪を断行すると地方公務員等にも波及し、ますます厳しい状況になると思われる。全職場から一致団結して反対の声をあげよう! ◇非正規問題は社会の差別なくす運動(全通信四国支部の女性組合員) 私の職場でも1割ほどが非正規雇用労働者です。参加者の声を読んで心が痛みました。「均等待遇実現」は、非正規雇用労働者だけの要求ではなく、職場・社会からあらゆる差別をなくすために、全労働者の問題と位置づけてとりくむ必要があると思います。 |
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