国公労新聞 第1221号

●強まる攻撃に歯止めを

 10.18中央行動に1000人結集

 10月14日の参院本会議。わずか3日の国会審議で、郵政民営化法が強行成立されました。同じ日、民主党は、公務員賃下げのための国公法「改正」法案を提出。与野党が、「小さな政府」を競い合う状況が強まっています。その情勢のもと、公務労組連絡会、第2次中央行動(10月18日)に結集し、経済財政諮問会議や総務省、財務省への要求行動などを展開しました。

 ◇総人件費削減問題で政党に要請

 中央行動の一環として国公労連は、政党と衆参の総務委員会議員に対し、「国家公務員の総人件費削減反対」の要請行動にとりくみました。
 「効率ばかりに偏った行政組織や人員配置、公務員制度では、国民奉仕の行政はできない」ことなど、定員純減や民間開放、処遇切り下げなどの問題点を現状も明らかにしながら訴えました。
 これに対し、「人員は先進国に比して恐ろしく少ない」(社民党)、「公務員攻撃は動機が不純。国のむだ遣いなど事実を隠すためのイデオロギー。公務員賃金は最低賃金のテコ」(共産党)などとして要求への支持が表明される一方、「国がどこまでやるか公務の範囲の区分けは不可避」(民主党)として、総人件費削減容認の姿勢も示されました。なお、自民、公明党は、当日の要請には応じませんでした。
 また、民主党の「国公法改正法案」に対しては、10月17日、抗議の書記長談話を発表し、それを要請行動の際、手交しています。

 ◇給与法が衆議院を通過

 10月20日の衆院総務委員会で、給与法「改正」案や退職手当「改正」法案が、自民、公明、民主3党の賛成で可決されました。参院総務委員会は10月27日に予定され、特別国会での両法案の成立は確実な状況です。
 国家公務員の給与等の国会審議と並行して、各県人事委員会の給与勧告も相次いでいます。
 10月19日までに、45都道府県で勧告が行われています。そのうち、東京、新潟などは「給与構造見直し」勧告は行わず、05年給与のみの勧告。39道府県では、国に準じた「給与構造見直し」勧告を行っていますが、滋賀、群馬などでは「地域手当の全県支給」の勧告も行われています。
 これらの人事委員会勧告もうけ、地方自治体での確定闘争は、11月初旬にもヤマ場を迎えることになります。その時期に向けた、地方公務共闘規模のとりくみが強められています。



●郵政民営化法が成立

 公共性を守る引き続く運動を

 郵政民営化法の成立にあたって、全労連と郵産労は、共同の声明を出しました。「アメリカと日本の金融資本の要求に応える政府の姿勢」に抗議するとともに、「国民のための郵政事業確立を求めて、広範な国民と共同して全力をあげる」とし、郵便事業の公共性を守る運動を継続する決意を述べています。
 郵政民営化法は、郵政事業を郵便、貯金、保険、郵便局の4つに分割して株式会社化。2007年10月から民営化を開始し、2017年には郵貯、簡保を完全に民間会社に移行させるとしています。成立直後に、与党の中から「巨大な企業を作ってしまった」との声もでています。ユニバーサルサービスと国民の財産を守る運動は、これからが大切です。



●〈国公権利裁判〉東京高裁 控訴棄却の不当判決

 −−不利益不遡及原則の適用は認める−−

 9月29日、「国公権利裁判」控訴審に対して東京高裁判決は、「控訴棄却」という不当判決を行いました。
 東京高裁は判決理由を、概略、次のように述べています。
 (1)国家公務員への不利益不遡及原則の適用に関しては、「勤務条件法定主義のもとにおかれる国家公務員であっても、すでに確定した部分について、後の立法によって処分または変更することは、無前提に許されるものではない」と、第1審判決とは異なり、国家公務員への不利益不遡及原則の適用を認めました。
 しかし、その上で、「年間で(民間)均衡を採る(2002年給与法改正の)措置は妥当」として、減額調整措置の違法性は認めませんでした。
 (2)人事院や政府の「減額調整措置」の一方的勧告・法案化に関しては、「脱法行為を犯していないから、憲法第28条やILO条約で規定している団体交渉権を侵害していない」とし、「国家公務員の給与に関する団体交渉権は制約されている」とする最高裁判例も踏襲して、私たちの主張を退けています。

 ◇大衆運動の強化で労働基本権回復を

 これに対し国公労連は、判決日当日、「国側の主張に迎合した」不当判決として抗議の談話を書記長名で発表しました。
 しかし、判決への対応については、(1)減額調整措置の脱法性に関わる法的主張は尽くしていること、(2)公務員の労働基本権に関わる最高裁判例(全農林警職法事件など)変更を求める裁判闘争となることなど、裁判継続の困難性を判断し、10月11日の執行委員会で「上告断念」を決定しました。
 不当判決への怒りを、労働基本権回復をめざす大衆運動の強化につなげていくこととします。



●STOP!公務破壊

 −−11月は「公共サービス商品化」反対とりくみ集中月間

 「国民が法務局を利用する状況がどうなのか」――国公労連が行った要請行動で、民主党の政策担当者から飛び出したのは、行政機関の存在を根本から問う言葉でした。「私有財産制を絶対とする市場原理の社会だからこそ、国による財産権保証制度が必要」という社会的合意まで問い直す政治状況を端的に示しています。
 公務員賃金にかかわって、「(勧告制度も含めた)既得権益を守るのかといえば反対」とも述べました。「既得権打破」は小泉首相のワンフレーズの一つ。公務員の給与が「既得権」と野党からも攻撃されるほど、公務員バッシングが強まっているのです。
 政治主導ですすむ「公務破壊」の動きは、どこまできたのかを本号では概括します。

●なぜ総人件費削減?

 ◇財政悪化が原因?

 国および地方の長期債務(国債発行残高など)だけで774兆円(2005年度末)。1年間に国内で作り出される「富」(GDP)の1.4倍以上の借金がある財政状況が、総人件費削減の理由のようにいわれています。本当でしょうか。こうした考え方の背景にあるものは何でしょう。

 ◇庶民大増税の前の公務員バッシング

 第一に、「財政再建のための増税」が避けがたいと考えられていることです。バブル経済が崩壊した以降の財政は、年間予算の半分近くを借金(国債)でまかなう状況になっています。その原因は二つで、過去の借金の返済が雪だるま式に増えていることと、税収減(特に法人税は90年18.4兆円→03年9.5兆円と半減)です。

 ◇公務リストラは大企業の要望

 第二に、トヨタなどの多国籍企業が、税金や社会保障の負担を「国際競争の障害となるコスト」と考え、負担減を国に迫っていることです。借金(その多くは、銀行などの金融機関が保有)は返さなければならない、しかし企業負担は増やせない、となれば、後は国民負担を増やすことと、行政サービスを切りつめることしか残りません(図表1)。そこで、国民負担増の前に公務リストラを、の大合唱がおきているのです。



 ◇改憲論議とも一体の「国の役割重点化」

 第三に、国の財政が「硬直化」(図表2)しているもとでも、減らせない部門や国の実施事務があると考えられていることです。法律や予算を作成して政治をサポートする企画・立案部門や、アメリカに「期待」されている軍事部門、国家権力を背景に国民を統制する治安部門などです。
 それ以外は、国が実施する必要はない、国が実施する場合でも公務員にやらせなくてもよい、とする宣伝が強められています(図表3)。






 ◇公共サービスはもうけになる?

 第四に、「国がやらない国の仕事」を地方に押しつけるとともに、民間営利企業のもうけの場に、という財界の要望も強まっています。その具体が「市場化テスト」です。


●強まる地方切り捨て、「市場化テスト法」の具体化


 ◇総人件費を「総額管理」

 政府は、「総人件費=賃金単価×定員」だとし、「10年以内にGDP(国内総生産)比での総人件費半減」、「5年間5%以上の純減」などの「目標」を先に立てて、その達成をめざす「管理手法」をとろうとしています。
 行政ニーズ(必要性)の検討以前に、財政から「枠」をかけるやり方は、社会保障改悪と同じです。
 目標達成の具体化方策を、経済財政諮問会議が11月にも「総人件費削減指針」として決定しようとしています。

 ◇地方出先の実施部門が「標的」に

 経済財政諮問会議は、「純減目標」達成の具体策として、(1)地方支分部局・地方事務所、補助金や規制の担当部局の重点的な削減、(2)市場化テストの全面導入、(3)不要な業務の切り落とし、を列記しています。
 昨年末の「新行革大綱」で決定された「5年間10%の定員削減計画」は、10月4日に閣議決定されています。「新行革大綱」では、(1)府省間を越えた定員再配置、(2)治安部門等への定員の重点配置、(3)地方公共団体、独法への事務の移譲、などを定員削減の具体策として例示しています。
 地方支分部局での定員削減を行い、増員は抑制し、「市場化テストと業務の切り落とし」で純減を積み上げる、という動きです。

 ◇純減目標達成のため「市場化テスト法」が急浮上
  −−法案「骨子」明らかに


 9月27日、規制改革・民間開放推進会議は、「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案の骨子」を明らかにしました。
 法案作業を進めている同会議「市場化テスト室」は、「法案化に必要な情報をいただいた」として作業を進めています。
 図表4の「骨子」の内容などを「市場化テスト法案」に盛り込むとしています。なお、国家公務員制度や財政法についても検討課題だとしています。


 ◇「骨子」が示す「市場化テスト」のねらい

 「骨子」のポイントは、図表5となり、これが「市場化テスト法」の中心のねらいだと考えます。
 公務員べらしと人件費削減を同時に具体化する「究極の公務リストラ法」です。
 なお、「骨子」では、経済的な効率のみをめざした「市場化テスト」であることを隠そうともしていません。一方で、公共サービスを提供する国の責任には、まったく触れていません。



●「くらし安心署名」、宣伝行動で共同ひろげよう


 ◇攻撃に“かみあった”産別規模の反撃を

 攻撃の背景ともかかわりますが、今の状況は、個々の業務を国が直接実施する必要性を訴えると同時に、攻撃にかみあった℃Y別規模の反撃を求めています。そのことから、国公労連方針で確認しているのが、「公共サービス商品化」反対キャンペーン運動です。
 次の点に重点をおいて地域での訴えを強めることとしています。

 ◇財政問題、国民負担増を事実にもとづき批判

 第一に、攻撃の根にある財政問題での反論を重視します。
 例えば、公務員数からみれば、日本は極めて小さな政府であることや、大企業が社会的責任を果たしていないことが財政悪化や国民負担増にもつながっていることなどを、事実にもとづき広く訴えていきます。

 ◇公務員が実施してこそ維持できる公共サービス

 第二に、「市場化テスト」の批判とも一体で、国家公務員が直接実施してこそ維持できる公共サービスがあることを、行政第一線の実際にも触れながら、訴えることです。
 社会保障や雇用、安全など、国民の「くらしの安心」を支えている制度の運営や、サービスの提供の実際を、多くの国民は十分理解していません。
 多くの公共サービスは、人で支える仕事であり、専門家として育成された公務員によって公正さが保たれ、継続的に実施されていることを国民に理解してもらう努力が必要です。

 ◇労働基本権回復のとりくみ

 第三に、総人件費削減攻撃の一環として、公務員制度「改革」論議が強まっていることにも目を向け、労働基本権回復の運動を強化します。
 賃金決定にかかわる民間企業調査の事業所規模(現在は企業規模100人の事業所規模50人以上)のひき下げを求める「声」や、リストラをやりやすくするために「身分保障」を見直せという「主張」などが急浮上しています。
 このような攻撃は、「公務員の特権」、「既得権」などの批判を伴っており、単に「現状維持」の主張では対抗できません。より積極的に、労働基本権回復要求を真正面から対峙させたとりくみを強めます。
 なお、このことともかかわって、公務職場で働いている非典型労働者(非常勤職員、派遣、委託労働者など)の雇用と労働条件をまもる取り組みを重視することも、大切なとりくみとなっています。

 ◇「くらし安心署名」推進を

 11月は「公共サービス商品化反対キャンペーン」の集中とりくみ月間としています。具体的には、
(1) 大量宣伝ビラを使っての全国一斉宣伝(第3水曜日)や宿舎ビラ配布行動
(2) 県国公の行政相談活動
(3) スタートさせた「くらし安心署名」(国会請願署名)を知人や友人、団体などへの要請・働きかけ
(4) 集会やデモなど、地域でのアピール行動
 全労連規模での「公務リストラ反対」の運動体作りの議論も始まっています。攻撃を国公労働者が先頭に立って跳ね返す決意を固めるため、職場集会や情勢学習会も11月を中心に強めましょう。



●昇格の制度・運用改善を

 −−「職場連判状」のとりくみ強めよう

 国公労連は、9月22日、人事院に「2006年度昇格改善要求書」を提出し、以降、各段階の交渉を積み上げています。
 05年人事院勧告での給与構造の「見直し」で、俸給のフラット化や級の統合が行われました。このことをふまえ、要求内容についても一定整理を行いました。そして、この期に標準職務表改善など昇格の抜本改善を迫っています。
 また、交渉でも、強まる総人件費削減攻撃も念頭に、昇格ペースの維持など、これまでの運用が後退することを許さない点での追及も行っています。
 給与構造「見直し」にかかわって、」県国公段階で連続的に行っている「勧告学習会」でも、高位号俸での大幅な賃金抑制や退職手当の「構造見直し」ともかかわって、昇格改善要求が強まっている職場の状況が出されています。
 また、行(一)7、8級の統合に背を向けた人事院や当局への根深い不満も出されています。それのことからも、従来にもまして昇格改善要求が高まっています。

 ◇昇格改善の声 人事院に集中を

 11月中旬にも、人事院の昇格給別定数の改定作業がヤマ場を迎えます。
職場での交渉を積み上げるとともに、昇格改善を求める切実な声を人事院に集中することが必要です。進めている昇格制度の抜本的改善を求める「職場連判状」に強い思いを込め、人事院交渉で積み上げます。期限内の積極的なとりくみをお願いします。



●民主的な評価制度の確立を

 −−総務省「新たな人事評価の第一次試行」を準備

 総務省は、昨年12月の「新行革大綱」に基づき、本府省の課長と課長補佐のそれぞれ2割程度を被評価者とし、半年程度の期間で「あらたな人事評価の第1次試行」を実施するための準備をすすめ、各府省との協議を行っています。
 「第1次試行」の主な内容は、(1)「期待される課長、課長補佐」像にかかわる「職務行動評価」と、目標管理手法からなる「役割達成度評価」を一体的に行う、(2)評価の期首、期末の面談と自己評価、(3)文書による評価結果の開示などとなっています。「試行」の結果をふまえた検討として、評価者訓練、苦情処理など先送りされている点も少なくありません。

 ◇国公労連は要求書提出して交渉

 国公労連は、この提案を受け、直ちに要求書を提出し、交渉をすすめています。
 要求では、(1)全府省での統一対応、(2)評価結果の被評価者への全面開示、(3)「試行」全体の徹底した検証を求めています。
 各府省からは、独自性を認めるべきとする意見や、評価結果の開示に難色を示すなどの対応が行われている模様で、、制度全体の議論は当初予定から遅れて気味です。

 ◇勤評制度の問題点追及を!

 国公労連は、これまでの勤務評定や公務員制度「改革」をめぐるたたかいもふまえて、民主的な評価制度の確立を求めています。評価結果を開示せず、「えんま帳」方式をとっている勤務評定制度の問題点を改めることが一つの「鍵」になると考えています。
 公務にふさわしい民主的な評価制度の確立に向け、追及を強めています。



●青年の処遇改善を

 −−国公青年協中央行動に200人

 国公労連青年協は10月7日、給与法成立反対や総人件費削減反対、昇格の改善、超勤縮減などを求めて秋季中央行動を展開しました。
 行動のヤマ場として行われた昼休み財務省前要求行動は、霞が関周辺の職場からも仲間が駆けつけ、200人以上の仲間が結集しました。国公青年協・笠松議長は「業務量が増える一方、青年が激減し、体を壊し心の病になる仲間が増えている。自らの手で厳しい状況を打開し、青年の未来を切り開こう」と呼びかけました。
 その後、人事院勧告学習会を開催し、給与構造「見直し」で生涯賃金で一番損害を被るのは青年であることや、制度に対する質問が相次ぎました。続いて、人事院交渉と、他省庁に先駆けて独自に試行している経済産業省の評価制度についての学習を深めました。



●新たな国公労連運動のステップに

 −−国公労連結成30周年記念事業の成功を

 国公労連は、今年10月に結成30年を迎えました。結成30周年を記念して、国公労連はさまざまな記念事業を行います。
 その目的は、(1)たたかいの歴史を振り返るとともに、憲法改悪や公務リストラなどの攻撃が激化する今日の情勢下における任務を再確認すること。(2)組合員の文化やスポーツ等のニーズに応え、地域や単組を越えた全国的な交流の場を設定することで、産別組織への結集と団結、運動の強化につなげること。(3)企業内主義を克服し、国公関連のすべての仲間から頼りになる産別センターをめざす組織運動、「チャレンジ30」2ndステージの起爆剤とすることです。これらをを目的に、組織強化の運動として各種の事業を実施します。

▼事業内容

【実施時期】05年10月以降、06年8月の第52回定期大会までの間を基本に順次実施

(1)スポーツ大会、囲碁・将棋名人戦
 ○軟式野球、○硬式テニス、○フットサル、○ゴルフ、○ボウリング、○囲碁・将棋
 ●競技は8ブロック(北海道、東北、関東、東海、北陸、中国、四国、九州・沖縄)単位で予選→決勝トーナメントのみ中央(東京に限らず)で実施。ただし、ゴルフとボウリングは、一定の期間と条件のもとで競技したスコアシート集計。

(2)記念シンポジウム等の開催
 06年秋に開催予定の国公労連行政研究集会とのドッキングも視野に、記念シンポジウムを開催(地方での開催も検討・追求)

(3)国際交流・海外ツアー
 ●ベトナム(募集終了)●北欧の福祉国家を訪ね平和を考える旅(スウェーデン、デンマーク、ポーランド)日程は06年2〜5月の間で、10日間程度。募集要項は検討中。

(4)文化・芸術作品コンクール【文芸作品5部門と絵手紙、写真】
 ○短編小説、○詩、○川柳、○俳句、○短歌、○絵手紙、○写真
 ●賞金 最優秀賞 各1点 3万円、優秀賞 各2点 1万円
 ●締め切り  06年6月15日必着
 ●応募要領(次号で掲載)

(5)ライブコンサートや、記念品販売等
 定時退庁や中央行動とも連携したコンサートを検討中



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