<国公労新聞・第958号1997年6月21日付より>

シリーズ「行革」を考えるD

国民いじめの「財政改革法案骨子」


 6月3日に政府は、「財政構造改革の推進」について、閣議決定をおこないました。
 これは、同じ日に財政構造改革会議がおこなった最終報告を「無条件」で受け入れ、軍事費や大型プロジェクト中心の公共事業のムダ遣いにはメスを入れない一方で、社会保障や教育、公務員賃金などには「聖域なし」の削減という大なたをふるうことを決定したものです。
 政府は、この閣議決定をもとに、6月16日には「財政構造改革のための法律案骨子」を決定し、9月召集がいわれる臨時国会に、2003年度までに、国及び地方の財政赤字対GDP比3%、特例(赤字)国債脱却」を目標に、特別会計を含むすべての歳出分野での「構造改革」をすすめることを決定する「財政構造改革法(仮称)」を提出するとしています。  また、98年度予算での一般歳出を97年度比でマイナスとすることも閣議決定しており、これをもとに概算要求段階から経費削減が厳しく進められようとしています。

「橋本行革の二〇三高地」


 このようなテンポで進められようとしている財政構造改革は、「橋本行革」の主要な柱です。同時に、省庁再編や地方分権、社会保障「改革」などの大枠を財政面から形作るものであり、「橋本改革の二〇三高地」(『中央公論』5月号、中曽根元首相発言)との位置づけで進められようとしているものです。
 「法律案骨子」では、98年度から2000年度までを「集中改革期間」として、主要な経費(社会保障、公共投資、文教、防衛等)の量的削減目標を定めるとしています。  受給者増などの自然増が8000億円と言われる社会保障費では、98年度の予算を3000億円増を上限に「抑制」するとしています。このことから、医療保険制度と、年金制度の「改革」実施を政府に義務づけることを盛り込んでいます。  また、人件費を「極力抑制する」ことも法案に盛り込むとしています。

改革の名をかりてリストラ「合理化」


 財政構造改革では、「国立病院・療養所の廃止、民間移譲」、「国立学校の設置形態見直し」(閣議決定)、「国立試験研究機関等の統廃合」(法律案骨子)なども盛り込まれています。
 また、「国及び地方公共団体と民間」、「国と地方公共団体」との「役割分担」の見直しにも言及しています。
 中曽根、竹下、宮沢元首相など、財政赤字を拡大させてきた「張本人」たちが、厚顔無恥に作成した国民いじめの「財政構造改革」の強行を許さない国民的な取り組みを、反動的な省庁再編を許さないたたかいと一体で進めることが重要になっています。

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