国公労新聞 第1220号

●総人件費削減指針策定阻止を

 「公共サービス商品化」反対キャンペーンを強めよう

 9月11日に行われた衆議院選挙でも一つの「争点」となった国家公務員の総人件費削減。「選挙前とは潮目が変わった」という声が聞こえるほど、「総人件費削減」、「公務員べらし」の大合唱が国会を席巻しています。
 政府は、11月に「総人件費削減指針」を策定しようとしています。「公共サービス商品化」反対キャンペーンのとりくみ強化が求められています

 9月26日、第163回国会の所信表明演説で、小泉首相は「国家公務員の給与に関し、給与体系を見直すとともに、国家公務員の定員の純減目標を設定して、総人件費の削減を実行」すると強調しました。
 この所信表明も受け、翌27日の経済財政諮問会議では、「政府の規模の大胆な縮減」が議題とされ、公務員の総人件費削減が論議されています。

 ◇職場の繁忙と生活実態は無視

 同会議には、「公務員の総人件費改革」と題する「意見書」が民間議員から提出されています。
 その内容は、(1)国家公務員の人件費について、今後10年以内に名目GDP比で半減させるといったような目標と期限を「基本指針」に明示、(2)国家公務員(郵政を除く68.7万人)の定員を5%以上純減するといった思い切った目標を設定、(3)地方支分部局・地方事務所、補助金や規制の担当部局等の定員の重点的な削減、(4)市場化テストの全面導入、(5)官民の給与水準の比較方法の見直し、国の財政事情を考慮して公務員給与を適正化する仕組みの検討、などを求めています。
 「総人件費=給与単価(P)×定員(Q)」だとし、総人件費削減目標を先に決定し、その目標達成のために、「純減も賃下げも」と迫っているのです。行政ニーズや職場の繁忙実態、公務員労働者の生活実態などは無視されています。

 ◇政府、05年人勧の「完全実施」決定

 政府は9月28日、05年人事院勧告の「完全実施」を決定しました。経済財政諮問会議では、その決定ですら、「(総人件費削減に)政府、人事院が真剣に取り組むこと」が条件だと言っています。

 ◇「5年間10%」の定削計画を決定

 9月27日には、規制改革・民間開放推進会議が「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案の骨子」を明らかにし、2005年度中の法案提出を求めました。
 さらに、10月4日に政府は、2006年度から09年度までの4年間で国家公務員の定員を2万7681人削減する「5年間10%」の定員削減計画を決定しています(下表参照)。


※総務省資料から作成(10月4日時点)


●国民世論に訴えよう
  単組・地方代表者会議で意思統一


 国公労連は9月29日、05年秋闘方針を補強するため、中央行動とあわせ、単組、ブロック・県国公代表者会議を都内で開催しました。
 会議では、厳しさを増す総人件費削減攻撃の現状とともに、これを跳ね返すためには全組織が一丸で「身体を張ったたたかい」が必要であることを確認しました。
 そして、05年秋闘方針でも提起した「公共サービス商品化」反対キャンペーンに全力をあげること、特に「くらし安心署名」(国会請願署名)や宣伝行動、行政なんでも相談などを通じ、職場実態や行政の役割を国民世論に訴えるとりくみの強化を意思統一しました。

 ◇全労連呼びかけの11.16集会成功を

 11月16日には、全労連が呼びかける「これでいいのか!公務員攻撃、11・16国民集会」の開催も準備が進んでいます。全国からの参加も含め、この集会日には、関係機関要請行動を終日展開する準備も開始しています。
 06年度予算編成と一体で進む、「総人件費削減指針」の決定に反対するたたかいが、極めて重要になっています。


●給与構造に伴い退職手当も「見直し」

支給カーブ改変、級ごとの「退手の調整額」新設

 10月4日、政府は退職手当「改正」法案を閣議決定し、特別国会に上程しました。
 制度所管の総務省は、退職手当「見直し」の理由として、「在職期間中の貢献度のより的確な反映を求める公務員制度改革での指摘」や、「給与構造見直しによる俸給水準引き下げ」などをあげています。
 見直し時期は、06年4月1日(給与構造見直しによる新俸給表を適用。特定独立行政法人は07年4月1日)からとし、前日(06年3月31日)時点で計算した退職手当額は「保障」する措置も盛り込んでいます。
 以下、「見直し」項目ごとに、その内容を解説します。

 ◆(1)支給率カーブをフラット化

 「中途採用者の増加にも対応できる制度」の観点から、例えば定年退職における勤続10年、20年、25年での支給率カーブの変化をフラット化するなどの見直しを行っています。
 退職理由を通じて、中期勤続(勤続10〜25年)退職者の支給月数が改善される一方で、定年・勧奨退職者では、勤続25〜32年のところで引き下げられる内容となっています(勤続35年以上の支給月数は変化せず)。具体的には、退職理由別の適用条項の一部変更を行った上で、『勤続年数別乗数』を図表1のとおり見直すものとなっています。
 退職理由別の見直しポイントは、図表2のとおりです。




 ◆(2)調整額新設と算定方式

 総務省は、現行の退職手当制度が、勤続年数が過度に重視され、役職別の在職期間の差異が反映されていないとして、在職期間中の貢献度をきめ細かく勘案できる仕組みとして「退職手当の調整額」(図表3)を創設するとしました。
 「退職手当の調整額」は、職務の級別に月額(事実上年額)で定め、在職期間のうちで調整額の高い60月(5年)分を支給するというものです。
 したがって、新たな退職手当額算定式は、図表4になります。
 「退職手当の調整額」は、給与構造見直しに伴う「俸給月額」の引き下げによる退職手当の減少を「補填」する意味も持っています。そのことから国公労連は、「退職手当の水準維持」を最後まで主張し、総務省の当初提案を一部修正させています。しかし、「本省9級、地方8級は人事管理上のステータス」だとする総務省は、9級と8級、そして8級と7級の格差だけが「10万円差」で強行してきました。また、この制度導入で、退職時(直前)昇格の効果が減少することになります。



 ◆(3)算定方式の特例

 「俸給月額の減額改定」以外の理由、例えば、降格、俸給表間異動などによって俸給月額が下がった場合、その理由がなかったとした場合の俸給月額が退職日俸給月額よりも多くなる場合に、退職手当基本額の特例を適用するとしています。
 本人の同意のもとに降格して定年まで在職し続ける場合などに、退職手当額が大きく下がることのないようにするというのが、総務省の説明です。
 例えば、地方自治体などとの人事交流で異動し、自治体の俸給水準に格付けされた人が、再び国家公務員に復帰する場合、現在は俸給月額の維持を図るため枠外での同程度の水準に格付けされる例が少なくありません。給与構造の「見直し」で枠外昇給が廃止されたため、復帰時の俸給水準が著しく低くなることが想定されます。
 こうした際に、特例措置が適用されることで、退職手当の減少を緩和しようというのです。
 イメージとしては、図表5のようになります。



 ◆(4)経過措置

 経過措置としては、以下の二つの方法を設けるとしています。
 一つは、「新制度の退職手当額の方が低くなる場合」の経過措置で、その場合には、「新制度で算定した額(新制度算定額)が、仮に施行日前日に同じ退職理由で退職したと仮定して算定した場合の額(新制度切替前日額)より低くなる場合には、施行日前日額を保障する」というもの。
 もう一つは、「新制度の退職手当額の方が高くなる場合」の経過措置で、「新制度算定額が、仮に旧制度が維持されたと仮定して算出(算定基礎は新制度切替前日の俸給月額で算出)した場合の額(旧制度算定額)より高くなる者については、その増額分が段階的に増額されるよう措置する」としています。

 ◆〈問題点〉二重の職務評価

 退職手当額の基礎となる俸給月額自体が職務を評価したものです。ですから、既に職務の評価・貢献度は退職手当に反映しています。
 級ごとに設定される「退職手当の調整額」を加算するのでは、二重の評価・貢献度反映を行うものと言わざるを得ません。この点の矛盾が整理できないこともあって、総務省は、二度にわたって「調整額」を修正し、上下差を縮小せざるを得ませんでした。また、最終最後の段階で、「職責貢献調整額」としていた名称を「退職手当の調整額」に変更したのも、その点と無関係ではありません。
 なお、現行の退職手当額でも、現11級で退職した場合と現7級で定年退職した場合(それぞれ最高号俸)では、約900万円(11級3420万円−7級2530万円)もの差がついています。今回の見直しでは、現7級以下の退職手当水準が若干下がることから、この格差がさらに拡大することになります(図表6)。




 ◇「退手の調整額」の額設定の不当性

 退職手当の調整額の級間格差は、行(一)俸給表適用者で見た場合、基本的な格差が「5万円差」となっている中、9級と8級、そして8級と7級の格差だけが「10万円差」としています(図表3)。
 総務省はこの理由を、「本省における9級」、「地方機関における8級」は「ステイタスだ」と説明しています。たしかに、「本省9級」、「地方8級」には、多くの職員は到達できていません。級別定数のしばりや、1種キャリア処遇優先の人事管理運用の実態が大きく影響しているからです。
 このような実態を勘案し、かつ「二重の職務評価」を避ける立場からすれば、同額刻みの「調整額」以上の不当な格差を導入する理由は見出せません。
 結果として、8級以上の退職者は新制度が有利となり、7級以下については新制度で退職手当水準が若干引き下がっており、この点でも容認できるものではありません(図表6)。
 なお、国公労連は、非常勤職員の「雇い止め」による退職手当について、退職の趣旨から、第5条を適用を要求しました。総務省は、これを認めないばかりか、もっとも手当水準が低くなる法3条2項での運用に固執するという不当な姿勢をとり続けています。


●公共サービス守る共同を

  公務労組連絡会 第29回定期総会ひらく  

 ◇たたかう方針を決定

 公務労組連絡会は9月30日、都内で第29回定期総会を開き、(1)公務労働者の賃金・労働条件の改善、(2)国民本位の行財政・教育の確立、(3)憲法を守り、国民生活擁護、平和と民主主義を守る、(4)運動と組織の強化、などを基調とした年次方針を決定しました。
 討論では、「郵政民営化法案を世論の力で否決に追い込んだ」(郵産労)、「日本経団連は教育基本法から公立学校の『公の性格』を削除するよう要求している」(全教)、「自治法204条を改悪し調整手当の支給根拠をなくそうとする動きがある」(自治労連)、「公務員バッシングの真の敵である財界による公務の業務の買い占めを許さない」(東京)、「国がやるべきことはやってほしいというのが地方の声。公共サービス守る共同を広めたい」(宮城)、「『国公権利裁判』高裁判決で、われわれの訴えが不当にも棄却されたが、すでに発生確定した部分を、無前提に許されるものではないと、地裁判決より踏み込んだ部分もある」(国公労連)などの発言がありました。
 総会では石本巌議長(全教)ら役員を選出しました。

●憲法、底上げ要求を一体で

 青年協 第31回総会を開催  

 国公労連青年協は9月10日から2日間、都内で第31回定期総会を開催しました。10単組5県国公から延べ69名が参加し、05年運動方針や役員体制を確立しました。
 討論では、経験交流が行われ、「給与構造『見直し』は不満の声がある一方であきらめている青年もいる。地方の給与はダウンし、昇格、実績反映の多くの問題が残る。青年としても学習を深めながら積極的に行動へ結集する」(全気象)、「国公青年交流集会の現地実行委員をしたことがキッカケとなり青年協が活性化」(宮城県国公)などの発言が出されました。
 今年度、(1)憲法改悪を阻止、(2)最低賃金や雇用などを中心に最低限の底上げ、(3)国公での最低基準の引き上げ、(4)組織拡大・強化を基本とし、運動を進めていくことが確認・決定されました。


●人間が大切にされる職場を

 女性協 第31回総会を開催  

 9月23・24日、国公労連女性協は第31回総会を開催し、14単組、2ブロック、16県国公73名がしました。厳しい職場実態だからこそ、力を合わせてたたかう05年度運動方針を決定しました。
 討論では延べ39名が発言。欠員を放置し、国民の安全と安心を脅かしている医療現場からの報告や、「育児・介護を行う職員の早出・遅出」など制度の周知徹底、職場環境改善のとりくみが重要になっています。
 各府省の女性の採用・登用計画に対するとりくみ状況や、「クォーター制」について議論をすすめることが確認されました。
 最後に、「平和で、一人ひとりが大切にされる職場と社会をめざす」総会宣言を採択し、総会を終わりました。


●読者のひろば

 ◇扇動するやり方はナチス宣伝を連想(全経済の仲間から)
 今回の小泉首相の「公務員」をスケープゴートに仕立て上げて、扇動していくやり方は、ヒットラーのナチスの宣伝方法を連想した。

 ◇民営化で国土荒廃 日本はどうなる?(全法務の仲間から)
 なんでもかんでも民間で、会社もいろいろ…てな訳で、金の儲かるところは米国へ売り渡し、民営化で地方は切り捨て。国土を荒廃させ、一体、日本の国をどうしたいの? まさか不沈空母に?!

 ◇世界に誇れる憲法9条を守ろう(全労働の仲間から)
 先の衆議院選挙の結果で、改憲のきな臭い匂いを感じたのは私だけでしょうか。今こそ、世界に誇れる憲法9条を何としても守らなければ…との思いを新たにしました。

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