<国公労新聞・第960号1997年7月11日付より>
【連載】海外調査団「行革」見聞録B
定員削減と効率化を徹底するイギリスのエージェンシー
4班にわかれた調査団は、そのうちの3つの班が実際にイギリスの各エージェンシーを訪れました。
土地・会社登記庁
全法務の岩波さんと金親さんが調査に入った土地・会社登記庁では、登記申請は、日本とちがって郵送や電話でも受け付け、実務も弁護士が代行するので、一般住民が窓口を訪れることはほとんどありません。
登記簿はコンピュータ処理され、省力化された分だけ要員にはかなり余裕があるとのことでした。エージェンシーになって、処理時間の短縮、手数料の引き下げがはかられたそうで、情報誌の発行などで、利用者の評判もなかなかのようでした。
特許庁
全通産特許庁分会の片野さん、村上さん、一宮さんのグループは特許庁を訪れました。
特許庁は、エージェンシー化と同時に、ロンドンから離れてニューポートに移転してきました。相対的に民間より賃金が高くなり、職員の定着率も良くなったそうで、そのことがサービス向上にもあらわれているようでした。ここでも、業務のコンピュータ化がかなりすすんでおり、この7年間で約300名の職員が減らされたとのことです。
雇用サービス庁
そして、雇用サービス庁を訪問したのは、全労働本部の斎藤さん、愛知支部の石川さんの二人です。
失業者数に見合って予算が決められることから、失業者が減少傾向のこの2年間は、新規採用はほとんどなく、昨年は、予測した失業者数を下回ったとの理由で、予算返上をせまられたそうです。定員削減のために、早期退職を勧奨しており、職員の経験が十分にいかされないとのマイナス面もあるようでした。
民営化には反対
総じて、これらのエージェンシーでは、徹底した効率化のもとで、毎年、定員削減がすすめられています。
サービスが良くなったとの声もありますが、それは、コンピュータによる処理能力の向上などのためであり、エージェンシー化そのものが要因ではないとの指摘がされています。
また、どの機関でも一致して、当局・利用者双方が、民営化には反対する姿勢をとっていたことは特徴的でした。
今回は、イギリスの人たちの率直な声をご紹介しましたが、エージェンシー化がもたらしたものは、決してサービス向上など良い面だけではありません。次号では、さまざまな問題点など、エージェンシーのかくされた部分についてとりあげます。(国公労連・黒田記)
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