国公労新聞 第1240号

◆賃下げ断固阻止を

  官民比較方法「見直し」撤回を

 賃下げにつながる「比較給与方法見直し」反対、マイナス勧告阻止などの切実な要求を掲げ、公務労組連は7月25日、中央行動を展開。全国から集まった3000人(国公労連は1450人)の怒りが集中しました。その運動をバネに8月1、2日には、中央・地方で人事院を包囲し、追いつめました。

 ◇人事院・給与局長交渉で追及

 8月1日、国公労連は単組委員長クラスで、人事院・給与局長交渉を実施しました。
 交渉の中心課題は、官民賃金比較での企業規模問題。(1)政府が、「企業規模ひき下げ」を「要請」、(2)「研究会」が企業規模引き下げを「可能」とする「技術的見地での報告」を取りまとめ、これを「懇話会」が追認、(3)7月末で、民間企業の「特別給」調査が終了、などの状況から、人事院が「最終判断」を行う時期に来ているとの認識で、「賃下げとなる官民比較方法『見直し』反対」要求の実現を追及しました。
 人事院は、「月例給について、同種・同等比較の原則を維持しつつ、企業規模50人以上の従業員についても比較の対象」、「(月数比較となっている)特別給についても同様」などと表明しました。

 ◇人事院は説明責任を果たせ

 国公労連側は、この回答に強く反発。(1)人事院は政府の圧力に屈するな、(2)労働条件を不利益変更する場合の「高度の合理性」など、基本的な説明責任を果たせ、(3)民間は賃金水準引きあげ方向。なぜ公務員賃金は、「物差し」変更してまで下げるのか、(4)公務員労働者の労働密度の高まりなどは、比較方法の検討にどう反映したのか、と追及しましたが、人事院は改悪強行姿勢を崩しませんでした。
 「比較企業規模のひき下げ」は、公務員労働者の労働条件決定に大きな影響を持っています。一方的な強行を許さないねばり強いたたかいが必要です。

 ◇8月2日一斉に座り込み
 〈四国〉人事院は財界の言いなりになるな

 四国ブロック国公は8月2日、人事院四国事務局包囲行動を実施し、33度の猛暑の中、四国各県から仲間が結集。比較対象規模の切り下げをしようとする人事院に対し、怒りの座り込みを5時間にわたり展開。昼休み集会には100人の仲間が怒りをぶつけました。

 〈北海道〉7時間行動で怒りを示す

 8月2日正午から人事院前に400人が座り込み、夜7時までのロングラン行動を展開。首都圏はもとより福岡や静岡からも仲間が駆けつけ、全国から熱いメッセージが寄せられました。
 北海道国公も同日、北海道事務局前で座り込み、集会(150人)、交渉、個人請願、ビラ宣伝を実施。道労連や公務労組、民間労働者からの激励、差し入れが次々と!プラカードが参加者に評判でした。


◆全労連大会 「もうひとつの日本」の実現を

 小田川義和氏を新事務局長に選出

 全労連は7月26日から3日間、東京都内で第22回定期大会を開催。小泉「構造改革」路線に対抗し「もうひとつの日本」の実現と、組織拡大をめざす2年間の運動方針を満場一致で採択しました。

 ◇組織拡大に全力、総対話と共同を

 あいさつした熊谷金道議長は「貧困と格差の継続、憲法改悪や教育基本法改悪の策動を許すのかどうかという歴史の岐路に立たされている」と述べ、要求実現と改憲阻止、組織拡大に向け、職場や地域での「総対話」「共同」を呼びかけました。
 運動方針では(1)「戦争しない・参加しない日本」をつらぬく(2)働くルールを確立し格差と貧困を是正する(3)安全安心な地域社会の実現をめざす―を運動の3つのキーワードに据え、200万組織の達成をめざすことを確認。賃金闘争では、ベア獲得、非正規労働者の賃金改善を重視。格差是正のための均等待遇の実現や、労働法制改悪阻止など働くルールの確立を追求し、社会保障改悪・増税反対闘争を「賃金・労働条件と車の両輪」と位置づけました。
 また、非正規労働者の組織化を本格化させるための「非正規労働者部会」の設置、女性の組合参加を促すため、大会代議員や評議員総数の3分の1以上を女性とする努力義務規定なども確認されました。
 国公労連は、「社会保障の充実と社会保険庁解体問題」(杉下茂雄・全厚生委員長)、「組織拡大中期計画と非正規労働者の組織化」(浅尾大輔・国公一般書記次長)が発言し討論参加しました。
 総括答弁で坂内事務局長は、「足を踏み出せば必ず前進できるという確信をもって運動をすすめよう」と、強調しました。

 ◇熊谷議長が退任

 なお、退任する熊谷金道議長に代わって、事務局長の坂内三夫氏が新議長に選出され、新事務局長には小田川義和氏(現国公労連書記長)が選出されました。


◆格差拡大、戦争する国NO!

    憲法が輝く社会を
  〈国公労連06年度運動方針案のポイント

 国公労連は、8月31日(木)から9月2日(土)まで、第52回定期大会を都内で開催します。大会に向けた運動方針案のポイントについて、ちひろと健太が語り合いました。

 ◆ストップ!憲法9条改悪
  国民投票法案、教育基本法案の廃案を


 健太 国公労連の06年度運動方針案が出たね。
 ちひろ 職場で大いに討議して、深めていきたいね。
 健太 方針案のポイントはどこかな?
 ちひろ 四つの重視する運動課題を提起しているわ(下表参照)。



 ちひろ 最初が憲法課題よ。
 健太 僕たち国家公務員にとって、他の国と戦争する日本に変わることは、重大な仕事の変質をともなうよね。
 ちひろ そうね。国民を戦争に動員する役割は絶対にしたくないわ。
 健太 9月下旬から12月上旬といわれてる臨時国会では、9条改憲のための国民投票法案をはじめ、教育基本法改悪法案や米軍基地再編・強化の費用支出のための法案が重要な段階になるって言われているね。
 ちひろ 職場・地域からのとりくみがいよいよ大切だわ。
 健太 方針案では具体的にどんな運動を提案してるのかな?
 ちひろ 9条改憲反対の署名運動を継続しながら、8月から国民投票法案と教育基本法案に反対する署名をスタートさせるの。9月から展開する教育基本法改悪反対の全国キャラバン行動の成功に向けて、積極的な役割を発揮するとしているわ。

 ◇11.9全国一斉憲法宣伝行動を全県で具体化

 健太 毎月の「9の日」の宣伝行動は継続して職場・地域からとりくむんだね。
 ちひろ とくに、憲法公布から60年目になる11月のとりくみを重視して、11月9日を全国一斉憲法宣伝行動日と位置づけ、全県の県庁所在地で終日の宣伝行動の具体化を提起しているわ。
 健太 全労連は07年7月までにすべての職場に「九条の会」を結成しようと呼びかけてるね。
 ちひろ 国公労連としても職場・地域(県・地区国公)に「九条の会」の結成を急ごうと提案してるよ。

 ◇すべての仲間の参加で新聞意見広告運動を

 健太 目を引くのは「新聞意見広告運動」だね。
 ちひろ 国民投票法案などが重要局面となる秋の臨時国会にあわせて「九条の会」の主張を国民に紹介する「新聞意見広告運動」を国公労連独自のとりくみとして具体化したいとしているね。
 健太 かかる費用については、職場のすべての仲間と家族にカンパを訴えることとして、9月から10月の2カ月間でとりくもうと提案しているよ。
 ちひろ わが家も家族みんなで参加したいわ。

 ◆「もうひとつの日本」めざす大運動で公共サービス商品化はねかえそう

 ◇「もうひとつの日本」めざす大運動に結集

 健太 全労連は、「もうひとつの日本」をめざす大運動を提起しているね。
 ちひろ それを国公労連は積極的に受けとめて、「公共サービス商品化」反対、民主的行財政・司法の確立をめざすとりくみを強めるの。
 健太 全労連が提起している秋の「網の目総行動」、国会請願署名、地方自治体要請行動などの成功に積極的な役割を果たすんだね。
 ちひろ そして、春闘期、3月の地方議会に向けたとりくみとして、3回目となる「公共サービス商品化・地方切り捨て反対」の意見書採択運動にとりくむ。
 健太 引き続き毎月第3水曜日の宣伝行動の定着を全組織で追求して、秋闘期と春闘期に「小さな政府・国公労連統一宣伝行動日」を設け、各種団体要請等も含めた集中した行動を展開するね。

 ◇行政研究集会の成功を

 ちひろ 11月17日には、国公労連第2回行政研究集会を開催するわ。その成功をふまえて、ブロック国公規模での「小さな政府反対決起集会」を2月から5月頃のとりくみとして提起してる。それに年間を通じて「行政何でも相談」や行政懇談会の開催を全県国公で追求するよ。
 健太 07年通常国会で大きな争点になると言われてる庶民大増税と社会保障改悪、雇用の流動化を加速する労働法制改悪、の三つの課題を「構造改革」に反対する中心課題にあげているけど、具体的なとりくみはどうなるのかな?

 ◇「税金3年闘争」を開始

 ちひろ 大増税に反対するとりくみとしては、消費税の税率アップが狙われてる2009年度に向け、「税金3年闘争」をスタートさせるわ。
 健太 初年度となる06年度は何をするんだろう?
 ちひろ 職場と職場周辺の労働者・家族を対象に、「税を知り、払いすぎた税金を取り戻すとりくみ」(仮称)を提起。年末調整がおこなわれる12月に職場での税金パンフレットの活用を呼びかけるとともに、1月から3月にかけた確定申告期にもその活用を呼びかけ、「税を知る学習活動」にとりくむの。

 ◇労働法制改悪反対学習決起集会を全ブロックで

 健太 労働法制改悪については?
 ちひろ 全労連などに結集した署名行動と、国公労連独自のとりくみとして、11月から2月にかけて労働法制改悪反対学習決起集会を全ブロックで開くのよ。

 ◇「社会保険庁改革対策委員会」を設置

 健太 総人件費削減や民間開放で、公務労働者の雇用・労働条件への攻撃が強まっているね。
 ちひろ とくに、社会保険庁「改革」に伴う組織再編では、「整理解雇」とも言える分限免職も検討課題とされてるわ。
 健太 だから、雇用破壊を許さないため、ブロック国公と厚生労働省関係の単組の協力も得て「社会保険庁改革対策委員会」を設置して、産別統一のとりくみに位置づけて運動の具体化をはかるんだね。


 ◆「構造改革」への反撃が要求前進のカギ
  組織拡大、非典型の仲間を組織しよう

 ◇労働条件改善には「構造改革」への反撃必要

 健太 僕たちの労働条件課題については?
 ちひろ 「5%純減」の具体化と関わる配置転換や組織再編・統廃合問題、市場化テスト、独立行政法人の運営費交付金の削減、年金一元化・退職手当「見直し」、公務員給与引き下げなどを、はねかえすには、「構造改革」の中心的課題に反撃するたたかいが大切ね。
 健太 公務員攻撃という政府・財界による分断攻撃を乗り越えて、「構造改革」による格差拡大反対の「声」に連帯したとりくみが、僕たちの要求前進の展望を切り開くことになるんだね。
 ちひろ そして、「数は力」だから、組織の拡大・強化が重要よ。
 健太 方針案には、国公関連の法人や外郭団体などを含め、職場に働く非常勤職員、相談員、賃金職員、委託・派遣などすべての労働者を視野に、全単組で組織化のとりくみを本格的に推進する、としているね。
 ちひろ それに、非常勤職員の均等待遇の実現を求め、制度と運用の両面からとりくみを強めるとともに、不当な雇い止めを許さないたたかいを産別全体で強化する、としているし、非典型労働者に対するセクハラ・パワハラ問題なども含め、職場での人権侵害の根絶をめざすとりくみを強化するキャンペーン運動を展開するとしているわ。


熱く交流深めた全国大会 笑いと汗、迫力、熱戦

 〈国公労連結成30周年記念事業 フットサル、軟式野球〉

 フットサル全国大会は神戸で開催。参加チームは関東(全港建)、東海(全労働三重)、近畿(全建労紀ノ川)、中国(全港建)、四国(全労働高知)、沖縄(全運輸沖航)、兵庫(単組連合)。7チームの総当たりの21試合はいずれも白熱。結果は、1位が沖縄、2位は関東、3位は四国でした。

 軟式野球大会は愛知県で開催。東北(全法務東北地本)、関東(シーバース全港建関東)、東海(全法務静岡支部、全労働岐阜支部)、近畿(ハーバーズ全運輸近畿支部、全運輸神戸海運支部)の4ブロックから6チームが参加。手に汗握る攻防の末、勝利の女神はハーバーズに微笑んだ!


◆社会保障と総人件費を削減!

 2007年度概算要求基準を閣議決定

 政府は、7月21日、2007年度概算要求基準を閣議決定しました。
 一般歳出予算総額を今年度より4000億円多い、46兆8000万円とし、この枠内で各省庁は、8月末日までに概算要求をまとめることになります。
昨年に続き年金・医療等に係る経費について、自然増分の3割に当たる2200億円抑制することし、そのため、失業等給付、生活保護、介護、医療給付の「見直し」など、社会保障の更なる改悪を前提にしています。
 一方、公共事業関係費は、対前年度比で3%減。国立大学法人運営費、私立学校助成費、防衛関係費は、1%減。科学技術振興費は、同額を要求基礎額としているものの、「経済成長戦略推進要望」として、総額3000億円程度までの上乗せ要求を認めています。

 ◇防衛費は「聖域」

 また、これらの費目については、各経費間調整として合計額の20%まで加算し、重点化促進として総額も500億円まで加算できるとし、予算削減の「抜け道」を設けています。防衛関係費は更に、在日米軍基地再編にかかわる地元負担軽減を理由に、別枠対応を認めるとし、「聖域」扱いしています。
 なお、人件費は、給与構造改革、定員純減を踏まえて減算した額の範囲内との制限がつけられています。

 ◇年末予算編成までたたかい強化を

 このような概算要求基準は、社会保障の改悪や公務行政破壊による公共サービス切り捨てと国民負担増を強いるもので、修正を求める年末予算編成までのたたかいが求められています。

 

◆「給与懇話会」が意見とりまとめ

 公務員制度を幅広く論議定

 国家公務員給与のあり方を検討するために人事院に設けられた「給与懇話会」は、7月27日、「14の意見」を取りまとめて公表しました。
 「給与懇話会」は、公務員賃金水準などに対する「国民的な批判」をふまえた検討を「有識者」の立場でおこなうことを目的に発足しました。しかし、政府が公務員制度改革論議の再開に言及するという周辺状況もあって、幅広い「意見」を取りまとめています。

 ◇行政の基本は「国民のための政策実施」

 具体的には、(1)公務を「国民の生活を支える社会的な基盤」と位置づけ、「国民生活を守る行政分野の充実」と「政策決定を支える基盤としての公務員の役割強化」を内容とする「公務及び公務員の役割に関する意見」、(2)公務への「有能な人材の確保・育成」を強調し、1種採用試験のあり方検討にも言及した「公務に必要な人材の確保に関する意見」、(3)「(同種・同等比較の)官民給与比較の原則維持」や「労働基本権の検討」に言及した「公務の給与のあり方等に関する意見」、(4)使用者・政府、職員団体、職員、それぞれに「国民への説明責任と責務の自覚」を求めた最終章、で構成されています。
 「公務の範囲」や「公務員の役割」の議論が始まっている中で、行政の基本を「国民のために政策を実施すること」にあると強調している「14の意見」には、注目すべき点が少なからずあります。なお、国公労連は、06年2月に、「給与懇話会」のヒアリングに応じています。


◆社保・年金制度の今を考えるシンポ開催

  年金制度改善は急務
  保険料免除問題も現場から報告

 国公労連と厚生共闘(全医労、全厚生)は7月25日、都内でシンポジウム「社会保障・年金制度の今を考える〜保険料免除問題はなぜおきたのか〜」を開催。年金者組合や民間労組、マスコミ関係者を含め250人が参加しました。所得格差が拡大する中で、年金保険料の未納者が急増し、社会保険庁が収納率アップの「ノルマ」達成を出先事務所に号令するなかで発生した「免除問題」の根源を論議しました。
 パネラーの小越洋之助国学院大学教授は、格差社会の社会保障制度について発言。「格差拡大の最大要因は非正規労働者増にあるが、その人達は1万3860円(06年度)の保険料を25年間払い続けることが困難。払えない人に備える『社会保障段階の社会保険』に変えることが必要」と指摘しました。
 唐鎌直義専修大学教授は、「年金制度の分立が、老後の格差の原因。全制度の受け皿である国民年金は、生活保護より低水準で、社会保障としては不十分。税方式での最低保障年金確立が急務」とのべ、年金制度の不備が問題の根底にあることを指摘しました。全厚生の飯塚勇副委員長は、「不適正な行政運営は許されない」と強調したうえで、「過酷な収納率ノルマ主義が強要され、分限免職や人事評価の圧力が職員を追いつめた」と現場報告しました。
 会場からは、「民間企業で、免除問題が発生すれば経営問題」、「免除問題で国民は怒ってはいない。人権無視の職場実態を訴えるべき」「年金制度の空洞化に国民は無関心」など、活発な意見が交換されました。


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