<国公労新聞・第964号1997年9月1日付より>

国民犠牲の「1府12省庁」再編案

−行政改革会議の集中討議おわる−


 8月18日から21日まで、集中討議をおこなっていた行政改革会議は、中央省庁再編(案)の一定のとりまとめを行いました。
 9月3日には、この討議をふまえた「中間報告」を明らかにし、その後「与党協議」を経て、11月末に「最終報告」をおこなうことが予定されています。

国民不在で異常な運営の行革会議

 橋本首相が一晩考えた結果、建設省、運輸省、農林省などをあわせてさらに「開発」と「保全」に二分することなどが確認され、国民と行政との関係はまったく議論されず、「官僚の抵抗対首相の決断」の構図で、「政治ショー」の中で一府一二省の「組み合わせ」が生まれる異常さです。

中心は内閣機能(首相権限)の強化

 内閣機能の強化では、「内閣総理大臣の発意」、「各省幹部の任免承認」、「内閣官房の政治任用スタッフ」、さらには「強力な企画・立案機関とする法整備」などが確認されています。まさにアメリカでの「大統領」を彷彿させる首相への権限集中がめざされています。
 さらに、各省より一段上の内閣府や、地方自治体も国の一部として「事務管理」をおこなうことになりかねない総務省の構想も、首相の権限強化の一環として位置づけられています。

「橋本行革ビジョン」追認の省庁再編

 省庁再編論議が、昨年の総選挙前に一部マスコミで報道された「橋本ビジョン」にもとづくことが明らかになりました。
 国の機能を「国の存続」、「富の拡大」、「国民の暮らし」、「教育・文化」に分類し、前の二つの機能を重視した省再編となっています。
 その結果、農林漁業の育成・保護や、労働者の権利拡充など、一方で規制緩和の対象となっている分野を軽視するものとなっています。

論議もしないまま「独立行政法人」を確認

 郵政三事業(簡易保険の民営化、郵便、貯金の国営事業)とともに、独立行政法人、外局など実施部門の受け皿としての「機構整備」が確認され、独立行政法人の「職員の身分」は国家公務員とするものとしないものの両論併記となっています。
 集中討議にあたって、主査である藤田委員が提出したメモでも、「独立行政法人については中身の論議が不十分」としていたにもかかわらず、討議がおこなわれた形跡はありません。なぜ、行政を企画と実施に分離するのか、分離した際の行政責任はだれが負うのかなどは、まったく不明確です。公務員べらしのための検討となりかねない危険性が強まっています。
 なお、地方出先機関については、「府県単位以下のものは可能な限り整理」する確認が、論議なしにおこなわれており、この点も重大な問題です。

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