<国公労新聞・第963号1997年8月11・21日付より>

シリーズ「行革」を考えるG

先進諸国のなかで異常に少ない日本の公務員の人数


 98年度概算要求作業が進められるもとで、「財政構造改革」の中身やねらいが具体的な形であらわれ始めています。
 厚生省が、8月7日に示した医療保険の「抜本改革案」(サラリーマンの3割負担、大病院では5割負担、老人の1〜2割負担など)は、社会保障費の自然増額8,000億円を3,000億円に「圧縮」するとの「財政構造改革」にもとづくものです。
 98年度の増員要求を「原則として認めない」とする発言を総務庁長官が繰り返しおこなっていることや、8月4日に勧告を受け取った橋本首相が「知恵を絞って人件費抑制を」と述べていることも「財政構造改革」と無関係ではありません。
 総人件費については、97年度(一般会計で約11兆円)をベースに「集中改革期間」(2000年度までの3年間)は「極力抑制」することを決定しており(6月3日閣議決定)、これを「旗印」に「増員も抑制する、賃上げも抑制する」姿勢に政府があることは明らかです。
 定員の「計画的削減」は「行政需要の消長に応じた定員の弾力的、合理的な配置転換をおこなうとともに、総定員を極力抑制する」ことが目的であることは当時の閣議決定からも明らかで、計画数だけ純減させるものではありません。第9次定員削減計画の閣議決定でも、「総数の膨張を抑制しつつ、その適正配置を図る観点」から計画を策定することを明確にし、「削減した数を増員原資として必要な行政需要に対処」と国会答弁しています。
 日本の公務員数は先進諸国でももっとも少なく、そのような定員状況のもとで増大し続ける業務に対応しているのが実態です。そのことは、「国家公務員の定員は、他の先進諸国に比べても人口当たりの公務員数は少なくなっている」(96年7月4日・行政改革委員会メッセージ)や、「公務員の縮減、(略)定員・給与の適正化が直ちに大きな財源の捻出に結びつくことは難しい」(96年6月21日・政府税調報告)と、行財政改革推進の立場にある政府機関すら認める状況にまでいたっています。
 行財政改革では、国民生活との関係をふまえて、「民主、公正、効率」な行政のあり方がまず論議されるべきです。「公務員の大幅削減」が行政改革の象徴であるかのようなセンセーショナルな行革論議の進め方は、自ら定めたルールさえ投げ捨てて、「ファッショ的」に行財政改革を進めようとする「橋本行革」の本質を示すものです。国公労連は、8月1日に、このような立場での申し入れを、各政党におこないました。

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