国公労新聞 第1226号 |
◆厳しいからこそ悩み共有して――職場の力で要求実現めざす〈全港建四国地本〉国土交通省四国地方整備局の港湾空港関係で働く職員の労働組合、全港建四国地本(6支部・組合員217人)は、省庁再編後の立ち上げです。2004年2月からすべての支部で非常勤職員の組織化をすすめています。「暮らしに役立つ港づくり、公共事業職場の民主化を一緒に」「要求実現めざす運動に加わって!」と非常勤職員に組合加入を呼びかけ、力を合わせてたたかっています。全港建四国地本の四国本局支部(香川県)と小松島港支部(徳島県)の二つの元気な職場を訪問しました(教宣部・中田智子) ◇非常勤職員も組合員に迎えて香川県高松市にある四国整備局港湾空港部。海陸の輸送拠点となる港湾と空港の整備や、津波から国民の命と財産を守る防波堤や海岸の整備など、暮らしに欠かせない社会資本の整備を行っています。 ◇有休がないので風邪でも出勤全港建四国本局支部(組合員81人)が開催する非常勤職員の昼休み食事懇談会。日頃感じていることや不満、要望を率直に話し合える場として定着しています。「有給休暇の拡充を!」「夏期休暇がほしい」「月収が大きく変動する日給月給制の改善を」−−非常勤職員の仲間10人から次々と要求がでてきます。 05年8月に働き始めたAさんは「採用6カ月間は有給休暇がありません。風邪で辛くても出勤です」と訴えます。 ◇職場新聞月2回、大切なパイプに支部委員長のNさんは、「私たちは『組合員が主人公』を合い言葉に、一人ひとりの声や要求を大切に、みんなでがんばる組合づくりをめざしています。雇用延長や休暇などの制度要求はすぐ解決できなくても、少しずつでも前進させていきたい。粘り強く交渉を積み重ねなければ!」と要求にもとづく運動の大切さを強調します。月2回発行の職場新聞「四国本局支部ニュース」は、非常勤職員の声、情勢や当局との交渉内容、憲法学習、労働組合用語解説や讃岐弁の解説など多彩な編集で、組合員との大切なパイプとなっています。 ◇全体の底上げが実現してこそ今年、採用3年目を迎えるBさんは、「私は、休暇や通勤手当、雇用延長など切実な要求を当局との交渉で直接訴えました。2回参加した四国地本主催の非常勤職員新入組合員教室では、支部を超えて楽しく交流し、これまで労働組合運動で勝ち取った成果に驚嘆しました」と要求実現の素晴らしさを語ります。Nさんは、「非常勤職員の労働条件が改善され全体の底上げが実現して、はじめて私たちの要求も前進します。そして、仲間の悩みを共有できる働きやすい職場づくりへ結びつきます」と熱く語りました。 |
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◆非常勤仲間の雇用延長勝ちとる――地域に出た小松島港支部◇海の安全まもりたい徳島県にある小松島港湾・空港整備事務所。海面清掃船「みずき」は、瀬戸内海周辺の環境を守り、船舶が安全に航行できるよう海面に浮遊するゴミを回収する船です。昨年9月、台風14号の降雨で流出した流木などのゴミが大量に漂流し、6日間で年平均回収量の三分の一に匹敵する650立法メートルの浮遊ゴミを回収しました。 全港建小松島港支部(組合員32人)では、非常勤職員からの提案を活かした、海の運航安全確保のための業務改善や、労働条件改善要求などを積み上げています。 ◇非常勤職員に頼る運航体制海面清掃船「みずき」で働く船舶職員は行(二)職俸給表の適用。度重なる定員削減攻撃で、行(二)職員退職後は後補充されず、非常勤職員を含む運航体制に頼らざるをえない現状です。他の職場では民間委託も導入され、さらなる「外注化」が加速しています。「船で働く6人の仲間のうち非常勤職員は3人で、半数を占めています。わずか2カ月で必死に仕事を覚え、劣悪な処遇のなかで3年で解雇。地域住民のために、もっと働きたいのに…」と語るのは、非常勤職員のCさん。将来設計が立たず、生活不安とたたかう毎日。でも、仕事に対する情熱は正規職員と一緒だといいます。 「気象情報やゴミの質と量によって毎回作業が変化する特殊な作業ですから、マニュアルはありません。6人の仲間が信頼しあい、がっちりとスクラムを組んでいます」と語るのは泉勝行さん。13年前はすべて正規職員だったことを訴え、「3人の非常勤職員が次々と変わると、安全の観点から危険です」と危惧します。 「みずき」船長のUさんは、支部の委員長です。「職員が一人でも休めば船は動きません。安全性を確保するにはチームワークと経験が重要です。船舶の非常勤職員の雇用期間延長を求める要求書を当局に提出し、繰り返し交渉しました」とUさんは語ります。 その結果、運動が当局を突き動かし、05年3月、非常勤職員3人の「3カ月の雇用延長」を勝ちとりました。 ◇職場実態を地方議会に訴える3カ月の雇用延長を勝ちとれたのは、職場活動だけの結果ではありません。小松島港支部は「海洋環境保全体制の充実を求める議会請願」にとりくみ、徳島県をはじめ県内の海に面するすべての自治体で意見書採択を実現させています。 支部書記長のSさんは、「職場実態を具体的に説明し、国の直轄事業の重要性を訴えました」と振り返ります。積み重ねた運動の教訓は職場新聞「こまつしまニュース」に掲載し、仲間同士で励ましあうことも忘れません。 ◇10人にひとりが削減されるなんて総人件費削減攻撃にかかわって、当局は05年11月、「今後4年間で職員10%削減が課せられている」と回答しました。Sさんは「四国の小さな職場で26人も削減されたら国民生活の安全は守れません。当局の行政実施責任を追及し、職場実態を世論に訴えなければ」と決意を述べました。◇県国公の役割を少しずつ発揮したい「小松島港支部の経験から学びたい。12月7日の『公共サービス商品化』反対の宣伝行動では、ビラ・テイッシュ1000個を30分で配布しました」と徳島県国公事務局長のMさん(全労働)は話します。徳島県国公副議長も兼任しているUさんは、「地域に出なければ運動の発展はありません。地方議会要請で、一つでも採択できたら」と笑顔で話しました。 |
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◆民も官も、たたかわなければ〈徳島労連〉民間とともに「小さな政府」反対の世論を静かに流れる吉野川のそばにある徳島労連事務所。「労働相談センター徳島」では、6人の相談員が、休日を除き毎日、交代で相談活動を行っています。「年休を取ったら賃金が差し引かれ、一時金全額カットされた」など、賃金、残業代の不払い、退職強要の相談が連日寄せられています。 外国人労働者も駆け込みます。「中国人研修生が、暴行を受けながら日本人の賃金の半分で『奴隷』のように酷使されています」と訴える徳島労連議長の見田治さん。企業は「国際貢献」目的の研修・技能実習制度を悪用。「安い人件費」として外国人労働者に過酷な労働を強要する実態を語ります。 ◇派遣労働者の青年が立ち上がる「正社員と同等以上の仕事をしても賃金は半分以下」という「偽装請負」も増加しています。相次ぐ解雇攻撃に対し、トヨタの孫会社、光洋シーリングテクノ(徳島県)工場で働く派遣労働者20人(現在31人)がJMIU(全日本金属情報機器労働組合)に加入し、組合の交渉で即日、解雇提案を撤回させました。12月9日には会社への直接雇用を求め、30人が一斉に、厚労省と徳島労働局長に指導・勧告を行うよう申告。運動はこれからです。「平均年齢26歳の青年が職場に呼びかけ、『誇りをもって人間らしく働きたい』と立ち上がりました。労働組合は数が力です」と事務局長の森口英昭さんは組織拡大・強化の重要性を語ります。 最後に見田さんは、「国民生活を守る国の社会的責任について、民間や地域に積極的に話をしてください。『小さな政府』に反対する世論を一緒につくりましょう」と力強く呼びかけました。 |
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◆国公労連結成30周年記念事業ベトナムのエネルギーにふれて国公労連は「国公労連結成30周年記念事業」の一環として、11月20日から、ベトナム解放30周年・戦跡を訪ね、公務員労働組合と交流する「交流の旅」を実施しました。総理府労連、全労働、全司法、全気象、全建労などから15名が参加しました。冬の気配が漂う日本から6時間、ベトナムのホーチミン市は30度。夏に逆戻りした感じです。 ホーチミン市は、ドイモイ政策の影響か、日本の企業の看板が目につきます。ベトナムといえばバイク。どこから現れてくるのかと思う程走っています。ベトナムでは「ホンダ」がバイクの総称だそうです。 ◇75年に解放軍が無血入城果たす最初に訪れたのは、統一会堂(旧大統領官邸)。1975年4月30日、解放軍の戦車が鉄柵を突破して無血入城を果たしました。そのため、旧サイゴン(現在のホーチミン市)は戦災を免れました。今は国賓を迎えたり会議に使われています。また、サイゴン大聖堂や中央郵便局なども、フランス領だった頃の建物のまま。いまでも使われています。 ◇国際的な援助があったからこそ戦争証跡博物館では、クチトンネルを掘り解放戦士として戦ったタンさんから、独学で勉強したという日本語で話していただきました。「国際的な援助もあって我々は勝利できた」といわれたことが印象的でした。◇ベトナム公務員と交流深めるハノイに移動した11月24日、ベトナム公共部門労働組合(VPSU)副委員長以下10名と、2時間懇談を行いました。VPSUの組織率は100%で、大統領も組合員であるなど日本との違いや、年金や生活保障などが課題となっていることなど互いの共通点も話題になりました。そして、今後も交流を深めることを確認しあいました。熱気あふれる市場などベトナム国民のエネルギーを感じ、連帯を深めた旅でした。(国公労連・阿部春枝) |
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◆新春インタビュー〈映画監督 黒木和雄さん〉戦争告発し、9条改憲ストップさせたい今年の新春インタビューは、ヒロシマの被爆体験を描いた映画「父と暮せば」を監督された黒木和雄さんです。黒木さんは、9条改憲に反対する「映画人九条の会」でも積極的に活動されています。国公労連中央執行委員・国公女性協事務局長の北畠弥生さんがインタビューしました。くろき かずお 1930年、宮崎県生まれ。1954年、岩波映画製作所に助監督として入社、ドキュメンタリー映画の演出を務める。1962年フリーとなり、孤独なマラソンランナー君原健二を描いた長編ドキュメンタリー「あるマラソンランナーの記録」で高い評価を得る。1966年、「とべない沈黙」で劇映画デビュー。その後、「キューバの恋人」「日本の悪霊」「竜馬暗殺」「祭りの準備」などを発表。「TOMORROW/明日」(長崎の原爆を描き、キネマ旬報監督賞を受賞)、「美しい夏キリシマ」(キネマ旬報03年ベストテンで日本映画第1位)、これに続く、「父と暮せば」は、“戦争レクイエム三部作”と呼ばれ高い評価を得る。06年夏には“四作目”となる「紙屋悦子の青春」を公開予定。
(編集=教宣部・井上伸)
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