国公労新聞 第1224号

◆9条改憲NO!もうひとつの日本へ

【06春闘討論集会討議資料】

 「戦争をする国へ」の転換にも、「弱肉強食の格差社会へ」の転換にも、「ノー」の立場をとることを確認したのが、8月末に開催した国公労連第51回定期大会です。大会から三月余り、9月11日の総選挙で、自民党が過半数の議席を獲得したもとで、事態は私たちが望まない方向に急ピッチで進みはじめています(図表1)。
 公務員労働者にとっては、「小さな政府」=公務員の総人件費削減だとし、嵐のような公務員攻撃を伴いながら、労働条件の全面的な改悪攻撃も強まっています。
 行政サービスの後退を許さず、組合員と家族の暮らし破壊への抵抗を強めるためにも、国公労連と思いを同じくする労働者・国民と手をつなぐときが06年春闘です。


 ◇攻撃は厳しいが共同の条件は広がっている

 在日米軍の再編・強化が確認され、沖縄、岩国、座間などの米軍基地の拡充・強化が決定されようとしています。
 しかし、これの受け入れを表明した自治体は一つもありません。「ミサイルが撃ち込まれても阻止する」(座間市・星野市長)との発言に象徴されるように、日米同盟最優先の日本政府の姿勢には猛反発が広がっています。
 小泉「構造改革」のもとで、農協や中小企業団体、医師会など、旧来の自民党支持層の要求が切り捨てられています。郵政民営化法の成立は、その象徴とも言えます。
 その一方、財界の要望にどれだけ応えるかの姿勢が、小泉内閣では顕著になっています。地方や経済的な弱者が切り捨てられているのが「構造改革」です。
 公務員バッシングは、そのような人々と公務員労働者が共同するのを防ぐ分断策です。その分断策を乗り越えるため、06年春闘のとりくみを提起しています。

 ◇“殻”に閉じこもらず外に打って出よう

 公務員攻撃が厳しいからといって“殻”に閉じこもっていては一緒にたたかう条件は生まれません。動くべきは公務員労働者です。
 公務員の賃金改善だ、労働条件改善だ、だけでは、「既得権に安住する公務員」との批判が止むことはありません。共同にどれだけ汗をかくのかが問われています。
 国民のための行政を担っている、といくら思っていても、具体的な「声」にして利用者や国民に伝えなくては、公務員が行政サービスをになうことへの理解は広がりません。行政懇談会や「何でも相談」、街頭宣伝行動などは、伝えるための手段です。
 職場周辺で、不安定な雇用形態で働く労働者との連帯を模索しない公務員労働組合では、社会的な信頼を得られないことは言うまでもありません。

 ◇労働条件改善のカギも国民共同

 労働者国民の現実(図表2)に目を向け、公務と行政への信頼を回復し、公務員労働者への期待を高めていく努力を積み重ねることを大切にしたいと思います。
 戦争をする国に反対する「9条守れの運動」、医療改悪や定率減税廃止など国民負担増に反対する運動、そして「公共サービス商品化」反対の運動に奮闘することが公務労働者の「役割」発揮の内容です。そして、このとりくみの前進こそ、公務員の労働条件改善の展望を切り開くカギだと考えています。




◆ストップ!改憲・国民投票法案

 ◇自民党が新憲法草案(改憲案)を決定

 自民党は、11月22日、結党50周年となる党大会で「新憲法草案」を決定しました。
 前文を全面的に書きかえ、戦争への反省をもとにした「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないよう決意」とした文言や、戦力不保持を宣言した「9条2項」を削除し、あらたに「自衛軍」を憲法に明記(図表3)。軍事裁判所の設置もうたっています。


 この改憲案に呼応するように、10月に行われた日米安全保障協議委員会の共同文書では、在日米軍基地の再編強化や自衛隊と米軍が一体となった海外での共同作戦実施を可能とする体制づくりに合意。改憲のねらいはいよいよ明らかです。

◇改憲のための国民投票法案が国会に

 「新憲法草案」では、国会による憲法改正発議の要件を、現行の衆参両院での3分の2以上の賛成から、「各議員の総議員の過半数の賛成」に緩和。改憲を容易にするねらいです。
 国会には、国民投票法案を審議する憲法調査会が設置され、民主党が10月31日に、憲法9条2項を変える民主党憲法提言を行うなど、改憲の動きが強まっています。国民投票法案が当面の焦点になってきました。早ければ、06年通常国会で、成立がねらわれる危険性もあります。改憲反対の運動が緩めば一気呵成に、の状況です。

◇前進する「9条守れ」の運動

 05年10月5日の毎日新聞世論調査では「憲法を改めることに」に賛成58%、反対34%ですが、9条改憲に絞れば、「変えるべき」に賛成30%、反対62%であり、20代での反対が70%と最も高くなっています。改憲のねらいを広く伝えることの必要性を示しています。
 04年6月に結成された「9条の会」は、全国の地域や職場で3200を超える会が結成され、保守層や宗教者なども参加する思想信条を超えた運動として広がっています。改憲を巡る状況からしても、このような職場・地域に根をはった運動がどれだけ広げられるか、今後の行方がかかる極めて重要な時期が06年春闘期です。

◇全国の職場でこれだけはやろう

(1) 学習によって確信を深めることが、憲法闘争の前進にとって重要なカギ。06年度勤労者通信大学「憲法特別コース」を、すべての分会・単組で組織します。
(2) 「9条改憲反対」署名の目標数と達成期日を明確に立て、国公周辺職場のなかまと組合員の家族から署名を集約します。
(3) 管理職や組合未加入者を含め、職場の「9条の会」などの結成、「憲法の語り部登録」をすすめます。
(4) 県や地域の憲法改悪共同センターに結集し、学習会、宣伝、街頭・地域署名などで積極的な役割を果たします。



◆小さな政府は大きな国民負担

  大増税・医療改悪NO!

 06春闘期には、税制では、定率減税の廃止(06年1月で半減、07年1月で全廃)が、社会保障改悪では70歳以上の高齢者に焦点をあてた医療制度改悪が焦点です。しかし、いずれの制度改悪も、隠されたねらいがあります。

 ◇サラリーマン増税、消費税増税の地ならし

 総選挙で自民党が「サラリーマン増税はしない」と公約したこともあって、給与所得控除の「見直し」などは先送りされましたが、政府は、消費税率の引き上げも含めた大衆増税にむけた地ならしをあきらめた訳ではありません。
 なぜ、給与所得控除や消費税率引き上げが狙われるのでしょう。理由は簡単です。不安定雇用が増大する中で、いまの税制のままでは納税者に片寄りがでること、税や社会保険料は企業のコスト、とする主張を財界が強めているからです。
 消費税が法人税引き下げの「穴埋め」に使われてきた経過からも、財界の本音は伺えます(図表4)。


◇高齢者いじめの医療改悪は企業負担軽減目的

 医療改悪では、70歳以上の医療費自己負担の引き上げ、75歳以上の高齢者を対象とする新たな「医療制度」の新設という給付の抑制と、「経済規模に照らし合わせた医療給付の規模の見通し」を示すこととし、実質的に「総額管理」を盛り込み企業負担軽減の道筋をつけようとしています。
 すでに、05年10月からは介護保険が改悪され、本人負担が大幅に引き上げられ、04年に改悪された年金では、毎年0.9%ずつ年金給付額が引き下げられ、踏んだり、蹴ったりの高齢者いじめです。

◇「小さな政府=大きな国民負担」の訴え広げよう

 「民間企業のリストラに学べ」といって、公務員バッシングを強めているのは政府と財界です。大企業は、税金も社会保険料も払いたくないからです。「小さな政府」とは、大企業・財界が求める政府です。
 国民に負担を強いるのが「小さな政府」です。「小さな政府」反対、企業は税や社会保障で社会的責任をはたせ(図表5)、の世論を広げていくことが、06年春闘の課題です。
 組合員一人5名を目標にとりくんでいる「二つの署名(医療・増税)」の完遂をめざしましょう。
 2月中下旬の地域総行動をはじめ、「公共サービス商品化」反対キャンペーンとも結合した宣伝・要請行動などにとりくみましょう。




◆安全・安心ささえる行政まもろう

 ◇行政サービスと職場を守るたたかいの正念場

 政府は、12月下旬の予算原案決定とあわせ、「行政改革の重要方針」を閣議決定するとしています。その中には、経済財政諮問会議の「総人件費改革基本指針」の「実行計画」や市場化テスト法案の次期通常国会提出、社保庁改革、特別会計の整理合理化などを盛り込むとしています。
 「実行計画」では、「国家公務員の5年間5%純減」やこれに準じた地方公務員、独立行政法人職員の削減なども明記するとしています。そして、府省ごとの純減数は、事務事業の民間化などともあわせ来年6月までに具体化するとしています(図表6)。
 「行革推進法案」の国会提出も想定される春闘期は、総力をあげたたたかいで、理不尽な総人件費削減攻撃に立ち向かう時期です。


 ◇行政の実態を自分の声で訴えよう

 マンション建築などに必要な耐震強度が偽装される事件が列島を震撼させています。「官から民へ」の影の部分が表面化しました。JR宝塚線の列車転覆事故や航空機の相次ぐ事故・トラブルなども、コスト優先、安全軽視の企業風土が大きな要因ですが、これらを規制する行政の縮小と民間開放も背景にあります。
 今でさえ、先進国中最も少ない日本の公務員数(図表7、8)は、国民の安全・安心をささえる行政サービス切り捨ての結果であることは、そのような「安全神話」崩壊からも明らかです。
 公務員べらしのもとで、切り捨てられた行政サービスの実態・実情を率直に語り、「小さな政府」によって切り捨てられようとしている行政サービスの大切さを主張するとりくみが、「行政サービス商品化」反対のとりくみです。
 開始している「暮らし安心署名」も武器に、宣伝行動や行政懇談会など打って出るとりくみを徹底して強めましょう。





 ◇全労連闘争本部に結集して世論変えよう

 全労連は、「小さな政府」に反対する世論の流れを作り出す運動母体として「もうひとつの日本闘争本部」を立ち上げました。国公労連は、「公共サービス商品化」反対キャンペーンを主体的に展開しつつ、この「闘争本部」に結集し、国民世論と共同を広げるとりくみで積極的な役割を発揮します。
 全労連が、「闘争本部」を立ち上げた意義を職場やその周辺にも広げ、「全労連統一要請書」の提出行動ともあわせ、国公関連50万労働者との共同拡大を追求します。
 「闘争本部」は06年春闘段階のとりくみとして、国民世論を喚起するため「国民の安全と耐震強度偽造問題シンポジウム(1月26日)」、「地域総行動(2月中下旬)」や「全国キャラバン行動(3〜4月)」、大量宣伝ビラ配布行動などを提起しています。国公労連独自に行う3月議会での「意見書採択」の要請行動とも結合し、全組合員の参加でとりくみを成功させましょう。



◆最賃改善・働くルール確立は公務員攻撃はねかえす対抗軸

 ◇公務員バッシングの背景にある格差社会

 青年労働者のフリーターの56.2%が年収100万円未満で生活しています。「小さな政府」での公務員バッシングは、このような労働者の実態も「背景」にしています。企業のぼろ儲けは、こうした労働者が意図的に作り出されてきた結果です。
 生活保護基準よりも低い最低賃金の改善や、パート・アルバイトの均等待遇を求めるとりくみは、労働基準のミニマムを引き上げるとりくみとして、全労連全体で重視したとりくみを進めます。
 公務ももちろん例外ではなく、「安上がりの労働力」による業務の民間開放にくさびを打つためにも、公務の非典型労働者の賃金底上げにこだわった春闘を展開します。

 ◇民給与比較方法「見直し」で賃下げ狙う

 「総人件費改革指針」は、定員純減だけでなく、公務員賃金引き下げも迫っています。
 春闘期の焦点は、賃下げのための官民給与比較方法の「見直し」です。人事院も比較方法に関する研究会を設置して検討を始めています。アンケート結果にもとづく「ベア改善要求」も積極的に掲げ、企業規模「見直し」など、賃下げのための「見直し」を許さない追及を強めます。

 ◇勤務時間も民間準拠?

 公務員バッシングの一つとして、「休息時間の廃止」が持ち出され、これに人事院が敏感に反応した提案を行ってきています。休息時間の廃止と休憩時間の延長(30分から60分)で、拘束時間を9時間とする内容です。
 また、人事院は、裁量労働制の導入や、勤務時間管理における当局の権限強化をねらう制度見直しも進めようとしています。
 労働条件の不利益変更を一方的に行わせないため、春闘期の当局・人事院交渉の主要課題の一つに「休息時間」廃止問題をおき、勤務時間管理の徹底とあわせた追及を強めます。

 ◇給与制度見直しや退職手当見直しの運用監視も課題

 06年4月に、給与構造見直しや退職手当見直しが実施されます。不利益を生じさせない運用監視は06年春闘期の課題です。
 希望者全員の再任用の実現や、育児・介護期間中の短時間勤務制度の実現なども重視し、交渉を強めます。
 共済・厚生年金の一元化課題、労働基本権回復課題など、公務員バッシングともかかわる公務員制度課題でも手を抜かないとりくみが求められています。

 ★2006年 国民春闘の主な行動展開(PDFファイル110KB)


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