国公労新聞 第1223号

●11.16中央行動 「小さな政府」反対で終日行動

「ここが問題!公務破壊」集会も開催

 国公労連は11月16日、「小さな政府」反対もかかげた全労連の第3次中央行動に結集。公務、民間、農民が共同してとりくんだ行動に、2000人(国公労連は700人)が結集し、決起集会、各府省要請行動、銀座デモ、駅頭宣伝など多彩な行動を展開しました。

 中央行動の夜には、民間単産などからの参加も得て、強まる公務員削減の行政サービスへの影響を「検証」する「ここが問題!公務破壊11.16集会」を開催し、144人が参加しました。
 冒頭、国公労連・堀口委員長は「改憲論議が加速する中で小泉構造改革も強まっている。安全・安心切り捨ての『小さな政府』づくりに反対する国民共同をひろげよう」と呼びかけました。
 「小泉政権下における日本型NPM導入の意味」と題して、岡田章宏氏(神戸大学発達科学部教授)が記念講演。
 民間企業の経営手法を公的部門に導入して、実施部門の民間化を進める「日本型NPM」の特徴や対抗軸について述べました。NPMの前提の論理として、公共サービス提供と受益を「私法関係」にすり替える「顧客主義」があること、そのことが「受益者負担強化」や、公務への競争原理の持ち込みと、公共性破壊や公的責任縮小の「小さな政府」論につながっていると指摘し、「顧客主義」との対決の重要性を強調しました。また、経済性、効率性と公的責任の履行が両立しないことを具体的に検証する必要性を述べ、マニュアル主義とはなじまない公務員の専門性の大切さを強調しました。

 ◇行政第一線から実証的にとりくみを

 基調報告で国公労連・小田川書記長は、「利用者・国民の立場から行政第一線がどのような役割を果たしているかを実証的に明らかにするとりくみの強化」を提起しました。
 これを受けて、「防災弱者をつくらないためにも、気象事業強化が必要」(全気象)、「JR福知山事故のように、規制緩和・民営化の弊害が顕在化。交通運輸で働く民間の仲間とも連帯し、問題を告発」(全運輸)、「社会保険庁での新たな人事評価制度導入は、公務破壊と一体と受け止めて反撃」(全厚生)と職場実態をふまえた報告が行われました。
 郵政民営化に至る経緯についての会場発言(郵産労)も受け、12月7日に発足が予定されている「小さな政府」に反対する全労連闘争本部での積極的な役割発揮を確認し、集会を終えました。


●これでええんか公務員攻撃!

 大阪の決起集会に2000人

 【大阪国公発】「寒い中、ご苦労さんでございます」の言葉ではじまった「これでええんか公務員攻撃!許さへん大増税・憲法改悪、11.16決起集会」(大阪労連・春闘共闘が主催、公務労組連絡会共催)。今年一番の寒さに震える大阪でとりくまれ、2000人(大阪国公は205名)が結集しました。
 大阪国公は11月16日、22名の仲間が早朝宣伝を行ない、公務員労働者が一方の主役となるこの集会への参加を呼びかけました。大阪市長選「大阪市をよくする会」推薦候補の姫野氏も駆けつけ、「みなさんのたたかいは正義のたたかいだ。広範な住民とともに運動を広げよう」とエールを送りました。
 大阪公務共闘を代表し決意表明した森井副議長(大阪国公委員長)は、時代劇のたとえ話で会場を沸かせ、「私たちは悪代官の手先ではない。地域を基礎にともにたたかおう」と訴えました。


●規制改革・民間開放推進室 「市場化テスト法案骨子」を説明


 国公労連は11月7日、規制改革・民間開放推進室に「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案の骨子」の説明を求めました。
 国公労連の質問ポイントは、「市場化テスト」の新設目的、対象範囲、関連する規制改革の考え方、「第三者機関」の性格、などです。

 ◇「対象は国、地方すべての事業」

 推進室は、「市場化テストは、行政サービスの質の維持・向上とコスト削減の両にらみで制度化。(政府は)ビジネスチャンスという立場ではない」、「対象は、国、地方公共団体のすべての事業。独立行政法人や指定法人なども対象」、「必要に応じ、公務員が行うとの規制をはずす考え。「(質の確保は当然で)法令で措置する方法などを検討」、「第三者機関は官と民との間で中立したものを想定」などと回答しました。
 国公労連は、「市場化テスト」反対を改めて主張するとともに、引き続く交渉協議や、オープンな議論を求めました。

 ◇経済財政諮問会議にも申し入れ

 経済財政諮問会議での「総人件費改革」の議論が大詰めを迎えた11月10日、国公労連は、行政第一線の実際を顧みない「純減目標」などの「基本指針」の決定に反対する申入書を提出しました。

 ◇「基本指針」を決定

 同会議は、国公労連の申し入れを無視し、14日に「基本指針」を決定しました。これに対し国公労連は、抗議の「書記長談話」を発出しました。
 政府は「基本指針」もふまえた「実行計画」を年内に策定するとしており、引き続くたたかいの強化が必要です。


●はね返そう!庶民大増税

 政府税調(石弘光会長)は、所得税と住民税を減額する定率減税の全廃を盛り込んだ06年税制「改正」答申を11月25日に行います。昨年、定率減税の半減を決めており、給与所得者は2年間で3兆3000億円もの大増税になります。また、消費税についても、谷垣財務大臣は07年1月開会予定の通常国会に、引き上げ法案を提出する意向を表明しています。こんな庶民大増税が押しつけられたらとても国民の家計はもちこたえることはできません。

 所得税・住民税も大幅アップ

 ◇サラリーマン増税のオンパレード

 今年6月、政府税調は、所得税・住民税の大増税を満載した報告書を発表。その内容は、給与所得控除の大幅縮小、特定扶養控除の廃止、定率減税の全廃など勤労者ターゲットの個人所得課税のオンパレードでした。
 政府税調の打ち出した増税案は、その規模および内容からいって、庶民大増税のまさに「宣戦布告」ともいえる性格を持っています。

 ◇年収400万円で25万円以上の大増税

 政府税調の増税メニュー(従来の税調の考え方も勘案)で年収400万円の場合を試算したのが図表1ですが、所得税だけで約16.5万円の増税になります。これに住民税(地方税)の増税分8.9万円を加えると25.4万円の大増税にもなります。



 とくに給与所得控除の縮小は、低所得勤労者にとって究極の大増税になります。2000年に政府税調は、サラリーマンの必要経費は「年間収入(674万円)の1割程度」と答申しました。これは、給与所得控除を10%程度に大幅縮小し、勤労者の大増税をもとらすものです(図表2とその解説文参照)。



 ◇自民党の公約違反

 勤労者の怒りを背景としたマスコミの「サラリーマン大増税」報道におそれをなした自民党は、総選挙では「サラリーマン増税を行うとの政府税調の考え方はとらない」と公約に掲げました。しかし、選挙が終わると、手のひらを返したように、増税路線に突きすすもうとしています。
 政府は、今年度半分に縮小した定率減税を、来年度全廃を打ち出しています。05年度の定率減税の半減が1兆6400億円の増税ですから、それと同額分が06年度増税になります。こんな個人所得課税を決めているのに「定率減税廃止はサラリーマン増税ではない」と小泉首相は国会で強弁し、消費税とあわせた庶民大増税の道を突き進もうとしています。

 消費税率アップも狙う

 ◇加熱する消費税率引き上げの動き

 自民党の財政改革研究会は10月14日、消費税の「社会保障目的税化(税率12〜15%程度)」を柱にした中間報告をまとめました。
 谷垣財務大臣は、10月31日、2007年の通常国会に消費税増税法案を提出する、との考えを示しました。06年度のサラリーマン増税の次は消費税引き上げの大増税の追い打ちだというのです。
 「法人税率を引き下げ、社会保険料の企業負担分をなくし、消費税率を2014年に16%に」という財界の要望(03年1月、日本経団連「奥田ビジョン」)をふまえた動きです。

 ◇日本の消費課税はアメリカより高い

 05年度の予算をみると、国と地方をあわせた税収は、約81兆円です。この内、消費にかかっている税金が32%をしめています(図表3)。同様の比較方法で、アメリカ(21%)、スウェーデン(36%)、イギリス(38%)、フランス(39%)、ドイツ(48%)となっています。消費全体にかかっている税金は、アメリカより大きいのです。
 政府は、日本の消費税率は先進国比べて低いと言いますが、それはごまかしです。



 ◇庶民には負担大きく大企業は喜ぶ消費税

 携帯電話の通話料、文房具、赤ちゃんのミルク、介護のための商品、お米、消費税はすべてかけられています。生活必需品にも課税するため、だれも逃れることができません。 生活費に所得の大部分を回さなければならない人ほど、高い割合の消費税を払うという「逆進性」が高いのが消費税です。
 年金受給者からも容赦なく消費税を取り立て、それを「福祉目的税」に、という理屈はどこか変です。
 大企業は消費税を商品価格に転嫁し、輸出企業は税金が還付されています。トヨタなど輸出大企業が喜ぶ税金が消費税です。


 大企業優遇を見直せ

 ◇恒久減税なのに庶民向けは廃止?

 1999年度に景気対策の「恒久的減税」として、定率減税(庶民減税)と、法人税率引き下げ(大企業減税)、所得税最高税率引き下げ(大金持ち減税)が導入されました。ところが、政府は、景気回復を理由に、定率減税だけを廃止しようとしています。

 ◇過去最高益あげる大企業には減税

 大企業の経常利益は04年度、過去最高の25兆8000億円(図表4)、余剰資金は04年末には82兆円にのぼっています。
 一方、サラリーマンの給与は、99年度以降減り続け、増加する大企業の経常利益にほぼ逆比例しています(図表4)。






 すでに小泉内閣は、庶民に合計年間3兆5000億円もの大増税、大企業・大資産家には年間2兆2000億円もの大減税を行ってきました(図表5)。






 ◇日本企業の税負担はフランスの半分

 小泉首相は、法人減税を見直せと言うと、「法人税が高いと、企業は海外に逃げてしまう」と言います。
 しかし、日本企業の税・社会保険料負担は、フランスの5割程度にすぎません(図表6)。日本の大企業こそ、応分の税負担をすべきです。



 ◇大企業の「既得権益」こそなくすべき

 自民党への献金額上位6社は、04年に約2億円の献金をしながら、研究開発減税だけで1700億円の恩恵を受けています。
 財界・大企業が献金で政治をゆがめています。小泉首相が「既得権益の打破」を言うなら、この最大の財界・大企業権益をなくすべきです。


 増税反対の声ひろげよう

 ◇“ゼイキン”とは何か

 税金を払う人がいなければ社会はなりたちませんが、できれば小さい負担で、と思う人は少なくないのかもしれません。
 誰がどの程度税金を払うのか、はその国の政治のあり方を示す「鏡」です。国民と企業の税金の負担割合、所得(売り上げ)の格差を前提にした「負担のルール」が、「鏡」に写る「政治の姿」です。
 所得(企業では利益)に応じた税負担、という「応能負担の原則」や、企業が納税で社会的責任を果たすことが、福祉国家での税制の基本ルールとされてきました。それを壊そうというのが税制改悪です。

 ◇生活保護基準より低い所得にも課税

 80年代半ばから、税制が変わりはじめました。消費税の導入と、最高税率引き下げによる「応能負担の原則」の緩和、そして企業の納税免除の拡大がその中味です(図表7)。




 政府が進める税制改悪は、消費税率引き上げを最終目標に、当面、所得税への課税を強めようとするものです。
 ここでも大変なルール違反が含まれています。所得控除などの見直しと関わる「生活費非課税の原則」がないがしろにされていることです。生活保護基準より低い所得にも課税、という事態もおきかねない内容です。

 ◇税率をもどせば10兆円の税収が

 大企業や、一部の「勝ち組」(大金持ち)に、バブル経済崩壊前と同程度の税率をかけることなどで10兆円規模の税収を生み出すことができます(図表8)。サラリーマン増税や消費税率引き上げしか選択肢がないわけではありません。




 税制改悪による負担の大きさや、そのごまかしの内容、労働者・国民をいじめてまで儲けを上げ続けている大企業の社会的責任追求の必要性を訴え、増税反対の運動を広げましょう。

 ◇12月21日は全国で宣伝行動を

 とりくみをすすめている「増税反対署名」を広げるとともに、地域からの宣伝行動を強めましょう。
 当面、12月21日には、大増税反対の宣伝行動の実施を呼びかけています。公務員バッシングへの反撃のとりくみの一つと位置づけ、全国各地で宣伝行動に立ち上がりましょう。


●人事院 「改正」給与法成立 12月1日施行の規則を公布

 給与構造「見直し」関連の規則は年内に

 人事院は11月7日、05年勧告に基づく「改正」給与法の成立を受け、主に12月1日施行部分にかかわる規則などを公布しました。

 ◇「不利益遡及」規則や4月の切替など公布

 具体的には、「賃下げ」勧告にともなう「特例措置」という「不利益遡及」に関する規則や、給与「見直し」勧告にかかわる4月1日における切替関係などです。
 給与構造「見直し」にかかわっては、初任給格付けや昇格、「査定昇給」、枠外号俸から切り替え措置などの規則等が必要です。人事院は、これらについては、年内に整理をすすめるとしています。

 ◇勤務成績は府省共通の判定基準提示

 給与構造「見直し」では、地域手当にかかわる大規模空港手当の支給率や、俸給の調整額に関わる「経過措置」など、規則に委任されている事項も少なくありません。
 また、勤務成績の判定基準については、上位の成績判定の尺度として、人事院が具体的な例示を行うとし、下位基準にかかわって、運用の統一性確保のため、全府省共通の判定基準を提示するとしています。この点は、勧告前には十分に議論を詰め切っていないことから、対応が求められる課題です。当局の恣意的な運用を許さない職場段階でのとりくみ準備とも並行した人事院追及を強めることとします。
 なお、「改正」給与法と同時に成立した「改正」退職手当法についても、現在、政令策定作業が総務省で進められています。


●級別定数の民主的運用を

 昇格改善要求で、人事院最終交渉

 国公労連は、11月18日に人事院と、2006年度昇格改善要求での最終交渉を行いました。
 9月22日の要求書提出以降、機関、階層、職種別などの各「属性」ごとの交渉や、単組での交渉も積み上げてきました。
交渉では、正当な職務評価や格差解消となる制度と運用改善と同時に、給与構造の「見直し」にかかわる標準職務表の抜本的な改善も追及してきました。
 こうした追及に対する人事院の回答は、「昇格ペース維持」などで一定の回答はおこなったものの、基本的には「職務の複雑困難の変化をふまえた定数改定」の域から出ることなく、要求からはほど遠いものとなりました。

 ◇総人件費削減攻撃の影響を示唆

 また、給与構造の「見直し」との関係では、級の統合部分にかかわる必要最低限の整理を行うことを基本に、管区、県単位の課長の標準級について現状をふまえた見直し姿勢は示しました。
 定数査定についても、総人件費削減攻撃の影響が強まっていることを示唆するなど、人事院が、周辺の圧力をより強く意識した定数改定作業を進めていることを伺わせる場面もありました。
 給与構造の「見直し」ともかかわって、これまで以上に昇格制度の改善要求と、職場段階での級別定数の民主的運用を求めるとりくみの重視が必要です。


●北から南から

 ◇愛知 11.16県内25カ所で統一行動

 【愛知国公発】愛知国公は11月16日、晴れわたった寒空の下、早朝宣伝をかわきりに、愛知県地域総行動を県内25カ所で展開しました。
 早朝宣伝では、地区国公とともに、「憲法9条を守ろう」「サラリーマン増税は許さない」と通勤・通学者に元気に声をかけ、ビラ配布を行いました。
 名古屋市中区の中地域では、国や名古屋市、民間企業等への要請や交渉を実施。なかでも、県経営協会長との交渉では、三の丸地区国公が要請団長を務め、青年の雇用拡大と働くルールを守るよう求めました。昼休み集会には、500人が参加しました。
 各地域では、大増税反対などの署名行動や自動車パレード、大増税反対・憲法改悪反対の学習会などもとりくまれ、国公の仲間も多数参加しました。

 ◇富山 行政相談会をとりくむ

 【富山県国公発】県国公は11月6日、16人が参加し、富山市内のショピングセンターで「秋の無料行政相談会」を開催しました。相談件数25件、血圧測定35件、スライム15件でした。
 相談に訪れた人に「安全・安心署名」とティシューを配付し、とりくみへの理解を求めました。

 ◇山口 暮らし安心署名への協力要請

 【山口県国公発】県国公は、10月から暮らし安心署名にとりくんでいます。
 11月14日には、県国公事務局長ら3人で高教組、自治労連らを訪問。「同じ状況が私たちにもある。協力してとりくみましょう」「郵政につづく国公の人減らしは、地方の人減らしに必ずつながる。なんとしてもくいとめよう」などと協力の輪が広がり、参加者を力強く励ましました。


●パキスタン地震被災者救援義援金に協力を

 10月8日、パキスタンのカシミール地方など北部を襲った大地震による死者数は4万人超え、負傷者は6万人以上、家を失った人は250万人といわれており、食糧や衛生状態はきわめて深刻な事態です。国公労連は、全労連の呼びかけに応え、被災したパキスタンの労働者・国民に最大限の連帯と援助のために、パキスタン地震被災者救援義援金にとりくみます。
 集約した義援金は、下記口座に送金して下さい。なお、単組で一括集約する時は、単組本部の指示に従って下さい。

 義援金専用口座

●中央労働金庫 新橋支店
 (店番289) (普)1478680
●口座名 国公労連組織部
※最終期限は12月末です


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