国公労新聞 第1217号 |
●にわかに“総人件費削減の大合唱”「2年ぶり3度目のマイナス勧告(▲0.36%)と、本俸を4.8%引き下げなどを内容とする給与構造勧告でも総人件費削減は不十分」そんな動きが政府・財政当局から出はじめています。マスコミも、「官の給与改革・政治決断して削減せよ」(8月16日・毎日新聞)、「公務員人件費・各党は削減へ目標と手順を示せ」(同日・読売新聞)など、総選挙ともかかわって、「総人件費削減キャンペーン」がくり広げられています。 ◇一時金0.05月改善「凍結」? 8月15日、政府は、給与関係閣僚会議を開催しています。その場では、「総人件費削減を念頭に議論を」とする谷垣財務大臣の発言もあって、勧告取り扱いの方向すら確認されていません。マイナス勧告で、国は約50億円の人件費削減と言われていますが、一時金0.05月の改善を見送れば、約230億円の削減になるという思惑が見え隠れしています。 ◇定員の純減目標も俎上に 8月11日、政府は、06年度予算の概算要求基準を決定しました。同日、麻生総務大臣は、06年度の増員要求を「前年並み」とすることを求めるとともに、「5年間・10%」の定員削減計画を別途策定することを明らかにし、同時に純減目標策定の姿勢も示しました。 概算要求基準決定に先立つ7月27日、政府の経済財政諮問会議に提出された民間議員の意見書では、「給与の一段の見直し」と「国民が納得する『純減目標』設定」を求めています。賃金と定員の双方を「削減」して「(国の)総人件費削減」をおこなうための「基本指針」を今秋にも決定し、純減目標の具体化を06年度予算査定と一体で進めようとする動きを政府が強めています。 ◇狙いは「増税」の突破口 政府が、6月に決定している「骨太方針2005」では、郵政民営化の次の「構造改革」を、人件費削減などの歳出削減と、増税の方向を打ち出しています。「削減なくして増税なし」だと言うのです。総人件費削減の目的は明白です。 選挙に向け、民主党は「(国の)総人件費2割削減」や、所得税控除の見直しをマニフェストに掲げようとしています。「骨太方針2005」と大同小異です。 増税の突破口としての総人件費削減の是否が、総選挙の争点の一つに浮上しています。総選挙の結果は、勧告の取り扱いや年末の定員、組織の査定などに直接影響します。 「人べらしも賃下げも」の公務員攻撃と対峙する国公労働者のとりくみが問われています。 |
●公務員賃金に政治介入するな
国公労連は8月15日、05年人事院勧告を受け、政府・総務省に「給与法『改正』等に関する要求書」を提出しました。 |
●「退職手当水準維持」迫ろう
国公労連は、8月3日、総務省に「退職手当制度『見直し』に関する要求書」を提出しました。 |
●〈総選挙特集〉私と家族の明日を託して−−国公労連 政党・候補者選ぶ4つの基準−−8月30日公示、9月11日投票で総選挙が行われます。日本の進路を大きく左右する大事な国政選挙です。解散・総選挙にあたって、国公労連は、国公労働者とその家族の生活を守り、要求を実現するため、「政党・候補者選択の4つの基準」を発表しました。【1】郵政事業をはじめとした公務の民間開放に反対するのか 小泉首相が総選挙の「最大の争点」としているのが郵政民営化です。先の国会では「郵政民営化法案」は参院で否決され、廃案になっています。 今年6月に出された政府の「骨太方針2005」は、いっそうの民間開放や公務員の総人件費削減と、その先の社会保障費の抑制、大増税路線を描いています。 国公労連は、国民への公共サービスを守るために、民間開放と公務員減らしに反対するか否かを政党・候補者選択の基準とします。 【2】社会保障費抑制、サラリーマン大増税や消費税大増税に反対か 小泉内閣の4年4カ月は、国民・労働者に痛みを強いる「構造改革」の断行でした。医療や年金など社会保障制度の大改悪や増税の連続により、国民負担増は総額4兆5千億円にも上っています。 今年6月の政府税調は、「サラリーマン大増税」を大きく打ち出し、消費税大増税とあわせさらに大きな国民負担を負わせようとしています。 国公労連は、「構造改革」の本質である社会保障費抑制と弱いものいじめの大増税に反対するか否かを政党・候補者選択の基準とします。 【3】公務員やパートなどすべての労働者の生活・権利・雇用を守るのか 総務省統計によると小泉内閣の4年間で、勤労者世帯の月額ベースの実収入は、月額2万円以上も減っています。「賃金は安ければ安いほどいい」と正規労働者は300万人も減り、不安定な低賃金・使い捨ての非正規雇用が増大しています。 国公労連は、リストラ・人減らしに反対し、公務員をはじめ労働者の生活・権利・雇用を守る政策を持っているかどうかを政党・候補者選択の基準とします。 【4】憲法改悪に反対し、平和と民主主義を守るのか 小泉内閣は、米軍のイラク攻撃を支持し、米軍が引き起こす戦争に国民を総動員する有事立法を制定してきました。そして、自民党は8月1日に、9条1項の「戦争放棄」の文言を削り、2項の「戦力不保持、交戦権の否認」を削除する9条全面改憲案を打ち出しました。格差拡大、弱者切り捨ての構造改革の断行は、国民の生存権を脅かす憲法25条の実質改悪とも言えます。 国公労連は、9条改悪や自衛隊の海外派兵・武力行使に反対し、憲法を政治に活かす政党・候補者であるかどうかを選択の基準とします。 *公務員の市民的・政治的規制はきわめて不当 政治活動・選挙活動の自由は、すべての国民に保障された憲法上の権利です。「言論・表現の自由」(21条)や「思想・良心の自由」(19条)とかかわり、基本的人権の中核です。公務員といえどもその例外におかれてはいません。現行法は公務員の政治活動を大きく規制していますが、これは国際的にも問題視されるきわめて不当なものです。 *できる活動は大いに そのような不当な制度下でも、人事院規則では「政治的行為の定義に含まれない限り…(国公法102条1に)違反するものでない」(人事院規則14-7の5項4)としています。例えば、「投票するよう勧誘運動をすること」も、「組織的、計画的又は継続的に勧誘」(人事院規則14-7の運用について)しない限り問題にならず、たまたま友人間での話し合いで支持をすすめることは該当しません。 ◆公示後でもできる活動のとりくみを (1)国公労新聞は、月3回以上発行の第3種郵便物なので選挙期間中の選挙報道及び論評は自由です(公選法第148条)。 国公労新聞の選挙特集号を使っておおいに職場討議をしましょう。 (2)支部や分会の機関紙でも、選挙に直接ふれなければ、通常行っている要求と政党・候補者とのかかわりを宣伝することはできます。 私たちの要求に各政党・候補者がどのような態度をとってきたのか、どのような政策を掲げているのかなど、労働組合の立場から職場に広げましょう。 (3)「サラリーマン増税反対」「9条改憲反対」など自らの要求にもとづく宣伝・署名行動などは、通常どおり実施できます。 (4)電話による投票の依頼は自由です。 公務員の「地位利用」にならない限り、電話での投票依頼は自由です。 (5)自筆の封書による投票依頼も自由にできます。 知人・友人や親戚など親しい人にあてた自筆の封書の中で、投票と応援は自由にできます。 (6)「個々面接」による投票の依頼も自由にできます。 知人・友人などにたまたま出会ったときや、他の要件で人を訪ねた際に、投票や応援を依頼することは自由です。 (7)演説会に参加し、政策への理解を深めましょう。 個人演説会や政談演説会などに参加することはもちろん、知人・友人を積極的誘うこともできます。 (8)後援会への加入やカンパへの協力も自由にできます。 国家公務員であっても後援会には加入できます。ただし、役員になることはできません。また、カンパに応じることは差し支えありません。 ◆当日投票できない人は期日前投票を ◇ 仕事はもちろん、旅行などの私用で投票日に投票できない場合は、期日前投票ができます。 期日前投票は、公示日の翌日(8/31)から投票日の前日(9/10)までの午前8時30分から午後8時まで、各区市町村の役場などで行えます。(土曜日や日曜日も同じ時間に投票できます) ◇ 公示日前に、他の区市町村へ転居された方は、原則として転居前の区市町村で投票することになります。くわしくは選挙管理委員会に問い合わせましょう。 |
●核廃絶、平和で公正な世界に −−原水禁05年世界大会ひらく−−
◇被爆60年にふさわしく |
◆連載 検証・憲法調査会報告(6)「家族・家庭」についても論議衆議院憲法調査会では、「家族・家庭に関する事項」についても論議が行われています。 現行憲法では、第24条で「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」が規定されていますが、論議されたのは、この条文の検証ではありませんでした。 ◇議論されたのは異なる二つの問題 「家族・家庭に関する事項」にかかわり、報告書で紹介されている論点は二つです。 一つは、選択的夫婦別氏制の導入の問題であり、今一つはそれとは対極にある「家族・家庭や共同体の尊重規定」についてです。 前者は、憲法第24条などの趣旨からして、是とする意見が多数を占めてもおかしくない問題です。しかし、報告書が紹介している反対意見は「家族の崩壊を誘発するおそれ等」で、まともな憲法論議とは思えない内容です。 後者の問題にかかわって、規定を設けるべきとする意見では、「顕在化している社会問題を解決するためには、家族の果たしてきた機能の再構築が必要」、「憲法に、国民の行為規範を盛り込むことは必要」などの点です。 これに対し、「家族尊重という徳目規定は憲法になじまない」、「社会問題の解決は家族生活保護の現実的政策によるべき」、「戦前の家制度復活が危惧される」などが反対理由として列記されています。 ◇なぜ、いま「家族尊重規定」論議か 戦後民主化の中心的課題の一つが、「家制度の解体」であったことはよく知られています。 「社会の最小単位=家族」での相互の役割分担や家族間の義務・責務などを国が強制するのが「家制度」です。それは一面で、天皇への絶対忠誠を求め、「お国のためにいのちを捧げる臣民」を育てる「道具」でもあったと言われています。「家」と「万世一系の天皇が納める国」は一体化され、守るべき最高の「存在」でした。 本連載の第4回では、憲法調査会で「国防の義務」の論議がおこなわれたことを紹介しました。そのことと「家族尊重」規定を取りあげたことは、無関係ではないと思います。「個人の尊重」を払拭し、「家族を守り国を守る国民」の育成目的を憲法に明記したい、と考えている人が改憲派にいたのです。 |
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