国公労新聞 第1245号

◆「戦争する国」づくりにストップを

  教育基本法改悪NO!

 安倍新政権下の臨時国会は、12月15日までの会期の3分の1が過ぎました。「今後は与党が最優先とする教育基本法改正案の取り扱いが焦点」(朝日、10月21日)であり、情勢は緊迫しています。教育基本法改悪法案、国民投票法案など「戦争する国づくり」にむけた悪法阻止のため、職場・地域からのとりくみ強化が求められています。
 一方、総人件費削減のための公務員賃金引き下げ圧力も、これまでになく強まっています。政府は、06年勧告の取扱い方針を閣議決定。国会段階での給与法「改正」法案をめぐる運動強化も急務です。

 ◇10・14大集会に2万7千人

 「教育基本法改悪法案を廃案に!」と10月14日、東京の明治公園で「10・14教育基本法改悪反対大集会IN東京」がひらかれ、全国の教職員や労働者、市民など2万7千人が結集しました。
 東京都教組や全教、全労連など6団体でつくる実行委員会が主催。「みんなの力を合わせて廃案に追い込みましょう」とのアピールを採択し、3コースをデモ行進。国公労連・東京国公も元気にデモ行進しました

 ◇「新基地建設」許さず、平和な県政を
  沖縄県知事選挙 国公労連、革新候補を推せん


 国公労連中央執行委員会は、沖縄県国公の要請をうけ、県知事選挙(11月2日告示、19日投票)で革新統一候補の糸数慶子さんの推せんを決定しました。
 糸数さんを擁立する「キラめく沖縄をつくる会」には、社民・社会大衆・共産・民主・自由連合の5党と県労連など多くの労組・団体が参加しています。
 沖縄県には日本にある米軍基地の75%が集中し、県面積の20%を占めており、今回の知事選の最大の争点は、宜野湾市にある米軍普天間基地の代替施設を、名護市辺野古に建設させない県政の確立にあります。
 糸数知事の誕生は、「新基地建設反対」の県民要求を実現するだけでなく、米軍基地の再編強化を押しつける日米両政府と、今臨時国会で教育基本法改悪をねらう安倍新政権に痛打を与えます。
 全国の職場・地域からの支援・激励とカンパをお願いします。


 ◆政府06年「ベアゼロ」勧告実施を決定


 政府は10月17日、06年「ベアゼロ」勧告の実施を閣議決定しました。
 その内容は、勧告どおり「給与改定を見送るとともに、給与構造改革・行財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を削減」するとしています。

 ◇国公労連書記長が抗議談話を発表

 国公労連は10月17日、この閣議決定について、要旨以下のとおり、岡部勘市書記長の抗議談話を発表しました。
 政府は、昨年9月以来三度にわたり、人事院に対し賃下げの意図をもって比較企業規模の「見直し」を要請した。その圧力に屈して出された勧告を、政府が「人勧尊重」を口実に閣議決定したことは、「自作自演」の茶番劇と言わざるを得ず、断じて容認できない。わずか二度の給与関係閣僚会議を経て閣議決定を行った。この暴挙に怒りをもって抗議する。
 国公労連は、引き続く国会での給与法案の審議においても、比較企業規模「見直し」をはじめとする勧告の矛盾と問題点を追及し、中央・地方で継続強化する。

 ◇自治体・独法と連帯を

 国公労連は、引き続く国会での給与法案審議において、比較企業規模「見直し」をはじめとする勧告の矛盾と問題点を追及します。
 いま地方では、比較企業規模を引き下げ「給与改定見送り」「給与引き下げ」の人事委員会勧告が続出しています。今後、自治体だけでなく、独立行政法人や勧告準拠機関の賃金交渉が本格化するなかで、これと連帯・共同した主体的なとりくみを中央・地方で継続強化します。

総人件費削減をねらう退職給付の官民較差調査


  退職手当の切り下げやめよ
  現行職域年金に代わる新たな公務員年金制度の確立を

 06年4月28日、政府は「被用者年金制度の一元化に関する基本方針」を閣議決定しました。職域部分の廃止、そして新たな公務員制度として仕組みを検討することが決定されています。そのことから、人事院によって退職給付の官民較差及び諸外国の公務員年金制度の調査が行われています。

 ◇人事院が民間退職給付(企業年金と退職一時金)状況調査

 退職手当は、これまでは総務省が退職金財源である「退職一時金+企業年金」と官民比較をしてきました。しかし、今回は、人事院によって職域部分も含めて退職給付の総額が比較されようとしてます。これは、総人件費削減をねらう政府の要請に人事院がその役割を放棄して追随するものです。
 今回の人事院調査では、退職給付の総額が比較され、水準格差が算出されます。
 これまでの調査と違って、民間の「その他の企業年金」と公務の「職域加算額」が追加されており、財源不足等を一因とする企業年金改革の経過や現状からすれば公務の支給水準が高いことが見込まれます。
 このことからも、退職給付総額の大幅な切り下げの可能性があります。

 ◇先進諸外国の公務員年金制度

 共済年金には、職域部分があり、公務員に課せられる政治的行為や守秘義務の制約などの代償として1986年に設けられ、公務員本人と国や地方自治体が保険料を折半負担し、報酬比例部分の2割程度が給付に上乗せされます。
 先進諸外国の公務員年金制度を見てみると、アメリカでは、1階部分が一般勤労者の公的年金制度、公務員独自の2階部分として給付建て年金制度、さらに3階部分に拠出建ての3階建ての制度。イギリスでは、全国民を対象とする公的年金制度で、その上に報酬比例国家第2年金を設ける2階建ての制度となっています。フランスでは、民間部門と公務部門と分かれており民間部門は2階建て構造、公務部門の年金制度は民間部門の1階部分(確定給付年金)に相当するだけのものです。公務部門の年金水準の引き下げは民間部門の引き下げに繋がるとの警戒心が強くなっています。
 いずれの国においても、公務員年金の優位性が確保されており、公務という職域の特性に着目して、公務員に期待する役割の重要性を、退職後の生活維持に十分配慮した結果となっています。

 ◇民間の退職給付の種類

 退職した従業員が民間の企業から受けることのできる退職給付は、大きく「企業年金」と「退職一時金」に分けられます。そして、退職一時金は従業員の退職時に一括して支給し、企業年金は原則として60歳の支給開始年齢から毎月支払われます。ただし、大半の企業年金では一時金で受け取ることも出来るようになっています。

 ◇人事院による民間企業の退職給付調査内容

1 調査対象事業所
 常勤従業員数が50人以上の企業 約6,200社(母集団企業数…約37,000社)

2 調査の方法
 (1)実地調査 約1,000社(職員が企業を訪問)
 (2)郵送調査 約5,200社(調査票を郵送)

3 調査の主な内容
 (a)企業における制度(06年3月末現在の状況)
  (ア)退職給付(企業年金・一時金)制度の有無、創設の理由、構成割合等
  (イ)企業年金制度の内容…年金の種類、受給資格、支給開始時期、支給期間、掛金負担割合、選択一時金制度の有無、給付利率等
  (ウ)退職金制度の内容…算定方式、勤続年数別支給率等
  (エ)その他…早期退職優遇制度、前払い制度、財形年金への補助の有無等
 (b)退職給付の個人別支給状況(05年度中に退職した勤続20年以上の者)
  (ア)退職者の属性…退職事由、学歴、性別、退職時年齢、勤続年数、役職段階
  (イ)企業年金の支給状況…年金の種類、支給期間、年金年額、一時金選択の場合の金額、退職時の現価額等
  (ウ)退職一時金の状況…一時金額、早期退職優遇制度の適応の有無等
  (エ)その他の給付状況…退職記念旅行券等の給付額

 ◇被用者年金制度の一元化の背景
 ◇現在の仕組みは


 現在、共済年金の保険料率は、国民年金にあたる基礎年金(1階部分)と厚生年金の報酬比例部分にあたる共済年金(2階部分)と職域部分(3階部分)に対応する率となっています。

 ◇一元化の閣議決定

 今回の被用者年金制度一元化の閣議決定では、「04年年金制度改正法附則の規定を踏まえ、少子・高齢化の一層の進展等に備え、年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに民間被用者、公務員を通じ、将来に向けて同一報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより、公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため、共済年金制度を厚生年金保険制度に合わせる方向を基本として行う」としています。

 ◇職域部分問題

 公務員の退職年金制度には、相当年限忠実に勤務して退職した職員について、その後の生活の維持を図ることで不安を緩和する等の理由を考慮勘案し、必要であることから公務員独自の職域部分(3階部分)を設けてきました。
 民間企業では、従業員100人以上の企業のうち、約7割が厚生年金に上乗せする企業年金(3階部分)を設けていますが企業年金を持たない企業もあることから、それらを勘案して職域部分の廃止をし、新たな制度の検討が言われています。

 ◇結局大きな負担

 以上のことからも、年金制度の統一を理由に保険料率を段階的に引き上げ、そして年金として受け取れる部分については削減されるという公務労働者に対して大きな負担と将来に対する不安が強いられるものとなっています。

 ◇重要な意見表明

 被用者年金一元化の閣議決定を受けて、政府は人事院に民間企業の退職給付(企業年金・退職一時金等)の調査を要請しました。人事院はそれを受けて調査を行い、その調査結果を11月初旬に発表しようとしています。
 人事院が調査結果を踏まえ、国家公務員の年金についてどのような意見表明をするのかが重要になります。意見表明の内容については、公務員制度の趣旨を活かし、国民に対し理解と納得を得る事が重要であり、人事院の表明が今後の政府の法案づくりに与える影響ははかりしれません。

◇今後のとりくみ

 次期通常国会において法案提出されることが見込まれることから、引き続き学習会などでの年金に対する意思統一と対政府、対国会闘争の構えでとりくみを進めることが重要です。

長時間残業が慢性化「霞が関不夜城」の実態

  マスコミ各社が一斉に報道

 【東京国公発】“霞が関不夜城”と呼ばれるほど長時間残業が慢性化している霞が関。
 今春闘期に霞が関地区国公(霞国公)と東京国公が実施したアンケート(霞が関に働く職員4578名から回収)結果でも、月平均残業時間は38.9時間、なかには旧厚生省の職場のように91.6時間というすさまじい実態も明らかになりました。

  ◇「過労死感じる」職員2000人も

 こんな中で「過労死を感じている」職員が4.5%。これを霞が関の職員数で割り出すと約2000人にものぼります。
 さらに一人当たりの不払い残業の月平均時間、8.9時間から、霞が関における年間の不払い残業代の総額を推計したところ、何と129億円という数値がはじき出されました。

  ◇3万枚ビラ配布超勤縮減訴える

 この事実を記者会見で明らかにした結果、朝日、毎日、産経、東京、日経の各社が一斉に取りあげ、またテレビ朝日のJチャンネルでも報道されました。
 霞国公と東京国公はこの残業問題を抜本的に解決しようと、8月から9月にかけ、財務省、総務省、人事院、内閣官房との交渉を持ち、全政党へ要請。そして10月第一週の超勤縮減キャンペーン期間中は、“霞が関不夜城の灯を消せ”をキャッチフレーズに、2回の宣伝を行い、3万枚のビラを職場に配布しました。

  ◇定員削減に歯止めを

 これらを通じて、慢性的残業問題を抜本的に解決する道は、政府のすすめる定員削減に歯止めをかけるたたかい強化だと再認識しました。
 07春闘期に東京国公は、「未組織の職場にも大きく広げる」運動をめざし、決意を新たにしているところです。

総人件費削減やめよ、昇格改善訴える

  国公労連青年協が中央行動

 国公労連青年協は10月6日、秋季中央行動を展開し、霞が関で働く仲間をはじめ全国から130名の青年が結集しました。  人事院前要求行動(写真)では、降りしきる雨のなか、国公労連・山瀬副委員長、全労連・松尾副青年部長が駆け付け、参加者を激励しました。青年協からは、10月5日の人事院交渉と情勢を冨永事務局長が報告し、総人件費削減反対、昇格改善などを訴えました。決意表明では、職場実態ふまえた青年の切実な要求を人事院に突きつけました。その後、秋の要求実現のための学習会を実施しました。


憲法守り、「構造改革」と対決を

  公務労組連絡会 第31回定期総会ひらく

 公務労組連絡会は10月6日、都内で第31回定期総会を開催。(1)賃金・労働条件の改善、労働基本権確立、(2)「構造改革」と対決し、国民・住民本位の行政・教育・福祉・医療の拡充、(3)憲法・教育基本法擁護、平和と民主主義を守り国民的な共同発展めざす、(4)公務大産別組織として運動強化、などを基調とした運動方針を決定しました。

 ◇国民生活本位の公共サービスを

 討論では、「教育基本法改悪には校長の66%が反対。全国キャラバンをすべての県で成功させたい」(全教)、「成果主義賃金が導入され露骨な差別が現れている。結局は国民の負担が増えるだけ」(特殊法人労連)、「労働組合は、『市民生活を守り、公務労働を果たせる行政』を合い言葉に運動を展開」(京都)、「公務職場の深夜労働のガイドライン作りやパート労働者の解雇規制法の提起を」(郵産労)、「総人件費削減を阻止し、国民の権利保障の立場から、市場化テストなど『公共サービス商品化』反対のとりくみを強化」(国公労連)などの発言がありました。
 総会では、石元巌議長(全教)をはじめ、国公労連から新たに、副議長に福田昭生委員長、幹事に盛永雅則副委員長と浅野龍一中執ら役員を選出しました。

トップページへ 国公労新聞へ